五等分の姉さん   作:リョー

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先に言っておきます。

フータロー!すまん!!!


復帰

 目覚めてから約一週間、六來はリハビリをしていた。医者曰く、足は衰弱しきっているため、入院期間内のリハビリで歩けるようになることは無いだろうけれど、退院後もリハビリには来てもらうから歩ける様なるらしい。

 そうして自分の部屋に戻ると五人が既に来ていた。三玖と五月は既に来ていたから分かったが、他の三人とは中々予定が合わなかったり、来てもらった時間に診察を受けていたりなど、色んな理由が重なって会えなかった。だから久し振りにこの五人を前にすると胸が躍った。

 

「どうも。こんにちは」

 

そう言いながら車椅子を自分の手で押しながらベッドの近くまで行き、そのままベッドに寝転がった。

 

「うそ!本当に起きてる!」

 

「何ですか?起きてたら駄目ですか?四葉」

 

「私!一花!」

 

六來は首を傾げた。ショートカットが一花で大きなリボンが四葉で、、って四葉?二乃じゃないのか??

 本格的に解らなくなってきた。

 

「全員!番号順に整列!」

 

五人はそれぞれ文句を言いながら整列する。

 

「一花、二乃、三玖、四葉、五月!」

 

「「「「「違う!五月、四葉、三玖、二乃、一花!」」」」」

 

盛大に間違えた後、全員にむくれられたが正解を聞いたら何となく昔の面影というのを見つけて分かるようになった。

 結局、自分は他所から来た異分子だから余り仲良くなれなかった五人のお祖父さんが言うには、見分けるコツは愛だと言う。

 

「愛が足りなかったですかね」

 

五人と沢山話した後、全員が帰って一人になった部屋で呟いた。

 

 

 

 

 

 それから暫くして六來は退院した。三玖に車椅子を押されながら変わった町並みを進み始めた。

 

「ここ、毎年花火みてたとこ」

 

「ん?ええと、、、」

 

思い出せない。軽度の記憶喪失という部分が関係しているのだろうか。断片的に記憶が抜け落ちていて困る。三玖は六來が記憶喪失なのを察したらしく、ごめん、と言って黙った。

 

「うん?悪いのは僕の方だと思うけど。これまでの大切な思い出を無くしちゃったんだし」

 

「ううん。仕方ないよ。それに思い出はまた一緒につくっていこうよ。折角目覚めてくれたんだから」

 

瞬間、風が吹いた。六來に笑いかけながら振り返る三玖の髪が靡いた。何故だろうか。前まではただの血の繋がっていない姉だったから何も意識することが無かったが、今、少しだけ胸を突かれるような感覚を抱いた。この感覚は何だろうか。少しだけ考え込んだが全く思い付かず思考を放棄した。

 

「そういえば僕も高校生だね」

 

「うん、そうだね」

 

「一年間は中学校とかの勉強させてくれるから編入は来年からなんだよね」

 

「らしいね。でも私達と会ったときには中3の勉強まで終わってた六來だったら大丈夫じゃない?」

 

実感が無い。寝る前までは小学生、起きたら高校生。施設や家では子供らしく無い程冷静とは言われていたがさすがに理解が追い付かない。

 悩んでいたら急に車椅子が止まった。そして三玖が六來の前に立ち止まった。

 

「ごめん。とっても辛いよね。あの時私が飛び出していなければ六來がこうならずに済んだのに」

 

「きっと私と同じように大きく成っていったのに私の所為で10年間も無駄にさせて」

 

六來は車椅子を押して涙を流す三玖に極力近付いた。

 

「屈んで」

 

そして手を伸ばして頭を撫でた。

 

「僕が起きてから三玖が本心から笑う姿を見ていないよ。さっき僕に笑いかけたときも綺麗だったけど本心では笑っていないでしょ」

 

「僕は三玖に笑って欲しいな。じゃなきゃ、、、」

 

「三玖姉ちゃんって呼んじゃうよ?」

 

三玖の顔が真っ赤に染まる。この呼び名は三玖が恥ずかしいからという理由で辞めた呼び名だった。六來はクスクスと笑いながら続ける。

 

「あと、ごめん、って謝罪されるよりはありがとうって感謝された方が気分が良いかな」

 

恥ずかしそうに頭を掻きながら言う六來をみて三玖は笑った。

 

「うん。その顔の方が良いよ」

 

三玖は違う意味で顔を赤らめた。赤らめた顔を見られまいと髪で顔を隠して車椅子を押し始めた。

 

 

 

 

 

 新しい家に着いた六來は驚愕していた。10年間の間に何が有ったんだろう。高級マンションの最上階に住むように成るなんて。

 そして二つ目に驚いた事は、自分を診察した医者が新しい父親だったと言うこと。

 最後は驚いた事じゃなくて悲しいこと。お母さんが死んだ。何より悔しいのは死に目にすら会えなかったこと。血は繋がっていない。だけど矢のように速く過ぎ去った二年間であの人は沢山の事を教えてくれたし、心を閉ざしてただの置物と化していた自分を人にしてくれた。人間恐怖症を克服したのもあの人がいたからだ。褒めるときに褒めてくれて、怒るときに頬を打ってでも怒ってくれたが、今はその痛みすら味わえない。五月からそれを聞いたとき悔しさのあまり涙は出なかった。あとはやり場のない怒りが身体を満たしていた。

 

 そう書いて日記を締めくくった。日記帳を繰ると10年前の年が書かれている。本当に10年間眠っていたらしい。身長もあの時から50cmは伸びて185cmを越している。取り敢えずはこの金持ち生活になれながら勉強するところから始めよう。そう考えてベッドに横に成った。

 

 

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