五等分の姉さん   作:リョー

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一花→一花姉

二乃→二乃お姉さん

三玖→三玖

四葉→四葉お姉ちゃん

五月→五月姉さん

明確な違い。

ハーレムエンドには成りません。

それと今日は長めで4722文字です!


五等分の姉さん
始動


 「六來、行きますよ!」

 

五月の声が響いた。今日から学校が始まる。

普段あまり心情や表情の変化がない六來も、今日は珍しく緊張して顔が強張っていた。

中学校を飛ばして高校。周りが大人に近い年齢の人達という環境の中、一人だけつい一年前に起きるまで小学生だった人が混じるのは想像よりずっと難しそうで緊張していた。

 

「六來~?緊張してるの~?」

 

一花が擽ってくる。弱点の脇腹を突かれて、六來は思わず声を上げて笑ってしまった。

 

「脇腹わっ!ダメッ!だってっ!」

 

「ははは!どう?少しは緊張解れた?」

 

「うん。ありがとう。でも擽るのは止めてよ!特に脇腹は!」

 

笑い過ぎて目に涙が浮かぶ。

部屋は類をみない汚さだし、だらしのない所もある。

でも、立派な長女で僕を含めた姉弟の思ってること、感じていることを敏感に読み取って、その時その時に必要なことをしてくれる。それは六來がどんなに努力しても出来ないことで、それをできる一花に六來は少し憧れていた。

 六來は感慨に耽っていたが我に帰り、杖を手にした。

 未だ脚は言うことを聞いてくれない。さらに昨日までは背中の真ん中位まで有った髪をバッサリ首元まで切ったことが余計に緊張を掻き立てている。

 しかしこの姉達となら何処へ行っても大丈夫な気がしてきた。

 

「行こうよ~六來~」

 

「ちょっと!何時まで待たせるのよ!」

 

「六來。一緒に行こ」

 

「六來~!速くしないと置いてきますよ~!」

 

「六來!行きましょう!」

 

 六來は口元に笑みを浮かべた。そして杖を持つ手に力を込めて立ち上がる。

 

「うん。行こう」

 

 

 

 

 

 六來は学校に着いて、自分のクラスのメンバーに自己紹介をしたが、案外受け入れられて内心はかなり安心していた。

 クラスは三玖と一緒で、最悪な話友達が出来なくても三玖がいるから大丈夫そうだ。

 しかし六來が三玖に関わりすぎて迷惑を掛けるのは絶対に有ってはならない。それが理由で嫌われたくない等と思っていると、既に人だかりが出来ていた。

 

「宜しくな!中野!」

 

「あの子と双子なのか?名字が一緒だけど、、、」

 

「それにしては似てないだろ。どっちも美形なのは変わんねぇけどな」

 

「くっそ!イケメンかよ!」

 

「彼女いるの?」

 

六來に男女問わず、人が押し寄せてくる。六來は成るべく緊張は表に出さないようにして話す。

途中、女子に囲まれた時は三玖の方から殺気に近い何かを感じた気がしたが正体はよくわからなかった。

 

 そして時間は過ぎてあっという間に放課後に成った。

 

「六來。帰ろう」

 

「うん。一緒に帰ろ」

 

三玖に誘われ、立ち上がると三玖が思い出したように言った。

 

「そう言えば。今日から家庭教師が来るらしいよ?」

 

「家庭教師?」

 

「うん。家庭教師」

 

 姉達の学力が不味いのは知っていた。きっと留年を回避するために父親が家庭教師を呼んだのだろう、と考えていると携帯電話が鳴った。

 

「はい。もしもし」

 

「やぁ。六來くん」

 

「こんにちは。お父様。なにかご用でしょうか?」

 

「そんなに畏まらなくて良い。今日から家庭教師が来るのは聞いてるね」

 

「はい」

 

「それなら話は早い。君には今日から来る家庭教師と二人で君の姉達を教えて欲しい。勿論、給料は払おう。引き受けてくれるかい?」

 

特に断る理由は無かった。人に教えるためには自分が理解している必要がある。つまり自分の理解度を確かめるのにもうってつけだ。

 何より自分だけは卒業して、姉達は留年してるというのは嫌だ。姉達がどう思っているのかは知らないが、少なくとも六來は全員揃って卒業したいと思っていた。それに父には色々な恩がある。

 

「、、、はい。やります」

 

「君ならそう言ってくれると思っていたよ。向こうに話は伝えてある。君と一緒に教えるのは君達と同じ学校にいて同じ学年の上杉風太郎くんだ。精々励みたまえ」

 

 通話を終了して、六來は携帯電話をポケットにしまった。そして決意した。五人を卒業させるためなら鬼にでも何にでも成ろうと。

 別に卒業したくないと言うのなら構わない。嫌だと思っているならやらない。しかし全員揃って卒業したいと思ってくれているのなら、全身全霊を注ごう。

 

 

 

 

 

 そう思った矢先、普段の賑やかさは失われ、静かすぎるリビングに居るのは三人。一人は六來。二人目は家庭教師、上杉風太郎。もう一人は四葉。

 一番不味い四葉だけを残し、他四人は一目散に逃げ去っていった。

 

「取り敢えず風太郎くん。宜しく」

 

「ああ。六來。宜しく」

 

六來と風太郎は握手した。その光景をまじまじと四葉は見つめていた。

 

「と、いうか四葉お姉ちゃんは逃げなくていいの?」

 

「む!逃げませんよ!心外です!」

 

「じゃあなんで残ってるんだよ」

 

上杉がそう聞くと四葉は満面の笑みを浮かべて言った。

 

「六來と上杉さんの授業を受けるために決まってるからじゃないですか!」

 

六來は四葉を見直した。努力はする気らしい。

 

「安心しました。怖い先生が来るかと思っていたけど、同級生の上杉さんと六來だったなんて」

 

「四葉。抱き締めて良いか?」

 

上杉の気持ちはよくわかると頷く六來。中々シュールな光景をみた四葉は無理矢理場を盛り上げた。

 

「とっ、兎に角皆を呼んできましょう!」

 

六來はゆっくりと歩き、四葉と上杉の横に並んで五月の部屋の扉を叩いた。

 

「五月姉さん。開けて」

 

「六來。上杉さんと一緒なのは分かっていますよ?先に言いますが嫌です」

 

五月が出てきてはっきりと言った。それにこの顔は相当機嫌が悪い。触らぬ神に祟りなし。一度放っておくのも良いかも知れない。

四葉も同じことを考えているようで、目を合わせると苦笑いをした。

 

「と、いうか何故同級生の貴方なのですか?この街には貴方以外にまともな家庭教師はいないのでしょうか?」

 

「まぁ、ろっ、六來なら良いです。実際、分かりやすいし、、、」

 

「兎に角、私は貴方()()教わりません」

 

五月は頬を紅くして言うと勢いよく部屋の扉を締めた。

上杉とクラスが同じで、多かが1日だが、一番長く関わった五月がこの調子なら他は駄目だろう。

二乃は部屋にさえいない見たいだ。

 

「次は三玖です。三玖はきっと六來がす、、、いえ!何でもないです!さぁ開けましょう!」

 

何かをいいかけて止めた四葉が何を言おうとしていたのかが物凄く気になる。何か三玖にしてしまったのだろうか。

少しドキドキしながら扉を叩いた。

 

 五月とは違って部屋には入れて貰えた。しかし即答で断られた。

 

「というか何故同級生のあなたなの?この街には」

 

「分かったそれさっきも聞いた!」

 

「六來なら良い、よ。分かりやすいし、、、」

 

三玖ははっきりと分かるほどに顔を真っ赤にしていた。

 風邪でも有るのか、と考えた六來は三玖の額に自分の額をくっ付けようとしたが、後10cm程の所で身体が動かなくなった。前までなら確実に出来ていたことが出来ない。結果的に三玖と至近距離で見つめ合うことになり、六來も三玖と同様に頬を紅くして直ぐに振り返った。

 

「、、、ごめん」

 

「う、ううん。大、丈夫だよ」

 

少し急ぎ足で六來は出ていった。身体が火照って暑い。四葉は二人の様子を見てニヤニヤとしていた。

 

「つ、次いこっか」

 

と言っても二乃は居ない。そうなると最後で、一花だが、六來と四葉は困っていた。あの汚部屋を他人である上杉に晒すのは流石に可哀想だ。がしかし、上杉と一緒に説得する他ない。汚いのは自業自得だ。

 六來と四葉は顔を合わせて頷いた。そして扉をノックした。

 反応が無いのは何時ものことだ。それなら開けるのみ。

 

 ノブを回して扉を押すとそこには足場すら無い部屋が広がっていた。

 

「こ、ここに人が住んでいるのか?」

 

「住んでるんだよね。それが」

 

奥の布団がモゾモゾと蠢いた。

 

「人の部屋を未開の地扱いしないでほしいなぁ。それと蠢いたっていう表現は酷いんじゃないかなぁ」

 

 余談だが、直ぐに上杉と自分が一緒だと言うことを見破ったり、自分が考えていることを読み取ったりなど、この姉達には超能力、それも心の中を読み取れるのが有るんじゃないか、と六來は思い始めるのだった。

 

「ふぁ~おはよ。まだ帰ってなかったんだね」

 

「この間、一緒に片付けたのにもう此処まで散らかしたなんて、、、。風太郎君。一回部屋の外に出てくれないかな?」

 

六來はそう言って風太郎を部屋から出したあと、適当な服を拾って一花に投げた。

 

「一花姉。ちゃんと着て!」

 

「なになに~?そう言っといて本当は見たいんじゃないの~?」

 

「本当に止めて!露出狂!」

 

そうしていると扉越しに声が聞こえてきた。

 

「お前ら。早くしろ。勉強するぞ」

 

「もー。勉強勉強って。折角女の子の部屋に来たのにそれで良いの?」

 

からかっているのが目に見えて分かる。

きっと今の一花は梃子でも動かないだろう。

五月と三玖は六來が教えて、四葉を風太郎が教えるとして、てんでやる気のない一花と二乃はどうしようか。

六來は風太郎と話していると三玖が寄ってきた。

 

「フータロー。聞きたいことがあるの」

 

「私の体操服が無くなったの。赤のジャージ」

 

「そうか。見てないな」

 

「さっきまでは有ったの。フータローが来る前は。盗っ」

 

「てない!」

 

二乃かその辺りが着ているのだろう。六來はそう予想して言った。

 

「僕の体操服。まだ使ってないの部屋の箪笥に入ってるから着ていいよ?身長に合わせてLサイズ頼んだからブカブカだと思うけど」

 

「ナイスアイデアだ!」

 

何故か嬉しそうな三玖。考えてみればまだ使ってないとはいえ、これから自分が着る体操服だ。それを三玖が着る。嫌ではない。可笑しな話だが、むしろその逆だったりする。

 他の姉とは何時も通りだ。しかし三玖とは何か変だ。

 

 妙な違和感を抱いていると、一階が賑やかに成っていた。

 

「クッキー焼いたけど食べるー?」

 

二乃が帰ってきたようだ。六來は嫌な予感を感じつつ、一階に降りた。

 

 

 

 

 

 梃子でも動きそうに無かった一花が動いている。しかし勉強をする気もなさそうだ。他の四人も同じだ。ふと二乃の着ている赤のジャージに目がいった。(中野 三)、予想は的中していたらしい。

 

「二乃お姉さん。そのジャージ」

 

「あ。」

 

三玖も気付いたらしい。

 

「なんで私のジャージ着てるの?」

 

「えー。だって料理で汚れたら嫌じゃん」

 

余りにもあんまりな理由に苦笑いするしかない。軽い喧嘩に成ってもいい感じだが三玖は三玖で六來が貸したジャージが有るからそこまで怒ることもなかった。

 

 再びリビングに賑やかさが戻ったは良いが、今から勉強を始めると言う空気ではない。四葉は上杉が作ったプリントを解こうとしているものの、名前しか書けていない。

 いざ鬼にでも何にでも成ろうなどと決心したものの、想像以上にこの姉達の家庭教師は難航しそうだ。作戦を練ろうと溜め息を着いて、賑やかなリビングと少し離れた所にある椅子に座った。

 

「六來。クッキー食べないの?」

 

二乃が寄ってきて皿を差し出した。六來は2つ程つまんで口に運んだ。

 

「うん。美味しいね」

 

「そんなとこに居ないでこっち来なさいよ」

 

作戦を考えようと思ってはいるものの行ってしまう。どうやら自分自身も変わる必要が有りそうだ。

 上杉も二乃に誘われクッキーを食べ始めた。そこで六來は首を傾げた。 

 真っ先に上杉を拒絶した二乃が上杉にクッキーを食べさせ、水を差し出した。

六來は目を凝らして水の入っているコップを見た。コップの底に僅にのこる沈殿。睡眠薬だ。

 施設でよく飲まされたのを思い出す。10歳にもいかない子供に睡眠薬を飲ませるということ事態が狂気の沙汰で、さらに睡眠薬で眠らされた夜の翌日に目覚める場所は大抵、鉄格子の中だった。

 六來は嫌な記憶を思いだし、頭を押さえた。

 

「六來。大丈夫!?」

 

三玖が慌てて聞いてくる。六來がこうなることは何度か有った。

 

「大丈夫、、だよ。それより上杉くん」

 

バタン、という音が響いた。六來が指をさすと同時に上杉は倒れた。

 

 

 

 

 




プーリンさん、紫知能さん、えいえんさん、ドスメラルーさん、多分イッセーさん、たかみーさん、マロンマロンさん、ザルザンカさん。

感想ありがとうございます!

その他、お気に入り登録をしてくれた方、しおりをしてくれた方、評価してくれた方。本当にありがとうございます

最後に今読んでいただいてる皆様。本当にありがとうございます。

これからも宜しくお願いします!

(なんか辞めそうな雰囲気ですが辞めませんよ!!)
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