ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

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火の無い灰は、何度も火を継いだ。

しかし世界は救われるどころか、只延命されたに過ぎない。

継ぐ度に世界は、より暗闇に、そして終焉へと近づいていく。

苦悩の末、灰は最初の火を消すという行動に出た。

そこに、ある武装集団に侵入される。


序章編
序章―陰る火の中で―


      

 

 

一体、何度目だろう・・・・・・。

 

激闘の末、王達の化身を打倒した後。

 

最初の 火の炉 の目の前に佇みながら物思いに耽る。

 

北の不死院で出会ったあの上級騎士・・・・・・、彼との出会いが今の自分自身を決定付けたといっても良い。

 

ロードランで、ドラングレイグで、そしてこのロスリックの地で・・・・・・。

 

その男・・・火の無い灰は、火を継いだ。

 

 

 

そこまではいい・・・・・・、

 

そこまでは。

 

 

だが、このロスリックで火継ぎを行う度にどういう訳か、灰の墓所で目が覚めるのである。

 

何度も周回させられて来た。

 

何度も何度も・・・・・・。

 

周回させられる度に、灰はある異変に気が付いた。

 

どういう事だ?世界の荒廃が進んでいる?

 

辛うじて命を繋いでいた木々は、より灰色に染まり、色を失い最早植物としての体を成していなかった。

 

空は、周回毎に陰りを増し、周りの景色を更に深い闇へ落とし込む。

 

ますます気温は下がり、冷たい風が身を突き抜ける。

 

亡者達は、より強大に、より凶悪になっている。

 

 

 

そして、誰も周回の記憶を引き継いではいなかった。

 

 

 

 

 

唯一人、火防女を除いて・・・。

 

 

 

 

 

灰は火防女に尋ねた、何故こんな事になるのか?・・・・・・と。

 

原因は何なのか?

 

この火継ぎの旅に終わりは在るのか?

 

 

 

・・・・・・もう限界だった。

 

何度も死に続け、その度に精神を代償に復活し続け、身も心も亡者に至る寸前だった。

 

灰の心は、既に折れようとしている。

 

 

 

答えの視えない旅路に。

 

終わりの無い無限回廊に。

 

いつまでも救われぬ自分自身に。

 

 

 

苛立ちと衝動で、目の前にいる火防女を切り捨てようともした。

 

 

 

・・・僅かに残った、理性で踏み止まりはしたが。

 

 

 

火防女が、ゆっくりと口を開く。

 

「はじまりの火の力が、限界なのです。どれだけ貴方様が薪になろうとも、火を継ごうとも・・・・・・」

 

 

 

・・・・・・そしてもう一つ。

 

 

 

仮面で隠れた、火防女が真っ直ぐ此方の目を見据えているのが解る。

 

 

 

「灰の方、貴方の薪としての力も弱まりつつあります。貴方様は、・・・・・・死に過ぎたのです」

 

 

 

不死人は、基本的に不死だ。いわば不老不死だ。

 

だが厳密には違う。

 

不死人は命を落とす度に復活はするものの、それは肉体のみであり精神は、心は死んでいく。

 

感情を喪い。

 

記憶を喪い。

 

理性を喪っていく。

 

 

 

――死ぬ度に!

 

そして最後には、忘れた事すら思い出せなくなる・・・。

 

最後には、ソウルを求め彷徨うだけの亡者と成り果ててしまう。

 

・・・そう、この火の無い灰は長い旅路の果てに死に過ぎ、亡者化寸前にまで陥ってしまったのだ。

 

 

 

再び、火防女が言葉を発す。

 

「灰の方・・・、もう二度と命を落としてはなりません。これが・・・、これが、最後の命・・・・・・」

 

 

 

 

 灰の意識は、再び現実へと引き戻される。

 

そして、灰は今の今迄避け続けていた、選択肢を実行に移す事を決めていた。

 

既に火防女には、渡してある。

 

 

 

― 火防女の瞳 ―

 

 

 

ロスリック城の地下深くに存在する、妖王の庭。

 

さらに奥深くの幻影でできた壁を打ち消した先に、無縁墓地という暗闇に包まれた土地が存在する。

 

火継ぎの祭祀場に、よく似たエリアから入手した物だ。

 

火防女の瞳、このアイテムについて灰は、あまり理解は出来ていない。

 

 

 

火防女曰く。

 

この瞳から未来が・・・。

 

火の消えてしまった時代、暗黒の時代が視えるらしい。

 

光も・・・・・・

 

熱も・・・・・・

 

生命の営みさえも・・・・・・

 

 

 

何もかもが、喪われていくのだろうか・・・・・・。

 

灰は、沈黙したまま火防女の言葉に耳を傾けていた。

 

 

半ば亡者化し、殆ど感情らしい感情を喪ってしまった灰は、静かに口を開く。

 

 

 

「結局・・・、救いも、何も、無い、のカ・・・・・・火防、メよ・・・」

 

 

 

火防女は暫しの沈黙の後、言葉を続けた。

 

「ですが、私には視えます。この暗闇の先に、再び宿る新たな小さき火が・・・・・・

 

その火が、さらに大きくなっていくのが視えるのです」

 

火防女は、微笑んでいた。

 

滅多な事では、感情を露にしない彼女が。

 

 

「ソうか・・・」

 

 灰も兜の奥深くで、僅かに微笑んでいた。

 

 

 

 

 灰は決意した。

 

ならば、賭けてみようではないか!

 

どの道、火を継いでも同じ事の繰り返しなのだ。

 

継ごうと継ぐまいと、これが最後の旅路なら・・・。

 

 

 

――私は、火を・・・・・・

 

 

 

 消そう!!

 

 

 

――新たな可能性を信じて。

 

 

 

 灰は、消えかかった最初の火の手前に在るサインに手を翳した。

 

火を消す為に。

 

火防女を召喚する為に。

 

 

 

 

 

――!!

 

 

 

・・・・・・只ならぬ気配を感じる。

 

灰は、気配の方へと目を向ける。

 

 

 

 

― 闇の王とその配下達に侵入されました ―

 

 

 

振り返ると、そこには漆黒の全身鎧に身を包んだ騎士らしき不死人とロンドールのユリア、さらに3名の不死人達が姿を現したのである。

 

一人は、良く知っている。

 

確か亡者の国、ロンドールの指導者の三姉妹の一人、ユリア。

 

だがその他は、初めてお目にかかる。

 

 

 

灰は問う、何者か?と。

 

 

 

漆黒の騎士がくぐもった声で答える。

 

「最初の火と、貴公の所有する王達のソウルは、我が貰い受ける」

 

立て続けにユリアが言葉を付け加えた。

 

「この御方は我らが闇の王・・・即ちロンドールを導く、亡者の王となられる真の不死人」

 

加えて三人の部下の内、一人が口を開く。

 

「火の時代を終わらせ神の時代は、終焉を迎える。これから訪れる闇の時代こそが人間の本質」

 

「そう、人の時代へと移り変わるのだ!」

 

 

 

自らを闇の王と名乗る男が、剣を高らかに掲げ眼前の火の無い灰へとゆっくり剣を向け

 

「――恐れるな。死ぬ時間が来ただけだ」

 

侵入者全員が各々の武器を抜き灰めがけて襲い掛かって来た。

 

 

 

 

王達の化身を辛うじて打ち倒し、頼みの回復手段、エスト瓶も使い果たした。

 

 

 

漸く数々の苦難を乗り越えて、ここまで来たのだ。

 

こんな所で負けてはやれない。

 

最初の火を簒奪されてなるものか!

 

 

 

灰はポーチ内に忍ばせてあった 女神の祝福 を一気に飲み干しダメージを全開させ、武器を構えた。

 

「させヌ・・・ワたしは、ひ継ギ・・・を、終わらせ・・・新た、な未来の可能せイに賭ける・・・!」

 

 

 

多勢に無勢。

 

満身創痍。

 

消耗しきった肉体と精神。

 

亡者化しかけた自分自身。

 

圧倒的不利。

 

 

 

それでも負けられぬ。

 

灰は持てる力を全て振り絞り、全身全霊をもって迎え撃った。

 

 

先ず、三人の配下騎士達が飛び掛って来た。

 

アストラの直剣、カイトシールド、騎士の全身鎧を装備している。

 

まともに三人と戦っては、勝ち目が無い。

 

灰は、在る戦術を試みようとしていた。

 

それは、嘗てカーサスの剣士達が使用していた体術である。

 

カーサスの地下墓で出会った、精強な剣士達。

 

最初こそ緩慢な動作であったが一度間合いに入るや否や、

 

早く重い斬撃が情け容赦なく灰に襲い掛かって来るのである。

 

その苛烈な攻撃をどうにか凌ぎ反撃に転じようとすれば、

 

恐ろしく俊敏な軽業とも言える高速体術で、此方の反撃が悉くかわされてしまい

 

空振りを誘発された隙を突かれ、何度も死に追いやられたのである。

 

 

 

否、カーサスの剣士だけでは無い。

 

ダガーや短刀系列に備わっている武器戦技クイックステップ。

 

アリアンデルの絵画世界の修道女フリーデも、あの高速体術を使いこなしていた。

 

 

 

灰は、思い返す。

 

あれらの機動力を基本体術として、普遍的に使用出来るのではないか?

 

不死人に成りたての頃ならいざ知らず、現在は敵から獲得したソウルを肉体の強化に費やし。

 

何周も何周も繰り返し終らぬ旅を続けて来た結果。

 

既に灰自身のソウルレベルは、限界レベルに徹底強化されていた。

 

 

 

――今ならやれる筈だ!

 

 

 

配下騎士達の剣が、灰に振り下ろされる。

 

灰は即座に反応し、徹底強化された肉体の脚力を存分に生かし、敵の射程外へ瞬時に移動した。

 

配下騎士達は、驚愕する。

 

だがその一瞬の隙を見逃す程、灰も優しくは無い。

 

高速で全力疾走し、騎士の一人に肉薄する。

 

肉薄された騎士は、咄嗟に反応し迎撃の為に突き攻撃を灰に繰り出したが、それこそが灰の狙いであった。

 

身体を必要最小限の動きで軸をずらし、迎撃を掻い潜り高速体術で配下騎士の真後ろに位置取る。

 

 

 

――「速いっ!?」

 

 

 

配下騎士が自らの後方へ注意を向ける前に、灰の剣ががら空きの背中に向け深々と突き刺さった。

 

「~~!!?」

 

配下騎士が声にならない声を上げるが、灰は刺した剣を即座に引き抜き、身体を一回転させ剣を敵の首目掛けて一閃。

 

「先ズ、ひトつ・・・」

 

灰が呟くや否や、配下騎士の一人の首が斬り飛ばされていた。

 

楔石の原盤で最終強化を施し、熟練の貴石で変質強化された、カーサスの曲刀である、生半可な甲冑ごと切り裂く事は容易い。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「己ぇ!よくもぉっ!」

 

残った二人の騎士達が灰に飛び掛って来る。

 

二人は灰の左右にそれぞれ展開し一人は上半身を、もう一人は下半身目掛けて剣を振るう。

 

だがその剣は虚しく空を切るのみで、灰はローリングで剣の間をすり抜けていた。

 

――「甘いなっ!」

 

配下騎士は、そう動く事を予め読んでいた。

 

すかさず灰のローリング後の僅かな隙を突き、剣を高速で振り下ろす。

 

「お前モな・・・」

 

配下騎士の剣は、灰を捕らえる事無く地面を叩くのみであった。

 

既に灰は、地面を蹴りその隙だらけな騎士を二連続で交差に切り裂いた。

 

配下騎士の身体は、四つに分解され声を上げる事無く絶命した。

 

「フたツ・・・」

 

――間髪入れずに灰は地面を蹴り、最後に残った配下騎士へと距離を詰める。

 

「――あ、あり得ない!」

 

配下騎士は眼前に迫ってくる灰に向け、直剣を左右に横薙ぎの斬撃を繰り出すが、その剣は掠りもせず

 

先程の高速体術に翻弄され、隙を作るばかりである。

 

半ば自暴自棄になった騎士は、大降りの攻撃を仕掛けるが灰に難なくかわされ、無防備な首を曝け出す。

 

――灰の剣が、騎士の首と胴を切り離した。

 

「みっつ・・・、――っつぅ?!」

 

三人の騎士を打ち倒した直後、自らの身体から激痛が駆け巡った。

 

「隙だらけだな、貴公!!」

 

ユリアの愛刀、闇朧が灰の胸部を後方から貫いていたのだ。

 

ユリアは手の力を更に込め、闇朧を深く深く灰の身体にめり込ませていく。

 

「さぁ心置きなく死ぬがいい、貴公が亡者と化した暁には私の側近として登用してやる!」

 

 

 

――終わった。

 

 

 

ユリアは勝利を確信した。

 

「愚かナ・・・自ら、絶対射程に飛び込むトはな・・・」

 

「っ!?――刃が動かん!」

 

ユリアは武器を引き抜こうとするも、微動だにしない。

 

灰の手が闇朧を掴んでいたのである。

 

その直後・・・・・・。

 

「ぐぼぅあぁっっ!?」

 

灰のカーサスの曲刀がユリアの身体を背中越しから突き刺し、さらに闇朧の掴んでいた手を放し無理矢理体勢を変えて切り上げる。

 

振り上げた刃はユリアの頭部をも切り裂き彼女は、声も無く絶命する。

 

だがユリアは消え逝く意識の中で、

 

「ロンドールをお導き下さい・・・闇の王よ・・・・・・、カアス様・・・・・・」

 

その意思は、闇の王に届いたかは定かではないが。

 

 

 

 

 

灰の足元が、ぐらつく。

 

ユリアの奇襲が、思いのほか効いたようだ。

 

目の前の自称、闇の王が静かに黒騎士の大剣を灰に向け、

 

「腐っても薪の王だな、我が部下を悉く打ち倒すとはな。その妖しげな軽身功もどき、なかなかに見事であったぞ」

 

 

 

灰の不利だ。

 

相手は無傷、こちらは負傷。

 

亡者化しかけた意識が、更に混濁する。

 

・・・呼吸が重い。

 

・・・目蓋が重い。

 

・・・身体が重い。

 

・・・意識が重い。

 

 

 

・・・それでも・・・。

 

それでも、此処で果ててやる訳にはいかない。

 

どの道、泣いても笑ってもこれが最後なら・・・・・・

 

勝利して終わらせよう・・・!

 

 

 

今までの出会い。

 

これまでの旅路。

 

今日までの戦い。

 

そして、自分自身の終わり無き使命に!!。

 

 

 

――今こそ決着をつける!!――

 

 

 

退治する両者の足が、地を蹴った。

 

双方渾身の力を持って剣を振るう。

 

灰のカーサスの曲刀、闇の王の黒騎士の大剣がぶつかり合い激しい火花を散らす!!

 

僅かに重さと質量の勝る、黒騎士の大剣が灰の剣を押し退け、灰を後退させる。

 

「――ヌぅっ!」

 

辛うじて構えを崩さず相手を見やるも、その期を見逃す闇の王ではない。

 

更に距離を詰め、上段からの振り下ろし、左からの右薙ぎ、右からの左薙ぎ、更に全身を一回転させた強烈な回転切りによる、四連撃が灰を容赦なく襲う。

 

灰は瞬時に防御の構えでその連撃を凌ぐが、武器での防御は瞬く間に体力を削り取られてしまう。

 

流れは、灰の防戦一方となってしまった。

 

更に闇の王の猛連撃は続く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

灰は、バックステップで距離を取った。

 

「・・・ふんっ!臆したか、薪の王よっ!!」

 

闇の王は全力疾走で詰め寄り、灰に追撃を掛けた。

 

だがその斬撃は空振る事となる。

 

灰は、再度高速体術による回避と有利な位置取りを同時に行っていた。

 

闇の王を何度も翻弄した後、反撃に転じる灰。

 

前方の高速体術で、一気に距離を詰め、剣を逆袈裟切りで仕掛ける。

 

「それを、待っていた!!」

 

闇の王は、踏み込むと同時に自ら灰の攻撃をその身で受ける。

 

その一撃を物ともせずに、闇の王は戦技 踏み込み を使用し、自らの身体の強靭度を瞬間的に引き上げたのだ。

 

その戦技の恩恵を受け多少のダメージなど無視して、強烈な切り上げから間髪入れずに振り下ろしの二連撃を灰に叩き込んだ。

 

その強力無比な剣戟を灰の鎧が、辛うじて命を繋ぎ止めてくれた。

 

・・・防具としての役割を終えさせるという代償を支払って。

 

灰は、その衝撃に耐え切れず吹き飛ばされ、再び間合いを引き離されてしまった。

 

引き裂かれた鎧からは、灰の亡者化しかけたゾンビの様な体とドス黒い血液が噴出していた。

 

 

 

「薪の王よ、貴公は良く戦い抜いた。此処から先は我に任せよ」

 

闇の王は、ゆっくりと歩を進めてくる。

 

 

 

一歩一歩確実に距離を詰め、自らの間合いで歩みを止め、黒騎士の大剣を腰溜めに構え直す。

 

「貴公の使命は・・・・・・、終わる!!」

 

――闇の王の剣が一閃!!

 

灰の無防備な身体を腰から上半身と下半身を別つ。

 

 

 

・・・灰の下半身はその場でドサリと倒れこんだ。

 

だが残された上半身は、そのまま闇の王に跳び付いていた。

 

灰は切られる瞬間、敵に向かって全力で跳躍していたのだ。

 

闇の王は、勝利を確信し全力で剣を振り抜いた為、灰の予想外の行動に対応が遅れてしまった。

 

「この死に損ないがぁっ!まだ抵抗するかぁ!!」

 

闇の王は必死に振り解こうとするも、灰の両手がそれぞれ闇の王の首と顔面をがっちりと掴み、引き剥がすのは困難を極めた。

 

「そうトも・・・・・・コれで、おわル!」

 

突如、灰の右手が紅蓮の炎に包まれる。

 

 

 

呪術の火。

 

古の呪術師、イザリスのクラーナによって生み出された、火の業。

 

火を自在に操ることで攻撃、補助、と様々な助けとなる。

 

 

 

灰の使用した呪術は、浄火。

 

それは相手の体内に火を送り込み、一気に発火させ焼き尽くす凶悪極まりない呪術である。

 

闇の王が、如何に強大な不死人であったとしても顔面の内側から焼かれては、ひとたまりも無いだろう。

 

「おのれっ!離れんかぁ!!」

 

尚も懸命に振り解こうとするが、時既に遅し。

 

灰の手から火が送り込まれ、敵顔面の内部で瞬時に発火する。

 

「――ぐぉぉぁぁぁっっ・・・・・・!!」

 

闇の王の顔中至る所から火が噴出し燃え盛っていく。

 

のた打ち回りながらも、闇の王は最後に捨て台詞を吐いた。

 

「忘れるなぁ!不死人こそが真の人間っ!」

 

「亡者こそが人間の本質!」

 

「ロンドールだけが、世界を救済出来るのだぁッ・・・・・・!!」

 

 

 

程なくして闇の王は、それ以上言葉を発する事無く、事切れた。

 

 

 

 紙一重の勝利であった。

 

結果が逆でも、何ら不思議ではない。

 

呼吸が非常に荒い。

 

自分自身の命が尽き果てるのも時間の問題だ。

 

灰は残る力を振り絞り、最初の火の傍らに存在する、発光するサインに向かって懸命に手で這って行く。

 

――私自身が亡者化するまでに何としても、火防女を呼び出さねば。

 

意識も途切れ途切れに、息も絶え絶えになりながらも、灰はサインに触れ火防女を召喚する。

 

彼女が召喚されるまで、ほんの十秒足らずだが火の無い灰にとっては、それすらも長い苦痛の時間であった。

 

 

 

――早く、来てくれっ!火防女よ・・・・・・!

 

 

 

程なくして、火防女がその場に姿を現す。

 

そして上半身しかない灰を見て駆け寄ろうとするが、灰は手でそれを遮り制す。

 

自分の事は構うな。早く、火消しに取り掛かれ・・・・・・と。

 

「灰の方・・・・・・」

 

火防女は、灰を気遣いながらもそこに弱々しく燃える、最初の火 を取り出し自らの掌にその残り火の、最後を看取る。

 

 

 

・・・・・・間に合った。

 

亡者と成り果てる前に。

 

これで良い、これで。

 

灰は既に亡者化した濁った瞳で、兜越しに今にも消えんとする残り火を見つめていた。

 

そして何を思ったのか、火防女が灰に寄り添い瀕死の彼を抱き抱えた。

 

静かに火防女は微笑む。

 

「まもなく最初の火は消え、世界は暗闇に包まれるでしょう。」

 

「ですが、あの瞳が私に見せてくれました。長い暗闇の先に新たな火が再び世界に宿る未来が」

 

いよいよ火が消えかかる。

 

灰も消えかかった火に手を添える。

 

「せめて最後の時を貴方と共に、私の灰の方・・・・・・」

 

「ヒもり女・・・・・・」

 

灰の声は、既に掠れ聞き取れるかも怪しい。

 

周囲が次第に暗闇に包まれていく。

 

この火が消える時、火の無い灰の長い戦いの旅は終わりを迎えるのだ。

 

灰は、最後の力を振り絞り言葉を発す。

 

「今迄・・・ほんとうに、本当に、アりがトう・・・火防女」

 

「はい。私は、貴方様に最後までお仕え出来て本当に幸せでした。灰の方」

 

火防女は、にっこりと微笑んで灰に向き直る。

 

灰も微笑み返していた。

 

兜越しではあるが、火防女には灰が笑顔で返してくれた事が判っていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

そして火の無い灰の意識は途絶えその亡骸も跡形も無く消え去った。

 

同時に最初の火も完全に消え失せ、辺りは静寂と暗闇に包まれる。

 

その周囲には、灰の遺した膨大なソウルが漂っていた。

 

暗闇に一人残された火防女は、虚空を見つめ。

 

 

 

「灰の方・・・まだ私の声が聞こえていますか?」

 

「新たな盤《世界》が、貴方を必要としています」

 

 

 

「・・・・・・そうでしょ?太陽の光の王」

 

 

 

 

 

          「グウィン!」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

火の無い灰

 

 武器: 熟練のカーサスの曲刀+10

 

 頭 : 上級騎士の兜

 

 胴 : 銀騎士の鎧

 

 腕 : 銀騎士の手甲

 

 足 : 銀騎士の足甲

 

 

 

闇の王

 

 武器: 黒騎士の大剣+5

 

 頭 : ヴィルヘルムの兜

 

 胴 : 黒騎士の鎧

 

 腕 : 黒騎士の手甲

 

 足 : 黒騎士の足甲

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

装備の選んだ基準は、完全に私の趣味です。(・o・)ゞ

 

 

 

 

 




なにぶん、小説というものを生まれて初めて書いたもので、小説に成ってるかすら

怪しいものです。

文章力、国語力共に何もかも能力が足りない作品ですが、少しでも楽しんでいただけた

ら幸いです。

デハマタ。( ゚∀゚)/
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