世界では、大熱波が猛威を振るい各地で山火事が多発しているとか…。
日本は湿度が高く、その所為で余計熱く感じますがお陰で山火事も起こっていない。
自然のサイクルには、驚愕の念を禁じ得ません。
前置きはさておき――。
では投稿致しますドゾ。( ゚ ω ゚ )
嵐の刃(戦技)
かつてのストームヴィル戦士の戦技。
武器に嵐の刃を纏い、それを前方に放つ。
連続で放つこともできる。
夢の出来事とはいえ、確かな体験は彼のソウルに刻み込まれた。
いつの時代とも知れぬ未知なる世界。
しかし再び舞い戻る、悲しくも懐かしい感覚。
影は、既に忍び寄っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
誰かが触れている。
いや、揺すっているのか?
暗く淀んだ意識の底だが、誰かの声が耳を撫でる。
これは呼び掛けだろうか?
女の声だ。
自分に向けられているのが分かる。
そう認識すると同時に、知覚が一気に鮮明となる。
何者かが、自分の肩を掴み激しく揺さぶっているのだ。
「…キ…て…お…い…から」
「は…クん…目…ま…して」
「はい…ん…灰く…灰君…」
……
「――…起きろぉ~ッ、灰の剣士ぃ~ッ!!」
「――ッ!!」
それは刹那という比喩が的確だ。
彼の呼び名を叫ぶ一人の少女の声――。
咆哮にも似た叫び声――。
しかし叫んだ本人も、全く状況が呑み込めず呆けるばかり。
先程まで微動だにしなかった人物が、一瞬にして跳ね起きた瞬間、目にも留まらぬ早業で飛び退き武器を抜いたのだ。
「……ア…え…?」
瞬時に変わり果てた状況の変化に、声を掛けていた少女――ライザリン=シュタウトはポカンと口を開け呆然とするのみだ。
先程まで死んでいたかの様に倒れていた男が、瞬間的に飛び起き自分に剣を向けていた。
手にした男の
「……ふぅ…ハァ…!」
相変わらずの外套姿で素顔は覆われている。
だが男の息遣いと雰囲気から、完全な臨戦態勢である事は容易に窺えた。
此処に居るのはライザだけでなく、ルルアを始めとした仲間達や地母神神殿の聖職者達も大勢が付き添っていた。
その中には、神殿最高指導者で西方辺境領主である司祭長の姿も。
「剣をお納めなさい、灰の方。ここは戦場ではありませんよ!」
呆けるライザを押し退け、司祭長が彼女と灰の剣士との間に割って入る。
「――危険です司祭長様、こんな不届き者我々がッ!」
ここは地母神神殿の敷地内だ。
この神聖な場所で、剣を抜き威嚇する一人の冒険者。
その冒険者は、現在神殿内からも疎まれている灰の剣士だ。
当然、神殿を守る衛兵たちも心中穏やかではなく、武器を抜き警戒態勢で対峙した。
しかし、司祭長は無言で彼等を手で制し、更に一歩前へと踏み出す。
「…?出血しておいでですか、灰の方?」
「……。し、司祭長…様…?…ここは…、地母神の…神殿…、…黄金…樹?」
ここで漸く我に返ったのか、灰の剣士は、司祭長と自分の置かれた状況を認識し剣を納めた。
しかし司祭長が気に掛けたのは、彼が額から血を流していた状況だ。
彼に依頼した内容は、傍らに佇む聖黄金樹の調査に関してだ。
依頼内容からして、戦闘とは全くの無縁と言っていい筈の環境だ。
そんな彼が、あろう事か額から血を流しているのだ。
いや額だけではない。
よく見れば胸部からも出血が見て取れる。
彼が倒れていた時は分からなかったが、こうして立ち上がった体勢なら目下出血中である事が皆にも認識できた。
「うそ?灰君、怪我したの?」
「……」
彼の状況を見て、ライザは手で口元を覆う。
そのライザの様子を見た灰の剣士は、手で自分の額を拭い付着した血を無言で凝視していた。
「何だ、何だ、侵入者か?」
「嘘でしょ?ここ神殿よ!」
「じゃあ、あの剣士…襲われたんじゃ…」
彼の出血状態を見た神殿の関係者たちは、怯えと不安の声を上げ途端に騒ぎ始める。
凡そ戦いとは無縁と思われていた神聖たる神の聖域。
況してや慈愛と豊穣の地母神を祀る神殿で、この様な流血沙汰が発生したのだ。
皆が不安がるのも無理はない。
「皆、静粛に!この場は
皆を落ち着かせ場を仕切るのも、指導者たる者の役目だ。
司祭長は周囲に呼び掛け、騒ぎ立てる群衆の鎮静化を図った。
なぜ灰の剣士が出血し倒れ込んでいたのか?
状況を知る必要があるだろう。
先ずは彼の治療を優先し、後に事情を聞けばよい。
この場は司祭長が取り仕切り、灰の剣士を含めたライザ一行をを別室へと招き入れた。
無論、彼が聖黄金樹へと施した仕掛けは解き、目的の朝露は無事回収に成功した。
……
(推奨BGM ゴブリンスレイヤー ―― 変な奴 )
その後、彼は治療を施されたのだが、此処で聖黄金樹から採取した『朝露』が効果を発揮した。
何とそのまま傷口へと塗り込んだだけで、忽ち傷が塞がったのである。
その結果に聖職者達は勿論、部屋に居た全員が驚愕する。
治療の終えた灰の剣士は、昨晩の出来事を司祭長を含めた皆に説明した。
(因みに、鳥羽の狩人の事は伏せておく。下手に話せば、ライザ達が彼女を犯人と決めつけかねない)
「夢…で、いいのかなぁ?」
「でも血が出てたんだよ?」
「忌み鬼のマルギット?聞いた事ないわ」
灰の剣士から一通りを聞いたライザ、ルルア、エーファ。
だが、彼女らの知り得る知識や記憶を総動員しても、全く地味なる領域であった。
ルルア達の母国アーランドでも、そのような地域も人物も全く縁のない存在で初耳にも等しかった。
「――常に嵐吹き荒ぶ地域に、天を突かんばかりの巨大黄金樹。残念ですが、全く心当たりがありません」
「…そうですか」
話を聞いていた司祭長も、ライザ達と同様の反応を返す。
この国の大陸は非常に広大で、まだまだ人類未踏の地も数多く様々な国と種族が共存している。
探せば万に一つの可能性で存在するかも知れない。
だがこの辺境は無論の事、この国全域を探しても彼の言う該当する地域など聞いた事も無い。
仮に、天を突かんばかりの巨大黄金樹が実在するなら、惑星の裏側でもない限り間違いなく目にする事が叶うだろう。
しかし現実に、こうして人々の目に触れていない。
眉唾な絵空事としても良い所だ。
普通なら唯の夢だと一蹴できたが、彼は実際に血を流し倒れ込んでいたのだ。
聞けば、彼は『忌み鬼のマルギット』なる存在に殺されたという事になる。
ならば彼が起き上がった瞬間、異常な敵意で戦闘態勢を取っていた事も一応の説明が付いた。
夢(?)の中の出来事とはいえ、彼は死闘を繰り広げていたのだから。
しかし現に彼は、こうして生きている。
とにかく不可解に過ぎる内容だった。
「聖黄金樹が何らかのカギを握っているようですが、現時点では不明な点が多過ぎます。今回の件はこれで一旦打ち切りと致します、良いですね?」
「ハッ…!では、この限りを以て、この依頼は終了という事で宜しいのでしょうか?」
「ええ。此度の件、誠にお疲れ様でした灰の方。それでは成功報酬は此方に――」
このまま答えの出ない論議を継続した処で、何の進展など見られる筈もない。
灰の剣士の内容が紐解けば、聖黄金樹が何らかの原因を握っている様だが現時点では情報が少なすぎる。
この件を一旦打ち切る事にした司祭長は、今回の依頼を片付ける事にした。
結果で言えば、灰の剣士は目的を果たした。
多少の騒動はあれど、目的の品は手に入ったのだ。
司祭長は成功報酬を机の上へと置く。
「少ないですが、どうぞお受け取り下さい」
「これは…?司祭長様、宜しいのですか?」
机の上に置かれた成功報酬《金貨5枚》に加え、見覚えのある小瓶が一つ追加されていた。
その小瓶は、今朝灰の剣士が採取した聖黄金樹の朝露を満たした物だ。
「ええ。貴方も是非お持ち下さい。何かの役には立つでしょう」
「感謝致します…!」
彼が聖黄金樹に仕掛けた小瓶は3か所。
その内の一つが、成功報酬に付け加えられていた。
小瓶程度の少量だが、使い道はあるだろう。
成功報酬を受け取った彼は、司祭長に感謝の意を述べ部屋から立ち去った。
部屋を出た灰の剣士は、ライザ達へと向き直り今朝の非礼を詫びる。
「すまなかった。ライザも皆も、突然、剣を向けたりして――」
夢かどうかも判別が付かない状況とはいえ、仲間である彼女達に剣を向けてしまった。
彼女たちは態度こそ出してはいないが、深く傷つけてしまったであろう。
その事に彼は深く頭を下げ、ライザ達に詫びた。
更に形として、先程受け取った成功報酬の一部を彼女達に分けようとする。
「そんなの要らないし、別に怒ってなんかいないわよ」
「そう思うんなら、別の埋め合わせ考えとくから。それで良いよね?」
だがライザやルルアは無論エーファも受け取ろうとはせず、別の埋め合わせで手を打つという旨を告げる。
てっきり彼女たちが機嫌を損ねていたのではないかと思っていたが、逆に彼に対し気遣うような表情さえ浮かべていた。
彼が聖黄金樹の傍で居眠りしていたのなら兎も角、死んでいたかのように倒れていたのだ、血を流しながら。
表向きはそれ程でもなかったが彼女達から流れ込むソウルの波長は、かなり動揺し乱れていた。
「そういう事なら…っと。話は変わるが、オーレル卿は…来てないのか?」
彼女たちが良いと言うなら、これ以上引き延ばす必要もない。
彼もこれ以上拘ろうとはしなかったが、此処でオーレルについて尋ねてみる事にした。
普段からルルア達に付き添っていたオーレルは、此処には居ない事に疑念を抱く。
(推奨BGM ゴブリンスレイヤー ―― ギルド )
「あ、オーレル君の事ね?」
「オーレルなら居ないよ。する事ないからって、他の人と冒険に行っちゃった」
エーファとルルアの説明によれば、オーレルは他の一党と臨時で組み冒険に出たのだと言う。
「あ、あと私もオーレルも登録したんだ。ホラ見て!」
ルルアが首にぶら下げていた認識票を彼に見せる。
ライザと同じく、黒曜等級の認識票だ。
本来の規定に則れば原則上、白磁等級からの活動となる。
だがルルア達は、既にアーランドで冒険者登録を済ませている状態だ。
そしてこの国に入国する際、素性を記した書状が提出されており、彼女達の冒険履歴や実績なども伝達されていた。
さらに数日前のダークゴブリン戦の参加で、彼女達の貢献もギルドでは記録されていたのである。
その事実と履歴を考慮したギルド長の立会いの下、ルルアとオーレルは、ある程度の高い等級から始める事が許された。
ルルアは黒曜等級。
そしてオーレルは鋼鉄等級の認識票が進呈された。
(エーファは、冒険者登録していない)
「よく絡まれなかったな。嫉妬深い冒険者も居るには居るからな、このギルドにも」
冒険者個人の実力によるものだが、等級を上げる事は容易ではない。
実力や実績は言うに及ばず、社会に対する貢献度や人柄なども考量された上で厳しい審査を得て昇級が叶うのだ。
他国出身であるルルアやオーレルの素性を知らない冒険者から見れば、妬みや悪感情を抱かれるのは、ある意味当然の帰結とも言える。
その事を鑑みた灰の剣士は、二人の身を案じる。
「ううん、絡まれたよ。特にオーレルがね」
「うんうん、あの圃人、結構ムカついた!」
案の定、二人はヤッカミを受けていた。
中でも最初から鋼鉄等級として登録されたオーレルは、見知らぬ圃人の斥候から悪意をぶつけられた。
やれ実力を見せろだの、身分が気に入らないだの、あらゆる暴言を吐き登録を撤回するよう強要したのである。
当然ギルド側の決定で二人の等級は決まった訳だ。
その圃人が『銅』や『銀』の等級ならギルド側も再考の余地があった。
しかしその圃人も黒曜に上がったばかりの駆け出しに毛が生えた程度の、斥候職の冒険者だ。
更に圃人特有の、調子の良い軽薄な素行が目立ち、彼の昇級は仲間の補佐による部分が多かった位だ。
腕自体は立つが素行や言動の面から、ギルド職員から好い印象は抱かれていなかった。
その圃人斥候とオーレル達との間で衝突が発生し、ライザやエーファは現場を見守る事しか出来なかった。
他国出身のライザから見ても、圃人斥候の態度は不快に映っていたらしい。
結局オーレルは、絡んで来た圃人斥候と野試合を行う羽目になった。
「ま、結果なんか聞かなくても分かるよね」
ライザの言う通り、聞かずとも結果など分かろうと言うもの。
アーランドから来たばかりのオーレルは、この国の王都でも多数の野試合を申し込んでいた。
王宮の兵士や騎士に始まり、冒険者相手にまで実に多くの試合を熟していたのである。
そして殆どの試合に勝利していた。
彼の実力は、近衛騎士や上級騎士にも並び、冒険者の戦闘力のみで換算すれば『銅~銀等級』に至るという。
しかし冒険者は、戦闘力だけで総合力は測れない。
探索能力や分析力は元より、交渉や工作能力など実に千差万別に能力が必要とされる。
それ故、冒険者の総合力として、鋼鉄等級からのスタートとなった訳だ。
オーレルと圃人斥候の試合結果は、語るまでもなくオーレルの圧勝に終わった。
圃人斥候も俊足や攪乱といった技術に優れていたが、オーレルの鋭くも多彩な剣術に圧倒されたのである。
試合を制したオーレルだが、ライザ達に付き添っているばかりでは、あまり活躍の場がなかった。
それに、この街で滞在するのにも路銀が必要となり収入源を増やしておくに越した事はない。
余裕も持ってこの街に訪れたが、何もせずとも食費や宿泊費など雑費が消費される。
更に言えば、彼は修業を兼ねてルルア達に付き添ってきたのだ。
そういう理由も手伝い、新たに冒険者として登録し臨時だが他の一党と組み、冒険に出たのである。
オーレルは槍使い達と組み、
「その後が最悪でね、ルルアちゃんにまで絡んだの、その人!許せないわ!」
オーレルに敗退した圃人斥候――。
このままでは鬱憤が収まらないのか、とうとう直接ルルアにまで難癖を付け始める始末。
やっかみ半分、口説き半分、無理矢理何かに付き合わせようとした挙句、ライザやエーファの抗議も無視して強引に手を引き、連れ出そうとさえした。
その光景に、とうとうエーファの堪忍袋の緒が切れ、圃人斥候に対し『背負い投げ』を食らわせた。
不様に投げ飛ばされた圃人斥候は、大恥をかき皆の失笑を買いながら逃げるように立ち去ってしまったという流れだ。
「何て言うか…その、すまn――」
「はい、そこまで!灰君の所為じゃないんだから、気にしないの!分かった?」
「…あ、ああ。そういう事なら」
見知らぬ顔とはいえ、同じギルドの冒険者が粗相を起こした事に変わりはない。
勝手ながらギルドの冒険者を代表して代わりに謝ろうとしたが、ライザに窘められてしまう。
「あ、そうだ!一応、伝えておくね。灰君の今朝の様子だけど…さ――」
急遽、話題を切り替えたライザ。
今朝倒れていた灰の剣士の状態について彼女は言及する。
実は、倒れていた彼を真っ先に見付けた第一発見者は、あの見習い神官の少女だった。
最初は寝ているのかと思っていたらしく、様子を見るに留めていたのだが、彼の倒れ込んだかのような体勢に違和感を覚え取り敢えず揺すってみる事にした。
しかし一向に反応がなく、彼女は大声で何度も呼び掛けたが全く応じる事は無かったのだという。
いよいよ焦った彼女は、所構わず異常事態を伝えようと神殿中を駆け廻った。
その途中で、彼を迎えに来たライザたち一行を見付け、訴え掛けて来たという次第だ。
その時の彼女は顔面蒼白で、泣きながらライザ達を頼ったのだという。
「……そうだったのか、彼女が…」
「お礼…言った方が良いよね?」
「ああ、行こう」
見習い神官の少女には、あの葡萄肌の少女が付き添っている。
そして彼女は、彼に敵意を抱いている者の一人だ。
恐らく接触は厳しいだろう。
だが行かねばならない。
どういう形であれ、彼女が血相を変えてまで奔走してくれたのだ。
人として、最低限の倫理は通すべきだろう。
彼女の居る場所は既に分かっている。
彼は皆を引き連れ、見習い神官の少女に居る場所へと向かった。
……
(推奨BGM ゴブリンスレイヤー ―― 女神官と慈悲深きその手に )
「一歩でも近づいたら衛兵呼ぶわよ…!」
開口するや否や、敵意を剥き出しに威嚇する葡萄肌の少女。
その顔は怒りと憎悪に溢れ、殺意と僅かながらの怯えが見え隠れしていた。
「そもそもアンタに用は無いの!後ろの子に礼を言いたいだけ、あたし達は…!」
「そんな男と組する貴女達も同類という事よね!?」
「アンタ…、好い加減にしなよ。たかだか噂程度に惑わされるアンタも大した器じゃないわね」
「――何ですって!?言わせておけばっ…!」
葡萄は弩の少女の敵意は、灰の剣士のみならずライザにまで波及しようとしていた。
今度はライザと彼女との間で険悪な空気が張り詰めた。
此処は祈りを捧げる小部屋で、地母神を象った小さな彫像の前に見習い神官の少女が跪き祈りを捧げていた。
葡萄肌の少女も共に祈りを捧げていたのだが、灰の剣士たちが訪れた事で彼女は態度を一変させ小部屋の入り口に立ち塞がったのであった。
「もう、ライザちゃんが出ちゃダメ!」
「そうだよ、余計ややこしくなるから!」
剣呑に睨み合うライザと葡萄肌の少女との間に割って入り、エーファとルルアがライザを引き下がらせた。
「……」
「……」
ライザが下がった事で、再び灰の剣士と葡萄肌の少女との間に視線が交差する。
もはや彼女が引き退がる気は毛頭ないだろう。
このまま強引に押し切る事は造作もないが、彼女は本気で衛兵を呼ぶつもりだ。
彼に対し若干怯え震えながらも、彼女は相変わらず睨み続けている。
そして当の本人――見習い神官は尚も祈りを捧げ続けていたままだ。
別に衛兵が駆け付けたところで彼には何の障害にもならないが、複雑な立場を更に悪化させるのも忍びない。
なれど、このまま引き下がる気もない。
意を決した彼は、声を大にして張り叫んだ。
「聞こえているなら、そのままで良い!…ありがとうッ!報せに来てくれて!様子を見に来てくれてっ!本当に嬉しかった!そして、今まで済まなかった!散々君の心に負担をかけてしまい、本当に申し訳ないと思っている!君は不快だったかもしれぬが、君と過ごした日々は私にとって宝であり同時にとても誇らしい!だが安心して良い!もう君と接触はしない!私の事は一刻も早く忘れ、君の望む未来を歩んで行って欲しい!こんな形で感謝の意を伝える事しか出来ないが、君の大成を心より願っている!…私はもう行く、君に地母神様とソウルの導きがあらん事をッ!!」
「「「「……!」」」」
突然の出来事――。
あまりに大声で叫ぶ灰の剣士。
葡萄肌の少女は元よりライザ達も唖然とし、傍観する事しか出来なかった。
彼の声量は予想以上に反響し、何事かと他の聖職者達も駆け寄ってくる始末。
「……さぁ、行こうか」
見習い神官の少女からの反応は無く、尚も彫像に向かって祈りを捧げている。
反応を見せなかった彼女だが、この際それはどうでも良かった。
ただ彼女の耳に届いてくれれば、それで満足だ。
言葉足らずな上に口下手なのは百も承知だが、伝えるべき本心は全て伝えた。
彼女がどう受け止めるかは、彼女自身が決める事だ。
事を成した灰の剣士は踵を返し、呆けるライザ達を引きつれ、その場から立ち去ろうとする。
「え…あ…うん」
灰の剣士は、時々突拍子もない行動を起こす事がある。
彼の言動に振り回されるライザ達は、戸惑いながらも彼の後に続こうとした。
そして唐突に、それは起こった。
「――行ってらっしゃ~いッ!お兄さんにぃ、いと慈悲深き地母神様と…えっとぉ…ソウルの御加護があらん事をッ!!」
声を大にして張り上げたのは、何も灰の剣士だけではなかった。
何と、見習い神官の少女までもが祈りを止め、彼に向かって言葉を返したのである。
それは祈りと言うには、余りに稚拙な唯の叫び声――。
しかし彼女は、喉が張り裂けんばかりの声量で全力を以て彼に精一杯叫んだのだ。
彼が
「……」
その声を聞いた彼は一瞬立ち止まる。
当然、彼以外の周りも驚き彼女の方へと視線を傾けた。
彼女は、顔を真っ赤にし涙混じりの表情を浮かべている。
何を思ったか、彼は再び少女の方へと振り向き数歩歩み寄りながら、徐に兜とフードを外し素顔を晒した状態となった。
彼と少女の間には葡萄肌の少女しか居ない為、他の面々には素顔は認知されていない故、変に騒がれる事も無い。
脱いだ兜を床に置いた彼は少女に向かって、あるジェスチャーを行った。
両手を頭上に掲げ其々の指先を合せる事で”輪の形”を作り出す。
それは、ジェスチャー”リングのポーズ”であった。
(推奨BGM エルデンリング ―― メインテーマ )
このジェスチャー、本来の彼に知り得る所以は無い筈だ。
何故なら、これは彼の居た
そんな彼が、なぜ知り得たのか。
恐らく昨夜の夢(?)を通じて体感した、
「……!」
やはり彼は突拍子もない行動を取る事が多々ある。
見習い神官の少女も呆然としていたが、やがて意を決したのか彼と同じポーズを見よう見まねで応えた。
「……」
「……」
互いに両手を頭上に掲げ、ジェスチャー”リングのポーズ”で向き合う。
その時、二人は満面の笑みで互いを見つめ合っていた。
気が付けば少女の涙は完全に退き、最高の笑顔を浮かべている。
そして彼はゆっくりと頷き、再び兜を拾い上げそれを装備し直した。
その後、未だ呆ける葡萄肌の少女に『彼女を宜しく頼む』とだけ短く声を掛けた。
その時の彼女は、視線が宙に泳ぎ顔を真っ赤に紅潮させながら恐る恐る何度も頷くだけだった。
葡萄肌の少女と同じく困惑するライザ達――。
灰の剣士は彼女達を半ば強引に引き連れ、今度こそ神殿を立ち去った。
その道中、神殿に立ち寄り直ぐに引き上げたゴブリンスレイヤーを視界に納めながら……。
……
(推奨BGM ルルアのアトリエ ―― うけたまわっております )
ギルドからやや離れた敷地に、契約制の作業小屋が設けられている。
現在は灰の剣士一行が契約を済ませ、錬金術を行使する為の
司祭長からの依頼を済ませた灰の剣士は、迎えに来たライザ達と共に此処へ集まった。
理由は語るまでもない。
錬金術に勤しむ為だ。
昨晩の夢(?)の影響で、肉体はさておき精神面での消耗が見受けられた灰の剣士。
ライザやルルアからは、少し休んでは?と休養を勧められたが、彼は決意も新たに調合作業に踏み切った。
見習い神官の少女とは一定のケジメを付け、帰り際に見掛けたゴブリンスレイヤーの姿。
不死の女を保護して以来、彼は毎日のように神殿に通い続けている。
表向きの態度とは裏腹に、やはり心の何処で気に掛けずにはいられないのだろう。
そして自分は、不死の女の呪いを解くという役割を背負ったのだ。
自らの意思で――。
これ以上、自分の都合でダラダラと引き延ばすのは、余りに身勝手が過ぎる。
ゴブリンスレイヤーは、神殿に着くなり一点のみを見上げ直ぐに立ち去るという行動を繰り返している。
そんな彼の背中は何処となく寂し気に映り、それを視界に納めた灰の剣士は調合に踏み切る決意を固めたのである。
「皆は調合の準備に移ってくれ。私は先ず、ソウル錬成から始める!」
「う、うん!分かった…!」
「準備はあたし達に任せて、灰君!」
「じゃあ、早速始めましょう!」
いよいよ
ライザ達に準備を任せ、自分は手始めに『ソウル錬成』取り掛かる。
一段と真剣な表情と声音で、皆に指示を出す灰の剣士。
彼の指示を受けたライザ達も、気を引き締め各自準備に移った。
水の都にて、ロロナから譲渡された『錬成炉』を作業台の上に置き、彼は掌から『穢れた火防女の魂』を出現させる。
ライザ達も準備の傍ら、つい灰の剣士に視線を向け様子を窺ってしまう。
彼から叱責を受ける事も覚悟していたが、意外にも咎めの言葉は返って来なかった。
「……」
出現させたソウルを手ごと炉の中へと入れ、脳内に流れ込むイメージに身を任せる。
――成程な。深淵から戻って来たという逸話…解る気がする。
唯一人、深淵より帰還し暗い穴を癒す術を獲得したと言われていた、このソウルの宿り主。
暗く冷たく冒涜のみが蔓延る領域だと思っていたが、暗き故に底が無く全てを内包するかの如き感覚――。
深く深く、暗く、無限に等しい膨張を今なお続けているかのような、不思議な空間に包まれたかのような錯覚にさえ見舞われる。
少しでも意識を手放せば底無しの深海に沈み続けるのではないかと、得体の知れない恐怖さえ覚えてしまう程だ。
だが此処で意識を放棄するつもりなど毛頭ない。
今の自分には、成さねばならぬ役割が存在するのだ。
初期段階である『ソウル錬成』程度で、立ち止まる訳にはいかない。
脳内のイメージを掴み意識を固めた彼は、ゆっくりとだが確かな動作で錬成炉から
「うわぁ…黒い塊…だけじゃないよね?これ――」
錬成炉から取り出し、出来上がった奇妙な球体に視線が釘付けとなるライザ。
「黒い様だけど、何か光る点々が見えるね」
彼の手の上に存在していたのは、黒い球体の中に光り輝く点が幾つも散りばめられていた、不可思議な物体だった。
ルルアは、黒い球体よりも中に幾つも点在する、輝く点に興味を示す。
「まるで夜空に輝くお星さまみたい」
エーファも食い入る様に、黒くも点が瞬く球体に見入っていた。
彼女の表現は、凡そ的を得ているだろう。
一言で言い表すなら出来上がった代物は、球体型の宇宙に数多の輝く星が点在しているかのようだった。
固形物には違いないが、星が球体内を回り移動しているようにも見える。
先程の原形である『穢れた火防女の魂』は、灰色がかった何処となく”死”を連想させるかの如きソウルだった。
だがソウル錬成から生まれた、不可思議な物体――。
それは、妖し気ながらも神秘的な宇宙の縮図そのものに例えられた。
「……」
そして生み出した張本人である灰の剣士でさえ言葉を失い、唯々ソレに見入っていた。
「ね、ねぇ…。灰君は、予想してたの?こういうの…?」
「…いや、全く予想だにしていない」
恐る恐る訊ねるライザに、彼も被りを振るのみだ。
若しも予想していたら、この様な反応は示さない。
かの時代でのソウル錬成では、ある程度完成品に予測を付ける事ができた。
しかし
正直、この不思議な物体に、どの様な力が備わっているのかも見当が付けられないでいた。
「こうしている場合ではないな、次の段階へ移行しよう。準備は良いか?」
「だ、大丈夫だよ!い、いよいよだね!」
だが気持ちを切り替え、作業を進展させる必要がある。
何時までもこうしている場合ではない。
灰の剣士の号令に、ルルアは準備完了の旨を告げた。
ルルアは能天気な部分もあるが、こう見えても錬金術士としての経歴はそれなりに長い。
作業に必要な備えは、可能な限り万全に近い状態だ。
灰の剣士のみならず、ライザ達にも緊張が走り調合作業を開始する事となった。
水の都で生成した、呪腹の塊。
(本編前夜編 第77話参照)
太陽のメダル。
螺旋剣の破片。
地母神を始めとした各宗派の聖水複数。
樫の木片。
大小様々な魂石。
各種属性を揃えた高品質の中和剤。
そして今、ソウル錬成で生み出した不可思議な球体。
これ等多数の素材を組み合わせ調合させる事で、解呪の魔道具を生み出す。
「これはちょっと、厳しいかもね…!」
「これだけの素材を用いる状況なんて、基本ないからね。かなり難度高いと思うよ」
ルルアもライザも、台座に並べられた素材に目を配り神妙な表情を浮かべた。
ただでさえ、彼女らにとっては未知なる素材が多い。
更には、類を見ない程に大量の素材を調合させるのだ。
特性の違う素材が多くなるにつれ、当然調合難度も飛躍的に上昇する。
素材そのものの特性を理解し、それでいて混ぜ方や火加減に魔力の操作など、あらゆる要素に気を向けなけらばならず集中力も負担も膨大なる事が容易に想像できた。
正直、灰の剣士一人に手に負える難度ではない。
恐らくロロナやトトリに代表される伝説級の錬金術師が総出で、漸く制御下における水準なのである。
まだ発展途上とはいえライザやルルアでも、その難度の高さは理解出来ていた。
「だがやるしかない。情けない話だが、私一人では心許ない。頼む、力を貸して欲しい!」
不安というよりも張り詰めた表情のライザ達。
彼女達の表情を読み取れば、今挑もうとしている難関が一筋縄ではない事位は、彼にも認識できる。
だが此処で引き退がる訳にはいかないのだ。
あの不死の女とゴブリンスレイヤーの輪郭が奇妙にも重なり合い、彼の網膜に投影されては消えてゆく。
その映像が、幾度となく彼を掻き立てて仕方がなかった。
「勿論だよ!全力を尽くすからね、灰君!」
「私達が総がかりでやれば!大丈夫、きっと何とかなるなる!」
「私に出来る事は少ないけど、全力を尽くすわね!」
彼の頼みにも、ライザ達は快く協力を申し出てくれた。
難易度なぞ関係ない。
呪いで困窮している人が居るのだ。
彼だけではなく彼女達も、俄然やる気を見せていたのである。
「良し、それでは状況開始を宣言する!」
「「「――応ッ!!」」」
彼の合図でライザ達も気を引き締め、嘗てないほどの難度を誇る錬金術が行使された。
………
……
…
(推奨BGM ルルアのアトリエ ―― なんとかなるなる )
「――嘘、ヤバいッ!」
「――爆発しちゃうッ!」
「――みんな伏せてぇッ!」
「――チッ!」
工房に居た全員が危険を察知し、床へと伏せる。
その刹那、釜の中身が強烈な光と轟音を発した。
光と轟音が同時に湧き起こり、釜の中身が勢いよく噴出し床一面を浸す。
結論――。
調合は失敗した。
「――みんな、無事かッ!?」
調合が失敗した事も重要だが、灰の剣士は床に伏せながらもライザ達の安否を気遣った。
「あ、あたしは大丈夫…!」
「アチちち…、私も無事だよ…」
「コッチも…、何とか…」
ライザ、ルルア、エーファは、全員無事である事を彼に伝えた。
彼女らも床に伏せたまま、若干の火傷を負っていた。
煮立った釜の液体が飛び散り、彼女らに付着したのである。
ライザ達の衣服は溶液塗れとなり、怪しい色に染まっていた。
「爆発は…しなかったみたいね」
「素材はどうなってるのかしら?消失してなければいいんだけど」
どうやら爆発ではなく、釜の中身が勢いよく噴出しただけの現象だったらしい。
爆発の影響で、釜や素材、
ライザとエーファが伏せながらも素材の消失を気に掛ける。
「コッチで確認した。…幾つかは失われた、残念だが」
「主に消耗品…関係かな?他は無事みたい」
そこへ灰の剣士とルルアが床に散らばった素材を回収し、失った物とそうでない物の確認を行う。
消失したのは、主に中和剤、聖水、樫の木片などの消耗品が挙げられた。
不幸中の幸いだが、根幹を成す重要素材は無事であった。
「初見で成功すると自惚れてはいない積りだが、失敗か…!」
「焦っちゃ駄目よ。私だって、最初はフラムでさえ何回も失敗した位だもん!」
「先ず、失敗の原因を考えないと。素材だって限りがあるんだし」
最初から大成功を収める者など、然う然う居はしない。
誰もが失敗と経験を折り重ね徐々に正解の道を切り開き、今の技術を確立してきたのである。
更に言えば、この調合作業は彼等の身の丈を大きく上回っていた。
本来なら、伝説級…冒険者で言えば勇者クラスの錬金術師が複数人担当し、漸く行える難易度だ。
この失敗は、ある意味必然とも言えるだろう。
現在無事な素材と消失した素材を補填し、調合開始寸前の状態へと戻す。
「失敗の原因は…多分私か…」
ライザやルルアに比べれば、彼の錬金術士としての技量は遥かに低いと言わざるを得ない。
矢張り失敗の要因の大半は、自分だと見切りを付ける灰の剣士。
「そうでもないよ。原因は…まぁ一杯あるけど。今のでちょっと癖と流れが分かったから、説明するね」
感傷に浸る彼を余所にライザが意見を挟み、失敗となった要因を次々と語った。
先ず彼女が言うには、やはり混ぜ方によるものが大きいとの事だ。
今回の調合は複雑怪奇極まるもので、一定の混ぜ方だけでなく要所要所で早さや緩急を付ける必要があるとの事。
これは、熟練者が行う必要があり、確かな経験と反復で培った独特の感覚を身に付けなければならないのだ。
「混ぜ方もそうだし、魔力の注入法にも問題があったね。後は火加減かな?」
今度はルルアが要因の一つを指摘する。
単純に膨大な魔力を送り込めば良いというものでもない。
ある工程では加減に神経を尖らせ、またある場面では大胆に送り込む必要があるとの事だ。
そして火加減だが、強くも弱くもなく適度な火力を長時間維持した方が成功率が増すのではないかという答えに到達していた。
「お…御見それした…。たった一度の失敗で其処まで解るものなのか…?」
彼の与り知らぬ領域で、ライザもルルアも要因を探り当てていたのである。
その事に、彼は驚きを通り越し薄ら寒いものさえ感じていた。
二人に、まだまだ発展の余地が残されているとはいえ、ここまでの領域に踏み込めるものなのか。
彼女等の水準に到達するには、一体どれだけの研鑽と時間を要するのだろうか。
まだまだ先の見えない錬金術の道しるべ。
彼は、頭に言い様の無い重みを感じていた。
やはり錬金術に関しては、二人の独断場と言っても良いだろう。
到底追い付ける気がしなかった。
「ま、あたし等の凄さが分かってくれたんなら。それで良しとしましょうか。取り敢えず、これからどうしようか?」
「私思うんだけど、役割分担を明確にした方が良くない?」
「さっきは剣士さんが殆ど中心にやっていたんだし、私は良いと思うな」
ライザ達の提案で、次から役割分担をより明確化した方が良いのではないかという結論に至った。
エーファの言う通り先程は、実質灰の剣士が主導となり調合作業を行っていた。
非常に高難度を誇る調合を、未熟な彼が率先して行った。
実はこれも、失敗の原因の一つして挙げられていたのである。
「ふむ、ならば私はソウルの流れを感知する役割に専念した方が良いな」
「あ、それ賛成だね。その役目、灰君にしか出来ないんだし、それに集中してくれればさ、あたし達が混ぜるのや火加減を担当すれば良い訳だしさ」
先程もソウルの感知を用いて調合作業に当たっていたのだが、やはり難易度が高過ぎた。
ソウルの微細な変化を読み取るには、より多くの集中力を要す。
況してや混ぜながらの作業では、集中力が分散してしまい僅かな流れを見逃してしまうのだ。
ソウルの感知に特化した役割――。
これは、ある意味最適解の選択肢でもあった。
「じゃあ、混ぜる役と魔力注入の役は、あたしとルルアで――」
「エーファは、火加減お願いできるかな?」
「良いよ。ルルアちゃんもライザちゃんも、私に任せておいて」
こうして各々が得意とする分野を担当する事で、今度こそ成功を目指す。
吹き零れ床に散乱した釜の中身。
掃除は必要最小限にとどめ、調合作業に再度挑戦する事となった。
……
(推奨BGM ルルアのアトリエ ―― 入れすぎスパイス )
しかし、現実は非情である。
「――のわああぁぁッ!?し、失敗したぁ!?いや、もう一回…」
釜自体砕ける事は無かったが爆発を引き起こし、ルルアが絶叫を上げる。
「――うひゃあぁぁぁ!?い、いや、…今度こそ、今度こそ!!」
今度はライザも悲鳴を上げ、釜の溶液ごと床にぶちまけた。
「――いやあぁっ!?熱い、熱いってばぁッ!?」
煮立った釜の溶液がエーファに掛かり、火傷を訴える。
「…もうこれ以上、失敗は出来ぬ…!」
あれから何度も失敗を重ね、残り素材も僅かとなる。
精々が一回分の調合を行える分の在庫しか残っていない状態だ。
これに失敗すれば、また素材集めからやり直さねばならない。
ソウル錬成で得た素材は未だに無事だが、中和剤や聖水といった既存の素材を再び入手する手間を考えると、これ以上の失敗は無駄な時間を浪費するだけだ。
灰の剣士は、これ以上の失敗は許されない状況だと皆に警告する。
「――おい、何だ!?この状況はッ!?」
そこへ、オーレルが冒険から帰還した。
槍使い達と組み、翼竜退治を無事終わらせた様だ。
だが荒れ果てた工房の惨状に、彼は鼻を抑え顔を顰めながら抗議の声を上げる。
度重なる失敗で、釜の溶液は床に零れ放題に加え、湯気とそれに伴う匂いで工房内は充満していた。
おまけに湯気で視界も悪く異常な湿度に満たされ、得体の知れない匂いが充満するサウナ風呂の様な状態へと変貌していたのだ。
「あ、お帰りぃ、オーレル!」
「――お帰りじゃない、せめて窓くらい開けろッ!」
端から見れば明らかに異様極まりない、工房の惨状。
しかしルルアは、呆気からんとした笑顔でオーレルを出迎えた。
だが当のオーレル本人は、呆れるやら頭を抱えるやらで強引に窓を全開にする。
全開にした窓は大気の通り道となり、工房全体を満たしていた臭気は瞬く間に新鮮な空気へと入れ替わった。
「うわあぁぁ…呼吸が軽い…!ありがとう、オーレル!」
「あのなぁ…!今の空気、若干色が付いていたぞ!よくそんなので、調合できてたな!」
新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだライザは、深呼吸を何度も繰り返し神を見るかのような目でオーレルを称えた。
但しオーレル自身は、ライザにも呆れにも似た声を向ける。
「…アンタが付いていながら、この状況とはな。余程集中してたみたいだな」
「かたじけない、オーレル卿。今、正念場を迎えている」
「…らしいな。それ程に部屋と衣服を汚してまで没頭してるんだ。例の調合の件か」
オーレルが窓を全開にした事で、色付きの湯気も晴れ視界もクリアとなる。
それにより、皆の衣服は釜の溶液や失敗の影響で汚れに汚れていた。
そして灰の剣士たちの状況を察するに、解呪の儀に関した調合に踏み切ったのだと判断する。
「無理しないで、少し休んだらどうだ?アンタも、張り詰め過ぎだ」
一度小休止を兼ね呼吸を整えた方が良いと、オーレルは彼等に進める。
「それは駄目よ!確かに失敗しちゃったけど、今ので感覚が掴めた気がするの!此処で休んだら、折角の感覚が元に戻っちゃうのよ!」
オーレルの提案に、ライザが反対の声を上げた。
失敗の連続ではあったが、決して無意味に繰り返した訳ではない。
各々が痛手を被りながらも徐々に感覚を掴み始め、何が必要なのかを悟り始めていた。
次の失敗が許されない余裕のない状況に追い込まれたが、逆に今休憩を挟んでしまえば折角の感覚が元に戻ってしまう恐れがある。
「すまぬ。だが、彼女たちが消耗しているのは確かだ。万が一倒れる事の無い様に、良かったら支えてあげてくれないか?」
「分かった。最後まで見届けてやる!安心してやり遂げろ!」
ただ、オーレルの指摘も同時に正しかった。
灰の剣士の言う様に、ライザ達には確実に疲労が蓄積しており時々足元がふら付いてさえいた。
そこで彼の提案で、若しもの時をオーレルに託す。
オーレルもそれ以上何かを追求する事は無く、彼の案を受け入れ見届ける事にした。
「よし。皆、これが最後のチャンスだ!失敗すれば、また素材集めからやり無しとなる!だが無意味な失敗ではなかった筈だ。良いかっ、次で成功させるぞ!」
「「「――お~ぅ!」」」
気持ちを切り替えた灰の剣士は、次こそは成功させると皆に奮起を促し、彼女らも勢いよく応えた。
もう余裕ない状況だが独特の感覚は、かなり掴めた。
根拠など無いというのに、彼等の心には言い様の無い自信と意気込みが芽生えていた。
「――作業開始ッ!」
彼の掛け声とともに、本日最後の調合作業が再開された。
(推奨BGM ルルアのアトリエ ―― 作り出そう、未来を )
「このソウルの流れ…激しくなってきたな!」
釜の傍で目を閉じながら手を翳し、ソウルの流れを逐一告げる灰の剣士。
「オッケ~い、此処でゆっくりとかき混ぜないとだね」
その報を聞いたライザとルルアは、共同でゆっくりと釜を混ぜ始める。
「火加減はそのままで安定っと…。安心して続けて!」
エーファも一心不乱に釜の火加減に注力している。
「魔力はそのままの勢いを維持しつつ、徐々に増やす方向でっ…と」
釜を掻き混ぜながら魔力の注入に集中するルルア。
皆が皆、自分に与えられた役割を果たしながらも真剣な表情で釜に向き合っている。
その様子に、オーレルも無言で彼等を見守る事にした。
「――この流れ…ソウルが変質したっ!?」
「――此処で合わせるよ!ルルア!?」
「――任せてライザ!」
「――火加減そのまま、頼んだわよ、皆!」
俄かに状況が変化し、彼等の動きが慌ただしくなる。
静かに彼等を見守っていたオーレルも、つい身構えてしまう。
「嘘…でしょ?」
「そんな…急に釜の光が暗く…」
「ここまで来たのに…」
「……」
先程まで慌ただしかった彼等だが、急激に釜の様子が変化し発光していた溶液も色を失った。
「…失敗…だったか…」
落胆するライザ達を見たオーレルは、失敗したと判断した。
「いや…そうでもない」
だがそこへ、灰の剣士が異を唱え徐に釜へとを手を入れる。
「灰君、何してんの!?火傷しちゃうわよ!」
先程まで煮えたぎった釜の溶液だ。
人間の皮膚など容易に焼け爛れるほどの温度を保っている筈だ。
そんな釜の中に彼は平然と手を入れ、ライザは慌てふためき阻止しようと駆け寄る。
「見よ、これを――」
だが彼は火傷など意に介さず、何かを掴み取ったのか釜の中からソレを取り出し、ライザ達へと披露した。
未だ高温に熱された溶液が、彼の両前腕部から滴り落ちる。
掌に乗る程のサイズだが、ソレは確かに存在感を放っていた。
彼が火傷を承知で釜から直接取り出し、掴み上げた物体――。
「ねぇ、これって、最初にソウル錬成した、あの物体と同じ…だよね?」
彼の手に有る物体を見たライザは、先程のソウル錬成を思い出す。
黒い球体をベースとし、内部には星に似た輝きを幾つも放つ、不可思議な物体とほぼ同じ形状だ。
「もう釜には、他の素材も残ってないみたいだし、失敗なんじゃ?」
念の為、エーファが掻き混ぜ棒で釜の中を探ってみる。
だが何かに接触するような感触はなく、液体をグルグルと搔き回すだけだ。
つまり、黒い球体以外の素材は消失…若しくは融合したという解釈ができる。
「よく見てくれ。球体の周囲はソウルに包まれ、星の輝きも多彩な色を解き放ってる」
もっと注視して欲しいと、灰の剣士は球体を前へと差し出した。
「どれどれ…」
「ん~…?」
「ほ~ほ~…」
「顔を近付け過ぎだ、僕も見たいんだよ!」
差し出された球体へと、ライザ達は顔を近付け食い入るように覗き込んだ。
灰の剣士の言う通り、黒い球体の周囲は淡いソウルに覆われ、内部は色彩豊かな星々が瞬きを繰り返していた。
調合する前は、内部の光は点にしか見えなかったが、調合後は星々に例えても相違ないほどに魅力的な輝きを放っているのだ。
地球儀という惑星を再現した模型が存在するが、この球体を言い表すなら『宇宙儀』とでも呼ぶべきだろうか?
(この世界が我々同じ地球とは限らない)
しかし単なる模型ではなく、内部は星々が色彩豊かに瞬きを繰り返しているのだ。
もはや単純な物体と言うには、余りに無粋であろう。
宛らこの『宇宙儀』は”生きている”と表現しても過言ではないのだから。
「それじゃあ、若しかして…あたし達――」
「……成功だ!」
躊躇いがちに尋ねるライザ。
一瞬の間を置いた後、灰の剣士は”成功”を宣言した。
「「「――イヤッタァあッ!!」」」
彼の宣言を聞いた女性陣は、大歓声を上げ発狂せんばかりに喜びを分かち合う。
その凄まじい声量は、狭い工房隈なく響き渡り空いた窓からも歓声が解き放たれた。
大喝采を上げる彼女達の声が届いたのだろうか。
(推奨BGM ライザのアトリエ ―― 秘密の隠れ家 )
「何だ何だぁ?事件でも起きたかって、うわッ…スゲぇなコリャ…!」
そこへ槍使いと魔女が訪れ、工房内の酷い汚れ様に顔を引きつらせた。
「錬金…やって、たんだ。一杯、こぼし、てる。フフ…」
工房内の惨状を見た魔女も、彼等の苦労を感じ取り穏やかな笑顔を浮かべた。
彼等は先程まで翼竜退治の依頼にて、オーレルと臨時で一党を組んでいた。
一応工房内の様子が気になったのだろう。
こうして様子を見に来た次第である。
そしてライザたち女性陣の歓喜具合から、大成功を収めたのだと察した。
「へへ…!ガキみてぇに、はしゃぎやがって…良かったじゃねぇか」
「まぁな。見ているコッチは、気が気じゃなかったがな」
未だ手を取り成功の喜びを分かち合うライザ達を見た槍使いとオーレルは、ヤレヤレと胸を撫でおろしていた。
「ね、剣士さん、私に、も見せ、て?」
彼の手にしている球体が気になったのか、魔女も独特の口調で見せて欲しいとせがむ。
灰の剣士からソレを受け取り、彼女も覗き込む様に夢中で凝視する。
「凄い、本当に、星々が、生きて、いるみ、たい…」
やはり内部が気になるようだ。
魔女は、多彩な色を放つ星々に目が釘付けとなっている。
まるで幼い少女が、星見に心奪われたかのような表情で目を輝かせていた。
「折角だから、名前決めない?唯の『宇宙儀』じゃ、味気ないしね♪」
「それ賛成!どんな名前にする?」
ここでルルアが、球体の呼び名を提案しエーファも同調した。
「お?どんな名前にすんだ?」
「私も、決めた、い…」
「ロマンチックなのが良いなぁ…!」
「う~ん、あれも違うし、これもちょっと場違いかな…?」
「ゆっくり決めてくれ。私は後片付けに入る…」
工房内の皆が集まり各々が候補を上げる中、灰の剣士は後始末を始める事にした。
とにかく工房内が汚れに汚れ切っているのだ。
度重なる失敗で釜の中身は何度も爆発で吹きこぼれ、換気したとはいえ薬品の匂いが充満している。
これでは次の作業にも支障が出てしまう程だ。
……
小一時間ほどが過ぎただろうか。
「ねぇ灰くぅん、何か名前ないぃ?」
「……まだ決めてなかったのか?」
「だってぇ…アレも違うしコレも違うしぃ…」
「しっくり来るの、無いの、お願い、できる?」
散乱した物は取り敢えずの片付けは済んだ。
その時、ライザから何か良い名前が無いかを聞かれ、灰の剣士は若干呆れの声を滲ませた。
確かに彼が掃除中、女性人達が姦しい声を上げ意見を交わしていたのを覚えている。
「…あるにはあるが、私のは極めてシンプルで味気ないものだぞ?それで良いのか?」
「おう、お前さんが纏めてくれりゃあ、お嬢さん方も多分納得してくれる筈だぜ?」
結局、灰の剣士が名を決める事になり、彼は仕方なく頭に思浮かべていた二つの候補を上げた。
星々の宇宙儀。
生命の宇宙儀。
この二つである。
ライザからは、ビックリする位シンプル、と評されてしまう。
だが、この二つから選出される事となり結果として『星々の宇宙儀』という呼び名に決まった。
「まぁ、分かりやすいし良しとしますか、ウンウン!」
意外にも反発する者は皆無で、ルルアも納得の表情を見せる。
さて、流れはどうであれ高難度の調合を成し遂げた灰の剣士たち。
しかし目的は、あくまで不死の女の呪いを解く事が本義。
「明日『解呪の儀』を決行する…!異論はないな、皆!」
灰の剣士は皆に向かい、明日、解呪に移る事を宣言する。
”星々の宇宙儀”から流れ出るソウルで、どの様な効果を及ぼすのは概ね把握していた。
間違い無く効果を及ばす筈だ。
場所は地母神神殿にて行われ、当然司祭長を始め関係者たちの立会いの下で行われる。
多少急だが、あまり悠長に構える事には抵抗を覚えていた。
だがこれは彼個人の予定であり、後はギルドを通すなり直接神殿に赴くなりして伝達する必要があった。
上手く調整が合えば、予定通りの日程で実施されるだろう。
彼の宣言に、ライザ達の表情が一気に引き締まった。
「お前さん、張り切るのは良いけどよ。先ずやるべき事があるんじゃねぇか?」
そこへ、静観していた槍使いが意見を挟んだ。
「後片付け、まだ済んでないぞ…!?」
今度はオーレルも加わり、工房内の片付けは未だ半分も進んでいない事を告げる。
灰の剣士が一時間掛けていたが、その程度で片付くほど生易しい汚れ具合ではなかった。
まだまだ工房内には、散乱した小物や液体などが残留しているのだ。
「…ハハハ…そうだな。悪いが皆、手伝ってくれないか?」
「一杯驕れよ?」
灰の剣士は、苦笑しながら皆に清掃作業の分担を手伝って貰う事にした。
彼だけでなくライザ達も、調合に加わっていたのだ。
彼女たちが手伝うのは至極真っ当であり、当然の措置なのだ。
まぁ槍使い達も手伝う羽目になったのは、完全なトバッチリと言う他ないだろう。
皆は汚れ切った服装のまま、工房内の清掃に勤しんだ。
……
(推奨BGM ゴブリンスレイヤー ―― 過去からの呼び声 )
日はすっかり暮れ、深く沈んだ太陽の残り香が山々の輪郭が薄っすらと赤味に染めている。
間も無く完全な夜の時間帯となる。
工房の清掃も済み、着替えも改に済ませた灰の剣士。
ライザ達を宿へと戻し、ギルド職員にも近況報告を済ませてある。
彼を担当したのは、監督官の受け付け嬢だった。
灰の剣士を見るなり硬い表情を浮かべていたが、それで職務を放棄するような彼女ではない。
公私を弁え、彼の要件を聞き入れた。
内容は、解呪の目処が立ったため、地母神神殿に通達して欲しいとの事。
それなら彼自身、神殿に向かった方が確実なのだが、彼には特別に伝えたい人物が居たのである。
要件を済ませた彼はギルドを発ち、次の目的地へと向かった。
彼に対し、監督官の不安げな視線を背に感じながら――。
……
正直物足りないと言うのが本音だ。
”銃”という新たな力を手にし、”調合術”という手札を増やす事も出来た。
かなりの戦力増強が叶い、憎悪すべき怨敵『
しかしだ――。
少な過ぎる。
小鬼の生息数が異様に減った。
確かに吉報である。
これで小鬼に脅かされる人々は減ったのだ。
喜ばしい事の筈だ。
しかし――。
もっと銃を撃ちたい。
銃で撃ち殺したい。
一度の射撃で広範囲に散弾をばら撒く事ができ、複数まとめて小鬼を殺せるのだ。
弾込めには多少の手間が掛かるが、これも小鬼に奪われ戦力化されるという対策にも繋がった。
また、屑輝石を握り砕けば
やや値は張ったが、意外にも扱っている店は多く比較的容易に入手事が叶った。
冒険者に成りたての頃とは大違いに装備が忠実している。
実に愉快で愉悦だ。
思うように戦況を動かし、小鬼を殺し尽くす事ができる。
楽しくなりつつあった。
もっと殺し続けたいというのに、小鬼殺しの依頼が激減してしまった。
今日も
全て受けようとしたのに、新人に一件残しておいて欲しいと言うのなら仕方がない。
新人にも仕事は必要だ。
最近、牧場に新しい住民が住み着いた。
腕が立ち頭も良さそうな女だが、大して興味もない。
どうでもいい。
それよりも気になるのは、神殿に保護されている不死の女だ。
矢張りあれは”姉さん”なのだろうか?
分からない。
姉さんの様であり、何か違う様な気もする。
仮に
もしも姉さんが”辞めろ!”と言ってきても、もうこれが『愉しみ』となりつつあるのだ。
そうとも――。
俺は
内に湧き立つ、熱くも滑った血のような衝動。
その衝動に身を任せ、知を活かし、技術を用い、小鬼共を殺し尽くす。
何とも、楽しい娯楽であろうか。
兜の奥底で、暗い笑みを浮かべ今日までの殺戮を思い出す、鎧戦士の冒険者。
彼は、ゴブリンスレイヤー。
そう呼ばれていた。
今日の依頼は片付けた。
もうする事は無い。
仕方なく彼は、牧場へと帰路に就く事にしていた。
「――!?」
前方に、誰か居るのが確認できる。
最近噂に挙がっている山賊の類だろうか。
だとしたら少々厄介だが、相手は一人の様だ。
伏兵の可能性を考慮し、彼は警戒しながらも様子を窺う。
夜空を覆う雲が晴れ、二つの月光が周囲を照らす。
夜間とはいえ二つの月明かりがあれば、それなりに視界は確保できるものだ。
矢張り相手はたった一人の様だが、目を凝らせば姿に見覚えがあった。
「…お前か?」
彼は立ち止まり、眼前の人影が灰の剣士である事を確認する。
「明日だ。明日、地母神神殿にて、解呪の儀を執り行う」
「そうか」
「伝える事はそれだけだ、ではな」
二人の間に長々とした言葉は却って不要だ。
要点のみを伝えた灰の剣士は、踵を返し街へと戻る。
「……」
彼の背を何気無く目で追う、ゴブリンスレイヤー。
月明かりに晒された灰の剣士の後姿は、見事なまでに今まで通りだ。
剣の乙女から叱責を受け、方々から非難の目を向けられて尚、彼は自身を保っているように思えた。
だが何事も無かったかのように、ゴブリンスレイヤーは再び歩き出す。
帰るべき牧場は、もう目の前だった。
……
そして彼――灰の剣士も、一人街道を歩く。
月明かりに照らされた街道は、意外にも良く見える。
松明も必要なかった。
遠方には別の街道を巡回する、衛兵たちの松明が確認出来た。
6名一班の構成で、行動している様だ。
矢張り山賊の急増で、治安悪化を懸念しての措置だろう。
あれからだ。
今夜に限り、
内に潜む獣――。
血に酔った者――。
狂気に身を任せた者――。
そして去り際に示唆していた、
「今は、眼前の目的を果たす事が先決だ」
それが
不吉な予感が胸中に巣くうも、それを奥へと無理やり仕舞い込み、彼は街の入り口を潜った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ブロードソード(エルデンリング)
幅広の刃を持つ直剣。
斬りつける攻撃に適している。
横に振る攻撃は範囲が広く敵に当てやすい利点がある。
矢張り、ロスリック製と動様に異常な頑丈さを誇る。
どれだけ敵を切り伏せたとて、刃毀れ一つ起きる事は無かった。
今の技術が退化したのか、かの時代が異次元に位置していたのか。
誰も知る由はない。
ヒーターシールド(エルデンリング)
比較的扱いやすい、金属製の中盾。
ひろく使われるスタンダードな盾の1つ。
金属盾は、物理ダメージのカット率に優れ多くの戦場で信頼されてきた。
盾は時に命を繋ぎ止め、故に多くの戦人が生を拾うに至る。
盾を神聖視する国まである程だ。
スローイングダガー(エルデンリング)
鍔の無い投擲用の短剣。
念入りに研がれ、調整された上物。
敵に投げつけ、ダメージを与える。
主として牽制に用いられる補助武器だが熟達した使い手は、これを恐ろしい刃となす。
投げるという行為は、古来より培われ人類種の攻撃手段として共に在った。
投擲武器という概念は、今も色褪せてはいないのだ。
エルデンリングの追加DLC…まだかなぁと思いつつ、今日も狭間の地を彷徨っております。
如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
デハマタ。( ゚∀゚)/