ハッ!( ̄□ ̄;)!!
余りの暑さに私自身が、ブロブと化しております。
少し間が空きましたが、投稿させて頂きます。
銀鷲のカイトシールド
銀鷲の紋章が描かれた中型の金属盾。
オーソドックスな中盾。
中盾はもっとも標準的な盾種別であり
カット率、受け能力、重量のバランスがよい。
戦技は「武器戦技」
左手装備時に右手装備の戦技を使用する。
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ボルドの頭部に灰の斧がめり込む。
闇の力で増強された、肉厚の刃は頭部を覆う甲冑を貫き、生身の部分にまで到達した。
「GeeYaaOoo……!!」
絶叫を上げ、仰け反るボルド。
僅かに生じたその隙を見逃す事無く、灰は更に跳躍しボルドのこめかみ部分に追撃を加えた。
斧の質量と深みの魔力、そして灰の膂力が組み合わさった一撃は、ボルドを更に追い詰めていく。
地面に着地した灰は、間髪入れず再度跳躍。
今度はボルドの顎を斧でかち上げた。
「GuuOoo!!」
ボルドは呻き声を上げ、隙を晒し続ける。
着地しては攻撃、攻撃しては離脱し、別方向からの奇襲。
多方向からの頭部のみを狙った連続攻撃に、反撃もままならないボルド。
その様子を遠巻きながらに、見守っていた他の冒険者達。
「……流れが変わった?!……本当に何者だ?あの男……」
聖職者から治療を施されながら、固唾を呑んでいた銅等級冒険者。
「あれが例の剣士でさぁ、ダンナ…!」
同じくスタミナポーションを飲みながら傍らで体力回復を図る、重戦士に説明される。
――火の無い灰……!
軽快な動きでボルドを翻弄し、頭部のみを的確に狙った灰の攻撃。
ボルドも苦し紛れに反撃を試みるも、不安定な体制では自慢の攻撃力も発揮出来ず、悉く躱されるか『銀鷲のカイトシールド』で受け流される。
――この者達の言、満更大ボラではないやも知れぬ。
「最早、白磁の動きではないな、あの男……。しかし――!」
銅等級冒険者は、灰の動きの僅かな変化を見逃さなかった。
「ぐぅっ?!」
ボルドの右裏拳が灰を捉えた。
幸い、それは盾で防いだが空中で防御した為、灰は吹き飛ばされ距離を開けられてしまった。
地面に叩き付けられる寸前、手を地に着け受身を取る。
そして追撃を加えて来たボルドの戦鎚を後方宙返りで、凌いだ。
ダメージは最小限だが、間合いが開いてしまい仕切り直しとなる。
「流石に凍結は厄介だな」
ボルドは常に冷気を全身に纏い、這り巡らせている。
接近する以上、灰と言えど冷気の影響は免れ得ず、凍結で動きに切れが無くなり、ボルドの攻撃を回避し切れなくなっていたのだ。
「――今度は俺も手を貸す。灰よ、もう一度奴の注意を引け!」
鎧戦士が手嘴(ピック)を手に、灰の傍らに歩み寄る。
――何か手が有るようだな。
「分かった、頼むぞ!」
「ああ」
「…仕掛けるっ!!」
斧を構え直した灰は、再度ボルドへ疾走する。
ボルドも灰を叩き潰さんと、袈裟掛けに戦鎚を振り下ろす。
「次は、ここだぁっ!」
必要最小限のサイドステップで、攻撃を掻い潜った灰は、ボルドの手首目掛けて斧を叩き付けた。
「GoAaa?!」
手首は駆動部の為、甲冑が比較的薄く、斧も容易に内部に到達した。
黒い体液が噴出し、確かな苦痛がボルドを苛む。
透かさず空いた手で灰に殴り掛からんとするボルド。
「――この機!…逃さんっ!!」
目を見開いた鎧戦士は、地を蹴りボルドに疾走する。
灰に殴り掛かったボルドの手を伝い、肩部にまで一気に詰め寄った。
「ぬぅおぉぉあっ!!」
彼は手嘴の反対側、つまり鎚の部分で全力を込めて叩き込む。
「GyuOoooo!!」
ガァンっ!と、重い金属音と共にボルドが大きく仰け反り、姿勢を崩した。
そう――、彼が狙ったのはボルドの肩に突き刺さっていた、弩砲の矢の尻を全力で叩いたのだ。
只でさえボルドの甲冑は堅牢、生半可な攻撃は通用しないだろう。
だからこそ彼は敢えて直接攻撃するのではなく、唯一有効打となっていた弩砲の矢を利用したのだった。
彼の深く観察し考察する、ゴブリンによって培われた戦術が功を成した結果でもあった。
そして、一通りの応急処置を済ませた冒険者達が、戦線に復帰する。
「其処の貴殿。我々に、出来る事は……?」
灰に訊いて来たのは銅等級冒険者だった。
本来なら屈辱この上ない状況。
ベテランの銅が、新人の白磁に指示を仰ぐ――。
普通の冒険者なら、頑なに拒んだであろう光景だ。
だが彼は実力と共に、柔軟な考え方の持ち主でもあった。
勝利し、生き延びるのであれば彼にとって、この程度の恥など無きに等しかった。
「弩砲の残弾数は?」
「……残り一発だ」
「奴の頭部目掛けて、射ち込んで頂きたい。隙は此方で作ります」
「了解だ!」
「諸君!弩砲の残弾は残り一発だ!――故に、全方位から一撃離脱を徹底せよ!」
「呪文使いは、拘束と補助優先でお願いします!」
銅等級冒険者と灰の指示で、皆が”おおっ!”湧き立ち其々の配置へと就く。
予期せぬ援軍に加え、灰と鎧戦士の戦い振りに総崩れとなっていた士気は、元に戻りつつあった。
「へっ!灰の奴だけでなく、『変なの』にまで負けたくねぇからな!」
「流れが一気に変わった!いけるかも知れんぜ!」
悪態を吐きながらも、ボルドの後方に位置取る槍使いと同期戦士。
手にする武器は、既にエンチャントを済ませてある。
「俺達は鋼鉄等級だぞ、白磁の新人ばかりにやらせるな!」
「私達も奮起するわよ!皆、いい!」
援軍として駆け付けた他の冒険者一党も、配置に就きボルドを包囲した。
「へへ、完全に流れが変わったな!」
口の端を僅かに吊り上げる、重戦士。
先程の絶望感など、とうに消え失せ全身に力を漲らせた。
「ふっ!!」
短い掛け声と共に、ボルドに突撃を仕掛ける灰。
戦鎚の突き攻撃を難無く回避し、今度は上腕部と前腕部の付け根、つまり肘の裏側(中窩、肘頭部)に斧を叩き込む。
戦力が揃った以上、最早急所を狙う必要は無くなった。
後は間接部を徹底的に狙い、攻撃力と運動力を削げば良い。
灰に続き鎧戦士も、ボルドに突進する。
当然ボルドは空いた手で彼を叩き潰そうと、手の平で彼ごと地面を叩くが、ローリングでこれを躱す。
彼はすぐさま起き上がり、手の甲目掛けて手嘴のピック部分を突き刺した。
上手く体重が乗ったのだろうか。
縫い付けると迄行かずとも、武器は甲冑を突き破りボルドの手甲の骨を穿つ。
その攻撃単体では、決して大きいダメージとはいかずとも、ボルドを確実に追い詰めつつあった。
ボルドの隙が徐々に顕れ始める。
「今だっ!攻撃開始っ!!」
銅等級冒険者を始めとした冒険者達が、全方位から攻め立てる。
ボルドの間接部や鎧の隙間を目掛けて、武器が振り下ろされた。
今度は張り付く事無く一撃離脱を徹底させ、一撃を加えては退き、空いたメンバーが新たな一撃を加えては退くといった、ローテーションアタックが間断無く加えられていく。
「うおぉらぁあ!!」
「せいやぁっ!」
重戦士の大剣が。
槍使いの槍が。
同期戦士の剣が。
ボルドの間接部に、確かな一撃を加えては離脱を繰返す。
「GluOooo……!」
ボルドは苦痛の呻き声を上げ、苛烈なまでの凶暴性は静まりつつあった。
「よしっ!効いてるぞ!私達もつづけぇ!」
女騎士や半森人の軽戦士達も、ボルドに攻撃を加えていく。
その中には幼い斥侯や他の新人達も混じっていた。
ボルドの甲冑を貫ける程の攻撃力が、彼等に有るかは正直疑わしい。
しかし、効こうが効くまいがそれは関係ない。
彼等に混じり、攻撃を加え、ボルドにプレッシャーを与える事に意味が有るのだから。
冒険者達の執拗な攻めに、ボルドは次第に業を煮やし、大きく息を吸い込む。
「あの構え、例のブレスか…!止むを得ん、盾持ちは距離を開けつつ防御!」
「呪文の詠唱は?」
銅等級冒険者が防御の指示を出し、灰が呪文使いの状況を尋ねる。
「アラーネア《蜘蛛》、ファキオ《生成》、リガートゥル《束縛》」
「ホラ《時》、セメル《一時》、シレント《停滞》」
「妖精(ピクシー)やい、妖精やい、お菓子はやらぬが悪戯をお願い」
「水精(ウンディーネ)、土精(ノーム)、素敵な褥をこさえておくれ」
どうやら殆どの呪文使いは詠唱を終え、何時でも呪文を行使出来る状態にある様だ。
「よし、ブレス攻撃の最中に呪文を行使せよ!戦鎚の追撃だけは避けねばならん!」
銅等級冒険者の指示の直後、ボルドが体を回転させながら冷気ブレスを撒き散らす。
盾持ちは距離を離しながら盾を構え、ブレスに備える。
盾を持たぬ者は、盾持ちの後ろへ下がり、被害を最小限に留めた。
灰自身も、『銀鷲のカイトシールド』を構え、ブレスを防御。
鎧戦士は小盾である為、灰の後にて退避し防御体勢を取る。
流石に一度見た攻撃法――、的確な防御で被害を最小限に抑えていた。
「ぐっ?!こ、凍える…!」
「な…、何のこれしきの冷気…!」
盾持ちは凍て付くブレスに晒されながらも、じっとチャンスを持ち防御に徹する。
ブレスの終わり際に戦鎚を両手に持ち替え、大きく振り被るボルド。
手首や膝といった間接部への攻撃が効いているのか、ボルドの動きが何処となくぎこちない。
「好機だ!呪文一斉発動っ!!」
銅等級冒険者の合図で、呪文が一斉に解き放たれる。
粘糸《スパイダーウェブ》、停滞《スロウ》、捕縛《ホールド》、泥罠《スネア》、多種多様の拘束系の呪文がボルドに降り懸かる。
風の精霊術ホールドがボルドの手足に作用し、動きを停滞させ――。
水の精霊術スネアがボルドの足元に泥濘を生成する。
引き絞った体勢のボルドは、泥濘と手足の拘束で胴体を地に着け体勢を崩す。
更に真言魔法のスパイダーウェブが複数解き放たれ、辛うじて動いていたボルドの手足を完全に拘束。
そして、スロウの呪文がボルドの刻を停滞に追い込み、不動とまで行かずとも、限りなく停止状態にまで持ってゆく。
「やった、効いてるぞ!」
「早くっ、早く弩砲を――」
ボルドの恐怖が伝染しているのだろう。
冒険者達が、戦慄と期待が混在した表情で、止めを急かす。
しかし、ボルドも只無抵抗という訳ではない。
この期に及んで尚、全力で暴れ回ろうと渾身の力で、抵抗を続けた。
「ぬぅっ……、かなり鈍らせたが、まだ動き回るか…!」
姿勢を変えながら、もがきにもがき、弩砲の照準が定まらないでいた。
「頭部の動きを止める!」
透かさず灰が、盾を捨て斧を両手に持ち替えながら、ボルドに突撃した。
全力でボルドの側頭部に、斧を打ち込む。
ボルドの甲冑を貫き刃が本体にまで到達したが、盾を捨てた事が災いした。
「GRuOoooo!!」
ボルドは頭部を激しく揺らし、灰を振り解かんとする。
予期せぬ抵抗に思わず斧を手放し、無防備な隙を曝け出してしまった。
ボルドは間髪入れず、冷気のブレスを灰に浴びせた。
「――?!!…っぐおぉぉぉっっ……!!」
ブレスの直撃をまともに浴びせられ、灰の身体は瞬時に凍結し始める。
「お、おいっ!何とかしろぉっ!死んでしまうぞ!!」
「ぬっ?!灰よぉっ……!」
同期戦士と鎧戦士が、灰に駆け寄るべきかボルドに攻撃を加えるべきかを決めかね、完全に狼狽えていた。
「……ぐぅっ!私に構うな……、弩砲を射て……」
目一杯叫んだつもりだが、極度の低温に蝕まれ、その声は自分以外に届いてはいなかった。
状況を察した弓使い達がボルドに矢を射掛けるが、焼け石に水だった。
重戦士達が、ボルドのブレスを止めんと突撃を開始する矢先――。
「――プロテクション!三枚掛けっ!!」
突如ボルドの頭部左右と灰の眼前に、聖壁が出現した。
「移動!!」
更に二枚の聖壁が、ボルドの頭部を左右から挟み込んだ。
「今の内です!ボルドの動きを完全に捉えた今が――」
二枚の聖壁がボルドの頭部をサンドイッチ状に挟む事で動きを完全に封じ、三枚目の聖壁が灰をブレスから遮断すると同時にボルドの頭上から聖壁を落し、がっちりと頭部を固定した。
この場で聖壁を複数同時に行使出来るのは、この場で唯一人――。
「誰か彼の治療を……!僕は聖壁の維持で精一杯です!」
青玉等級の男神官だった。
「あたしが、あの人の治療を――」
圃人の巫術士が灰に駆け寄り、後方まで退避させた。
――……機、也!
「今だっ!っ射ぇぇぇ!!」
銅等級冒険者の叫びと同時に、弩砲の最後の矢が打ち出された。
充分に引き絞られ有りっ丈の魔力で付与された矢は、狙い過たずボルドの額を貫いた。
…
……
………
「……手応えあったっ!!」
銅等級冒険者は、確かな手応えを宣言する。
「……」
皆が静まり返り、暫しの沈黙が鉱山を支配する。
ボルドは声を上げる事も無く完全に脱力し、地面に倒れ伏した。
「……」
「やった!倒した…!」
「倒した、倒したんだ…!」
「勝った、勝ったぞぉ!!」
「「「「「「うおぉぉぉぉ!!」」」」」」
一斉に鬨の声が上がり、皆が勝利の事実に湧き踊った。
「見ましたか?あたし達、勝ったんですよ!」
巫術士が治癒の水薬を灰に飲ませながら語り掛ける。
既にエスト瓶は空の状態だった。
「ああ、皆本当に良く戦い抜いてくれた……」
全快とは行かずとも、全身に至っていた凍傷は治療され、灰も皆に感謝の念を送る。
「終わった、のね…」
「やっとか……」
呪文使いも安堵の溜息を吐き、呪文の拘束を解いた――。
――その時!!
「GUOloooooooo!!!」
ボルドは甲高い雄叫びを上げ、再び起き上がる。
「っ?!こいつ、まだ…!」
頭部を弩砲で貫かれながらも動き出すボルド。
「ひいぃぃぃ!!」
余りにしぶといボルドに、腰を抜かす冒険者達が大半。
このままでは、近くに居る彼等に危険が及ぶのは想像に難くない。
「ぬぅぉおおぉぁぁぁっ!!」
一人の戦士がボルドに向かって決死の突撃を敢行した。
「あ、あいつ?!」
「あの、変なのっ!」
そう、鎧戦士だった。
「ぐんっ!!」
跳躍し、ボルドの額に刺さっている矢尻をピックの鎚部分で、全力でぶっ叩く。
「Ruoooo!!」
ボルドは絶叫を上げ、手で額を押さえ込み仰け反った。
「何をしている!止めを躊躇うな!ゴブリン退治の鉄則だろうがっ!!」
鎧戦士が声を荒げ、周りに叫ぶ。
普段淡々とした口調で、語り掛ける彼にしては珍しい感情の昂ぶりだった。
「この期に及んで、ゴブリン呼ばわりかよ」
「アイツらしいぜ……!」
「あの変なのに手柄を取られるのは癪だな、手柄は頂くぜ!!」
重戦士、同期戦士、槍使いが武器を構え、彼に続く。
「おい!白磁の新人に負けちまうぞ、俺達も続けぇ!」
「私達も、加わるわよ!」
鋼鉄等級やその他の冒険者達も、突撃を開始。
「全く度胸のある、新人達が居たものだ。我々も負けてられんな!」
銅等級冒険者一党も、ボルドに攻撃を加える。
「「「「「「うぅおぉぉぉぉ!!!」」」」」」
冒険者達の武器が、一斉にボルドを捕らえる。
「Glurooooo!!」
しかし、ボルドの動きは止まらず体を激しく揺らし、冒険者の何人かは弾き飛ばされてしまった。
「チクショウ、いい加減に倒れろよ……!」
「ロスリックのバケモンってのは、全部こうなのか?!」
「誰か…、誰でもいい……、止めを――」
必死に武器にしがみ付きながらも、ボルドに抗おうとする冒険者達。
「皆、ボルドから離れろぉ!!」
突如声が掛けられ、反射的に武器を手放す冒険者達。
「うおぉぉぁぁぁ!!」
何時の間にか『深みのバトルアクス』を手にしていた灰が、全力疾走でボルドに迫っていた。
そしてボルドの眼前で高く跳躍し、脳天から渾身の力で武器を叩き込む。
重厚な肉厚の斧は、ボルドの甲冑ごと頭部を両断した。
その凄まじいまでの衝撃と負担に、『深みのバトルアクス』は遂に限界を迎え、役目を終える。
『冷たい谷のボルド』の命と共に……。
ボルドからは何の声も発せられず、地面に倒れ伏す。
今度こそ完全に絶命した。
――HEIR OF FIRE DESTROYED――
「見ろよ、ボルドが……」
誰かがボルドを指差す。
全員がボルドに目をやると、残された亡骸は霧状に消え去り、ソウルが虚空に漂う事となった。
「・・・・・・でっけぇな、これ――」
残ったのはソウルだけではなく、『ボルドの大鎚』と『法王の左眼(指輪)』が地面に横たわっている。
どうやら、『ボルドの大鎚』に皆が釘付けになっているらしく、指輪の方は誰一人として気付いていないようだ。
――次元を隔て世界を跨ごうとも、サリヴァーンの呪縛に囚われ続けた結果が……、破滅か、開放か……。
静かに指輪を拾い上げ、それを見つめる灰。
冷たい谷のイルシール――。
その地を治める『法王サリヴァーン』。
『法王の左眼』と呼ばれた指輪は、使用者に絶大な力をもたらす代償に、精神を獣性に侵食されるという。
『法王サリヴァーン』は外征騎士達に指輪を与え、イルシールから追放した。
イルシールの外征騎士達に始まり、ボルドや冷たい谷の踊り子も追放者達に該当する。
『冷たい谷のボルド』も、元は真っ当な騎士だったのだろう。
火が陰り、世界が終わりが確定した彼の時代で、サリヴァーンは何を成そうとしたのだろうか。
時代が移り変わり、再び火が灯ったこの四方世界で幾ら思いを巡らせようとも、答えなど出よう筈も無い。
指輪を懐へ仕舞い込もうとした時、灰の頭に何かが語り掛けて来た。
《火の無い灰よ、踊り子の事は覚えているかね?とてもか細く儚い彼女。だがそれは、法王の呪縛と凍て付く世界の中で、ただ私のよすがだった。頼む、灰よ。どうか、……どうか彼女を
――これは、ボルドのソウル。ソウルが私の語り掛けているのか。
虚空に漂うソウル。
それが、徐々に灰の周囲に集まり出し、彼に語り掛けていたのだ。
《……そして、奴を……。『法王サリヴァーン』を・・・・・・、止め、て、く・・・れ・・・・・・。どうか、・・・・・・どう、・・・か・・・・・・》
次第にボルドの声は途切れ途切れになり、やがて何も聞こえなくなった。
――ボルド・・・・・・、せめて、安らかにあれ。
ボルドに対し、短くも確かな追悼の意を示す。
周りの冒険者達が後処理に追われる喧騒の中、虚空に漂うボルドのソウルがゆっくりと灰の中に流れ込もうとする。
ある程度ソウルが流れ込んだ、その時――。
――突如、ボルドのソウルが急速に流れを変え、鉱山側に流れて行く。
「急に流れを変えた?!」
灰の驚愕の声に、何人かの冒険者が一斉に灰の方を振り向いた。
灰は流れを変えたソウルを目で追う。
ボルドのソウルは、鉱山の崖の上に向かっている。
「おい、見ろよ。誰か居るぞ!」
一人の冒険者が、崖に指差す。
「何だ?あの人影は・・・・・・?」
釣られた他の冒険者達も、一斉に指差した方角を注視した。
どうやらボルドのソウルも、その方角に流れている様だ。
ソウルは崖に居る人影の掌に吸収されていた。
「何モンだ?あの黒い野郎は」
槍使いが崖の上に居る黒い人影に、視線を外せないで居る。
他の冒険者達も同様だった。
皆が騒ぎながら後処理の作業を止め、その方角に釘付けだ。
「・・・・・・ゴブリンか!」
鎧戦士の言葉に、皆が振り返った。
「――ゴブリンだって?!」
ザワザワと騒ぎが次第に大きくなる。
何故こんな所にゴブリンが?
あんなゴブリンが居るわけ無いだろう?
口々に騒ぎ立てるが、灰の一言で皆が静まり返る。
「――ダークゴブリン・・・・・・!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
法王の左眼
法王サリヴァーンが騎士たちに与えた魔性の指輪。
攻撃が連続すると、HPを回復する。
その黒い瞳は見つめる者を昂ぶらせ、死闘へと誘い
やがて騎士を獣のような狂戦士に旺めてしまう。
故に法王は、外征に際してのみこれを与えたという。
如何だったでしょうか?
最近『法王サリヴァーン』についての考察動画を視聴しました。
(上○騎士の何とかさんの動画です)
とても奥が深く、「おお、こんな解釈もあるのか!」とサリヴァーンの立ち位置を
どうしようかと考え中です。
サリヴァーンは、当初から何とかして出したいなぁと思っていたので、考察動画を見て
その願望は更に強まった次第です。
調べていくと、様々な登場人物や世界と、関わりを持っていたりするので四方世界に登場させたらどうなるだろうと、あ~でもない、こ~でもない、色々考えながら盛り込みたいものです。
(下手すりゃ、そこいらの神々よりも存在感があるんじゃないか?サリヴァーン。)
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
皆さんも熱中症には注意して、こまめな水分補強を――。
デハマタ( ゚∀゚)/。
ぐで~~・・・・・・(_□_:)。