ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

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 今回も2話纏めて投稿します。

本来のお話と、ちょっとしたオマケ話です。

漸く、イヤーワン原作第2巻に突入しました。

では暇潰しにお楽しみ下さい。


第35話―ある術士の元へ―

 

 

 

 

 

 

火炎噴流

 

 大沼のコルニクスの呪術。

 火炎を連続させ噴き流す。

 

 コルニクスは古い呪術師であり

 幾つかの故知らぬ呪術を復古したという。

 中でもこれは、その代表として知られている。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「洞窟の探検と言っても、廃坑の地図作りだよね?怪物も居なさそうだし、すぐ向かおっか?」

 

 只人で背が高く、豊満な胸元とスラリとした美脚を備えた、銀髪の新人冒険者は武闘家だろうか。

 

「ちょっと待って!」

「待ちな!」

 

 二人の男女が、声をハモらせ同時に”待った”を掛ける。

 

しまった!とは思ったが、後の祭り。

 

「・・・あ、あのね・・・・・・」

 

 半森人の少女野伏を見つめる、キョトンとした眼差し、或いは”何だコイツ”といった、訝る視線が四対。

 

大半の依頼が捌け、朝とは言えない正午間近の、冒険者ギルドでの出来事だった。

 

その4人の冒険者達は、同期戦士や少女野伏よりも新顔だった。

 

恐らく昨日今日で、冒険者登録をしたのだろう。

 

装備も安っぽいが金臭さや染料の匂いが、僅かに鼻を突く。

 

まともな戦闘にも参加した様には見えなかった。

 

「常に最悪の事態は、想定しておくべきだ!そもそも、怪物の有無を調査する為の探索なんだろう?」

 

 つい最近、『黒曜等級』に昇格したとは言え、まだまだ下級冒険者の域は出ない、同期戦士達。

 

もしかしたら”上から目線”になってしまったかも知れない。

 

「不意打ちや奇襲、不測の事態を想定しておかないと、痛い目に遭っちゃうよ!」

 

 それでも、避けられる可能性があるなら、出来得る限り危険を避けた方が良い。

 

たった一言が、命の明暗を分ける事もあるのだから。

 

「偉そうな事言って、済まなかったな。俺達はこれで・・・・・・」

 

 そのまま踵を返し立ち去ろうとする、少女野伏と同期戦士。

 

「あの、待って下さい!」

 

 彼等の背中から、声が掛かる。

 

声の主は、先程声を掛けた、銀髪少女の武闘家だった。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

股間部から血と汚濁の体液に塗れた、女の裸体。

 

汚れきった柔肌に、赤熱化した鉄の棒が押し付けられた。

 

「――っ?!!いぎゃあああぁぁぁぁぁ・・・・・・っ!!」

 

 断末魔の絶叫が、石造りの薄暗い部屋に木霊する。

 

「あああぁぁぁ・・・・・・」

 

 呻き声を上げ、小刻みに痙攣を繰返す少女。

 

「Gyobububu!」

 

「Gyebababa!」

 

 その様子を見て、心底愉しげに嘲る異形。

 

緑色で只人の子供ほどの体躯した、醜悪にして悪辣な混沌の産物。

 

―ゴブリン―

 

焼けた鉄棒を当てがわれ、その女は手足をジタバタさせながら、少しでも苦痛から逃れ様とした。

 

ゴブリン側から見れば、その女は無様に踊り狂い、甘美な悲鳴を上げ、さぞ楽しんでいる事だろう。

 

首には、黒い石材のプレートが揺れていた。

 

それは、黒曜等級の冒険者である事を示している。

 

「ぎぃいいいいいっ・・・・・・っ、ああぁぁぁっ!、・・・・・・ひぃ、ひぃ、ひぃ・・・・・・」

 

 ゴブリンが焼けた鉄棒を女の肌に当てる度に、女の体は飛ぶ様に跳ね、何とも奇妙な絵図を描き上げる。

 

その様子に、腹を抱えて笑い転げる、ゴブリン達。

 

女の周りには、複数の娘達が転がっていた。

 

彼女達は一様に、股の部分から血と濁った異臭漂う体液が零れ落ちていた。

 

ゴブリンに敗北した女達。

 

つまりは、そう言う事なのだ。

 

火傷の苦痛で、のた打ち回る女を見て調子付いたゴブリンは下卑た笑い声を上げ、新しく焼けた鉄を焚き火から取り出す。

 

「い、いやぁ・・・・・・、お、おね、がぃで、す・・・・・・。も、ゅるぅ、して・・・・・・」

 

 まだ彼女の目に涙を流せるほどの、生命力が残されていたのだろうか。

 

女は泣き、必死に許しを請う。

 

例え相手が、無慈悲な小鬼であっても。

 

仲間だった冒険者の男達は、すぐに嬲り殺しにされた。

 

疲弊していた所を奇襲により、壊滅させられたのだ。

 

こんな筈では・・・・・・、こんな筈ではなかった。

 

後悔と疑問が、頭の中を何度も去来する。

 

いよいよ真っ赤に焼けた鉄棒が、迫り来る。

 

女は死を願った。

 

早くこの苦しみから解放されたい、と。

 

しかし現実は無慈悲だ。

 

女の苦しみが、解放される事は無かった。

 

何故なら焼けた鉄棒は、何時まで経っても女を焼く事は無かったのだから。

 

「?」

 

 女は、見たくも無いゴブリンを盗み見た。

 

自分を痛め付けた忌々しい小鬼は、あらぬ方に視線を向けている。

 

いや、そいつだけではない。

 

薄暗く、異臭に満ちた空間に存在するゴブリン全てが、一斉に同じ方向を向いているのだ。

 

空間の入り口らしき方角から、石を叩く音が耳を打つ。

 

女は、それが足音だと理解した。

 

カツン、カツン、と足音が大きくなるにつれ、二つの人影がぼんやりと輪郭を形成していく。

 

その人影の一つに、首を掴まれ息も絶え絶えにもがく、ゴブリンが一匹。

 

女は理解が追いつかなかった。

 

一体何が起こっているのか?

 

私は、とうとう”おかしく”なってしまったのか?

 

いや、それならどれほど幸せだったろうか。

 

残念だが、女は聞き取れてしまうのだ。

 

二つの人影が、橙色と真紅の目を灯らせながら、人語を話している事実に――。

 

残念だが、女は狂えなかった。

 

「どうやら、此処で間違いない様だ」

 

「では作戦通りに、事を進めよう」

 

 まるで、これから作業を始めるかの様に、無機質で感情の無い声音が空間を支配する。

 

フードを被った人影が、掴んだゴブリンを放り投げ、鎧の人影が剣でそれを突き刺す。

 

呆気なく、絶命するゴブリン。

 

そして、それが合図であるかのように――。

 

「――状況開始!」

 

 声を発したのはフードの・・・・・・、若い男だった。

 

二人は武器を構え、一気に疾走する。

 

「GuooB!!」

 

 ゴブリンのリーダーでもある、ホブゴブリンが雄叫びを上げ、部下のゴブリンへ命令した。

 

”殺せ!”と。

 

ゴブリンの集団は武器を手に、一斉に襲い掛かる。

 

”駄目だ!勝てる訳が無い!”

 

 傷付いた体を引き摺り起こし、その光景を見やる。

 

ゴブリンは40匹。

 

黒曜等級の自分達でも六人がかりで挑み、この様だったのだ。

 

あの二人がどれだけの使い手か知らないが、一度に40匹相手に勝てる訳が無い。

 

気の毒だが、あの二人も嬲り殺しに遭うだろう。

 

女はそう確信した。

 

 

 

フードの剣士に、ゴブリンが次々と襲い掛かる。

 

手にした武器は、棍棒や折れた直剣だったが、数が多い。

 

其々が武器を振るい、剣士を攻撃した。

 

だが、その攻撃が届く事はなく、ゴブリンが武器を振り上げた瞬間、シミタ-で武器ごと腕を切り落とされた。

 

そのままスモールシールドの横殴りで、ゴブリンを自分の後方へ吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされたゴブリンは、足を縺れさせながら喉を貫かれ、絶命した。

 

鎧の戦士が、剣で貫いたのだ。

 

その後も、複数のゴブリンが次々と剣士に殺到する。

 

しかしゴブリンの武器が届く前に、腕を切り落とされ、足を切断され、回転を付けたシールドバッシュで殴られ、ゴブリンの戦闘力を奪っていく。

 

無力化されたゴブリンは、苦しみに悶える暇も無く、戦士の剣と鷲柄の短刀で急所のみを突かれ、確実に止めを刺された。

 

総数40の集団だ、更にゴブリンが剣士に殺到する。

 

多勢に無勢・・・・・・の筈だが、剣士と戦士の勢いを削ぐ事は出来なかった。

 

ゴブリン単体の身体能力は、只人の子供程度。

 

脚力も膂力も、たかが知れていた。

(尤も駆け出しは、その情報と先入観で、ゴブリンに敗北する事例も多々あるのだが)

 

ゴブリンが武器を振り上げた瞬間。

 

剣士のシミターが腹部を切り裂き、そのままの勢いで次のゴブリンを回し蹴りで蹴り飛ばし、更に回転を加え次のゴブリンを盾で殴り付けた。

 

剣士に襲い掛かったゴブリンは皆例外無く、切られるか、蹴られるか、殴り飛ばされる。

 

剣で、格闘術で、盾で、剣士の流れる様な動きにゴブリンは吸い込まれる様に、迎撃された。

 

そして、剣士によって戦闘力の大半を奪われたゴブリンは、次々と戦士の前に送り出されて行くのだ。

 

強制的に。

 

更にゴブリン達の不幸は続く。

 

眼前の戦士は、鉄兜の庇から赤い目を爛々と光らせ、一切の慈悲の欠片も無く止めを刺してゆくのである。

 

数打ちの剣で喉を確実に貫かれ、鷲柄の短刀で頚動脈を切断され、蹴り上げられたゴブリンは額を突き刺され、次々と絶命していく。

 

まるで、予め打ち合わせでもされていたかの様に、ゴブリン達は数を減らしていく。

 

その様に、ゴブリン達も流石に戦法を変えた。

 

今度は鎧兜の戦士に、標的を定める。

 

残り12匹となったゴブリンは戦士に襲い掛かるものの、間合いに入る前に投げナイフで次々と迎撃された。

 

ナイフは、寸分の狂い無く喉に突き刺さり、逆流した自分の血で溺れ死ぬゴブリン達。

 

最後に残った数匹のゴブリンも、戦士の突進からの連続刺突攻撃に頭部を貫かれ、呆気無く死んでゆく。

 

純粋な剣術では剣士に劣るものの、彼自身も経験を積み上げた戦士。

 

単純な戦闘力で小鬼相手に、後れを取るものではなかった。

(ダークゴブリン集団が異常過ぎたのだ)

 

女は唖然としていた隙に、残るはリーダーのホブゴブリンのみとなっていた。

 

だが最後の一匹とは言え、二人の冒険者は一切の油断無く、腰を低く構える。

 

次の瞬間、両者は左右からホブゴブリンに疾走した。

 

的が左右に分かれた為、どちらを標的とするか一瞬判断を鈍らせる、ホブゴブリン。

 

それが、命取りになるとも知らずに。

 

剣士と戦士は、ホブの足を擦り抜け様に、剣を薙ぐ。

 

その刹那ホブの体制が崩れ、倒れ込んでしまった。

 

二人が狙ったのは、脚の腱。

 

運動神経を司り、体重を支える脚の腱を切断されては、歩く事はおろか立つ事すら不可能であった。

 

尻餅を突き、苦痛に喘ぐホブゴブリン。

 

首の左右から刃が抉り込まれ、白目を剥き口から血を吐きながら、崩れ去る。

 

集団を束ねる長にしては、実に味気無い最後だった。

 

「周囲に敵影無し。残敵認められず」

 

 剣士が呟き――。

 

「この空間の脅威は去ったか」

 

 戦士が付け加えた。

 

焚き火の炎が、二人の姿を映し出す。

 

女は、二人の冒険者に見覚えがあった。

 

一人はギルドで、よく”ゴブリンだ”と発言し、ゴブリンのみを標的に依頼を請け負う冒険者。

 

薄汚れた皮鎧に、安っぽい鉄兜と縁を金属で覆った小盾、そして中途半端な長さの剣を装備し、近年こう呼ばれる様になった――。

 

 

 

『ゴブリンスレイヤー』

 

 

 

もう一人は、深緑のフードマントで半身を覆い隠し、技術を要する曲剣を用いて、並み居る敵を切り伏せる剣士。

 

『ロスリックの遺跡』を誰一人欠ける事無く生還に導き、あの金鉱山の戦いにて、上級魔神将に比肩し得ると言われている『ボルド』と『ダークゴブリン』なる異端の小鬼との激戦を繰り広げた、規格外の剣士。

 

 

 

『灰の剣士』

 

 

 

そうか。

 

この二人が来てくれたのか。

 

女の心は重石を解かれた羽の様に、軽やかになる。

 

そして極度の安堵から、目から大量の涙と陰部から小水を垂れ流す。

 

それにつられた他の娘達から、すすり泣く声が漏れ出した。

 

ゴブリンの脅威が去り、自分達が助かった。

 

その事実が彼女達の緊張を解き、心の堰(せき)が決壊したのだ。

 

二人は、腰の雑嚢から布シーツを取り出し、彼女達に被せてやる。

 

「かなりの傷だ、治療の必要があるか」

 

 灰が腰に括り付けてある、タリスマンを握り締め、奇跡を行使した。

 

「中回復!」

 

灰の中心から、聖なる光が発した。

 

その光は、彼女達の傷口を塞ぎ、裂傷や打撲は無論、火傷に至るまで殆ど外傷は見られなくなった。

 

灰が行使したのは、白教の奇跡『中回復』。

 

これまでの回復に比べ、効果範囲と効力に格段優れた奇跡だ。

 

幾多の戦闘で得たソウルが、彼自身の能力に進化を促し、使用条件を満たしたのである。

 

・・・・・・とは言え、消耗も激しい為、一日2~3回が限度だろう。

 

「まだ先に通路があるな、調べてみるか」

 

 空間の入り口から抜けた先に、通路を確認した灰。

 

「俺は此処で、ゴブリンの子が隠れていないかを調べる、念の為な」

 

「分かった、彼女達を頼む」

 

 灰は、ゴブリンスレイヤーを残し、先へと進んだ。

 

人一人やっと通れる位の細い廊下が続く。

 

この場所で戦闘になっていたら、結果は逆だったかも知れない。

 

細い通路を抜けた先に狭い空間が広がっていた。

 

松明で更に辺りを照らしてみる。

 

空間の中央に石造りの台座が設置され、煌びやかな金属で装飾された宝箱が置いてあった。

 

装飾された金属は疎か、箱に到るまで錆び一つ見当たらない。

 

宝箱の中身が何であれ、箱そのものにも価値が有るだろう事は、想像に難くは無い。

 

今すぐにでも、宝箱に手を掛けたい所だが――。

 

灰は、警戒を強めた。

 

こういう時こそ、罠が張り巡らされているものだ。

 

嘗て、火継ぎの旅で珍しいアイテム欲しさに、無警戒で近付き奇襲を受け一方的に殺されてしまった。

 

一度や二度では学び切れず、どうしても好奇心や欲を刺激された巧みな配置に引っ掛かり、簡単に策に嵌るのである。

 

そうやって殺される事53回目で漸く学び、物欲を断ち切ったのも苦い思い出だ。

(53回も死ぬ灰が間抜け、と言う見方も否定出来ない)

 

 

彼は松明を隈無く照らし、天井が異様に高い事に気付く。

 

――何かあるな。

 

真っ暗で先の見えない天井を見据え、罠の正体を探る為、敢えて宝箱に近付いた。

 

微かに音がする。

 

案の定、先に見えない天井から何かが、ずり落ちる音が聞こえる。

 

透かさずバックステップで、距離を取り様子を覗った。

 

程無くして、粘液上の何かが眼前に落下し、鈍く蠢く。

 

彼はこの粘液に覚えがあった。

 

「確か、ブロブだったか?」

 

 ギルドの資料室で、目を通した事を思い出した。

 

粘液上の怪物で、獲物に絡み付き消化しながら自らの養分とする、怪物だ。

 

このまま宝箱に手を掛けていたら、命は無かっただろう。

 

人一人、余裕で包み込める量のブロブが、灰を獲物と定めた。

 

灰は即座に松明でブロブを炙り、ブロブが僅かに怯んだ隙に、空いた手で呪術の火を宿す。

 

「火炎噴流!」

 

 灰が行使したのは、炎を噴射し続ける火の術である。

 

集中力が続く限り、手の平から炎を噴射し、敵を焼く事が出来る。

 

嘗て、ロスリック城下町に位置する、『不死街』にて『大沼のコルニクス』なる呪術師が復古させた、代表的な古い術。

 

使い所を選ぶが、この生ける粘液を焼くには、打って付けの術だった。

 

松明と火炎噴流の相乗効果で、見る見る間にブロブは蒸発を繰返し、そう時間を要する事無く、消え去った。

 

「警戒して正解だったな・・・・・・」

 

 これ以上の脅威が潜んでいないかを確認した後、彼は宝箱に手を掛けた。

 

「――?旋錠されていないのか。珍しいな」

 

 鍵が掛っていない事に、更に警戒を強め罠を考慮し、盾を、顔と宝箱の間に指し込んだ。

 

申し訳程度の留め金を外し、宝箱を開けると同時に、金属片が霧状に盾目掛けて吹き付けられる。

 

「やっぱり罠か。下手に開けていたら、目を潰されていたな」

 

 冷や汗を滲ませながら二重三重の罠が無い事を確認した灰は、中身に目をやる。

 

「おお!・・・・・・これは・・・・・・!」

 

 中身は、煌びやかな貴金属の腕輪や首飾り等の装飾品、古びた金貨や銀貨といった、財宝の類だった。

 

「すごい収穫じゃないか!」

 

 灰は感嘆の声を上げ一度蓋をした後、宝箱ごと中身を持ち帰り、ゴブリンスレイヤーの居る空間へと戻る。

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

「俺の方は、これを見つけた」

 

 ゴブリンスレイヤーが見せたのは、指輪だった。

 

灰が通路を進んだ後、ゴブリンの汚物の中から見つけ出した物だった。

 

宝石部分の中から、チリチリと何かが燃えている不思議な代物だ。

 

彼も灰も、初めてお目にかかる指輪である。

 

「お前のは財宝か」

 

「ああ、これだ」 

 

 灰が見せたのは、宝箱自体に価値が在り、中には金銀財宝といった、御伽話に出てくるような典型的な財宝の類だった。

 

「一応これだけは、貰っておこうと思う」

 

 灰は、財宝の中から一つの水晶体らしき物体を取り出した。

 

「何か、魔力らしきものを封じ込めた形跡があってな。もしかしたら、今後の役に立つかも知れん」

 

「そうか」

 

 彼は特に反対する事は無かった。

 

「後な・・・・・・、財宝の処遇について提案が在るのだが・・・・・・」

 

 灰は、追加で提案した。

 

灰の案は、この財宝を彼女達に割り当てては、どうかと言う案だった。

 

自分達は、依頼の成功報酬が入って来るが、彼女達は裸一貫の一文無しだ。

 

ゴブリン達に心身ともに汚され、財産も奪われてしまった。

 

今後、彼女達がどの様な道を歩むにしても、資金は必要となる。

 

彼女達は生きていかねばならない。

 

死ぬまで。

 

「確かに、一理ある」

 

 ゴブリンスレイヤーは、特に反論する事も無く、灰の案を受け入れた。

 

その後、彼女達を引き連れ、遺跡を出た彼等はギルドへと帰還し、依頼を達成した。

 

冒険者達が、ゴブリンに不覚を取る事は、よくある事。

 

しかし、日常的に起こって良いものではない。

 

常ならず。

 

何が起こるか分からない。

 

『諸行無常』、明日は我が身。

 

何時、自分達が彼女達と同じ目に遭うかも知れないのだ。

 

それが冒険者と云うもの。

 

そして今日の冒険は、終わった。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 遺跡のゴブリン退治から翌日。

 

「どうだった?」

 

 武器工房の入り口で声を掛けられる。

 

「末鑑定では引き取れんらしい――」

 

「そうか・・・・・・」

 

 ゴブリンスレイヤーの応えに、灰は頷く。

 

工房の店主が言うには、鑑定には相応の手間と料金が掛かる。

 

彼等自身、等級に不相応の資金を有しているが、彼はゴブリン退治に使う予定があり、灰自身も今後の為に温存する必要があった。

 

「財宝・・・・・・、幾らか此方に回すべきだったかも知れんな」

 

 灰は低く唸った。

 

先日のゴブリン退治で、遺跡から回収した財宝。

 

金額に換算すれば、屋敷一つ買い取れるほどの額だったらしい。

 

だが、過ぎた事を悔やんでも仕方の無い事だ。

 

「店主の話では、冒険者に鑑定を頼んではどうか、と言う事だった」

 

「冒険者か・・・・・・」

 

 灰は、少し考え込んだが意を決す。

 

「先ずはギルドの受付嬢に、頼んでみるか。紹介してくれるかも知れん」

 

「ああ。行くか」

 

 二人は、ギルドへと足を運ぶ。

 

朝の依頼張り出しで、今日も賑わう冒険者ギルド。

 

何時もと変わらぬ、ある意味平和な光景。

 

二人がギルドに足を踏み入れた途端、周りの視線が此方に注がれる。

 

忌諱されている――という訳ではない。

 

しかし、好意的な視線とは程遠い色眼鏡。

 

良くも悪くも目立つのだ、この二人は。

 

なるべく冒険者達の邪魔にならぬよう、最奥の長椅子に腰掛けた二人。

 

未鑑定の品――。

 

彼は、故も知らぬ『魔法の指輪』。

 

灰は、曰く突きの呪物『法王の左眼』と正体不明の『水晶』。

 

果たして誰が、それを行えるのか。

 

片や、小鬼のみを殺す事に心血を注いで来た、ゴブリンスレイヤー。

 

片や、見栄えなど気にせず、規格外の実績を示してきた、灰の剣士。

 

一部の例外はあれど、誰一人好き好んで彼等に声を掛ける物好きは居なかった。

 

それは、同時に彼等も同じ事。

 

わざわざ、望んで一党を組む必要など無かったし、特別気にする必要もなかった。

 

だが、そのツケが今頃になって返ってこようとは――。

 

今の二人に足りないもの、それは冒険者の資質などではなく、人としての繋がりを持つという根本的な意識なのかも知れない。

 

さて、誰に頼むか――。

 

「あのう、何かお困りですか?」

 

 遠慮がちに声を掛けて来たのは、ギルドの受付嬢。

 

主に、ゴブリン退治を中心に斡旋している、三つ網を束ねた受付嬢だった。

 

「大した事ではないが・・・」

 

 彼は、彼女に指輪を見せた。

 

「わぁ、綺麗な指輪ですねぇ!」

 

 チラチラと宝石の内部から燃える指輪に、彼女の視線は釘付けになっていた。

 

彼の話では、魔法の指輪らしい事までは分かった。

 

「何処かの遺跡に行かれたんですか?」

 

 彼女の問いに、彼は”そうだ”と応える。

 

「私達は、腕の良い鑑定士を探しているのだが、正直行詰っていてな・・・・・・」

 

 灰が、今の困窮した現状を伝えた。

 

誰か紹介して貰えないか、と。

 

「魔法の道具なら、やはり魔術に精通した者・・・・・・、お一人紹介出来るかも知れませんよ」

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 男性冒険者達の視線を集める、女性冒険者が一人。

 

鍔広の帽子を深めに被り、肉感的な肢体を有す長い髪をくねらせた、魔女。

 

周りの男達がヒソヒソと囁き合う。

 

声を掛けるべきか掛けざるべきか――。

 

彼女の方は興味も無さげに、其方へは視線を向ける事も無くギルドを歩いて行く。

 

「あ、ら?」

 

 ギルドの奥の方で見知った女性、受付嬢が手を振っていた。

 

”此方に来てくれ”という意味合いなのは、すぐに理解出来た。

 

「ど、し、たの」

 

 途切れ途切れの独特の口調で用件を尋ねる。

 

受付嬢の傍には、見覚えのある男が二人。

 

「ゴブリン、スレイヤー、に。灰の、剣士・・・・・・」

 

「頼みがある。鑑定は出来るか?」

 

 ゴブリンスレイヤーが手渡してきたのは、指輪だった。

 

「鑑定、ね」

 

 魔女はそれを手に取り、注意深く調べ上げていく。

 

指輪の環の部分を指でなぞりあげたり、文字が刻まれていないか等、注意深く調べ上げた。

 

しかし――。

 

「ごめん、なさい、ね」

 

 どうやら彼女でも、効果の程は分からなかったらしい。

 

「そうか」

 

 ゴブリンスレイヤーは短く応え、受付嬢は落胆の声を上げる。

 

彼女でも分からないなら、自分の品も鑑定は厳しいだろう。

 

灰は、そう当たりを付け静観を決める。

 

「あ、ら、貴方は、いいの?」

 

 彼女は灰の方を見たが、彼は静かに首を振るのみだった。

 

しかし、彼女は言葉を続ける。

 

どうやら、一人アテがあるらしい。

 

街外れの小川の傍に、一人変わり者の魔術師が住んでいる、との事だった。

 

「そこ、ね、多分、いつ、も、居るん、じゃ、ない、か、しら」

 

「そうか」

 

 魔女の言葉に、彼も何時も通りに返す。

 

「いい、の。良い、物、見れた、から」

 

 ”林檎酒も持参して行くと良い”そんな言葉を加えた魔女。

 

「スマン、助かった」

 

 そう言い、ゴブリンスレイヤーはズカズカと歩き去り、灰もそれに続こうとした所で、灰だけ呼び止められてしまった。

 

「・・・・・・何事か?」

 

 灰は振り向き、魔女を見やる。

 

「よ、けい、な、お世話、か、も、知れない、けど・・・・・・。貴方、も、少し、自分、から、関りに、行った、方が、良い、と、思う、の」

 

「・・・・・・」

 

 灰は沈黙してしまう。

 

「色々・・・・・・、思う所があって・・・、な」

 

 フードに隠された表情は窺い知れない。

 

「・・・過去に、なに、が、あったのかは、知らない、けど。もっと、誰かと、繋がりを、持つ事、大切、だと、思う、の。・・・・・・で、なきゃ、貴方きっと、後悔、する、わ。貴方、ほっといても、人、寄って来る、けど、それに、胡坐かいちゃ、駄目。も、少し、努力、して、みて」

 

 彼女の言葉に、灰は少し驚いた。

 

まさか、他人に興味の無さそうな彼女が、ここまで人に世話を焼くとは――。

 

もしかしたら、これが彼女の本当の姿なのかも知れない。

 

「急には変われないが・・・・・・、何とかやってみよう」

 

 『貴人の一礼』で応え、灰はゴブリンスレイヤーの後を追った。

 

長過ぎた『不死人』としての生活。

 

この世界に転移した事で、真っ当な生者として生まれ変わる事が出来た。

 

とは言っても、それはほんの一月有るか無いかの非常に短い期間である。

 

北の不死院に閉じ込められて以来、始まった永きに渡る『火継ぎ』の旅。

 

何千、何万年と続いた不死の旅に比べれば、今の生活など一瞬の出来事に過ぎない。

 

その旅路で磨耗し磨り減った、精神。

 

生者に戻った事で、記憶と本来の感情が蘇りつつあるとはいえ、急に変わる事など無理からぬ事。

 

今の彼が変わるには、まだまだ時間と触れ合いが必要だろう。

 

「そ、れ、で。・・・・・・お礼、貰って、いい、かしら・・・」

 

「わ、私が、ですか?!」

 

 彼らが去ったギルド内で、受付嬢と魔女のちょっとしたやり取りが行われたそうな。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

酒場で購った『林檎酒』と『乾燥菓子』を片手に、人々の行き交う大通りを潜り抜け、歩く事暫く。

 

牧場とは正反対の方角に小川がある。

 

その傍に、水車と煙突から煙を吐いている小さな家が、建っていた。

 

きっとあれがそうなのだろう。

 

小屋にしては頑丈で、屋敷にしては何処か古びている、そんな家だった。

 

そして古い扉に不釣合いな、真鍮のドアノブに手を掛けるゴブリンスレイヤー。

 

「すまない、鑑定を依頼したいのだが」

 

 待つこと数秒――。

 

返事が無い。

 

更に幾度か繰返し、漸く反応が返って来た。

 

『空いているから入ってくれ給え』と。

 

 

 

一言で言えば・・・・・・――。

 

――・・・・・・いや何も言うまい。

 

形容し難い、異様な光景が眼前を支配する。

 

足の踏み場も無いほどの、書類や書物の山、山、山。

 

食べカスの乗った皿。

 

無造作に吊るされた、洗濯済みの衣類。

 

何やら得体の知れない、其処彼処に散乱したガラクタにしか見えない物体。

 

所謂、散らかっていたのである。

 

声の正体から、住人は若い女性である事は分かっていた。

 

しかし此処まで、散らかり放題とは。

 

部屋に足を踏み入れたゴブリンスレイヤーと灰。

 

そんな慎ましい部屋の奥に、辛うじて開拓された空間。

 

其処に住人は居た。

 

古びたローブを頭からすっぽりと覆い、魔術師然とした人物。

 

設置された作業机に向かい、色とりどりの絵札を並べては崩し、ああでもないこうでもない、と唸りながら集中している様だ。

 

「鑑定を依頼したい」

 

 ゴブリンスレイヤーは、再度用件を口にするが。

 

なかなか此方に、反応する様子が無い。

 

このままでは埒が明かないと痺れを切らした灰は、手を思い切り叩く。

 

 

           ――パァンッ!!

 

 

 

静寂を粉砕するが如き、切れのある音が戦場を一変させた。

 

「うひゃいっ?!!」

 

 ビクッと肩を震わせ、絵札が舞い散る。

 

「ちょっと!ビックリするじゃないか!」

 

 漸く振り向いた、ローブの魔術師。

 

パサリと外れた、フードから零れ落ちる金色の髪。

 

適当に切ったであろうその髪は、所々がハねている。

 

メガネに隠れたその奥には、ぼやけた緑の瞳。

 

不思議な香りを漂わせたのは、薬か香の類だろうか。

 

なかなかに容姿の優れた、若い女性である。

 

驚かされた事に多少の抗議の視線を此方に向けて来たが。

 

「この指輪の鑑定を依頼したい」

 

 彼、ゴブリンスレイヤーは気にした様子も無く、用件を伝える。

 

・・・・・・程無くして、彼と術士とのやり取りが始まった。

 

「なんてこった!まさか、《(スパーク)》を手に入れたってのかい!」

 

「ゴブリン?・・・・・・ゴブリンだって?」

 

 会話の中から、彼女の興奮した声が此方にまで伝わって来る。

 

彼の言葉に、一喜一憂の挙動を見せる彼女。

 

すぐに終わる様子は無さそうだ。

 

二人の交渉が終わるまで、その様子を見守る事にした灰。

 

 

 

――何処と無く、彼を思い出す。

 

 

 

部屋に散乱した書物の山。

 

性格や性別は違えど、何処か彼の幻影と重なってしまう。

 

『…ほう、驚いたな。こんな所に訪問者とは。それでお前、何用だ?見ての通り、ここは俺の書斎でね。何もなければ、静かな読書に戻りたいのだよ』

 

『…お前は、すごい男だな。あれだけの魔術を、すべて学んじまった。ここが竜の学院なら、お前は……いや、きっと酷く疎まれ、追放されちまっただろうな。…だが、まあ、そろそろ潮時かもしれないな。何より俺は、もうお前との約束を守れそうにない、そんなの嫌なんだよ! 』

 

『なあ、お前、無事でいろよ。学院の真似事も楽しかったぜ… 』

 

 磔の森、古びた遺跡にて出会った、魔術を志す一人の青年。

 

魔術を学ぶ事を条件に、知識の詰まったスクロールを手渡す事を約束する。

 

そして最後にはロスリック城の大書庫で、人知れず息絶えた若き魔術の探求者。

 

『ヴァンハイムのオーベック』

 

――オーベック・・・・・・。

 

眼前の彼女と嘗ての友の姿がどうしても被る。

 

 

 

これが彼女との出会いであった。

 

『孤電の術士』との出会い。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

「いやあぁあぁぁっ!・・・・・・なんでゴブリンなんか居るんですか!」

 

 悲鳴を上げる銀髪の女武闘家。

 

彼女は目下、悪辣なゴブリンと戦闘中だった。

 

「東の方で、合戦があったらしいからな。其処から流れて来た可能性もあるわな」

 

 アストラの直剣を抜き、最前列で応戦する同期戦士。

 

彼らの後方側にもゴブリン達が襲撃して来た。

 

つまり挟撃されているのである。

 

「先生、地図の作成具合は?」

 

 後ろに布陣する、狼に似た面構えの獣人の魔術師に尋ねる同期戦士。

 

「う~ん、こうも粉塵が激しいと鼻も効きませんし、道も入り組んでますからね。今暫く時間を要しますね」

 

 年齢をそれなりに重ねた魔術師だが、それ故に落ち着いた思考と冷静な判断力を備え、同期戦士も一目置いていた。

 

まだ、彼は良いのだが――。

 

「おーい!こっちに通路があるぞ」

 

「この小娘がズカズカと先に進まない様、気を配るのに苦労した」

 

「あんだとっ!」

 

「コラ~っ!戦闘中なんだからケンカは終わってからにしなさいぃ!」

 

 少女の鉱人斥侯と森人の司祭の諍い事を仲裁する、半森人の少女野伏。

 

後方から迫り来るゴブリン達に、矢を射かけながら二人を仲裁していた。

 

何とも、器用な彼女である。

 

今の所は何とか凌げているが。

 

「ぬっ?不味いですね。奥から嫌な匂いが迫って来ます」

 

 獣人の魔術師が、警戒を呼び掛けた。

 

「何か来るのか?!」

 

「これは・・・・・・、増援ですね」

 

 彼の宣言通り、程無くして奥からゴブリンの増援が駆け付ける。

 

ニタつくゴブリン達の中に一際大きな体躯をした固体が一匹。

 

「ちっ!ホブが混じってやがる!」

 

「通常種10、田舎者が1ですか」

 

 予期せぬ増援に兜を被り直し、闘志を高める同期戦士。

 

「俺とこの娘で前に出る!先生は呪文を――!」

 

「援護は要る?!」

 

 同期戦士の指示に、背後から声を掛けたのは少女野伏だった。

 

「先ずは目の前を片付けてからだ!余裕が出来たら頼むぜ!」

 

「うん!無理しないでっ!」

 

「俺が奴等を引き付けるから、君は――」

 

「はい!あの大きい奴ですよね!」

 

 其々が増援に向けて準備を整える。

 

程無くして、彼らの戦いが繰り広げられた。

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

戦いが終わった頃には、皆が疲労で座り込んでいた。

 

銀髪の少女武闘家の隣に腰掛けた同期戦士。

 

”飲むか”と手渡された水筒に、彼女は嬉しそうに受け取り、水を飲む。

 

「ぷはあぁぁ!おいしいっ!」

 

 体の隅々にまで染み渡り、大きく息を吐いた彼女。

 

二人の間で、暫しの談笑が始まっていた。

 

ただ、楽しげな二人に視線を向ける者が一人。

 

「うん?どうした・・・?」

 

 同期戦士は視線を向けて来た相手に、言葉を返す。

 

「・・・・・・別に」

 

「?」

 

 視線を向けた主、少女野伏はそっぽを向いてしまう。

 

――何なんだ?一体。

 

心底分からないといった表情で首をかしげた後、再び武闘家の方に向き彼女にある質問をする。

 

「そう言えば君、文字の読み書きは?」

 

「いえ・・・、それが全く・・・・・・」

 

 彼女はバツが悪そうに頭をポリポリと搔く。

 

「だったら一緒に学ぼうぜ?」

 

 彼の提案に、彼女は瞳を輝かせた。

 

「ええ?!教えてくれるんですか!」

 

 彼女は身を乗り出し、同期戦士との距離を詰める。

 

「・・・・・・」

 

 その様子に少女野伏の表情が曇り、胸がチクリと痛むのを感じた。

 

だが、その痛みは直ぐに吹き飛ぶ事となるのだが。

 

「おう!彼女が教えてくれるからな!」

 

 同期戦士は、少女野伏を指し示した。

 

「・・・・・・ア~・・・・・・、ソウデスカ・・・・・・」

 

 見事な位の棒読みになる銀髪の少女武闘家。

 

「あ、あははは・・・、よ、よろしくね!」

 

 何とも言えない、ぎこちない作り笑いを浮かべながら挨拶する、少女野伏。

 

――苦労しそうだな。・・・アタシも彼女も。・・・・・・彼も。

 

ヤレヤレといった表情の少女野伏。

 

彼女の胸中にあの言葉が、過ぎった。

 

 

 

――彼には、貴方が必要だ!

 

 

 

ロックイーターの襲撃で顔面を負傷し、神殿にて治療中の託された言葉。

 

例の剣士、『火の無い灰』から託された言葉だった。

 

これから先、同期戦士との関係がどうなるかは彼女自身も分からない。

 

だが、生きている限りは彼の傍で居続けよう。

 

そう胸に誓い、周囲を見渡した。

 

獣人魔術師が作成途中の地図と未だに睨めっこ状態で、鉱人の少女斥侯と森人の司祭は、相変わらず口論を続けていた。

 

 

 

彼等の冒険も戦いも、まだ始まったばかり。

 

彼等は彼等で、物語を紡いでいくのだろう。

 

 

 

 

 

そんな彼らを愛し、物語を楽しむのは、『盤外の神々』。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

中回復

 

 「回復」の上位にあたる奇跡。

 周囲も含め、HPを中程度回復する。

 

 奇跡とは、神々の物語を学び、その恩恵を祈り受ける業であり。

 その威力は術者の信仰に依存する。

 

 

 

 

 

 

 




 遂に『孤電の術士』と邂逅を果たしました。
ゴブスレさんと灰、彼らはどのような関わり見せて行くのでしょうか。
大まかには決めていますが、細かい部分は書きながら設定して行こうと思っています。
(そんなだから、何時まで経っても行き当たりばったりなんだよなぁ)♪~( ̄ε ̄;)

そして同期戦士は、銀髪の武闘家ちゃんと出会いました。
唯一原作と違うのは、半森人の少女野伏が生存し共に居る事です。
本来居ない筈の彼女が生存している。
今後彼等にどの様なストーリーが織り成すのやら。
それは誰にも分からない。
(そりゃ、決めてね~モンな)←オイっ!( ゚Д゚)

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