ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

41 / 180
 10月半ばとなり、少し冷え込んで来ました。

日中は兎も角、朝晩は少々肌寒いです。

風には気を付けねば。

それでは投稿します。


第37話―火継ぎの時代―

 

 

 

 

 

地下牢の鍵

 

 北の不死院にある爛れた扉を開ける

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 古い時代。

 

世界はまだ分かたれず、霧に覆われ。

 

灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった。

 

だが、いつかはじめての火が起こり、明かりと闇と、熱と冷たさと、生と死と、あらゆる差異をもたらした。

 

そして幾匹かの、闇から生まれた者達が火に惹かれ、火の傍から『王のソウル』を見出した。

 

 

 

最初の死者、ニト。

 

イザリスの魔女と、混沌の娘たち。

 

太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち。

 

そして、誰も知らぬ影の小人。

 

それらは王の力を得、古竜に戦いを挑んだ。

 

グウィンの雷が、岩のウロコを貫き。

 

魔女の火炎は嵐となり。

 

死の瘴気がニトによって解き放たれた。

 

そしてウロコのない白竜、シースの裏切りにより、遂に古竜は敗れた。

 

 

 

火の時代の始まりだ。

 

 

 

だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る。

 

今や火はまさに消えかけ、人の世には届かず、夜ばかりが続き、人の中に闇の印、『ダークリング』が現れはじめていた・・・・・・。

 

 

 

『そうさね、ダークリングは呪われた不死の証。だからこの国(ロードラン)では、不死は全て捕らえられ北に送られ、世界の終わりまで牢に入る。・・・・・・お前もそうなるんだよ・・・・・・!』

 

 

 

 

 

『ダークリング』の現れし者達を人々は忌み嫌い、こう呼ぶ――。

 

 

 

        ――不死人、と――

 

 

 

殺され肉体を何度失おうと復活し、代償に心が磨耗する呪われた存在。

 

喪失し続けた精神は、やがて『ソウル』を求める本能のみに支配され、それを貪るのみの『亡者』と成り果てる。

 

何時からそうなったのかは定かではないが、この男も火の陰りの影響で『ダークリング』による呪いに蝕まれた。

 

そして例外なく『不死人』となり、『北の不死院』と呼ばれる牢獄に幽閉される事となる。

 

 

 

               ――世界が終わるまで――

 

 

 

救いも希望もなく全てに絶望した彼は、諦観の内に精神が壊死し、何時しか肉体は亡者と成り果てていた。

 

そう遠くない内に、心も完全な『亡者』と成り果てるであろう。

 

 

 

               ――ある騎士に助けられない限り――

 

 

 

それは、唐突だった。

 

暗く冷たい牢獄に、一筋の光が差し込んだのだ。

 

天井の石蓋が開けられ、その隙間から死体が投げ込まれた。

 

その死体の持ち物に『地下牢の鍵』が、含まれていた。

 

全てに絶望していた彼は、暫くの間状況が飲み込めず、ぼんやりと鍵を見つめるのみだったが、やがて何かに突き動かされる様に鍵を手に取り、牢から脱出する事に成功する。

 

脱出する道中、鍵を投げ入れた瀕死の騎士と再会した彼は使命を託される事となり、息絶えた騎士に変わり『北の不死院』から脱出を決意し旅立つ事になる。

 

不死院を守るデーモンを辛くも倒し、彼は遂に不死院から抜け出す事に成功した。

 

 

 

何も無い断崖絶壁の頂上にて、巨大なカラスに捕まった彼は、何処とも知れぬ地へと運ばれる事となる。

 

辿り着いた先は、大樹の麓に存在する『火継ぎの祭祀場』。

 

その場に設置されていた『篝火』に身を寄せる様に佇んでいた男から幾つかの情報を仕入れた彼は、この時を以って本格的な旅が始まるのだった。

 

途方も無い『巡礼の旅』が――。

 

 

 

否が応なしに襲い来る亡者を捌き、生命の息吹が途絶えた旅路の中でも僅かに『人間性』を保った人達に出会いながら、彼は二つの鐘を鳴らす事に成功した。

 

其処に到るまで何度も命を落とし、精神を磨り減らしながら――。

 

 

 

不死院で力尽きた、あの騎士との約束・・・・・・、『二つの鐘を鳴らす』という目的を果たし、恩義に報いた気になっていた彼。

 

しかし、それは始まりに過ぎなかったのである。

 

 

 

二つの鐘を鳴らすという行為は、とある蛇を眠りから覚ますためのものであったのだ。

 

その蛇の名は世界蛇の 『フラムト』。

 

フラムトは語る。

 

最初の火が消えかかり、それを防ぐには大王グウィンの後を継ぎ、自らを薪となり火を継がねばならない事を。

 

フラムトの言葉で彼は初めて知る事になる。

 

『ダークリング』の存在と、その原因は『最初の火』が消える寸前であったという事実に。

 

即ち『最初の火』が勢いを取り戻せば、『ダークリング』の呪いは消え失せ、『不死人』達も元の生者に戻れる可能性が発生したわけだ。

 

彼はフラムトの指示通り、火を継ぐ為の決心をする。

 

この様な死が蔓延した世界を、再び命溢れる世界に取り戻す為に。

 

不死人になる以前の彼は労働奴隷であり、劣悪な環境での生活を強制されられていた。

 

当然良い思い出などは無く、世界を憂い救う理由など何処にも無かった筈なのだが、この時点での彼は既にその記憶を喪うほどまでに、死を重ねてきた。

 

つまりはその分、亡者化が進行していたのである。

 

従って何の疑念も抱く事無く、フラムトの指示通りに動く事になる。

 

彼は、グウィンの後を継ぎ、火の薪になる為に再び旅立つ。

 

 

 

だが、旅は過酷を極めた。

 

 

 

『王の器』を得る為に、神々の繁栄の都市『アノールロンド』へと向かった彼。

 

其処に待ち受けていたのは、何れも強大な力を誇る敵ばかりであった。

 

その中でも特に力を持ったグウィン配下の4騎士達。

 

神々に近い存在を辛くも打ち破り、彼は目的を達成してゆく。

 

その道中も何度も死に、やり直した果てに漸く『王の器』を入手し、『王のソウル』をも得る事に成功した。

 

残るは火を継ぐのみとなったが、彼には迷いが生じていたのだ。

 

 

 

闇撫での『カアス』。

 

彼はフラムトとよく似た、もう一体の蛇とも邂逅していた。

 

火を継がず、『闇の王』となるべし。

 

カアスは、そう諭す。

 

更にグウィンを始めとした神々の思惑をも暴露された。

 

それを耳にした彼は、神々に不信感と憎悪を募らせながらも、自らを犠牲としてまで世界を存続させたグウィンに対し、複雑な感情を抱く事になった。

 

憎悪しながらも、完全には憎み切る事も出来ず、彼は迷いを生じさせる。

 

 

 

火を継ぎ、人々の為に犠牲になるべきか?

 

 

 

火を継がず、神々に反旗を翻すべきか?

 

 

 

結局自分が碌な人生も歩めず、挙句の果てに死ぬ事も出来ず牢に閉じ込められる羽目になったのは、全て神々の所為ではないのか。

 

そんな思いが去来する。

 

そうだ。

 

全ては神々の思惑に踊らされていただけだった。

 

ならば取るべき答えは、一つ。

 

 

 

          ――火など継がなければいい――

 

 

 

本来の彼なら、そう選択する筈だった。

 

しかし彼の選択した答えは――。

 

 

 

          ――火を継いだ――

 

 

 

決して多くはないが、旅の途中、様々な人物に出会って来た。

 

時に協力し合い、時に敵同士となりながらも、出会って来た彼等は懸命に何かを果たそうと生き抜いてきたのだ。

 

そう――、こんな世界でも必死に生きている人達が居る。

 

そして託された使命と想い。

 

”継ぐ”のに充分過ぎる理由だった。

 

それを思い出した彼は、躊躇う事なく『最初の火の炉』へ向かう。

 

神々の思惑など、最早どうでも良かったのだ。

 

世界の為でもなく、神の思惑でもなく、ましてや自分の使命の為でもない――。

 

出会って来た人々の想いの為――。

 

志半ばで、無念の最期を遂げて逝ってしまった者達が少しでも報われる為に――。

 

出会って来た彼等の為に、挑んだ最後の敵――。

 

 

 

          ――大王グウィン――

 

 

 

戦いは熾烈を極めた。

 

歯が立たず、散々に切り伏せられ、燃やされ、粉砕され、何度も殺され、何度も篝火に戻される。

 

死が徐々に蓄積され、それに伴い自らも亡者に近付いていく。

 

とうとう万策尽きた彼の目に、あるモノを捉えた。

 

それは光り輝くサイン。

 

心も亡者に近付きつつあり、記憶も混濁していた彼だが、断片的に覚えていた。

 

 

 

(ソラール)のサインを――。

 

 

 

その結果、彼は遂に打ち破った。

 

大王グウィンを。

 

 

 

最後の敵を打ち倒し、光り輝く友の霊体が満足そうに微笑み、あのポーズを取りながら消えていく。

 

「・・・・・・太陽万歳!」

 

 彼も『太陽賛美』のジェスチャーで答え、冷気に覆われた『最初の火』に手を翳した。

 

とうとう憎み切る事は出来なかった。

 

どの様な理由であれ、グウィンという神も世界の為、そして民の為に自らの全てを代償にしてまで、火を継いだのだ。

 

実際グウィンの本心は何処に在ったのかは、定かではない。

 

少なくとも彼は信じる事にした。

 

大王グウィンも、また英雄で偉大な神であったのだと。

 

 

 

程無くして彼の翳した手に火が燃え移り、火が全身に廻る。

 

瞬く間に空間全体が火に覆われ、それは世界全体に燃え広がり、死と闇に充満した世界は再び息を吹き返した。

 

世界は救われた。

 

名も思い出せない、一人の不死人によって。

 

 

 

もたらされた繁栄は数百年続いた。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 ただ魂をむさぼり喰う 呪われ人よー

 

 

呪いの証、闇の刻印を背に 遥か北の地 貴壁の先

 

 

人の理を呼び戻す”ソウル”が存在する古の国”ドラングレイグ”に逝く。

 

 

 

 

 

お前さんも夢に見たことがないかい

 

あの失われた地のことをさ

 

そこには人の理を呼び戻せる

 

”ソウル”と呼ばれる力があるそうな

 

何もかもを失くすんだよ

 

”刻印”が現れた人間はね

 

それは、呪いの証

 

闇の刻印さ

 

過去も未来も

 

そして光さえも

 

やがて失くしたことすらも思い出せなくなったら

 

お前さんは人じゃないものになる

 

ただ魂をむさぼり喰う獣…

 

亡者に

 

遥か北の地 貴壁の先

 

かつて偉大な王の名のもとに築かれた、古の国

 

その時の名は確か、”ドラングレイグ”といったね

 

もう知ってるはずだよ

 

いいや、知らなくたっていいのさ

 

お前さんは、あの朽ち果てた門へ辿りつく

 

望もうが望むまいが

 

そして、光に惹かれる羽虫のように

 

その身を焦がすんだよ

 

何度も、何度も…

 

それしか許されないのさ

 

”呪われ人”にはね

 

 

 

 

 

一人の老婆からの言葉だった。

 

薄暗い洞窟の様な場所で再び覚醒した彼は、何が起こったのかも理解出来ぬまま朦朧とした鈍い意識を引き摺り、彷徨う。

 

ロードランで火を継いだ筈の彼だったが、その記憶は殆ど残っていなかった。

 

死に過ぎた所為だ。

 

心まで、亡者に成り果てようとしていたのだ。

 

自分が何者だったのかも思い出せぬまま、彷徨った末に辿り着いた、古びた建物。

 

何の抵抗感も無く、扉を開け中に入る。

 

其処に住まう三人の老女と一人の世話係の女。

 

『ヒェ、ヒェ・・・、騒がしいと思ったら――』

 

『おお、おお・・・、その顔――』

 

『呪いが浮き出ておるわ・・・・・・』

 

 無断で侵入した彼を咎める事無く、告げられた言葉。

 

いや、その言葉こそが咎めだったのだろうか。

 

 

 

『”不死”だよ。・・・不死が来おった――』

 

 

 

 ”不死”と言う言葉に覚えがあった。

 

 

 

頻りに彼を嘲った老女達。

 

 

 

『じゃあ、あんたの名をきこうか』

 

 突然、老女の一人に自分の名を尋ねられた。

 

自分の名を思い出そうとするが、一向に記憶から引き出される様子が無い。

 

そもそも、不死人になる以前から名前で呼ばれる事など無かったからだ。

 

いや、もしかしたら名前など最初から無かったのかも知れない。

 

どれだけ考えても思い出せない彼に、業を煮やしたのだろうか。

 

『ヒェ、ヒェ、ヒェ。これはこれは、重症だねぇ・・・・・・。・・・仕方ない、これを使うと良いさね』

 

 老女の一人が懐から取り出した奇妙な物体。

 

”人の像”と呼ばれる物を彼女から手渡され、彼はそれを握り締め深く念じた。

 

・・・

 

『さぁ、よくご覧・・・』

 

・・・・・・

 

『誰の像だと、思うかね?』

 

・・・・・・・・・

 

『そして、よく思い出すんだよ・・・』

 

 

 

「・・・・・・っ!!・・・・・・少し思い出した。私は、確か・・・・・・」

 

 結局自分の名を思い出す事は出来なかったが、これまで何を成して来たかを思い出す事は出来た。

 

『そうさ、これはお前さんの像だよ』

 

 人の像で、僅かに取り戻した人間性。

 

その後、老女の助言に従い家を出た彼。

 

ある程度の記憶と感情を取り戻した彼は、洞窟を抜け小さな港の集落『マデューラ』に辿り着いた。

 

沈みゆく落日。

 

波を打ち付ける、広大な海。

 

半ば朽ちた住居。

 

弱々しい夕日に照らされ、寂しくも辛うじて人の営みが息吹いた集落だった。

 

そこで緑衣の火防女から幾許かの情報を入手する事が出来た。

 

 

 

ロードランで一人の英雄が火を継ぎ、その繁栄が数百年続いた事。

 

その後再び火が陰り、多くの国が誕生しては失われていった事。

 

今は、英雄が火を継いだ約千年の月日が経過した事。

 

またもや火は陰り、不死の呪いが蔓延している事。

 

”ドラングレイグ”に、呪いを解く鍵が在るのではないかという事。

 

 

 

一通りの情報と準備を整えた彼は、ドラングレイグ王城を目指す事になる。

 

再び彼の旅が始まったのである。

 

 

 

長い旅路の末、王妃『デュナシャンドラ』を打ち破った彼。

 

デュナシャンドラは彼を利用し、得た莫大なソウルを奪う為に本性を顕にして、襲い掛かって来た。

 

自らが絶対者として、世界に君臨する為に――。

 

亡者と化した王を倒し、闇の眷属と化した王妃をも屠った彼は、代わりに王座に就く事となる。

 

 

 

火を継ぐ者

 

呪いをその身に、引き受ける者・・・

 

貴方が火を継げば、再びソウルは充ち、同じ事が繰返される

 

それを望むも、拒むも・・・ 貴方が決める事です

 

 

 

 

 

そして、二度目の火を継いだ。

 

辿り着くまでに、多くの死を積み重ねながら。

 

巨大な石扉は閉じられ、彼の意識は途絶えた・・・・・・。

 

 

 

          ――絶望を焚べよ――

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 三度目の覚醒。

 

彼は、見知らぬ墓場で目を覚ます事になる。

 

 

 

そうさね

 

そこはロスリック

 

火を継いだ、薪の王たちの故郷が、流れ着く場所さね

 

 

だから巡礼者たちは共に向かい

 

そして、予言の意味を知るのさ

 

“火は陰り”

 

“王たちに玉座なし”

 

継ぎ火が絶えるとき、鐘が響きわたり

 

古い薪の王たちが、棺より呼び起されるだろう

 

 

深みの聖者、エルドリッチ

 

ファランの不死隊、深淵の監視者たち

 

そして、罪の都の孤独な王

 

巨人のヨーム

 

 

けれどね

 

きっと王たちは、玉座を捨てるだろう

 

そして、火の無き灰たちがやってくる

 

名も無く、薪にもなれなんだ、呪われた不死

 

けれど、だからこそ

 

灰は残り火を求めるのさね

 

 

 

 

耳を劈き、頭が割れんばかりの鐘が鳴り響く中、人知れず石棺から目覚めた彼。

 

名も無く、薪にもなれず、呪われた不死人。

 

この時を以って彼は初めて、『火の無い灰』と呼ばれる事になる。

 

分けも分からず、再び路頭に迷った灰だが、其処に道らしきモノがある限り、進み続けるのが彼だった。

 

此処に到るまでに多くの死を重ねてきた灰は、更なる亡者化が進行し、記憶と理性以外は完全な亡者と成り果てていた。

 

ドラングレイグで使用した、人の像と呼ばれるアイテムのお陰で、辛うじて人間性を保っていたに過ぎない状態だ。

 

「・・・恐らク、火を、継がネば、ならぬ、のだろう・・・・・・」

 

 最早まともな言葉も紡げぬ体に鞭打ち、彼の旅が始まる。

 

否、今までの旅路は序章に過ぎなかった。

 

この世界で、初めて体感する事になる。

 

 

 

 

 

          ――周回(ループ)という悪夢を――

 

 

 

 

 

火を継ぐ資格者、薪の王達を故郷から連れ戻し、再び王座に就かせるのが今回の目的だった。

 

いよいよ以って、最初の火が本格的に陰り、世界が終わろうとしている時代。

 

この世界の火防女と出会い、僅かに残った亡者では無い者達の協力を得ながら、”薪”を王座に就かせた灰。

 

それが王座に連れ戻すという意味だった。

 

そして火防女の儀式にて開かれた、『最初の火の炉』への道。

 

激しい戦いの末、灰は『王達の化身』を打ち破り、三度目の火を継いだ――。

 

 

 

          ――筈だった――

 

 

 

再び灰は目を覚ます。

 

同じ棺で。

 

灰の墓所で。

 

此処からが、本格的な悪夢と絶望の繰り返しだった。

 

敵を打ち破り。

 

火を継ぎ。

 

同じ場所で、目覚め。

 

火を継ぎ。

 

目覚め。

 

火を継ぐ。

 

そして目覚める。

 

何度でも。

 

何度でも。

 

思考停止するほどに何度でも。

 

ナンドデモ。

 

NANDODEMO。

 

変わらぬ繰り返しの旅。

 

そう思っていた灰だったが、一つだけ気付いた世界の変化があった。

 

 

 

以前の周回より火が弱まっていたのだ――。

 

繰り返し、火を継ぐ度に――。

 

確実に――。

 

 

 

その結果、周回を重ねる毎に――。

 

空が暗闇に包まれ、気温が低下し、亡者達が強大となってゆく。

 

闇が侵食し、世界の終わりが迫りつつあった。

 

 

 

灰は世界の、周回の変化を皆に伝えたが誰一人耳を傾けようとはせず、以前と同じ対応を繰返すのみだった。

 

唯一人。

 

火防女を除いて。

 

火継ぎの儀式が限界にまで達していたこの世界は、遅かれ早かれ火が消えてしまう事実を告げられる。

 

更に、彼自身の人間性が枯渇寸前であり、後一度の死で完全な亡者と化す事も告げられた。

 

唯一周回の記憶を受け継いでいた彼女から、もう一つの事実を告げられる。

 

それは、最初の火が消えた後に訪れる、僅かな可能性の火。

 

どの道、次で彼自身も終わってしまうのだ。

 

彼は決意した。

 

『最初の火』を意図的に”消す”選択肢を――。

 

灰の決意に火防女は何の疑念も無く従い、遂にその時が訪れた。

 

『最初の火の炉』で待ち構える、過去の自分を含めた融合体『王達の化身』――。

 

それをも打ち倒し、弱々しく燃える『最初の火』の前で、火防女を召還しようとした矢先――。

 

 

 

侵入者が現れた。

 

 

 

彼等は、自らを『闇の王』と名乗り、最初の火を簒奪する為に侵入して来た。

 

火を奪い、その力を以って、亡者と闇の支配する世界へと作り変えようとしていたのだ。

 

死者と老人の国『ロンドール』。

 

その指導機関である、『黒教会』率いる一派だった。

 

消耗し切った肉体と精神を振り絞り、全身全霊を以って彼等との最終決戦に臨んだ、火の無い灰。

 

上半身と下半身が泣き別れしながらも、辛うじて勝利を掴む事に成功した彼は、這いながらも火防女を召還する。

 

そして遂に成し遂げた、『火を消す』という行為。

 

それもまた『薪の王』たる、使命であった。

 

この瞬間彼は、『火の無い灰』から『薪の王』と成った。

 

その直後、訪れた『死』。

 

火防女に看取られながら、達成感と充足感に満たされた彼は、完全な亡者と化し暗闇の世界にて果てた。

 

不思議と亡骸も残らず、唯一人取り残された火防女を襲う心配も無いのが、せめてもの救いだっただろうか。

 

意識が途絶えた火の無い灰。

 

 

 

彼の生涯は幕を・・・・・・――。

 

 

 

          ――下ろされる事はなかった――

 

 

 

再び彼は目覚めたのだ。

 

 

 

変わらぬ『灰の墓所』で――。

 

 

 

変わり果てた『灰の墓所』で――。

 

 

 

この『四方世界』で――。

 

 

 

そして出会う。

 

悪辣な異形『ゴブリン』と、それを殺す者――。

 

 

 

          ――ゴブリンスレイヤーに――

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

「・・・・・・以上が、大体の経緯かな」

 

 要点のみを大まか且つ噛み砕き語り終えた灰は、数時間ぶりにグラスの果汁水を一気に飲み干した。

 

そしてゆっくりと深呼吸を繰り返し、静かに目を開ける。

 

孤電の術士、彼女は終始無言であったが、今も沈黙を保っている。

 

唯押し黙り、グラスの液体に映る自分と対峙したままだ。

 

そのまま、ゆっくりとグラスに口を付け、飲み物を一気に呷った。

 

灰自身が歩んで来た『火継ぎの旅』。

 

細分化させ限り無く詳細に語り出せば、一日や二日では語り尽くす事は出来ないのだ。

 

今回は大雑把に話したが、それでも夕日は深く沈み、間も無く夜になる時間帯に達しつつあった。

 

「・・・・・・」

 

 彼女は言葉を発しなかった。

 

いや、発せなかったのかも知れない。

 

形容する言葉が、見当たらないのだ。

 

正直彼女自身、多くの知識に触れ、それなりの高み達したと自負があった。

 

知識人として、探求者として、そこそこの領域へ到達した。

 

そう自覚していたのである。

 

しかし、それが只の自惚れであった――。

 

 

 

”そんな話、誰が信じられようか?”

 

 

 

そう否定する事は容易い。

 

 

 

「――全て私の作り話でしたっ!」

 

 

 

 突如発せられた灰の言葉に、思わず反応する彼女。

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 眼前の男に視線を向ける。

 

余りに場違いな、底抜けするかの如く陽気な灰の言葉。

 

 

 

「・・・・・・なんて言ったら・・・・・・、信じるか?」

 

 彼の言葉にゆっくりと頭を振った彼女。

 

「・・・・・・君が只者で無い事位分かるさ」

 

 彼女は、漸く口を開く事が出来た。

 

「・・・・・・心の何処かで、噓であってほしい。・・・・・・そう願う私が居る事に、少々驚いているよ。・・・・・・だけど・・・・・・」

 

 歯切れの悪い語尾で、灰を見つめる彼女。

 

その表情は何処と無く弱々しく、まるで懇願する、か弱い女の顔であった。

 

 

 

「事実なのだろう」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

 余りに短くも深く心に突き刺さる、言葉の現実。

 

 

 

灰の語った事は、全て起こりえた”本当の事”だった。

 

遠い遠い過去の古き時代の”現実”。

 

そして目の前に居るのが、何度も火を継いだ不死人・・・・・・――。

 

 

 

          ――薪の王――

 

 

 

彼女は何度も深く呼吸を繰り返し、心を落ち着かせる。

 

「・・・・・・そんな大英雄たる『薪の王様』が、こんな若造だったとはねぇ・・・・・・!」

 

 皮肉めいた笑いを浮かべながら、灰に視線を向けた。

 

「・・・・・・言う所はソコか?」

 

「ップッ!」

 

「「アハハハハハ・・・・・・!」」

 

 唐突に二人は笑い出し、その笑い声は貸し切った部屋中に響いた。

 

 

 

「・・・さて、帰ろうか?」

 

 流石に長居し過ぎた様だ。

 

正午から夕暮れまで数時間、部屋を借りていたのである。

 

数ある客の中でも、彼女達位だろう。

 

因みに掛った料金は、一人金貨五枚だった。

 

流石は高級店といったところか。

 

「思っていたよりも暗いな。送って行こう」

 

 これから夜の賑わいが訪れるとはいえ、夜道を女一人で歩かせるのもどうか。

 

「おや?!優しいねぇ!・・・折角だ、ご好意に甘えようじゃないか!」

 

 灰の提案に、孤電の術士は喜んで受ける事にした。

 

「それではしっかりとエスコートしてくれ給えよ!」

 

 彼女は上機嫌で灰と腕を組み、帰路へと向かう。

 

牧場の反対側の方角、小川沿いの水車小屋へと向かう道中、彼女が尋ねる。

 

「なぁ、君。君は今も不死のままなのか?・・・・・・その、何だ・・・・・・、火を消してしまったわけで、ダークリングの呪いは今も・・・・・・」

 

 孤電の術士の質問に、灰はゆっくりと”否”と、答える、

 

「現在の私は、真っ当な生者として覚醒した。もし火が消えたままの世界なら私だけでなく、君も不死人或いは亡者として過ごしていた筈だ。残念だが、ダークリングは誰にでも平等に存在する。こうやって私達が生きているという事は、『最初の火』が灯ったという事だ。世界の何処かでな」

 

 灰の言葉に腕を組んでいた彼女の震えが、彼にも伝わって来る。

 

「・・・・・・慎ましい位の、おぞましい事実じゃないか。私にもダークリングがあるなんて・・・・・・」

 

 思わず目を背けたくなる現実。

 

無関係だと思っていた不死の呪い『ダークリング』が、よもや自分にも存在しようとは。

 

「残念だが、逃れ得る術は無い。もし火が陰れば、誰にでも不死の呪いは発現する。・・・・・・『宵闇の時代』東国の術士は、結界を強化する事で呪いを防いだらしいが、詳しい事は分からない」

 

『最初の火』が誕生し、『王のソウル』を見出した大王グウィン達。

 

 しかし名も知らぬ小人は、『最初の火』から一つのソウルを見出した。

 

火の影にひっそりと、だが厳然と存在していた”それ”は確かに在ったのだ。

 

 

 

          ――ダークソウル――

 

 

 

人が火から生まれ出でたと言う事は、ダークソウルから誕生したのと同義。

 

即ち人が存在し続ける限り、ダークソウルは決して消失する事が無い。

 

光と闇は、等しく、また等価なモノ。

 

それは宿命でもあった。

 

「だからこそだろうな――」

 

 灰の言葉に彼女は再び視線を移す。

 

「私達は、闇を恐れ、人という枷にしがみ付き、・・・・・・それでいて人間性の闇がもたらす新たな可能性を求め続けるが故に・・・・・・」

 

 

 

「火に惹かれ続けるのだろうか」

 

 

 

 ”人”とは何なのだろう。

 

灰は、この四方世界という新たな世界で生まれて初めて”人”という存在に、哲学めいた疑問を投げ掛けた。

 

――今思えば、あの契約者『積む者』達も、人の枷に拘り続けたが故の末路なのだろうか。

 

嘗ての時代に存在した、狂いし契約者『積む者』。

 

他者の世界に侵入し、殺害した相手の椎骨を抜き取り『亡者の穴倉』と呼ばれる祭壇へ捧げる、狂った業。

 

人間性の闇が暴走した結果、元が何だったのかも判別出来ないほどに変わり果て、見るも無残な異形の怪物へと変化してしまった多くの者達。

 

その原因は火が陰った事にある。

 

それに伴い増大してゆく、ダークソウルの力。

 

増大した闇の力が、人という枷をも崩壊させた挙句、不死を始めとした人間性の闇を暴走させるのかも知れない。

 

――故に、『積む者』達は変化を恐れ、人という枷にしがみ付き、人で在り続けようとしたのだろうか。

 

だが、考えれば考えるほどに、深みへと入り込み抜け出せなくなってしまう。

 

その時、腕を組んでいた孤電の術士から、肘で脇腹を小突かれた。

 

その衝撃で、ふと我に返る。

 

「いかんなぁ!狂気に飲まれる、原因だぞ!・・・今のは」

 

 彼女の言葉で、瞬時に現実へと引き戻された。

 

気が付けば、其処は彼女の家の前だった。

 

灰が答えの出ない考察の間に、何時の間にか目的地に辿り着いていた様だ。

 

「・・・・・・スマン。私とした事が・・・・・・」

 

 あれだけ彼女に狂気に飲まれる事を良しとしていなかった自分が、自ら狂気の深みに足を踏み込む所だった。

 

「何処かで、折り合いをつけなきゃあな。深みから抜け出せなくなるぞ!」

 

「・・・ああ、全くだ。面目ない」

 

 彼女に窘められ、申し訳なさそうに頭を搔く。

 

「ふふっ、今日のデートは本当に楽しかったよ!」

 

 思わせぶりな表情で灰を見やる彼女。

 

「今回のは大まかに話しただけだ。これ等を切り詰めれば、一週間や二週間位は掛かるぞ?」

 

 彼女に話したのは、重要部分だけだ。

 

目的に辿り着き、使命を達成する過程で、実に多くの人々と出会って来たのである。

 

その言葉を聞いた彼女は暫しの逡巡の後、彼の顔に自分の顔を思いっ切り近づけ囁く様にこう言った。

 

「残念だが、明日は予定があってね。私を求める男は、後を絶たんのさ」

 

 ”明日は別の男とデートでね”と、息を吹き掛ける。

 

昼間飲んだ酒と林檎の甘い香りが、微かに灰の鼻腔を擽るが、屋外という事もあって直ぐに掻き消される。

 

「そうだな。私も明日から冒険者として、活動する事にする」

 

 折角黒曜等級にまで昇格したのだ。

 

ゴブリン退治以外の依頼を受けてみたい願望もある。

 

「うぅ~~ん・・・・・・、君さえ良ければ、泊まっていっても良いんだぞぉ?」

 

 両腕を頭上で組みながら、目一杯背伸びをして身体を解す彼女。

 

何故か豊かに実った胸を突き出し、彼に流し目を送る。

 

「幸い寝る場所なら在るぞぉ?例えば、私の寝台とか、私の寝台とか、それから・・・、私の寝台とかなぁ・・・・・・ん?」

 

 強調したかの様な柔らかい声音に変え、彼の反応を待つ。

 

「・・・・・・」

 

 灰は、無言だった。

 

反応に困ったというのもあるが、何より彼女の微妙な変化に気が付いていたのである。

 

彼は、彼女の頬にそっと手を添える。

 

「――っ?!!」

 

 手が触れた瞬間、彼女はビクッと体を強張らせた。

 

「・・・・・・申し訳ない・・・!私の所為で、大分怯えさせてしまったのだな・・・・・・!」

 

 灰の申し訳なさそうな表情が、二つの月光に照らされ、橙色の瞳が一層映え渡る。

 

そう、彼女は怯えていたのだ。

 

火継ぎの物語りを聞き、店を出た時からそうであった。

 

灰と腕を組んだ時、それは確信へと変わった。

 

彼女の僅かな震えが、彼女の腕から灰にも伝わっていたのだから。

 

 

 

――聞かせるべきではなかった!

 

 

 

実際は彼女が望んだ事なのだが、彼は自らの行動を悔いる。

 

四方世界の住人にとって、彼の時代は余りに、おぞまし過ぎる。

 

殆どの生者が姿を消し、死と終焉が蔓延する世界へと変わり果てた時代。

 

『火が陰る』とは、そういう世界を生み出してしまうのだ。

 

灰に見せた彼女の思わせ振りな態度も、その恐怖心を少しでも紛らわせようとした故の抵抗だろうか。

 

日の出まで、一緒に居てやるべきだろうか?

 

 

 

「・・・・・・バァカッ!仮にも君より年上だぞ!気を使い過ぎだっ!この、お人好し!!」

 

 孤電の術士はそっぽを向き、灰を胸をドンと突き飛ばした。

 

心なしか彼女の頬が朱に染まっていたのは、月明かりの所為だろうか。

 

どうやら心配ご無用らしい。

 

その後灰は別れを告げ、宿へと帰路に就いた。

 

 

 

誰も居ない自分の家で、机に向かった彼女は一人深呼吸を繰り返した。

 

高鳴りを続けていた鼓動を、少しでも落ち着かせようとしていたのである。

 

「・・・・・・はぁ~~・・・・・・。まったく、私らしくもない・・・・・・」

 

 一人ごちりながら、灰の話を思い返していた。

 

ロードラン、ドラングレイグ、ロスリック。

 

最初の火、不死の呪い、火継ぎの時代。

 

生者、不死人、亡者。

 

ソウル、王のソウル、そして・・・――。

 

 

 

「ダークソウル・・・・・・か――」

 

 胸に手を当て、落ち着きを取り戻した鼓動を感じ取る。

 

彼によれば、人は皆等しくダークソウルを身に宿しているのである。

 

「もしも、私がその時代に居たとしたら、きっと・・・・・・」

 

 例え彼女とて例外では無い。

 

ダークリングが顕れれば、皆平等に不死人と成るのだから。

 

彼女は慌てて頭を振り、別の考えに切り替え様とした。

 

「そう言えば、他にも興味深い事を話していたな」

 

 火継ぎの旅を大まかに話していた彼だったが、その中でも興味を引く単語が幾つか散見していたのである。

 

魔術の国、『ウーラシール』と『ヴァンハイム』。

 

混沌の廃都『イザリス』、そして魔女達。

 

その混沌より生まれ出でた、デーモン達。

 

ビッグハットのローガンとソウルの魔術。

 

実に興味深かった。

 

ある程度は古文書として、この時代にも伝わっているが、それはほんの極一部でしかない。

 

気付けば、彼女の恐怖心は何処かへ消え去っていた。

 

「いかんいかん。これ以上は、踏み込むべきでは無いな。目的を忘れ、達成出来なくなる」

 

 孤電の術士、彼女にも成すべき目的がある。

 

火継ぎ時代の知識に見せられ、必要以上に踏み込む事は、現に慎まれるべきである。

 

余りに膨大過ぎ、魅惑的で恐ろしくも悲しい、彼の時代。

 

のめり込めば込むほど、狂気に駆られ深淵から抜け出せなくなるだろう。

 

漸く『灯の指輪』を手にしたのだ。

 

是が非でも、悲願を成就せねば。

 

「寝るか。明日は、あの男が訪ねて来るんだったな」

 

 着替えを済ませ明日の準備を終えた彼女は、寝台へと潜り込む。

 

明朝には、『灯の指輪』を持って来た一人の冒険者と行動を共にする。

 

その冒険者とは、ゴブリンスレイヤー。

 

 

 

 

 

時を同じくして、一人宿へと足を運んでいた火の無い灰。

 

二つの月が天高く登り、月光に照らされた街中の大通りは、人の姿も疎らだった。

 

川沿い小屋での別れ際、孤電の術士の言葉を思い出していた。

 

 

 

――盤の外の世界と其処に住まう神々の存在を、君は信じるかい?――

 

 

 

唐突に告げられた彼女の言葉が、頭から離れない。

 

「盤外と、その神々の存在・・・・・・」

 

 一人、繰り返し呟く灰。 

 

世界は、ひとつだけでは無い。

 

それは彼自身も、身を以って知っていた。

 

『白いサインろう石』や『赤い瞳のオーブ』を使い、自分の世界とは似て異なる、多次元への侵入や呼び込みを可能としていたのだ。

 

あの時代では、ちょっとした弾みで世界がズレてしまう。

 

それが当たり前の時代。

 

だが、此処とは全くの別世界の存在を仄めかされてしまった。

 

「盤外、か・・・・・・。ロードランの神々も存在するのだろうか」

 

 一人夜空を見上げ、二つの月を見やる。 

 

嘗て辿った旅路で、様々な形で関って来た『ロードランの神々』。

 

もしも――。

 

もしも、何らかの方法で盤の外へと到り、その神々と再び邂逅出来るのだとしたら――。

 

 

 

「私は・・・・・・」

 

 自然と拳に力が篭る。

 

「・・・・・・俺は――」

 

 

 

 

 

          ――どうしたい?――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

人の像

 

 あたたかく柔らかで、影のように暗い色の像。

 

 使用すると亡者から生者に戻る。

 また、篝火に投げ込むと暫くの間、他者の世界との繋がりが薄くなり

 侵入や協力が制限される。

 

 この像をじっと見ていると、人の姿が浮かんでくる。

 その姿は、見る者によって違っているという。

 

 

 

 

 

 




 大まかな部分とはいえ、ダークソウルのお話を聞いてしまった『孤電の術師』。

彼女と指輪を巡り、話が展開しそうです。

う~ん、短くあっさりした物語にする予定だったのですが、長くなりそうだ。

如何だったでしょうか?

感想、評価、お気に入り登録、誤字脱字指摘してくれる方々、そして何より、こんな稚拙な作品を読んで下さる方々、本当に感謝です。

デハマタ( ゚∀゚)/

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。