ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

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ど~も、またまた投稿いたします。

何か、UA数がすごい勢いで上昇しています。

書いたは良いが、自信が無かったのでチラシの裏に投稿したのですが。

ダークソウルシリーズ、ゴブリンスレイヤー。

この両作品が、皆に愛されている事が良く解ります。



私の、火の無き灰よりもゴブスレさんの方が、ダークソウルらしいキャラクターだと

思っています。

きっと、私だけでは無い筈。

それでは、投稿いたします。(゚∀゚)ノ


第4話―黒いゴブリン―

――あらすじ―― 

 

 

 

ゴブリンスレイヤーと邂逅した火の無き灰。

 

両者は、互いに共同戦線を張る事にした。

 

この変化した世界で、灰は何を思うのか?

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 鎧戦士は、傍のゴブリンに突撃し剣を突き刺す。

 

確実に息の根を止める為、急所の一つである喉を目掛けて!

 

一匹を始末した後、剣を引き抜く事無く振り向き様に、左腕にマウントさせた小盾で、もう一匹を殴り殺した。

 

更に、二匹のゴブリンが怒りを露にして、飛び掛って来る。

 

鎧戦士は、焦る事無く倒したゴブリンのナイフを拾い上げ、一匹に投擲する。

 

ナイフは寸分違わずゴブリンの頭部に命中、即死に至らしめた。

 

 

 

 

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剣を確実な動作で引き抜き、突進して来るゴブリンの棍棒を小盾で受け流し、ゴブリンの体制を崩した。

 

体制の不安定なゴブリンに、躊躇する事無く剣で頚動脈を掻っ切る。

 

「GuyeAaa・・・・・・!!」

 

 多量の血を噴出し、ゴブリンは息絶えた。

 

「これで4」

 

 そう呟き次の標的に狙いを定める鎧戦士。

 

 

 

――あの鎧戦士、手馴れているな。この異形達に詳しいのだろうか?

 

 

 

灰は、鎧戦士の戦い振りを横目で視界に捉えながら、弓を持ったゴブリンの集団に疾走し、距離を詰める。

 

「――Go?!GOob!!」

 

動揺したゴブリン達は、急いで矢を放ち迎え討つ。

 

だが狙いの定まらない苦し紛れの射撃など当たる筈も無く、灰の疾走は止らない。

 

少々、大振りだがクラブを横に薙ぎ払い、三匹のゴブリンを粉砕する。

 

弓しか装備の無いゴブリンにとって、至近距離は正に鬼門。

 

成す術も無く、二匹のゴブリンが倒れた。

 

残された弓装備のゴブリンが、その隙に灰から距離を取る。

 

更に纏めて撃破されない様、お互いの距離を程々にバラけさせ、射撃体勢に移行した。

 

「成る程、学習能力は備わっているのか」

 

 灰は、闇雲に距離を詰める事を止め、様子を窺う事にした。

 

「Gufee!」

 

 ゴブリンの掛け声と共に、番えた矢が一斉に放たれる。

 

十分に引き絞られ張力を得た矢は、全て灰目掛けて襲い掛かる。

 

弾速も狙いも先程とは、比べ物にならない。

 

灰は、前方にローリングを試み、続けさまに左にステップ、右にローリングと、回避と接近を同時に行う。

 

ゴブリンも灰の動きに僅かだが慣れ始めたのか、回避行動の合間を狙い矢を射掛ける。

 

しかし、灰のスピードに完全対応出来ていない為、矢は当たらない。

 

ゴブリンの必死の迎撃も虚しく、灰の接近を許し一つ又一つと打ち倒されていく。

 

残された二匹の内、一匹が灰の攻撃後の隙を狙い矢を射った。

 

矢は、灰の額目掛けて飛んでゆく。

 

「GOA!」

 

 

 

 

 

 その賽の出目は、クリティカル!!

 

混沌の神々は、注目しました。

 

太陽の光の神が持ち込んだ駒。

 

火の無き灰。

 

この灰自身が賽を振らせない為、能力の大半を制限したにも関わらず、自分達の駒が無慈悲に倒されていくのです。

 

元々ゴブリンという駒は冒険者に倒されるのが役割である為、それ程感情移入もして無かったのですが、此処で文字通り一矢報いたと言えましょう。

 

混沌の神々も、矢を射たゴブリンもそう確信しました。

 

 

 

矢は、間違いなく命中したのです。

 

 

 

 

 

・・・・・・そう。

 

 

 

 

 

灰のクラブに。

 

 

 

「――?!!」

 

 正しくは、灰の顔面に命中する筈だった矢が、クラブで防御されただけの事である。

 

灰は、その隙を見逃す筈も無く、下からクラブをアッパー気味に振り上げ、ゴブリンを打ち上げた。

 

そして、落下して来るゴブリンに容赦なく、右背足の回し蹴りで首をへし折る。

 

 

 

 

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吹き飛ばされたゴブリンは墓石に激突、そのまま憐れな生涯を閉じた。

 

 

 

彼もまた、賽を振らせぬ者。

 

 

 

若しかしたら、勇者に比肩し得る存在なのかも知れない。

 

 

 

その結果を観ていた混沌の神々達は、些か落胆の色を見せました。

 

しかし、蛇の神が発言します。

 

此方側にも存在する、と。

 

太陽の光の神は、無表情で盤を見つめ沈黙を保っていました。

 

 

 

 

 

「流石に黒曜等級だな、相当の手練れだ」

 

 鎧戦士は、灰を見てそう呟いた。

 

 

 

その後も鎧戦士と灰の共闘により、グンダの居た広場に陣取っていたゴブリン達は殆ど駆逐された。

 

残存したゴブリンは敗走し、大食らいの結晶トカゲの住処へと我先に逃走する。

 

残されたのは、大型の緑色の異形。

 

そう、ホブゴブリンだけである。

 

 

 

鎧戦士と灰は、前方のホブゴブリンと対峙する。

 

手には、大きめの棍棒、ラージクラブを所持している。

 

柄の部分が太過ぎて、人間に握れる代物ではない。

 

奪ったところで使う事は不可能だろう。

 

「見ての通りだ。ホブの筋力は、並のゴブリンを凌駕する。真面に食らうなよ」

 

 鎧戦士が、大型の異形についての特徴を簡潔に説明する。

 

ホブ?この異形を指すようだ。

 

先程から戦っていた異形は、ゴブリンと言う名前か。

 

ゴブリンと言う名は聞いた事も無かったが、彼は随分詳しい様だ。

 

この場を切り抜けたら、詳しく聴いてみるとしよう。

 

灰はそう決め、更に鎧戦士に尋ねる。

 

「何か有効な戦術は有るか?」

 

「――有る」

 

鎧戦士は、短く言い切った。

 

「注意を引け!俺が奴の急所を突く!」

 

 ぶっきらぼうに応えるが、逆に信用できそうだ。

 

余計な事は言わず、必要な事だけを伝えてくれる方が、戦場では有り難い存在だ。

 

更に妥当な判断だと思う。

 

彼は、自分と違い剣を装備している。

 

斬撃、刺突なら直接内臓器官や血管に、致命傷を与える事が可能だ。

 

ホブ位の体格が相手では、木製のクラブは、重さも強度も若干心許ない様に思えたからだ。

 

加えて、敵は碌な防具を装備しておらず素肌を晒している。

 

「任せろ、必ず隙を作る」

 

 灰は、そう応え。

 

「では行くぞ!」

 

 鎧戦士の号令と同時に、両者が敵に向って疾走する。

 

「GuAooo!!」

 

 ホブは唸り声を上げ、ラージクラブを上段から振り下ろす。

 

しかし予備動作が非常に緩慢な為、大降りの攻撃は虚しく地面を叩く。

 

威力だけは無駄に有るのか、地面に衝撃が走った。

 

直撃すれば只では済まない事は想像に難くない。

 

余りに大降りな予備動作、灰は”フェイントを狙ったのか”と勘繰る程だった。

 

灰はホブの注意を此方に釘付けにする為、やや遅く弱めの攻撃をに叩き込む。

 

防御し易い様、わざわざ加減した攻撃だ。

 

案の定ホブは空いた手で、灰の攻撃を防いだ。

 

ホブの腕は若干痺れたが、灰を大した脅威では無いと判断した様だ。

 

そして口元を吊り上げ、灰に横薙ぎの攻撃を繰り出す。

 

灰は敢えてギリギリまで引き付け、屈んで躱す。

 

直ぐ構え直し切り返して来たホブの、ラージクラブをバックステップで回避。

 

その後反撃を繰り出し、ホブにわざと防御させる。

 

こうして接戦を繰り広げている様に演じてみせた。

 

その功あって、ホブは完全に慢心して灰にのみ意識を向けていた。

 

結果、真後ろの鎧戦士の事など何処吹く風である。

 

鎧戦士が、完全に必殺の間合いに入った事を無言で灰にサインを送った。

 

灰はそれを確認し、小さく頷く。

 

そして、突如。

 

「ウオォォァァァーーー!!」

 

 ホブもたじろぐ様な、雄叫びを上げた。

 

 

 

戦技『ウォークライ』

 

雄叫びにより自身の心身を鼓舞する事で、大きな力を発揮する技である。

 

灰は過去の強敵との戦いを思い返し、その精神を同調させる事で己を鼓舞したのだ。

 

準備は整った。

 

灰の目付きが、妖しく輝く。

 

「Gye?」

 

 灰の変貌振りにホブも気圧される。

 

その隙を見逃す事無く灰は大地を蹴り、先程とは桁違いの速度でホブに肉薄する。

 

――ホブは、防御体制に入った。

 

ラージクラブを使い、頭部と胸部をガードする。

 

…それこそが、灰の狙いであるとも知らずに。

 

灰が狙ったのは、ホブの両足の脛である。

 

灰は懐に潜り込み、右袈裟、左袈裟、左右の横薙ぎ、逆袈裟の切り返し、計六連撃をホブの両脛に叩き込んだ。

 

「GoBuuagyaaa・・・・・・?!!」

 

 ホブは絶叫し、両膝を地に着けた。

 

灰の連続攻撃に、ホブの脛は粉々に砕け散っていた。

 

真面に動ける筈も無い。

 

灰はホブから飛び退き鎧戦士に叫ぶ。

 

「今が好機!」

 

 鎧戦士は既にホブに接近し首左右の頚動脈を切断した後、後頭部に剣を突き刺す。

 

ホブゴブリンは呆気なく絶命した。

 

 

 

 

 

 

 

 漂っていたソウルが、灰に流れる。

 

しかし鎧戦士には、流れては行かなかった。

 

……?

 

灰は、些か疑問に思いながらも鎧戦士に声を掛ける。

 

「有り難う。君のお陰でこの場を切り抜ける事が出来た」

 

 灰は、一礼と共に感謝の意を示した。

 

「礼には及ばん。俺は、ゴブリンを退治しに来ただけだ」

 

「ゴブリン?さっきもそう言っていたな、この異形の事か?」

 

 灰は、抱いていた疑問を口にした。

 

「?、お前も冒険者だろう?ゴブリンを知らない筈が無い」

 

 鎧戦士は、少し首を傾げる。

 

 

 

「いや、知らないな。『ゴブリン』も『冒険者』も初めて聞く名だ。君こそ、火の無き灰なのだろう?」

 

 灰は、正直に答えつつも鎧戦士に質問する。

 

「火の無き灰?それこそ、聞いた事も無い名称だ」

 

「……」

 

「……」 

 

 

 

 鎧戦士と灰の間で沈黙が流れる。

 

どうにも両者の会話が、噛み合わないのだ。

 

 

 

両者は、お互いの持ち得る情報を共有する事にした。

 

鎧戦士にとって時間の浪費は避けたかった。

 

だが、この男が冒険者で無いと言うなら不必要に巻き込むわけには行かない。

 

 

 

そして灰にとっても、情報収集は生死を分ける。

 

若しかしたら、これまでの常識が通用しない恐れがある。

 

二人は、お互い承諾し情報を交換し合った。

 

 

 

鎧戦士は、この四方世界の概念について。

 

そして冒険者、自分の目的、最後にゴブリンに関して、大まかに説明する。

 

 

 

灰は、火継ぎの世界。

 

そしてソウルの概念、不死の呪い、最後に自分の現状を告げた。

 

 

 

再び両者に沈黙が流れる。

 

 

 

 

どちらも、僅かに懐疑的にではあるが、鎧戦士が尋ねる。

 

「ダークリングとやらが、消えているのであれば『不死人』では無いのだろう?」

 

 灰は、歯切れの悪い答えを返した。

 

「……正直、確証が無い。前の世界では復活出来たが、この世界で死ねば、どうなってしまうのか」

 

 試す勇気も無い。

 

本当に終わってしまう可能性も、否定し切れないのだ。

 

 

 

「俺なら、不死の呪いを喜んで受け入れるがな」

 

 鎧戦士は、本音をポツリと漏らす。

 

「――っ!?馬鹿を言ってはいけない」

 

 灰は、突如立ち上がり鎧戦士を睨み付けた。

 

恐らく鎧戦士は、不死の呪いで、死に覚える事を当てにしているのだろう。

 

彼のゴブリン殲滅に対する覚悟は、さっきの情報交換で充分伝わった。

 

ゴブリンに関しての苦痛なら、幾らでも受け入れるだろう。

 

しかし不死の呪いの終着点は、心無き亡者だ。

 

死に続け、記憶、感情、理性を代償に蘇生し続ける、終わり無き責め苦。

 

只々本能に従うだけの、生ける屍。

 

「君に家族が……もう居ない事は聞いた。だが、家族以外にも大事な人は、居るのでは?」

 

 

 

――しまった!

 

 

 

必要以上に、この男に介入しようとしている。

 

――私に彼の受けて来た苦痛の何が解るというのだ。

 

ましてや会って間も無い赤の他人の領域へ、土足で踏み込もうとしている。

 

灰は、自責の念に駆られ座り込む。

 

「すまん・・・・・・、君の事も禄に理解しないまま、感情が先走ってしまった」

 

 灰は、鎧戦士に謝罪した。

 

 

 

鎧戦士は、ゆっくり立ち上がる。

 

「気にするな。だが、お前の言う通り大事な人が居る。幸せに生きて欲しいと、切に願う」

 

 そして不死に対して魅力を感じていた事も、本心であった事を伝えた。

 

「お前も充分苦しんだのだろう?なら、この世界で自由に生きろ」

 

”俺はもう行く”とだけ伝え、鎧戦士は歩き出す。

 

 

 

「もう行くのか?」

 

 灰は、急いで立ち上がった。

 

 

 

「ゴブリン共は残っている。見逃す理由にならん」

 

 鎧戦士は、灰の辿って来た道を歩もうとする。

 

 

 

「私も同行させては、貰えないだろうか?」

 

 灰は、同行を申し出た。

 

「何故だ?お前は冒険者では無い。俺に協力する義理も義務も無い筈だが?」

 

 

 

 灰は、言葉を返す。

 

「理由なら有る。灰の墓所に関しては、些かの土地勘は有るし、ソウルで敵の位置もある程度感知できる」

 

 私を有効活用してみないか?

 

そう付け加えながら。

 

「……」

 

 

 

 鎧戦士は、逡巡していた様だが。

 

「いいだろう。使ってやる……!」

 

 短く頷き、前進した。

 

灰も後に続く。

 

そして灰は、初めて気が付いた。

 

ロスリック城が無くなっている。

 

通りで陽光が良く差し込んでいたわけだ。

 

この分だと、火継ぎの祭祀場も存在しているかどうか怪しい。

 

 

 

 

 

再び、二人の探索が始まった。

 

 

 

 

 

「奥にそんな化け物が?」

 

「間違いない。ホブとやらが、女を担いで通路に入って行くのを見た。大食らいの結晶トカゲの住処にな」

 

 灰は、出来うる限りの情報を鎧戦士に提供する。

 

 

 

「間違い無く、先行した冒険者の一人だな」

 

 鎧戦士は、数はどの位かと尋ねる。

 

 

 

「ホブを含めて12匹」

 

 短く返答し。

 

 

 

「逃げた奴らが8匹……、合計20も居るのか」

 

 鎧戦士は、忌々しげに言葉を発す。

 

「既に俺達の侵入は、バレてる筈だ。警戒を怠るな!」

 

 灰に警戒を促す。

 

道中にソウルを感じない為、待ち伏せの様子は無さそうだ。

 

しかし両者は念の為、慎重に歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑色の大柄な体躯を持つ異形。

 

通称ホブゴブリン。

 

先祖返りにより大きな躯体となった、ゴブリンの進化形態の一例。

 

膨張した筋肉と大きな体躯は、筋力、体力共に優れ、ゴブリンを統率する事も多い。

 

ゴブリン達の上位種。

 

 

 

「Goa!Goa!Goa!Goa!」

(くそ! くそ! くそ! くそ!)

 

 その上位種たるホブゴブリンが、焦りと苛立ちの様相で自らの鬱憤を全裸の女性に、向けていた。

 

「・・・・・・うぅ、あぁ、ひぐぅっ」

 

 ホブゴブリンが女に跨り、負の感情をぶつける。

 

既に女の意識は虚ろで、その目も光を宿していない。

 

焦点の合わない瞳が、虚空を泳いでいる。

 

 

 

ゴブリンに雌が存在しないが故。

 

多種族の女を種の保存と快楽を満たす為、孕み袋として巣に持ち帰る。

 

そしてゴブリン達に弄ばれ続け、大抵は悲惨な結末を迎える。

 

この女も冒険者の一党から、攫った者で当然孕み袋として生かすつもりだった。

 

しかし、今のホブは己の鬱憤を、負の感情を一心不乱に女に、ぶつけていただけであった。

 

こうでもしないと自分が保てないのだ。

 

その感情には、怯えも含まれていた。

 

 

 

遠巻きに見ていたゴブリン達は、当惑するのみであった。

 

広場に侵入者有り!

 

その報告を受けていた為、リーダーでも在るホブの命令で、迎撃体制に入ってはいるが。

 

このままでは、折角の孕み袋が壊れてしまうではないか!

 

ホブが余りに乱雑に扱う為、不審の目を向けるゴブリン達。

 

「GyeAa!!」

(クソがぁ!貴様らは、警戒を怠るんじゃねぇ!黙って従え、判ったかぁっ!!)

 

 ホブが、己の感情を部下のゴブリン達にも容赦なくぶつける。

 

力では勝てないので、渋々命令に従うゴブリン達。

 

 

 

 

 

在る一匹を除いて。

 

 

 

 

 

その一匹は、ホブに臆する事無く語りかけた。

 

「Guoru?」

(何をそんなに焦っている?仮にも頭目だろう?)

 

 

 

腕を組み背を壁にもたれ掛け、感情も無くホブに問う。

 

 

 

そのゴブリンは、明らかに他のゴブリン達と違っていた。

 

体格は、ホブよりやや小さく細め、筋肉量も劣っている様に見えるが、実際は高い密度で凝縮された感じだ。

 

金色の毛髪量は豊富で、顔もゴブリンにしては不快感を与えない程度に整っている、返り討ちにした冒険者の防具の一部を装備しており、最も顕著なのが赤い獣の様な目。極めつけが全身黒い体色をしているである。

 

只人の、成人男性に近いといっても過言では無い。

 

否、見た目は闇人に酷似しているだろうか。

 

ホブなど問題にならない、圧倒的存在感を放っていた。

 

カリスマと言っていいだろう。

 

実際、報告に来たゴブリン達は、この黒い異端のゴブリンに対して真っ先に報告した位なのだ。

 

 

 

 

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ゴブリン達は、否!ホブも含めて悟っていたのだ。

 

 

 

コイツは、何かが違う!

 

コイツは、何かを変えてくれる!

 

コイツは、俺達を導いてくれる!

 

 

 

誰もが、魂で悟っていた。

 

 

 

――だからこそ、許せんのだ!

 

ホブは、生まれ持って優れた体躯を授かっていた。

 

同族のホブに比べ、筋力も強く巣の中で異彩を放っていた。

 

嘗ての頭目であった、先代のホブを打ち負かし部下丸ごと巣を掌握した。

 

他の村を襲撃し略奪を繰り返し、勢力を拡大してきたのだ。

 

その度に学習し、経験し、自身も力を蓄えていった。

 

知能もそれなりに備わっている。

 

このまま順調に行けば、このホブ自身も進化してチャンピオンやロードになれる素質は充分に足る固体なのだ。

 

それが今、瓦解しようとしている。

 

この突如現れた、黒いゴブリンの介入によって。

 

 

 

 

 

 集団を率いて、このねぐらを探し当てた。

 

所々に、アンデッド(亡者)の屍が転がっていた。

 

部下共には、その装備を与えてやった。

 

存外悪くない、新しい巣に相応しい。

 

 

 

だが既に先客が居たのだ。

 

この黒いゴブリンが。

 

不思議な火を焚いていた。

 

そして奴は、こう言ったのだ。

 

「お前を見極めさせてもらう」

 

 最初は、特に問題にもしなかった。

 

部下達も奴を奇異の目で見ていたからだ。

 

切っ掛けは、水晶を纏った巨大なトカゲと遭遇した時だった。

 

奴は、圧倒的なパワーとスピードで、そのトカゲを屠った。

 

それからだ、部下のゴブリン達が、奴に注目し始めたのは。

 

数日後、我らゴブリンの因縁の宿敵。

 

冒険者が現れた。

 

此処で力を示せば、自分の支持率が上がるだろう。

 

だが、予想以上に手強かった。

 

そこで奴が、再び介入したのだ。

 

二人の戦士を瞬殺し、残りの雌を気絶させた。

 

戦士の一人は極力損傷を与えない様に、頭部のみを潰していた。

 

その、衣服と装備の一部を奪い、奴の服装としていた。

 

倒した冒険者に手を掲げ、何やら靄の様な物を吸い込んでいた。

 

ソウルがどうとか言っていた。

 

だがっ!

 

そんな事は、どうでもいい!

 

問題は、部下の関心が奴に向いている事だ!!

 

ふざけるな!

 

此処のボスは、俺様だ!!

 

 

 

ホブの、動作が一層激しさを増す。

 

「がっ、あぐっ!ぐひぃっ!!」

 

 女は、目を見開き悲鳴を上げる。

 

黒いゴブリンは、呆れた表情でホブを諭しに掛かった。

 

「GuuROou」

(良いのか?貴重な孕み袋をぞんざいに扱って。共有財産だという事を忘れるな)

 

ホブは立ち上がり、女を邪魔とばかりに蹴飛ばした。

 

「BuGoa!!」

(俺に指図するんじゃねぇ!クソがぁっ!!)

 

ホブは、渾身の右ストレートを黒いゴブリンに放つ。

 

十分に踏み込み、力を逃がす事無く、全体重を上手く拳に乗せたフルパワーの一撃。

 

当たれば、こいつと言えども無事では済まない。

 

広場のホブゴブリンとは、レベルが違う。

 

直撃を確信したホブ。

 

そして。

 

 

 

 

 

・・・・・・片手で止められた。

 

 

 

 

 

黒いゴブリンは、ホブの力を賞賛した。

 

「Gyou」

(それでいい。俺の目に狂いは無かった。奴らを見事倒せば、俺は黙って此処を去ろう)

 

「Gobu!」

(その言葉忘れるなよ!?黒野郎!)

 

 ホブは、そう叫ぶと迎撃体制に入り、黒いゴブリンは、再び静観する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰と鎧戦士は、結晶トカゲの住処前まで、到着していた。

 

道中、罠も不意打ちも無く、二人が拍子抜けする位に。

 

「此処で間違いないか?」

 

 鎧戦士が、灰に尋ねると直ぐ。

 

「間違いない、ソウルを感じる。」

 

 20以上陣取っている。

 

異質のソウルが1、大き目が1、小さ目が18、消えかけが1。

 

「異質が大食らいの結晶トカゲ、大き目がホブ、小さ目がゴブリン、消えかけは、多分・・・・・・」

 

 灰が、ソウルの特徴と相当する敵を当て嵌めてゆく。

 

そして最後に、消えかけのソウル。

 

「攫われた女のソウルとやらだろう。消えかけとは、かなり痛め付けられたらしいな」

 

 鎧戦士が、応えた。

 

更に”奇襲に警戒しつつ急いだ方が良いと”灰に告げる。

 

 

 

灰と鎧戦士は、奥へ侵入して行く。

 

 

 

 

 

「妙だ。奇襲も罠も一切無しか。俺ならこの地形を間違い無く利用する」

 

 鎧戦士は、普段とまるで違う展開に戸惑いを覚え始めていた。

 

「ああ。私でも、そうするだろう」

 

 灰も同調した。

 

進軍する二人の左右に聳え立つ巨大な壁、ゴツゴツした岩肌、曲がりくねった通路は死角も多い。

 

どうぞ奇襲して下さい!と言わんばかりの地形である。

 

 

 

しかし、奇襲も罠も無かった。

 

鎧戦士の歩幅が更に狭まる。

 

不気味で仕方が無いのだ。

 

ほんの数回、コブリン退治をこなしただけの駆け出しではあるが。

 

それでも経験上、必ず物陰から奇襲を仕掛けてきた。

 

死んだ振りからの、騙まし討ちもあった。

 

奇襲には、事欠かない要素を秘めた地形だ。

 

……それが全く無い。

 

有り得ない。

 

「ゴブリンらしくない・・・・・・」

 

 俺は、本当にゴブリン退治に来たのか。

 

そんな猜疑心さえ、芽生えそうになる。

 

何時しか隊列は入れ替わり、灰が先頭を歩いていた。

 

「敵は全て正面に展開済か。来るなら来いといった所だな」

 

 灰は深呼吸を繰り返し、腰まで使った水溜りの通路を進んで行く。

 

「この先は、どうなっている?」

 

 鎧戦士が、この先ついて質問する。

 

「この先は、大きな空洞になっている。自由に動け武器も存分に振り回せる広さだ」

 

「準備は良いな、奴らの領域に踏み込むぞ!」

 

 何時の間にか立場が逆転しており、灰が主導する側になっていたのだ。

 

 

 

意を決して、踏み込む。

 

 

 

その空洞には、多数のゴブリンが待ち構えていた。

 

ホブ 1。

 

ゴブリン 18。

 

女性 1。

 

大食らいの結晶トカゲ……居ない。

 

既に倒されていた。

 

 

 

変わりに居たのが。

 

 

 

 

 

「「――黒い、ゴブリン?」」

 

 

 

 二人同時に口にした。

 

 

 

……何だ?あれは。

 

 

 

ゴブリンについてそれ程、造詣の深くない灰ですら、その存在は異質極まりない者だった。

 

 

 

「あれは、ゴブリンなのか?俺は知らんぞ、あんな奴」

 

 ゴブリンに関して、それなりの知識を持つ鎧戦士でさえ、動揺を露にする。

 

 

 

鎧戦士、灰、両者は戦闘体制に入りつつも、奥に佇む異質の黒いゴブリンに、目が離せないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 如何だったでしょうか?

少しでも楽しんで頂けたら、良し。

つまんねぇぞ!このヤロー!という場合は、スイマセン。

完全に私の実力不足です。

ゴブスレさんを鎧戦士と表記しているのは、彼がまだゴブリンスレイヤーとして認知されていない時期だからです。

解りにくくて御免なさい。

暫く、鎧戦士で行くと思います。

今回完全な、オリキャラ。黒いゴブリンを出しました。

火に無き灰が参戦したのだから、ゴブリン側も強化したい、と言う想いです。

読んで下さる方の為にも、精進を続けていきます。

最後に、お気に入り登録が追加されていました。

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ではマタ。(・o・)ゞ
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