ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

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 時間が掛かってしまい、申し訳ありません。m(_ _;)m
遅くなりましたが、こんな夜更けに投稿させて頂きます。

もうすぐ2月。
早いものです。
まだまだ寒い日が続きますが、皆さんお体には気を付けてお過ごし下さい。

それでは投稿致します。


第43話―暗黒の影、迫り来る影―

 

 

 

誘い頭蓋

 

 ソウルのにおいが染み付いた頭蓋骨。

 深みの聖堂、その教導師の施しの品。

 

 投げ砕くことでそれをばら撒き周囲の敵を誘い寄せる。

 全ての敵に有効なわけではない。

 

 本来は正しき信仰を説いていた教導師達。

 聖堂が深みに侵食され、彼女等も例外なく深みとおぞみに魅入られた。

 そして時代が移り変わり、彼女等は今日も新たな信徒達に教えを説く。

 

 闇と深みこそが、この四方世界に相応しいのだと……。 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 見た事も無く同時に似たような景色が、延々と続く。

 

用途の分からない道具が埋め尽くされた通路を通りつつも、彼等は思う。

 

金属製と思わしき継ぎ目の無い通路――。

 

窓は一切無く、外界の光など刺し込もう筈も無い。

 

しかし、それでいて塔内の視界は確保出来るが、一定距離以上は暗闇に覆われ、先を見通す事は出来ずにいた。

 

「おい、行先は分かるのか?迷えば、コトだぞ」

 

「ああ。それは大丈夫」

 

 ゴブリンスレイヤーに孤電の術士は、右手を翳し優雅に指輪を見せた。

 

「……『(スパーク)の指輪』か」

 

「そう。()()が導いてくれる」

 

 最後尾に就く灰の言葉に、彼女は返す。

 

彼女の指には、チカチカと輝く『灯』の燃ゆる、指輪が嵌められていた。

 

幾つかの分岐点と玄室を突破し、変わり映えの無い通路が延々と続くが、やがて広めの伽藍洞(がらんどう)の空間に出た。

 

広間の奥には、鍵穴の無い黒檀で出来た重厚な扉が存在し、その前に不定形な(もや)の様なモノが浮かんでいる。

 

「鍵穴も無く、容易に開きそうにはないな」

 

「う~ん……、となればコイツがカギとなるのかな?」

 

 灰が扉を調べ、孤電の術士がフワフワと浮かぶ靄を突き回している。

 

当然、男二人は学士ではない。

 

専門的な知識など到底有しておらず、何をすべきか検討すら付かない。

 

「これを正しい形に組み立て直せばいいのかな?」

 

 幾つかのやり取りの後、彼女が靄に触れる。

 

「俺には分からん」

 

「此処から先は、彼女に任せた方が良い」

 

 謎解きを彼女に任せる事にした二人は、背後の異変に気付く。

 

奥から聞き馴れた何時もの声が、()()()()耳に響く。

 

雑多で粗末な武器を手にした、緑色の異形達。

 

 

 

      ――小鬼――

 

 

 

来る方角は一つ、背後からの奇襲も無い。

 

更に影とは言え、攻撃を加えれば直ぐに死んでくれる。

 

楽だ――。

 

「亡者小鬼に比べ、遥かにやり易い。灰よ、準備はいいな!」

 

「承知、…我々の役割を果たすとしよう!」

 

 迫り来る小鬼の態勢が整う前に、二人は強襲を仕掛ける。

 

やるべき事は、何時も通り。

 

ゴブリンを殺す。

 

二人の刃が小鬼共を捉え、大した時間を用する事無くゴブリンの殲滅が完了する。

 

二人の背後では孤電の術士が悪戦苦闘し、額に汗を滲ませていた。

 

どうにも、”立体””上の次元””胞”などと、彼等の理解が及ばない単語を口にしている。

 

これは完全に彼女の領域だ。

 

男二人に出来る事は、彼女を守り切る事のみ。

 

程無くして、ゴブリンの増援が彼等に襲い掛かる。

 

ゴブリンの眼前には、若く肉感的な女。

 

極上の獲物だ。

 

影とは言え、それはゴブリン。

 

舌なめずりし、下卑た笑みを浮かべ彼女に殺到しようとするが、それは叶わずに終わる。

 

ゴブリンスレイヤーと灰の剣士に阻まれ、次々と仮初の存在を消失してゆく。

 

「――そうかっ!分かったぞ!」

 

 突然彼女が叫び、喝采をあげた。

 

「つまり、こうだ!」

 

 彼女の叫びと共に、カチリと何かが動く音が聞こえ、重厚な扉が開かれた。

 

黒壇の扉から一筋の光が差し込む。

 

その間にも男二人は、ゴブリンと死闘を繰り広げていた。

 

「キミ達ぃ!早く!今の内だ!」

 

 孤電の術士は彼等に叫ぶ。

 

彼女の声に反応した二人は、迫り来るゴブリンを迎撃しながら扉に向かった。

 

「――灰よ、急げ!」

 

「――分かってる!」

 

 肉薄するゴブリンをシミターで切断しながら、腰の火炎壺に手を掛ける。

 

「――最後の『火炎壺』くらえっ!」

 

 地面に着弾した火炎壺が、燃えながら可燃物を撒き散らしゴブリン達の接近を阻む。

 

全員が通り抜けると同時に黒壇の重厚な扉はピシャリと閉じ、辺りは嘘の様に静まり返った。

 

……

………

 

「ま、影だよ。線と面に住まう者は高さを理解出来ない。我々も同じ……」

 

 彼女はニヤリと口元を吊り上げ、得意気に説く。

 

「……だが立体の影を見て、その形を導き出す事は出来る。知恵があれば、ね」

 

 彼女が話しているのは、数学に基づいた学問の様だ。

 

それを更に専門化し、高い次元に昇華させた学問――。

 

所謂『幾何学』に分類されるものらしい。

 

ゴブリンスレイヤーと孤電の術士とで、やり取りされる会話。

 

「……ついてこれるかい?剣士君?」

 

 彼女が唐突に声を掛ける。

 

それは二人の『歩み』に、ついて来れるかという意味なのか?

 

それとも、『話』について来れるかという意味なのか?

 

幾ら古代文字を解読出来ようとも、古の時代を知っていようとも、理解できない学問は星の数ほどある。

 

「……残念だが、私にはとても……」

 

 灰は静かに頭を振り、二人の後に追従していた。

 

「そっかそっか!大英雄たる『薪の王様』でも、出来ない事は有るんだね!」

 

 目を閉じながら何度も、ウンウンと頷く子電の術士。

 

そもそも『英雄』など周りが、自分勝手に無責任に呼ぶものだ。

 

彼自身は特に意識した事すら無い。

 

ましてや自身を英雄などと自覚した事すら無い。

 

本来の彼は、平民以下の身分『持たざる者の労働奴隷』なのだから。

 

彼等は螺旋状に続く階段を昇り続ける。

 

途中でゴブリンスレイヤーが”この先にゴブリン共は出るのか?”と彼女に問う。

 

「あれは影だからね、ふと気付けばそこに在る。発生源を考えるだけ無駄だよ」

 

「そうか」

 

 彼は何時も通りに返す。

 

そして灰も言葉を挟む。

 

「ゴブリンだけではあるまい、恐らくは奴等の影も……」

 

 ここから先は『言わずもがな』と言った処だろう。

 

灰の除く二人も、嫌という程理解してしまっている。

 

道中襲い掛かって来た、慎ましくも冒涜的な『亡者』の群れを――。

 

それを思い出し、流石の二人も閉口してしまった。

 

その後、一行は無言のまま螺旋階段を昇り曲がりくねった通路を突き進む。

 

 

 

――影…か、そう言えばゴブリン共のソウルを感じなかったな。

 

 

 

灰は塔内に現れたゴブリンについて、思考を巡らせた。

 

この塔が後どれだけ続き、どれ程の敵が湧きだすのか。

 

ゴブリンスレイヤーは、腰の雑嚢からスタミナポーションを取り出し、少しずつ口に含んだ。

 

「もしも、これが我々のための塔だとすれば、あの不定形な靄こそが私の障害…、つまるところ神の影さ」

 

「神」

 

「写し身とか木霊とかね。神の姿なんて分かりゃあしない。私の数式こそが、神なのかも知れないぜ?」

 

 そんな彼女の言葉にも、ゴブリンスレイヤーの反応は思いの外、薄い。

 

彼にとって神などは縁遠い存在であり、ゴブリンを殺すのに関係が無ければ、思考にすら値しない。

 

――神。

 

しかし、そんな彼とは裏腹に、火の無い灰の心は揺れ動いていた。

 

――私が出会ってきた数多の神々も、本来の姿ではなかったのだろうか?

 

ロードランを始めとする、強大な力を秘めた神々。

 

又はそれに連なる、神の眷属達。

 

孤電の術士が語る、盤外の世界。

 

其処に住まうと云われている幾多の神達。

 

この世界が盤の中ならば、神々は今もこうしている我々を見降ろしているのだろうか。

 

……だとすれば、今の我々に対し、どの様な感情で見ているのか。

 

いや、そもそも自分の見知った神々が存在しているとは限らない。

 

あの火継ぎの世界の様に、この四方世界も名も知らぬ神々に翻弄されているのかも知れない。

 

自分の目の前を歩く彼女は、その世界へと至ろうとしている。

 

辿り着いた世界が彼女の言う神々の領域なら、彼女自身も我々を観測する側になるのだろうか。

 

暫し考えに耽っていたが、彼は直ぐに頭を振り、考えを解く。

 

――今は彼女の目的を達成させる事が先だ。物思いに耽る事は、後から幾らでも出来る。

 

彼は思考を振り払い、歩みに意識を集中させた。

 

 

 

 

 

 流石は高名な学士…、否、賢者と謂った処だろうか。

 

「よ~し……、よしよし!」

 

 次の階層でも彼女は、神々の謎に挑み、見事勝利を収めていく。

 

「法則、方式さえ分かってしまえば、後は計算し解き明かすのみ!」

 

 取り出した黒板と白墨は、文字と数式の羅列を紡ぎ出し、彼女の明晰な頭脳がそれ等を解き明かす。

 

「……うん、間違いない。……八だ!ざまぁみろ!只人舐めんなよっ!神々ぃ!!」

 

 不定形の胞はグルリと裏返り、輝きを増しながら多胞体へと転じる。

 

それは正しき()であり、扉の鍵でもある。

 

黒壇の重厚な扉は開かれ、先へ通れと言わんばかりに通路を指し示す。

 

「おいっ、次行くぞ、次!」

 

「ああ。行くぞ灰よ!」

 

「了解だ。敵の足止めなら、呪術の火が有効か!」

 

 孤電の術士が先導し、後にゴブリンスレイヤーと灰も続く。

 

当然、此処でも敵が襲来し、それ等はゴブリンに加え小鬼亡者も加わっていた。

 

最後尾を担当していた灰は呪術の火『火炎噴流』で、敵を足止めしながら彼等の後へと追従する。

 

――やはりな。亡者も混ざり始めてきたか。

 

恐らくは上の階層に行けば行く程、強力な敵に出くわすだろう。

 

あまり有難くない懸念を抱きながら……。

 

そんな行程を繰り返しながら、第三階層でも四階層でも彼女の『進撃』は止まらない。

 

彼女は最早、黒板すら必要とせず全て暗算で謎を解き明かしていた。

 

「この先、つもりは十六だ。そして、二十四の出番だ!」

 

 彼女は力強く床を蹴り、沸き上がる魔力で絵札を自在に操り、次々と錠を回しては解く。

 

今の彼女は生き生きとしている。

 

今日に至る迄こんな彼女を、灰は見た事が無かった。

 

今の彼女は目に喜びと興奮、そして達成感に満ち溢れている。

 

そう――。

 

彼女はまさしく『冒険』しているのだ。

 

亡者の比率が増した敵集団を捌きながら、彼等は彼等の役割を果たしてゆく。

 

だが上の階層へと行くにつれ、道具の消耗も激しくなる。

 

二人とも既に、投げナイフを始めとした小道具を使い切り、後に残るは己の手にした武器のみ。

 

可能な限りゴブリンスレイヤーの消耗を抑える為、灰が先陣を切り呪術の火や奇跡を駆使しながら敵の攻勢を防いでいた。

 

例え『集中力(FP)』が枯渇したとて、彼には『エストの灰瓶』が残っている。

 

残り三口ほどしか残っていないが、まだ多少の余裕はある。

 

だが、あらゆる術を行使し戦う彼の思惑など露知らず、孤電の術士はその様子を見ていたのであった。

 

――色んな意味で困るんだよなぁ、私の目の前で知らない術や奇跡をポンポンポンポン、そんなに使われちゃぁ…。

 

――湧いて来るじゃないか……。

 

 

 

――『この世界に残りたい』っていう、願望がさ!――

 

 

 

彼女の快進撃は続き、甲斐あってすんなりと次へと進む事が出来た。

 

お陰で、此方の体力と持久力も温存出来るというものだ。

 

敵の構成が次第に、小鬼から小鬼亡者、小鬼亡者から人型の亡者に移りつつあった。

 

亡者の中には、敏捷性に優れる『亡者犬』や、筋力に長けた大柄な亡者兵も含まれている。

 

それが尽きる事無く無限に湧いてくるのだから尚、質が悪い。

 

そういう意味では、第五階層は些か厄介と言ってもいいだろう。

 

「うぅ~む…、これは、なかなかっ……」

 

 孤電の術士は不定形の靄を凝視し、唸っていた。

 

”難しいのか”ゴブリンスレイヤーは小鬼亡者の首を圧し折った。

 

かれこれ、100は越えただろうか。

 

小鬼も亡者も100を越えた辺りから、討伐数を数えるのを放棄していた。

 

「難しい?……言うじゃないか!難しいだとっ?!誰に向かってほざいているのか、分かっているのかねキミっ?!」

 

 彼女の目付きがより一層鋭くなり、虚空に浮かぶ高次元の影を睨み、絵札を操った。

 

「キミ!見給え!――百二十如き、一手で事足りるのだよっ!」

 

 その瞬間、空間に胞が開き、それが鍵となり扉を開く。

 

「さぁ、行くぞ!道は開かれりだ!…亡者共に構う必要はあるまいよ!」

 

 ゴブリンスレイヤーは剣で、亡者兵の頭部を貫き前蹴りで突き放す。

 

その亡者兵が落とした剣を拾い上げ、彼女の後に続く。

 

「簡単には殲滅出来んか、厄介だな」

 

「影だと言ったろ。無限に湧くんだ、こっちの資源《リソース》は有限!」

 

「……」

 

 彼は低く舌打ちしながら、扉を潜る。

 

先程から終始無言の火の無い灰に視線を移しながら。

 

 

 

「…ふぅっ…、ハァッ…、はぁぁ……」

 

「……」

 

 曲がりくねる通路を進みながら、孤電の術士は後に続く一人の男を見やる。

 

「……ふぅぅ…、ふぁぁっ…、ずぁぁ……」

 

「……」

 

 ゴブリンスレイヤーも足を止め、同じく視線を向けた。

 

火の無い灰に向かって。

 

「……?」

 

 二人の視線に気付いたのか、彼も足を止め二人に目をやる。

 

”どうしたんだ?”という意思を込めているのは明白だった。

 

しかし、彼は無言だった。

 

「「「……」」」

 

 お互い言葉を発する事も無く、静寂な時間が流れる。

 

「……」

 

 灰は何も言わず、二人に頷く。

 

”自分の事は心配するな。まだ動ける”そんな意思を示して。

 

小鬼の影に交じり亡者まで増えてきた。

 

流石に『ロスリックの騎士』までは混ざっていないものの、彼自身が率先して先陣を切り迎撃。

 

比較的、質に劣る小鬼の類をゴブリンスレイヤーに任せたのだった。

 

しかし敵は多勢に無勢、最前列に出れば当然、敵の猛攻に晒される事となり、その分負傷も増してゆく。

 

「……この位は覚悟の上だ……。楽に、進めるなどと思ってはいない……」

 

 息を荒くしながら灰はエスト瓶を取り出し、一口含む。

 

橙色の輝く液体が彼の喉を通り、負傷した身体を癒していく。

 

程無くして彼の呼吸が幾分和らいだようだ。

 

「だが問題は、私の消耗ではなくこの先の階層にある」

 

 まだ多少の呼吸を荒くしながらも、彼は言葉を付け加えた。

 

「どう言う事だい?」

 

 彼女が聞き返す。

 

「……ソウルを感じる……。誰かが待ち構えているのは間違いない……」

 

「おいおい?誰かに先を越されているってのかい?」

 

 流石の彼女も表情を奇妙に歪ませ、灰に問い詰めた。

 

これだけ苦労して漸くここ迄来たというのに、既に先客がいるとは――。

 

「このソウル……、不死人のモノだ。……多分、深みの主教だろうな」

 

 数日前彼女の家を襲撃した、あの薄気味悪い不死人の存在を仄めかす。

 

おぞましい術を使い、結果、眼前の彼自身が歪に変貌し、静観していた筈の彼女が恐怖に駆られてしまった、あの忌まわしい夜。

 

「……っかぁ~~っ!折角の苦労が台無しだっ!奴等の狙いはどうせ――」

 

 彼女は自分の指輪を翳し、虚空を仰ぐ。

 

「その指輪か」

 

 ゴブリンスレイヤーも言葉を加えた。

 

「どうやら思う様には事を運ばせてはくれんらしい。……だったら尚更だ。キミ……、今の内に呼吸を整えてくれ給えよ!……居なくなられては困るんだ。――…主に私がな!」

 

「……すまん…少し時間を取らせる」

 

 灰は彼女の忠告を聞き入れ、少しの間腰を下ろした。

 

「……次が第六階層…、最上階だな」

 

「……いよいよか」

 

 孤電の術士とゴブリンスレイヤーも腰を下ろし、彼女は瓶に残っていた一口分の林檎酒を飲み干し、彼も水筒から飲料水を口へ流し込む。

 

これが最後の休憩となるだろう。

 

 

 

――これで終わりとは思えない。覚えのあるソウルがもう一つ、此方に近付きつつある。

 

息を整える中、灰は最上階に待ち換えているソウルとは別のソウルを感じ取っていた。

 

 

 

――これからが正念場という訳か。……いいだろう。

 

秘かに決意を固め、灰は可能な限り回復に努めた。

 

 

 

最上階、第六階層。

 

其処に奴は居た。

 

見覚えのある、暗い青を基調とした禍々しいローブを纏い、その貌は血色の悪い青白さを漂わせる。

 

「ようこそ、御客人!」

 

 パンパンと乾いた音で拍手を叩き、容姿とは裏腹な陽気な態度で彼等を迎えた。

 

まるでこの塔の主であるかのように振舞う、一人の聖職者らしき男。

 

「「「……」」」

 

 一行は無言で男を睨み付ける。

 

「そう敵意を向けないでくれ給え!……これでも、貴公等を評価しているんだからさ!」

 

 表情を崩し彼等に笑い掛けるが、その笑みは歪で皮肉を隠そうともしていない。

 

其処へ孤電の術士が前へと出る。

 

「最後の関門……、解いちまったのかい?」

 

 彼女の口調は静かで無機質、そして表情にも感情が籠っていない。

 

「ああ!あれね……?、いやぁ……苦労したよっ!解くのに半日も費やしたんだからさ!」

 

「その割には、扉が閉ざされたままではないか?」

 

 男の言にゴブリンスレイヤーが言葉を挟む。

 

「あれはね、解いた者だけが自由に開け閉め出来るのさ!……正直言って、この先は何も無い只の虚空だよ?……()()が無いと何の意味も成さないからねぇ!」

 

 男は彼女の指輪を指差す。

 

この指に嵌められている『灯の指輪』――。

 

「……()()が無いと此処まで辿り着けないと思うんだが、どうやって此処まで来れたんだい?」

 

 彼女は男に訊ねる。

 

瞬間、男のの砕けた顔が険しくなる。

 

「お前……不死人舐めてねぇか?……あ?ソウルを感知すりゃぁよぉ!誰でも出来んだよっ!!糞アマァ!!」

 

 今のが男の本性だろうか?

 

口調も変わり、敵意を剥き出しに彼女を睨み付ける。

 

「おぉっと!失礼失礼。陰気臭い野郎ばっかりかと思っていたが、オマエみたいなチンピラも居るんだな!」

 

 彼女も動じる事無く、砕けた表情で皮肉を返した。

 

「…あ~…、このままじゃ埒が明かねぇや。…指輪を渡しな!」

 

 苛立たし気に男は、指輪を要求する。

 

 

 

――ペッ!――

 

 

 

彼女は言葉を発する事も無く、男に向かって唾を吐き掛け応えた。

 

灰と彼も呼応するかのように武器を構え、臨戦体制を取る。

 

「正直メスガキ共にも飽きたからな、おいぃっ…ブラス・メイデン(娼婦の蔑称)…。お前はボロボロにした後、壊れる迄ヤりまくってから亡者になる迄実験台にしてやるぜぇっ!」

 

 男が歪に嗤い、魔法陣を浮かび上がらせる。

 

「……召喚の類か、そんなこったろうと思ったよ!」

 

 彼女が言葉を吐くと同時に、魔法陣から二つの人影が姿を現す。

 

「――っ!!……()()()かっ……!」

 

 その人影に反応を見せたのは、意外にも彼……、ゴブリンスレイヤーだった。

 

「……?!、知ってるのか?アイツ等を?」

 

 彼女が彼に振り向き訊ねる。

 

「……ダークレイス……」

 

 その名を口にした彼は足元が竦み、小刻みに身を震わせる。

 

そう……、彼にとっては因縁深い相手であると同時に一種のトラウマでもあった。

 

嘗て牧場にて、唐突に襲われた挙句、亡者寸前にまで追い詰められた――。

 

彼自身も素人ではない故、抵抗を試みたものの……、桁外れな膂力と技量の前にほぼ一方的に敗北を喫してしまったのだ。

 

忘れよう筈も無い。

 

恐らく一生引き摺る羽目になるだろう。

 

そんな奴が今度は二体……。

 

武器を握る手の震えが止まらない。

 

次第に呼吸が不規則になる。

 

「ハァッ…、ズハァッ…、フゥァッ…!」

 

 兜の奥で吐息が駆け巡り、湿気と熱が篭る。

 

「おやおや、鎧の彼はダークレイスが御嫌いと観える!」

 

 恐怖に駆られる彼の様子が気に入ったのか、男は満足そうにほくそ笑んだ。

 

口調も粗野なモノから人を喰ったかのようなモノに戻っている。

 

「安心しろ!」

 

 其処へ灰の剣士がシミターを手に、前へと歩み出た。

 

「……灰よ……」

 

「こいつ等……、()()……!」

 

「――?!!」

 

 彼の宣言に反応したのは、ゴブリンスレイヤーだけではなかった。

 

「……テメェっ……、言うじゃねぇかっ……!」

 

 召喚した男本人も貌を顰め、歯を食いしばらせる。

 

「このダークレイス、牧場の奴に比べ四分の一以下の戦闘力だ!君は何時も通りに戦え!……必ず勝てるっ!!」

 

「……っ!!」

 

 力強く灰は宣言した。

 

 

 

      ――必ず勝てる――

 

 

 

その言葉を聞いたゴブリンスレイヤー。

 

次第に呼吸が安定し、兜の奥から赤い目が妖しく輝く。

 

「……そうだ……」

 

「俺のゴブリン退治を邪魔する奴は……」

 

 

 

「……コロス……!!」

 

 

 

 もう一つの鞘から『鷲柄の短刀』を取り出し、二刀流の構えを取るゴブリンスレイヤー。

 

その様子に心中穏やかでなかったのは、召喚した男だった。

 

「……お前、どうやら()()()の住人みてぇだが、ダークレイスの怖さをたっぷりと堪能してもらうか!」

 

 そう叫んだ男は、灰にダークレイスをけしかけた。

 

「GURUWOOOOO!!」

 

 男の命令に反応したダークレイスは灰へと突撃し、重厚で黒い剣『ダークソード』を振り翳す。

 

「……」

 

 ダークソードが彼を捉える寸前、一瞬でダークレイスの背後へと駆け抜ける。

 

その瞬間、ダークレイスの身体はバラバラに崩れ落ちながら悲鳴も上げずに絶命した。

 

訪れた結果に驚愕し、声も出ないのは深みの男。

 

「――っ?!!ば、馬鹿な……」

 

 信じられないといった表情で、今の現実を受け入れる事が出来なかった。

 

「――プゥッ、クックックッ……愉快な顔だねぇ、オマエ!」

 

 男の崩れた顔に笑いを堪え切れず、孤電の術士は”くっくっ”笑い出す。

 

「本当に弱かったな。此処まで弱いと、逆に勘ぐってしまうのだが」

 

 灰も男に向き直り”次は貴様の番だ”と言わんばかりに、剣を突き出す。

 

「だが!時は俺に味方したようだなぁっ!」

 

 男は二タつき、余裕の態度を崩さない。

 

程無くして背後から、”影”達が迫り来る。

 

「…ちっ!邪魔が入ったか!…君は、これを飲んでおけ!」

 

敵の群れを察知し、彼は『エストの灰瓶』を彼女へ渡した。

 

「……しょうがない、働いてやるかぁ」

 

 受け取った彼女は首を傾け、灰瓶を一口含んだ。

 

冷たい熱が彼女の喉を通り、呪文の使用回数を忽ち元へと戻す。

 

エスト瓶の事は、灰から聞き使わせて貰った事がある為、この時点ではさして驚く事も無かった。

 

彼女は灰瓶を彼へと返し、男に向き直る。

 

「さて、私と指輪が欲しいなら実力を見せて貰わんとな。……尤も、私自身は手に入らんと思うがね?」

 

「……どういう意味だ?」

 

「彼氏が居るのさ、……()()もな!」

 

 彼女は杖を構え、意識を集中させた。

 

 

 

灰自身も襲来する亡者の”影”達と対峙する為、後方へ備える。

 

本音で言うと、もう一人のダークレイスへ向き合う”彼”を援護したかったのだが、今は”影”を抑えるのが先決だ。

 

 

 

「ダークレイス、……死んで貰う!」

 

ゴブリンスレイヤーもダークレイスに向き合い、敵を見据えた。

 

 

 

戦場は混迷の色合いを増してゆく。

 

 

 

ダークソードが、頭上から彼に迫る。

 

彼は、数打ちの剣と短刀を駆使し交差で防御した。

 

ダークソードは其処で止まり、彼を押し込む事は叶わない。

 

完全な拮抗状態となり、両者は睨み合う。

 

「成程、灰の言う通りだ」

 

 牧場のダークレイス戦がどうしても本能に染みついている為、無意識に両方の武器で防御したが、この程度の膂力なら片手で事足りる。

 

これが牧場の奴なら、防御ごと腕を圧し折られていただろう。

 

「ホブの方がよっぽど力が強かった!」

 

 そういった彼は足を踏み込み、体重移動を駆使した回転下段蹴りで、ダークレイスの軸足を刈り取る。

 

バランスを崩したダークレイス――、転倒こそしなかったものの大きな隙を曝け出す。

 

彼は透かさず、雑嚢から或る道具を取り出し、敵目掛けて投擲した。

 

その道具は、穴の開いた卵の殻に、乾燥させ磨り潰した唐辛子や毒虫の粉末の混合物を入れた、催涙弾だった。

 

本来ゴブリンの目潰し用に温存しておいた物だったが、ダークレイスも人型なら通用するだろう。

 

催涙弾はダークレイスの顔面に命中し、割れた殻から粉末が霧散する。

 

粉末はダークレイスの仮面の隙間から内部に侵入し、付着したそれが目と反応した。

 

「GYOUBEYAAA!!」

 

 戦闘もままならず、ダークレイスは痛みに悶え両手で顔面を覆う。

 

「効くみたいだな、容赦はせん!」

 

 催涙弾の粉を自分で吸わない様に注意しながら彼は突進し、ショルダータックルで敵にぶち当たる。

 

その衝撃で転倒したダークレイスに跨り馬乗りになりながら、剣を振り被った。

 

「……お前なぞより、ゴブリンの方が遥かに手強い!」

 

 間髪入れず、ダークレイスの頚部へ剣と短刀を突き刺し、止めを刺した。

 

しかし油断は禁物だ。

 

「こいつも確か亡者だったな、ならば!」

 

 ダークレイスも亡者の類である事を思い出し、確殺する為に首を切断する。

 

「……また亡者寸前にされては敵わんからな」

 

 ダークレイスを完全に仕留めた彼は、馬乗りの態勢のまま大きく息を吐いた。

 

 

 

彼からそれ程離れていない所で、睨み合う二人の男女。

 

孤電の術士と、深みの主教らしき男。

 

「今からでも遅くはねぇ、その指輪を俺に寄越しな!その上で俺の女になれよぉ、満足させてやるぜぇっ!」

 

「随分と欲深い聖職者な事で――。神罰が下るよ?」

 

 男は下卑た本性を隠そうともせず彼女に要求するが、無論彼女がそれを受け入れる筈も無く皮肉で返す。

 

「けけっ!ヒィヒィ言わせてやるよっ!」

 

 男は虚空から杖を出現させ、杖先から黒い塊を3発放った。

 

「……驕りだねぇ、……その術は一度見てるんでな!」

 

 数日前、主教の襲撃で目にした、おぞみの魔術。

 

『深みのソウル』が殺到するが、彼女は臆する事無く杖を前に翳す。

 

「避けても追い駆けて来るんだったな、この気味悪い術――!……ならっ!」

 

 

 

――サジタ《矢》、…ゲルタ《必中》、…ラディウス《射出》!――

 

 

 

彼女が詠唱を終え、真言魔法『力矢』が3本放たれた。

 

魔力で生成された3本の矢は、各々『深みのソウル』に着弾し打ち消した。

 

「相殺か、ちったぁやるようだが……」

 

「――もう遅い!トニトルス《雷電》、…オリエンス《発生》、…ヤクタ《投射》!」

 

 間髪入れず孤電の術士は次なる呪文を詠唱し、真言魔法『稲妻(ライトニング)』を行使した。

 

彼女の杖から青白い雷流が男目掛けて爆走するが、男は余裕の顔を崩さない。

 

「…マグナ《魔術》、…レモラ《阻害》、…レスティンギトゥル《消失》!」

 

「――こ、こいつっ?!真言魔法まで使いやがる?!」

 

「抗魔《カウンターマジック》!」

 

 予想だにしていなかった真言魔法を行使した事に、彼女は驚愕する。

 

男の前に出現した障壁は、稲妻を遮断し完全に()()()打ち消した。

 

「……まさかな。真言魔法まで使えるのは予想外だったよ……」

 

 彼女の額から汗が流れ落ち、全身が自然と強張る。

 

「ひゃぁっはっはっ!驚くのはこれからだぜぇっ!!」

 

 男はバカ笑いを浮かべ、杖先に更なる魔力を追加した。

 

「さぁ、俺の可愛いダークレイスよぉっ!もうひと働きして貰うぜぇっ!」

 

 杖先がダークレイスに向けられた瞬間、倒された筈の死体が起き上がり、黒い塊と化す。

 

「――な、何だ、これはっ?!」

 

 黒い塊は、男が見せた『深みのソウル』に酷似した物で、それよりも遥かに巨大であった。

 

『――いかんっ!そいつを絶対に食らうな!避けろぉ!爆発するぞっ!!』

 

 彼女の後方から灰の叫び声が聞こえる。

 

その灰はと言うと――。

 

「クソ――。……とうとう、ロスリックの騎士まで出てきたかっ!」

 

 大量の”影”の中にロスリックの騎士が複数、彼に殺到していた。

 

唯でさえ手強い相手が、四方八方から彼に対し剣を振るう。

 

如何に彼と云えども、それを凌ぐだけで手一杯で、とても彼女の援護は望むべくも無かった。

 

 

 

――それにしても、さっきから気になるのは――。今も尚こちらに近付きつつあるソウルだ。……覚えがあるぞ、このソウル。

 

 

 

戦闘中にも拘らず、彼はこの場に訪れつつあるソウルに意識を向けてしまっていた。

 

そして巨大な黒い塊と化したダークレイスだった亡骸は、彼女目掛けて迫り来る。

 

「――っ!気持ち悪いっ!こいつ!!」

 

 彼女も反応し避けようとするが、弾速が予想以上に早く、戦士職ではない彼女自身も動きが遅い為、回避は困難を極めた。

 

おぞましくも黒い塊は、彼女を捕らえんとした矢先――。

 

「――邪魔だ、退けっ!」

 

 聞き覚えのある声と共に、見慣れた薄汚い鎧が彼女の視界に割って入った。

 

その鎧『ゴブリンスレイヤー』は彼女を突き飛ばし、構えた小盾で黒い塊を防御する。

 

それと同時に黒い大爆発を起こり、孤電の術士と彼は爆風で吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐぅおおおぁぁ……!」

「うわぁああああっ!」

 

 二人とも別々の方向に吹き飛ばされ、彼等は倒れ込んでしまう。

 

「はっはっはっはっ……!どうかね?我が爆弾のお味は?!」

 

 倒れ込んだ二人を見やり、勝ち誇った主教の男。

 

「ぐぅぅ……、何という威力だ……!」

「くそっ…、不味ったね……ここ迄来て……」

 

 二人供、ほぼ行動不能に追い込まれ、ゴブリンスレイヤーの傍に主教の男が近付いた。

 

「ブラスメイデンの女なんざ庇うから、こんな目に遭うんだよっ!汚物さんよっ!!」

 

 男は彼を嘲り、兜越しの頭部に何度も蹴りを入れる。

 

「……それにしても、汚ったねぇ鎧だなぁっ!本当に汚物の臭いがするぜっ!あ~~、くせぇくせぇ!!」

 

 彼を蔑みながら尚も蹴りを入れ、自身は御満悦な境遇に酔い痴れた。

 

直ぐ其処に近付きつつあるソウルの存在にも気付かぬまま……。

 

 

 

――来た!

 

 

 

殺到する”影”達との戦闘中、灰はソウルの到着を感じ取る。

 

密閉された筈の空間に、一刃の疾風が吹き抜けたかと思えば、次の瞬間には”影”達が微動だにせぬ亡骸と化していた。

 

「…?!なっ?!何だ?」

 

 倒れ込むゴブリンスレイヤーを何度も蹴っていた男も漸く異変に気付き、首をキョロキョロと辺りを見回す。

 

「……お前の異常性癖が命取りとなったな!」

 

 孤電の術士は、脚を縺れさせながらも体を起こし、形だけは男に忠告しておく。

 

「ああ?」

 

 顔を酷く歪ませ、苛立たし気に彼女を睨み付ける。

 

「何言ってんだ、こいT――っぶげぇあぁっっ?!!」

 

 罵詈雑言で返そうとした矢先――、男の胸から刃が飛び出し、赤黒い液体を吹き出しながら宙に持ち上げられた。

 

主教の背後には、見知らぬ騎士らしき人物が主教の背中に特大剣を突き入れ、そのまま胸部まで一気に貫き持ち上げたのだった。

 

「うげぇぇががぁぁああっっ……!!」

 

 持ち上げられた男は、断末魔の絶叫を上げながらジタバタと醜く藻掻く。

 

先程の他者を見下した不遜な態度は微塵も感じさせず、それは嘘の様に消え失せ、その姿は憐憫さと滑稽さを醸し出し同情の念すら湧く。

 

「た、タタ、アツ、助け…、タシュ…、たしゅケっ…、あ、アズぅっ…、あずぅイ、熱い゛ぃぃぃ――……!!」

 

 刃から火が熾り、尚も藻掻く男が紅蓮の炎に包まれた。

 

「ア゛?!ああぁ゛!ぁァ?!ぁ゛っっ……!」

 

 炎は男を完全に焼き尽くし、残ったのは鋭い特大剣とそれにこびり付いた消し炭だけであった。

 

その様子に言葉も無く唯々唖然と見つめる、ゴブリンスレイヤーと孤電の術士。

 

そんな彼等とは対照的に即座に動いた灰の剣士。

 

「――今の内だ、中回復!!」

 

 体制の整っていない彼等を此方に引き寄せ、回復の奇跡『中回復』を行使する。

 

奇跡の効果により負傷していた身体は瞬く間に回復し、二人供態勢を立て直す事が出来た。

 

「……また新手か」

「こいつ誰なんだい?キミの知ってる奴か?」

 

 灰以外の二人は、突如現れ敵を屠った眼前の騎士に目が離せないでいる。

 

「何故、……彼が此処に……?!」

 

 灰も警戒を強め、その騎士を見据えた。

 

長帽子の様な兜を被り、古びた堅牢且つ軽やかな鎧と蒼い外套に身を包み、特大剣と短剣という相反した武器を其々手に持つ、得体の知れない騎士。

 

その佇まいは、宛ら”狼”を漂わせた。

 

 

 

      ――『深淵の監視者』に、侵入されました――

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

スタミナポーション(強壮の水薬)

 

 服用した者の疲労を瞬時に回復し、一時的に疲労を拭い去る魔法の水薬。

 多種多様な薬草と清水を原料とし、特殊な器具と魔法の儀式により、完成する。

 

 その製法は、素人が到底真似出来るものではなく、熟練した錬金術師や薬師でないと不可能だ。

 

 粗悪品や偽物の流通を防ぐ為に、ギルドでは加入者以外の個人販売は原則上認められていない。

 

 値段は品質にもよるが 金貨 一枚(銀貨10枚)

 

 

 

 

 

 

 




 暗黒の塔での冒険。
気が付けば、こんなにガッツリと孤電の術士に関わってしまった。

因みに私は数学はからっきしなので、多胞体だの幾何学だのさっぱりチンプンカンプンです。( ̄ω ̄;)
孤電の術士さん、もうちょっと戦闘で活躍させても良かったかな?と思っています。
少しあっさりし過ぎたかも……。

如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

感想、お気に入り登録、評価、誤字脱字の指摘、本当に感謝しております。

デハマタ。( ゚∀゚)/

追記:深淵の監視者の外套、よく見たら赤色でした。
   ま、コイツだけ、蒼色という事にしておいて下さい。
   他にも隊員は居ますので。
   何か要望、希望などがあれば、メッセージボックスなどに送って頂ければ良いです。



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