ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

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 色々ありましたが、何とか持ち直しました。
少し時間が掛かりましたが、投稿致します。
いよいよ、ボス戦です。


第62話―ロスリックのゴブリンハザード6(不死街 亡者の穴倉)

 

 

 

 

 

 

石弾(ストーンブラスト)(精霊魔法)

 

 仕事だ仕事だノーム(土精)ども(達)。砂粒一粒、転がり廻せば石となる。

 

 触媒は、砂や小石など。

 

 土精に働きかけ、生成した石礫を弾丸として撃ち出す術。

 初歩の術者では小石程度の単発弾が関の山だが、熟練者ともなれば連射や石礫の嵐と云った芸当

 も可能となり、応用範囲は広い。

 

 精霊は何処にも存在し、我等と共に在る。

 彼等もまたこの世界に住まう生命体であり、四方世界を支えているのだ。

 そして彼等もソウルに導かれ、我等と共に在る。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

(推奨BGM Goblin Slayer OST - 19 - Preemptive Strike)

 

 

 

 重厚な大剣が澱んだ空気を引き裂く。

 

埃と水飛沫を巻き上げ、肉厚の鉄塊に異形の防御など無意味。

 

「――オォラァっ!!」

 

 重戦士が剣を薙ぐ度に、複数の小鬼が吹き飛ばされ或いは両断される。

 

小鬼が魔法で生成されようが、召喚されようが関係ない。

 

圧倒的な重量と質量を誇る大剣だ。

 

混沌最底辺の小鬼如きが、凌げる筈も無い。

 

最前衛に陣取り、小鬼集団に武器を振るう。

 

「あまり近寄るんじゃねぇぞ!巻き添え喰っても知らんからな!」

 

「お前こそ、こんな所でヘマするなよ!」

 

 傍らの女騎士に忠告し、彼女も減らず口で返す。

 

女騎士も、長剣で小鬼を切り伏せる。

 

「生者の小鬼を見て安心しちまった。どうかしてるぜ、俺ぁ!」

 

 大剣を薙ぎ、そんな言葉を吐く重戦士。

 

「まだ、壊れたままか?!……まぁ気持ちは分かるがな!」

 

 女騎士の言葉――。

 

無論それは本心から来るものではない。

 

ロスリックに侵入して以来、死と腐臭に満ちた空気に絶えず晒されてきた。

 

実際重戦士は心を壊し、狂わんばかりに暴れ回る失態を侵した。

 

だが民家での休養と、混沌勢ながら生者の小鬼を目にし、彼の心は四方世界へと繋ぎ止められたのだ。

 

「小鬼が精神安定剤ですか。いい話のネタになりますよ!」

 

 横で聞いていた半森人の軽戦士も、笑みを浮かべながら小鬼を切り裂き、次の小鬼も突き刺す。

 

「ストーンブラスト!」

 

「この野郎!」

 

 圃人の少女巫術士と少年斥候も奮戦し、小鬼に対抗していた。

 

「俺と君で前衛に就く。残りは、援護を頼むぞ!」

 

「はい!頭目さん!」

 

 同期戦士と銀髪武闘家は前に立ちはだかり、突撃して来る小鬼集団を迎え撃つ。

 

「残りの矢数は大丈夫?」

 

「温存しているのでな!任せ給えよ!」

 

 半森人の少女野伏と森人僧侶は、弓とダートガンで同期戦士達を援護する。

 

彼等の背中は、鉱人の斧戦士や鉱人斥候が守りを固め、獣人魔術師と禿頭僧侶は術や奇跡を何時でも発動出来る状態だ。

 

「水場の多い所でホーリースマイトは使えませんね。打撃戦で対応するしかありません!」

 

 数少ない攻撃の奇跡である、聖撃(ホーリースマイト)は電撃の奇跡であり、下手に行使すれば味方をも感電させかねない。

 

しかし、男神官はある程度肉弾戦の心得もあり、錫杖で小鬼を駆逐していた。

 

「――せやぁっ!」

 

 少女の振るう剣が、小鬼を断ち切った。

 

幼いながらも剣の心得を有す、見習い剣士の少女。

 

実戦の為に磨き上げた真新しい刃は、初めて小鬼を討ったのだ。

 

奇妙な悲鳴を上げ、小鬼は絶命する。

 

「……や…やった。小鬼を倒したぞ……!」

 

 初めて味わう確かな手応え。

 

訓練とはまるで違う、奇妙な感覚に彼女は打ち震えていた。

 

『――GyoBee!!』

 

 突如背後から、小鬼の悲鳴が耳を打つ。

 

ハッとなり、後ろを振り向けば絶命した小鬼が地面に横たわっていた。

 

「お嬢さん、油断してはいかん。敵は一匹だけではない、敵が居なくなるまで気を抜くべからず!」

 

 正規騎士が、彼女の背中を守ってくれていた。

 

調査隊の兵士達も陣形を組み、小鬼の進撃を防いでいる。

 

小鬼は大勢――。

 

一匹仕留めた処で、戦いが終わる訳ではないのだ。

 

だが、数を頼みに殺到するだけの小鬼集団――。

 

そんな小鬼に彼等が後れを取る事はなく、次々と小鬼を駆逐してゆく。

 

「チッ!まだ召喚する気か!」

 

 槍使いは指示通り、召喚術を行使するゴブリンサモナーに突撃する。

 

「サジタ…ゲルタ…ラディウス…」

 

 魔女が真言魔法『力矢(マジックアロー)』で牽制した。

 

魔力で生成された矢が3本、ゴブリンサモナー目掛けて射出される。

 

召喚術を詠唱する間は、一切の攻防が不可能となり無防備となるのだ。

 

ゴブリンサモナー最大の弱点とも言えた。

 

「フン、させんわ!ラピス《石》…ファキオ《生成》…モエニウム《城壁》!」

 

 邪教徒の一人が、真言魔法『石壁(ストーンウォール)』を発動――。

 

サモナーの前に出現した石の壁により、力矢は全て遮断される。

 

「――ハッ!結果は変わらんぜ!」

 

 槍使いは石壁をものともせず、キックジャンプで石壁を蹴り、飛び越えた。

 

そしてそのまま、空中でサモナーに狙いを定め槍を投擲。

 

槍はサモナーの頭部を貫き、一体を絶命させた。

 

そして着地と同時に、サモナーの頭部に突き刺さった槍を引き抜き、そのままの勢いで次のサモナーを切り裂く。

 

二体目も始末した彼は、槍を切り返し3体目のサモナーの首を刎ねる。

 

瞬く間にゴブリンサモナーは殲滅され、増援の心配は消え去った。

 

「時間を稼げ!」

 

「ハハッ!」

 

 首謀者が部下の邪教徒に命を下し、石壁を使用したのとは別の邪教徒が詠唱を始める。

 

「ウェントス《風》…、クレスクント《成長》…、オリエンス《発生》…」

 

 邪教徒は、突風(ブラストウィンド)の真言魔法を行使する。

 

「――うぉっ?!」

「――きゃっ?!」

 

 術者から放たれた突風は衝撃波を伴い、槍使いと魔女に風の打撃を与えながら、遥か後方へと吹き飛ばす。

 

初歩の術者とは違い、習熟レベルの術者が行使すれば、その突風だけで対象に痛痒を負わせる事も可能になる。

 

「くく…宜しい、取って置きを御披露しよう」

 

 槍使い達が突風で吹き飛ばされた事により、彼等との距離が生じた。

 

一時的にだが時間の余裕が生まれ、首謀者は更なる魔法の準備に取り掛かる。

 

「…ファキオ《生成》…、ミニステルアリス《従僕》…――」

 

 彼の最も得意とする、小鬼生成の真言魔法。

 

しかし独自の改良を加えたそれは、冒険者にとって更なる脅威となる。 

 

 

 

「―― ダークゴブリン《黒小鬼》…! ――」

 

 

 

首謀者は、隠し持っていた金の髪を触媒に、呪文を行使。

 

術者の足元には一際怪しく輝く魔法陣が出現。

 

次の瞬間には、魔法陣の上に黒い小鬼が出現していた。

 

「……あの野郎っ、なんてものを――!」

 

「でも…一体、だ、けで…素手よ」

 

 その黒い小鬼に、槍使いと魔女は驚愕の表情を浮かべていた。

 

通常種の小鬼は複数同時に生成出来ていたが、黒い小鬼ともなると一体が限界の様だ。

 

単純に触媒が足りなかったか、力量の限界なのか。

 

それとも生成対象が、余りに()()過ぎるのか。

 

しかし生成された小鬼自身が、重要な問題なのだ。

 

「ふぅ、はぁ…、ゼハァ…、…唯の小鬼とは訳が違うぞ!()()()()()()から調達した特別製だ、存分に味わえ!」

 

 槍使い達の前に現れたのは、忘れようもない、あの黒い小鬼――。

 

「…何でアイツが居やがる?!」

 

「冗談だろっ?!」

 

 小鬼集団と戦っていた同期戦士と重戦士も、出現した黒い小鬼に視線が釘付けとなっていた。

 

「…いかんな…!」

 

「不味い、予定が狂う…!」

 

 小鬼獣に対応していたゴブリンスレイヤーと、呪腹の大樹に対応していた灰の剣士も、黒い小鬼の出現に集中力を乱されていた。

 

あの黒い小鬼と最も関わっていたのが、この二人だ。

 

無理からぬが道理――。

 

魔法で生成された黒い小鬼……。

 

 

 

      ―― ダークゴブリン ――

 

 

 

「……やるしかねぇか…!」

 

「援護、するわ!」

 

 槍使いと魔女は覚悟を決める。

 

彼等も、金鉱山にてダークゴブリンの恐ろしさは嫌という程、体験していた。

 

「あれが、噂の……」

 

 小鬼の頭を蹴り砕きながら、銀髪武闘家は黒い小鬼を見ていた。

 

――あれって、剣士さんの言っていた奴だよね。えっと、敵を知り…うんたらかんたら……だっけ。

 

「頭目さん!アタシ…あの人達の援護、出来ます!」

 

 小鬼集団を蹴散らし、多少は余裕が出来たのだろう。

 

彼女は同期戦士に、槍使いの援護を進言した。

 

「……アイツ(槍使い)の指示で動け!絶対に独断で動くな、良いなっ!」

 

「――っ!は、はいっ!」

 

「余裕が出来たら、俺もそっちに回る!絶対に死ぬなよ!」

 

 僅かな逡巡の後、彼から承諾の意を受け取り、彼女は透かさず槍使いの元へと駆け付けた。

 

――頭目さん震えてたけど、そんなに強いのかな?あの闇人みたいな小鬼……。

 

忠告していた同期戦士は、焦りと怯えを同時に発症していた。

 

彼女自身、まだダークゴブリンの強さを知らない為、疑念を抱いても何ら不思議ではないのだが、それを知る機会は直ぐに訪れるだろう。

 

「――来ましたよ!」

 

「おう!嬢ちゃんか!俺が牽制するから、隙を見て奴を叩け!」

 

「――はいっ!」

 

 彼女は直ぐに到着し、槍使いから指示を受ける。

 

「サジタ…ゲルタ…ラディウス!」

 

 魔女が力矢でダークゴブリンに先制攻撃を掛け、隙を生み出そうと試みる。

 

「よし行くぜ!」

「はいっ!」

 

 力矢に合わせ、二人も同時に動いた。

 

真言魔法の力矢は、非常に命中精度の高い呪文だ。

 

規格外のスピードでもない限り、まず外れる事はない。

 

魔女自身もダークゴブリンの異様な俊敏さは知っている。

 

たとえ効果が無かろうと、注意を逸らせる事は出来る筈だ。

 

そう踏み、彼女は力矢を選択したのだった。

 

3本の力矢がダークゴブリンに殺到するが、回避する様子は見られない。

 

しかし、ダークゴブリンは着弾地点を一瞬で見極め、片手で力矢を受け止めた。

 

「――クソったれがぁっ!」

 

 それすらも僅かな隙と見定め、槍使いは渾身の突きを放つ。

 

「――今だっ!」

 

 銀髪武闘家も槍使いに合わせ、攻撃を仕掛けた。

 

鋭い穂先がダークゴブリンの顔面に迫るも、彼はその穂先を掴み取った。

 

「――なっ?!」

「――えっ?!」

 

 意外な結果に二人は驚愕し、危機を察した銀髪武闘家は突撃を思い止まろうとするが、一旦走り出した彼女の脚は止まらない。

 

ダークゴブリンはそのまま掴んだ穂先を振り回し、槍使いごと銀髪武闘家にぶつけた。

 

「――ぐぉっ?!」

「――わぁっ?!」

 

 槍使いは銀髪武闘家に直撃し、二人とも地面を転がった。

 

「く、クソ…」

「うぅ…」

 

 出鼻を完全に挫かれたが、二人は尚も立ち上がる。

 

「――だったらコイツはどうよ?!」

 

 再び槍使いは、ダークゴブリンに槍の連続突きを繰り出す。

 

「オラオラオラオラオラァ!!」

 

 一撃は軽いが、無数の刺突がダークゴブリンに殺到した。

 

だがダークゴブリンは、立ち位置を変える事も無く上体を揺らすだけで、槍の連続突きを悉く躱す。

 

「甘いぜっ!」

 

 槍使いは、連続突きから瞬時に下段突きへと移行し、意表を突く。

 

脚元を狙った擬態攻撃(フェイントアタック)だ!

 

だが、その突きも通用せず、ダークゴブリンは槍の穂先を踏み付ける。

 

「――くっ…!」

 

「――今度はアタシだぁ!」

 

 槍を踏み付けるダークゴブリンに、今度は銀髪武闘家が攻撃を仕掛けた。

 

「――せやぁっ!」

 

 跳び蹴りで頭部を狙うも、あっさりと回避される。

 

しかしそれは想定済みで、彼女は着地際に両手の連続パンチを繰り出した。

 

「――それそれそれぇっ!」

 

 20を超える連続の突きが、ダークゴブリンの胴体、顔面、腹部、至る所を狙うが、無駄のない体裁きで掠りもしない。

 

「――なっ?!だったら!」

 

 今度は、連続回し蹴りに切り替え、上段下段を揺さぶりながら再び攻める。

 

しかし、上体を逸らし、足裁きで軌道を外され、小刻みな軸ずらしで、彼女の連続回し蹴りは全て回避された。

 

「……なんで……?」

 

 渾身の攻撃も全て回避され、銀髪武闘家は目を見開き冷や汗を流す。

 

あまりに違い過ぎる想定外の事態に、彼女は思考停止に陥った。

 

その隙を好機と見たのか、ダークゴブリンは瞬時に反撃を開始――。

 

先ずは銀髪武闘家に高速で肉薄し、ほぼゼロ距離まで迫った……かと思えば、突如軌道を変え槍使いへと狙いを変える。

 

「――く、くそっ」

 

 その変化に対応が遅れ、槍で突こうとするも既に間合いはダークゴブリン側だ。

 

「――ごハァッ?!」

 

 腹部に強烈な膝蹴りが炸裂し、蹲る暇もないまま項に手刀が叩き込まれた。

 

槍使いはそのまま倒れ伏すが、ダークゴブリンは一瞬で銀髪武闘家へと踏み込む。

 

「――ぇ?」

 

 その動きに彼女は反応が追い付かず、ダークゴブリンの接近を許してしまった。

 

そして、先程の返礼が彼女に降り掛かる。

 

「――ぎぃやぁぁぁぁっ……!」

 

 彼女と同じく回し蹴りの嵐が、無数に撃ち込まれた。

 

脇腹、鳩尾、側頭部、肩部、あらゆる部位が蹴りの洗礼を受ける。

 

ダークゴブリンの猛攻に彼女は満足な防御もままならず、倒れ伏し地面へと崩れ落ちた。

 

「た…、たす、け…な…きゃ…」

 

 ここで漸く魔女が、援護の為の呪文を詠唱しようとするが、既に手遅れ。

 

否、ダークゴブリンが速過ぎたのか。

 

慄く魔女の喉に、ダークゴブリンは貫手で潰そうとする。

 

「……」

 

「……」

 

 一瞬の静寂。

 

 

 

彼女の喉は無事だった。

 

 

 

ダークゴブリンの指先は、彼女の喉に触れるか触れないかの距離で止まっていたのである。

 

「あ…消えてく……」

 

 その様子を見ていた銀髪武闘家。

 

ダークゴブリンは、そのままの体制で溶ける様に消滅してしまった。

 

「……助かった…の…」

 

 魔女もそのままの態勢で暫く硬直していた。

 

「――ええぃっ!矢張り、消耗が大き過ぎるか!流石は異端の黒き小鬼よ!」

 

 ダークゴブリンを生成した首謀者は、悔し気に歯を喰いしばる。

 

――どうやら無理な生成が祟った様だな。流石に焦ったぞ……。

 

横目に見ていた灰の剣士は、軽く安堵する。

 

「た、助かった…ぜ…」

 

「…うぅ…、死ぬかと…思ったよ…」

 

 槍使いと銀髪武闘家はゆっくりと立ち上がり、魔女と共に一旦後方へと退避した。

 

そして祭壇近くで、その様子を静観していた二人の不死人。

 

「ほぅ、あれがダークゴブリンか。今のは紛い物とは言え、実に興味深い」

 

 小鬼獣を生み出した茶系のローブの男は、極短時間とは言え生み出され圧倒的な戦闘力を発揮した、黒い小鬼に興味を抱く。

 

そして思案に耽った。

 

 

 

けたたましい咆哮と共に高速で迫る、獣の巨体。

 

嘗て小鬼だった獣は、鋭い爪で彼を引き裂こうとした。

 

小盾で爪攻撃を凌ぎ、数打ちの剣で反撃を見舞うも、その獣は上体を捻り、難無く回避する。

 

――成程、思ってた以上に速いな。

 

獣の小鬼『ゴブリンビースト』とゴブリンスレイヤーは、再び間合いを測りお互い慎重に徹す。

 

だが彼は気付いていない。

 

既にこの小鬼獣は、彼の戦術を学びつつある事を。

 

仮に相手が灰の剣士なら、小鬼獣は間髪入れずに猛攻を仕掛けて来た筈だが、この個体はゴブリンスレイヤーの影響を早くも受けていたのだ。

 

意を決した彼は、小鬼獣に突撃し剣の刺突攻撃を見舞う。

 

真正面からの単純な突き攻撃だ。

 

無論反射神経にも優れている小鬼獣は、それを掌で受け止め防御する。

 

刃が掌を裂傷させるが、敵はそんな些事を気にも留めない。

 

空いた手で爪の反撃に移ろうと、腕を振り上げる。

 

――掛かった!

 

それは彼の誘いであった。

 

彼は透かさず、地面を蹴り上げ水飛沫を敵の顔面へと振り掛けた。

 

此処の地面は殆どが水溜まりを形成している。

 

不意を突かれた敵は、顔面に水飛沫を真面に浴びる。

 

僅か数滴の水が眼球に当たり、敵は条件反射で顔を背けた。

 

敵から顔を背ける事は、致命的な隙を晒す事になる。

 

彼は躊躇なく懐へと跳び込み、胴体部を袈裟斬りで切り裂く。

 

「――GwuOooo!!」

 

 無防備な体勢で真面に受けた斬撃だ。

 

刃は胴体部に深く潜り込り、予想以上に深手を負わせた。

 

だが彼の攻撃は此処では止まず、更に体勢を低くしながら敵の脚元を切り付け、走り抜けた。

 

痛みに悶える小鬼獣。

 

ここで追撃を掛けても良かったが、彼は敢えてそれをせず様子を一旦窺う。

 

――思った通りだ、立ち直りも早い。

 

そう間を置く事なく、敵は体勢を立て直し彼の方へと向き直った。

 

ここで彼が下手に追撃を仕掛ければ、手痛い反撃を食らっていただろう。

 

再び睨み合う両者。

 

しかし小鬼獣が再度突進し、彼に飛び掛かる。

 

「――!!」

 

 彼は即座に、投げナイフを2本取り出し投射。

 

ナイフは眼球目掛けて飛来するが、敵は持ち前の反射神経で顔面を手で覆う。

 

そして再び手を除けた瞬間、眼前に得体の知れない球体が視界に広がっていた。

 

気が付いた時には、その球体は顔面に当たり割れる。

 

衝撃はまるで感じず、痛みもない。

 

あまりに意外な結果に、小鬼獣は一旦思考を停止させるが、不幸はそこから始まった。

 

突如として、眼球に強烈な激痛と熱さが襲い掛かり、鼻には抉るかの如き匂いが内部を駆け巡る。

 

視覚と嗅覚を同時にやられ、小鬼獣は苦痛に喘ぎ地面を転げ回った。

 

彼は投げナイフの後、直ぐ次の道具を投射していた。

 

彼が投射したのは、催涙弾。

 

卵黄と卵白を抜いた卵の殻に、粉末状に磨り潰した唐辛子と山椒の実を混ぜた物を詰め込んだ代物だ。

 

投げナイフは言わば囮で、此方が本命と言っても良いだろう。

 

のた打ち回っている小鬼獣は、地面の水溜まりに口を付け薄汚れ濁った水をガブガブと飲み干す。

 

――フム…こんなものか。もう少し手強いかと思っていたのだが、殺せるのならそれに越した事はないか。

 

彼が予測していたよりも、かなり戦況は有利だ。

 

ここで止めを刺せるのなら、早い方が良い。

 

迷いは却って自分を不利にする。

 

彼は迷い無く一気に踏み込み、地面に伏せる小鬼獣の頭部目掛けて剣を突き立てようとする。

 

だが、小鬼獣は突如顔を彼に向け、口から水飛沫を吹き付けた。

 

「――!?」

 

 予想外の事態に、彼は動きを止め小盾で水飛沫を防ぐ。

 

そして彼から生まれる隙――。

 

小鬼獣はその隙目掛けて彼に突進する。

 

「――ちっ!」

 

 彼は舌打ちしながらも音で接近を悟り、剣を横に薙ぎ払う。

 

だが、その一撃は空振りに終わり、小鬼獣はスライディングで彼の横を擦り抜けた。

 

「…なんだ?…奴は何がしたかったのだ?」

 

 視界が遮られ動きが止まっていた時こそ、自分を仕留める最大のチャンスだった筈だ。

 

しかし敵はそうせず、自分の横を擦り抜けたに留まる。

 

敵の真意が読めず、視界が戻った彼は慎重に剣と盾を構え直す。

 

一方小鬼獣は地面の水を掬い、目を洗っていた。

 

完全ではないが、幾らかは視界が回復している様だ。

 

敵の意図が分からない以上、迂闊には踏み込めず、彼は相手の出方を窺うしか出来なかった。

 

また小鬼獣が動き、此方に走り出す。

 

彼は防御態勢で、足を軽くステップする事で何時でも対応出来る状態で待ち構えた。

 

――今ならアイツの言っている事が分かる。さっきとは動きに変化の兆しが有る。

 

先程までは、瞬発力に任せた爪攻撃を繰り出すのみだったが、今では不可解な行動を執りつつあった。

 

灰の剣士の言葉を思い返し、敵が学習しながら戦っている事を改めて認識した。

 

小鬼獣は突撃しながらも地面を蹴り上げ、地面の水溜まりを彼に浴びせる。

 

「――次の手は何だ?!」

 

 自分が取った戦術を今度は敵が行っている。

 

敵が此方を学んでいるのなら、必ず()()有る筈だ。

 

そう予測した彼は、敵の次の一手に備えた。

 

顔を僅かに俯け、必要最小限の動きで水飛沫を凌ぐ。

 

案の定、敵は追撃を仕掛けて来た。

 

小鬼獣は、小石を纏めて投射してきたのだ。

 

命中精度はお世辞にも正確とは言い難い。

 

だが、それは敵も自覚していたのか、精度を補う様に数個纏めて投射して来る。

 

小石程度だが、膂力に優れた小鬼獣だ。

 

並外れた肩力から繰り出された小石は、かなりの弾速で彼に激突する。

 

殆どは、彼から外れているが数個は、命中していた。

 

彼は小盾と剣で防御を徹底する。

 

ハードレザーをベースに板金を施した、特別製の鎧だ。

 

身を屈める事で、ダメージを最小限に留め様子を見る。

 

程無くして敵の投射攻撃が止み、敵が此方に向かって来た。

 

今の自分は防御態勢で、視界も狭く動きも鈍い。

 

恐らく追撃で、此方を仕留めに来る算段なのだろう。

 

今の自分ならそうする。

 

彼は防御態勢を解き、反撃体勢に移行した。

 

「――!?」

 

 だがそれに呼応するかのように敵も動きを止める。

 

そして彼の目に映ったのは見覚えのある、卵の殻。

 

――しまったっ!

 

彼はそれが何なのかを瞬時に悟り、顔を背け目を閉じ呼吸を止めながら、ローリングでその場を退避した。

 

「――奴はっ!」

 

 間髪入れずに彼は起き上がり、敵の位置を確認するが既に視界から消えていた。

 

「――ぐぁはっ!?」

 

 唐突に襲い来る重い衝撃。

 

小鬼獣は彼の視界の外から接近し、彼の脇腹を蹴り上げていたのだ。

 

吹き飛ばされた彼は、地面を転がりながらも何とか起き上がる。

 

「…はぁ、はぁ…、まさかあの時(スライディング)か……」

 

 息を乱しながら彼は思い返していた。

 

小鬼獣が、攻撃せず敢えてスライディングで横を擦り抜けた、()()()――。

 

その擦れ違いざまに、彼の雑嚢から催涙弾を抜き取っていたのである。

 

だが、真正面から投げ付けても、彼は先ず防御し大した効果も得られない。

 

其処で敵は一計を案じ、彼の取った戦術から学び取り、水飛沫と投擲技術を駆使しながら最後に本命である催涙弾を投射したのだった。

 

結果的には、彼の目を潰す事はなかったが、隙を作り彼に痛痒を負わせる事には成功していた。

 

「本当に学習速度が異常だな……だが……」

 

 彼は荒い呼吸で、時を見据え兜の奥から瞳を紅く灯らせる。

 

 

 

「―― それでいい ――」

 

 

 

 再び剣と小盾を前に突き出し、小鬼獣と対峙した。

 

 

 

「……どうなされた?」

 

 くすんだ真鍮色の鎧を纏った聖騎士フォドリックが、ローブの男に訊ねる。

 

「あの男の真意が読めぬ……」

 

 茶系のローブの男は、一人の冒険者を注視していた。

 

自ら生み出した小鬼の獣。

 

その研究成果を見極めるのが彼の主任務だが、彼はそれに対峙する一人の鎧戦士『ゴブリンスレイヤー』に関心が移っている様だ。

 

「技量も力量も目を見張る程のモノは見受けられぬが?」

 

「分からぬか?フォドリック殿。確かに奴の実力は並みかそれ以下にも見ゆる。だが……」

 

 フォドリックの見解通り、ゴブリンスレイヤーの戦闘力は決して高いとは言い難い。

 

しかし、ローブの男は彼の行動に得体の知れない懸念を拭えないでいた。

 

「あの男、小鬼獣の学習力の高さに気付いている。普通なら短期決戦に移行するか、味方と合流し共闘すればいい筈だ。だが奴は敢えてそれをせず、寧ろ自分を学ばせ長引かせるような戦術を取っている。解せぬ……奴め…何を考えている……!?」

 

 小鬼獣の学習能力は非常に高く、極短時間で相手の特徴を学び取り対応出来る。

 

学習限界はあれど、長期戦になればなるほど、冒険者側に不利に働くのである。

 

地下水路にて灰の剣士は、短期決戦で術と道具を駆使し小鬼獣を仕留めた。

 

しかし、ゴブリンスレイヤーはそれをせず敢えて長引かせ、自分を学ばせようとすらしていた。

 

ローブの男にはそう思えて仕方なかった。

 

僅かだが焦りを見せるローブの男に、フォドリックは口を開く。

 

「なれば尚更それを見届ける事だ。全ての事象を見届け結果を生かすのも研究の一環かと思われるが?」

 

「――…!……ふふふ、そうであったな。私とした事が……」

 

 フォドリックに諭されたのか、ローブの男は再び落ち着きを取り戻し静観する。

 

――珍しい事もあるものだ。この男が僅かとはいえ、取り乱すとは。……ゴブリンスレイヤー……面白い男だ。

 

フォドリックもそれ以上言及する事はなく、ゴブリンスレイヤーに視線を送る。

 

小鬼獣とゴブリンスレイヤーが激突している頃、奥では灰の剣士と呪腹の大樹が戦いを繰り広げていた。

 

 

(推奨BGM Dark Souls Ⅲ - Curse Rotted Greatwood)

 

 

「……これで何回目だ?」

 

 彼は焦りを滲ませていた。

 

呪腹の大樹に生えている卵に似た物体。

 

いや、実際は胞子なのだろう。

 

不気味に蠢く胞子を破壊し、植物にはあり得ない色の体液を撒き散らしながら、その体組織は崩壊する。

 

確かに崩壊しているのだ。

 

彼はそれを確認し、間違い無く破壊した事を確信した後、次の胞子を目指した。

 

何度もロスリックを繰り返した彼とって、呪腹の大樹の攻撃は記憶通りの動きだ。

 

人の手足に似た太い枝の薙ぎ払いと、巨体を生かした大質量の押し潰しを難なく躱し、胞子の部分を破壊している。

 

彼をそれを何度も繰り返していた。

 

かれこれ13回以上……。

 

「まるでキリが無い……!」

 

 胞子を破壊し、移動し、また胞子を破壊。

 

それを何度も繰り返すが、呪腹の大樹は一向に衰えを見せないのだ。

 

だが、何故そうなっているのか。

 

彼は既に原因を探り当てていた。

 

「再生されるとはな……」

 

 そう――。

 

胞子を破壊し次の部位に向かっている頃、破壊した胞子部分が再生していたのである。

 

これでは幾ら胞子を破壊しても意味がない。

 

それなら胞子部を焼き、その体組織を焼け爛れさせれば再生は防げるのではないか。

 

当然彼にもその知識は備わっている。

 

寧ろ彼は早期に再生能力に気付き、真っ先に炭松脂を使用し打ち刀に火を付与させていた。

 

そして炎熱化した刃で胞子部分を焼き切っていたのだが、やはり再生されてしまう。

 

ならば、その再生能力が有限なのか無限なのかを検証する為に、今こうして敢えて胞子破壊を繰り返しているのである。

 

「……やはり駄目か。無限など信じたくはないが、これだけ破壊し続けても再生されては意味がない」

 

 更に都合の悪い事に、呪腹の大樹の胞子は発生個所も数も増加していた。

 

以前の時代では、ほんの数か所だった胞子が倍以上に発生している。

 

故に、幾ら破壊しても再生速度が勝ってしまい、次の胞子を目指している間に再生されてしまうのだ。

 

かれこれ34回目の破壊を終えた処で、彼は一旦攻撃を中断する事にした。

 

既にソウルの感知で、再生の仕組みはある程度だが理解する事に成功している。

 

胞子を破壊すると他の胞子が連動し、破壊個所を修復してしまうのだ。

 

当然破壊個所が多ければ多い程、再生に時間を要す事も理解出来た。

 

つまり、全ての胞子を同時に破壊出来れば、再生させる事なく倒す事が可能である。

 

しかし、通常の攻撃でそれを成し遂げるのは、非常に至難の業だ。

 

仮に仲間の助力を得て、同時攻撃を敢行したとて皆が皆、攻撃力に違いがあり使用武器も異なる。

 

同じ破壊力で同じタイミングを合わせ、完璧に連携されなければ完全破壊は成り立たず、一つでも討ち漏らしが発生すれば再生されてしまう。

 

加えて胞子の発生個所は、10数か所にも及ぶ。

 

そして呪腹の大樹が無抵抗でいる筈も無く、手足に似た枝や巨体による攻撃が広範囲に及ぶのだ。

 

生半可な戦術では、接近する事すら困難だ。

 

「ソウルの奔流か超高性能の爆弾で、本体ごと吹き飛ばせれば話は別だが……」

 

 孤電の杖で長時間蓄電すれば、ソウルの奔流を撃つ事は出来る。

 

しかし、今の彼の理力では無理やり振り絞った処で、幹すら傷つける事は出来ないだろう。

 

それに本体丸ごと吹き飛ばす程の火薬など此処には無い。

 

雑嚢に残っているのは僅かな火薬と破裂石弾数発のみだ。

 

とてもではないが、圧倒的に資源(リソース)が不足している。

 

――何とか彼等に頼むしかないか。

 

横目で、戦闘中の仲間達を見る。

 

もしかしたら自分以外にも、可燃物を持ち合わせている仲間がいるかも知れない。

 

それに知識に長けた面々も居る。

 

幸い、小鬼集団と亡者集団は駆逐されつつあり、敵勢力は不死の邪教徒と小鬼獣だけとなっていた。

 

フォドリックとローブの男は相変わらず静観を決め込んでいる。

 

恐らくこの祭壇を捨て、逃げ去る算段なのだろう。

 

彼個人としては、フォドリックを放置するのは抵抗があった。

 

また見知らぬ地で侵入を行い、椎骨を抜き取る凶行に走る可能性は充分にあったからだ。

 

だが今は、眼前の脅威を排除する事だ。

 

彼は呪腹の大樹に向き直る。

 

この呪腹の大樹、再生を行っている間は其処に力を割いているのか、動きと攻撃性が鈍る傾向にある。

 

この特性を上手く使えば、作戦を思い付く時間位は確保出来そうだ。

 

そう思案している内に、横から七色石が転がって来た。

 

――頃合いか。

 

その七色石を見た彼は、自分の七色石を投げ返した。

 

投げ返した相手はゴブリンスレイヤー。

 

彼は今も絶賛戦闘中だ。

 

彼が徐々に此方へ移動して来ている。

 

それに呼応するか゚の様に、灰の剣士もゆっくりとだが彼の方へと移動した。

 

今現在、呪腹の大樹は再生中なのか、動きが鈍く攻撃を仕掛けて来る気配はない。

 

彼との作戦を成就させるのは今しかない。

 

 

 

自分が投げた七色石とは違う色の石が、投げ返されて来た。

 

 

 

(推奨BGM Goblin Slayer OST - 01 - Goblin Slayer -MainTheme-)

 

 

 

「よし…!」

 

 ゴブリンスレイヤーは軽く頷いた後、小鬼獣に対峙したまま、ゆっくりとしかし確実に、灰の剣士へと()り足で距離を詰める。

 

一方、灰の剣士も同じ動作を取っていた。

 

呪腹の大樹は再生中なのか、動きが鈍い。

 

対して小鬼獣は、今にもゴブリンスレイヤーに飛び掛かろうとしている。

 

「さぁ来い、ゴブリンよ!」

 

 瞳を紅く灯らせ、彼はわざと隙を見せた。

 

小鬼獣は、誘われる様に突撃を開始し、鋭い爪で彼を吹き裂こうとした。

 

真面に当たれば革鎧ごと肉を引き裂き、重傷は避けられない程の威力を誇る。

 

「10…9…8…」

 

 爪攻撃をしゃがんで躱し、彼は数を数える。

 

「7…6…5…」

 

 小鬼獣の猛攻は続き、彼を引き裂こうと爪の連続攻撃が迫る。

 

「4…3…2…」

 

 瞬発力と膂力に優れた連続攻撃は、やがて彼の防御を突破し彼に痛痒を負わせ始めた。

 

「1…」

 

 しかし彼は尚もカウントダウンを続行していた。

 

小鬼獣の爪が彼の肩を薙ぎ、肩当ごと彼の身体を引き裂いた。

 

防具が敗れ、衣服を引き裂き、彼の皮膚は抉れ出血する。

 

だが彼は怯む事はなかった。

 

「――0ッ!!」

「――反転(リバースッ)!!」

 

 小鬼獣は止めとばかりに頭上高く腕を振り上げ、対して二人は同時の叫ぶ。

 

そして、小鬼獣の視界に映っていたのは彼ではなく――。

 

 

 

 

 

―― 灰の剣士だった ――

 

 

 

 

 

「――GOal?!」

 

 ゼロと叫んだと同時にゴブリンスレイヤーはローリングで退避し、代わりに灰の剣士と場所を入れ替わったのである。

 

予想外の不意を突かれ、初見では小鬼獣も反応が遅れ一瞬だが動きが止まる。

 

だが、気が付いた時にはもう遅い。

 

戸惑う小鬼獣は、脳天に打ち刀が打ち下ろされる。

 

そして全体重の乗った真っ直ぐな唐竹割りが、小鬼獣を頭から真っ二つに両断した。

 

 

 

小鬼獣に抗する術――。

 

ゴブリンスレイヤーは戦う直前、灰の剣士と対応策を話し合っていた。

 

正直自分一人では、小鬼獣に対抗する事が難しいと踏み、敵の学習能力の高さを逆手に取った。

 

先ず彼自身が相手取り、小鬼獣に自分の特徴を徹底的に学習させた。

 

案の定、敵は彼の特徴や戦術に対応を始め、彼に似た行動を執り始めた。

 

そして頃合いを判断し、灰の剣士と瞬時に入れ替わる事で、意表を突く事に成功。

 

一方小鬼獣は、灰の剣士に対しては無知であり、初見の相手という事になる。

 

その時点の小鬼獣は、対ゴブリンスレイヤー特化型となっており、灰の剣士の繰り出す剣技には全く抗する事が出来ず、アッサリと仕留められる事となったのだ。

 

もしゴブリンスレイヤー一人で徹底抗戦していれば、更に戦いは長期化し、下手をすれば取り逃がしていた可能性もあった。

 

(まさ)しく()()()()、彼ならではの発想だ。

 

その様子を一部始終見ていた、二人の不死人。

 

「まさか、そう来るとはな。此度の実験、誠に意義深きものであった!」

 

「フフフ…面白い男よ、ゴブリンスレイヤー。そして生者となった薪の王もとい灰の剣士。この時代も、なかなかどうして楽しませてくれる」

 

 ローブの男とフォドリックは、ゴブリンスレイヤーと灰の剣士を凝視していた。

 

その頃、亡者と小鬼の集団は、他のメンバーによって殲滅され、残敵は3人の邪教徒と呪腹の大樹のみとなった。

 

「ぬぅ~…、己ぇ…我が軍勢を悉く打ち破るとは…、フォドリックよ!高みの見物などしていないで、加勢せんかぁっ!」

 

 あれだけ居た小鬼と亡者集団を全滅させられ、頼みの綱であった小鬼獣とダークゴブリン(魔法生成物)も不発に終わり、首謀者はフォドリックに感情の丈をぶつける。

 

「これは異な事を…。”助力など不要”そう申し上げたのは貴公ではないかね?それに、此処で私が冒険者共を屠れば手柄は全て私に渡ってしまうが、それを良しとせぬのが貴公の望みだった筈」

 

「ぐ…ぐぬぅ…、ええい!もう良いわぁ!まだ我等には呪腹の大樹がある!これさえあれば、冒険者など物の数ではないのだぁっ!!」

 

 フォドリックに論破され、反論出来なくなった首謀者は呪腹の大樹に全てを賭ける。

 

対して冒険者側は全員、一ヶ所に集合していた。

 

今の所は動きを止めている呪腹の大樹に、全員の視線が集まっている。

 

「デカいだけあって、かなりタフそうだ」

 

 同期戦士は、呪腹の大樹を見上げている。

 

「アンタでも、あの大木は仕留め切れねぇか」

 

「どうやら火が弱点みたいだが、それでもダメなのか?」

 

 槍使いと重戦士は、未だ仕留め切れていない灰の剣士に、意外そうな表情を見せている。

 

それに対し、灰の剣士は実情を説明した。

 

本来なら既に倒せても不思議ではない事。

 

しかし、弱点部位の胞子部を倒せど倒せど、再生され復活してしまう事。

 

どれだけ胞子部分を破壊しても、一つでも残れば他の部位を再生させてしまい、元通り復活してしまう事。

 

一応打開策はあるが、同時破壊と攻撃力が圧倒的に不足している事。

 

そして最も有効なのは、爆薬を使用しての同時破壊だと主張し、それ等を大まかにだが説明する。

 

「……確かに私達は、使用武器も得意とする攻撃にも差異はあるな」

 

「爆薬ですか……。全員分搔き集めればどの位の量になりますかね?」

 

 それを聞いた女騎士は頷き、獣人魔術師は可燃物の残量を皆に確認した。

 

「――おっと待った!あの木…動き出しやがったぜ……!」

 

 突如重戦士から警告され、皆は再び呪腹の大樹へと視線を戻す。

 

「我々で時間を稼ぐ、その間に何とか作戦を頼む!」

 

「白い胞子を破壊すれば、暫くは鈍くなるんだったな!」

 

 灰の剣士を始めとした戦士職は、時間稼ぎと囮の為に呪腹の大樹へと相対する。

 

それ以外のメンバーは、出せるだけの可燃物を捻出し合った。

 

だが、もう一つの懸念は邪教徒達だ。

 

このまま彼等を黙って見逃がせる筈も無く、後ろから術を撃たれる危険性も孕んでいる。

 

「邪教共は我々に任せて頂こう」

 

 どうやら邪教徒は、調査隊が当たってくれる事になった。

 

「こんな物しかないが、良かったら使ってくれ」

 

 そして油壷を数個、寄越してくれた。

 

「御心遣い感謝に堪えません、しかしまだまだ足りません、どうすべきか?」

 

 皆から集めた火薬や可燃物と云った物資――。

 

トロル程度なら十分吹き飛ばす程の量だが、呪腹の大樹には少々心許なかった。

 

獣人魔術師には、爆発力を高める為の秘策があったが、適量には至っていない。

 

「今から調達している時間も労力もありませんし、困りましたね」

 

 物資が足りず、打開策を捻り出そうと禿頭僧侶も頭を悩ませる。

 

「……なぁ…一個提案あるんだが良いか、先生?」

 

「――?」

 

 悩む獣人魔術師に、一つの案を提示したのは鉱人の斥候だった。

 

「アイツ等助け出して、何かしら持ってないかなって思ったんだ」

 

 彼女が指差した先には、鉄格子に捉えられた大勢の人質達。

 

その中には、数多くの冒険者も捕らえられていた。

 

「……一考の価値はあるかも知れんが、火の秘薬を持っている保証はないぞ!」

 

 森人僧侶は珍しく彼女の意見に一定の理解を示すが、完全には支持していなかった。

 

「うっさいなぁっ!あたしだって無い知恵絞って考えてんだよっ!」

 

「いえ!その案…乗りましょう!」

 

 条件反射的に反発する彼女に、獣人魔術師は鉱人斥候の案を採用する事にした。

 

「確かにこのままでは、打開出来ませんものね」

 

「うん!試す価値はあるよ、先生!」

 

 圃人の少女巫術士と半森人の少女野伏も、その案を支持した。

 

「彼等が邪教徒を抑えている今が好機。頼みましたよっ!」

 

「あいよっ!」

開錠(アンロック)、使える、から、わた、しも」

「念の為、俺も行きますよ!」

 

 鉱人斥候を筆頭に、魔女、少年斥候も随伴する事にした。

 

「こうなったら、善は急げだっ!あたしについて来な!」

 

 鉱人斥候は意気込みを見せ、早々に鉄格子の方へと向かう。

 

彼女の後を少年斥候と魔女が追従する。

 

「ま…まって…私、足、遅い、の…」

 

 鉱人斥候である彼女の脚は思いの外早く少年斥候は兎も角、魔女はかなり遅れながら二人の後を追った。

 

(推奨BGM Dark Souls Ⅲ - Curse Rotted Greatwood)

 

呪腹の大樹に抗する戦士職の面々。

 

重戦士、女騎士、軽戦士、槍使い、同期戦士、斧戦士、銀髪武闘家、見習い剣士の少女。

 

そしてゴブリンスレイヤーと灰の剣士。

 

彼等は散会し、それぞれ別方向からの接近を試みる。

 

「灰の話では、確か胞子部分が弱点だったよな?!」

 

「なんでも再生してしまうらしいぜ!」

 

「だったら、一度攻撃して再生能力を確かめてみるか!」

 

 重戦士、同期戦士、槍使いは、最も近い白い胞子部分に狙いを定める。

 

先ず槍使いが胞子部分に接近するも、幹に張り付いた胞子は脈動しながら蠢いていた。

 

如何にも()()()生まれそうな動きだ。

 

「……冗談だろ…?何だよ、この気味わりぃ物体……!」

 

 槍で突くのも躊躇う程の不気味さに、彼は身震いすら感じている。

 

しかし意を決し、彼は槍で胞子を切り裂いた。

 

「――オラぁっ!」

 

穂先の刃が柔らかい胞子に易々と抉り込み、ブチュリという音と共に胞子から赤黒い液体が噴き出す。

 

気色の悪い感触が槍から身体へと伝わり、彼は嘔吐感さえ催している。

 

「血じゃねぇか……この色……」

 

 植物からあり得ない色の液体が噴出し、その匂いは鉄分を含んだ刺激臭が鼻を突いた。

 

このまま追撃を仕掛けるつもりでいたが、彼は余りの気味悪さに断念してしまう。

 

その頃、重戦士と同期戦士が胞子を追撃する。

 

「――どるぁっ!」

 

「――せぃっ!」

 

 重戦士の大剣が、同期戦士の直剣が、胞子を切り裂き其処から濁った鮮血が噴き出る。

 

「クッソ…!ボルドとはまた違った悍ましさを感じるぜ!」

 

「運良く生還しても、暫く夢に出てきそうだ…!」

 

 やはり彼等も、これ以上の追撃は躊躇われ一度距離を置いてしまう。

 

それ程までに禍々しいのだ、この呪腹の大樹は。

 

しかし、距離を離してしまった事が、自らを不利に追い込んでしまった。

 

攻撃された事に激昂でもしたのだろうか、呪腹の大樹は手足に似た枝を振り回し、反撃に出た。

 

「――いかん、離れるなぁっ!懐に跳び込めぇっ!!」

 

 灰の剣士は、反撃の気配を察知し彼等に警告を促した。

 

しかし、遅かったようだ。

 

彼等は本能的に呪腹の大樹から距離を開け、防御体勢を取ってしまった。

 

呪腹の大樹、その巨体と遠心力に加え桁外れな重量と質量から繰り出される攻撃は、最早脅威の一言だ。

 

その影響力は広範囲に渡り、彼等の退避場所は何処にも無く防御態勢で備えるのが精一杯であった。

 

しかし、繰り出される攻撃の前に個人の防御など、如何ほどの意味があろうか。

 

「「「ぐぅおぁああっ……!!」」」

 

 彼等は防御ごと吹き飛ばされ、地面を強打しながら数十メートルも転げ回る。

 

「ああっ…!た、大将っ!?」

 

「――っ不味いですね…!」

 

 吹き飛ばされた彼等の様子に、少年斥候は叫び禿頭僧侶は焦りを滲ませる。

 

「胞子を一つでも破壊出来ればいい!そうすれば再生中…動きが鈍る筈だ!時間を稼いでくれ!」

 

 灰の剣士が呪腹の大樹の特性を叫び、それを聞いた斧戦士、女騎士、軽戦士、見習い剣士が前へと出た。

 

「やってみるかの…!」

 

「こんな化け物…、初めてだ!」

 

「胞子の破壊…やってみましょう!」

 

「わ、わたしだって…!」

 

 新たな四人が呪腹の大樹へと突撃する。

 

胞子を破壊し再生行動に移れば、その間は動きと攻撃性が鈍り、その時間を利用して倒れた彼等を退避させる事が出来る。

 

仲間の命が掛かっている今、彼等に逡巡の余地はない。

 

「確かに気味が悪いな」

 

 先ず女騎士が、一際大きめの白い胞子部位に斬り付けた。

 

流れる様な刃が胞子を切り裂き、噴出した返り血が彼女の鎧を赤黒く染め上げる。

 

しかし、彼女は気にも留めぬまま、その場から一旦退避し続けて斧戦士、軽戦士、見習い剣士が攻撃を加えた。

 

その甲斐あり、大きめの胞子部位は破壊され呪腹の大樹の動きが若干だが鈍くなる。

 

「よしっ、効果はある!今の内に……!」

 

「儂は、このまま攻撃を続行するで、アイツ等を頼まぁっ!」

 

「わたしも行く!」

 

先程吹き飛ばされた3人の救援は女騎士と軽戦士に任せ、斧戦士と見習い剣士は他の胞子部分に仕掛けていった。

 

「こんのぉっ!」

 

 手甲に包まれた銀髪武闘家の拳が、胞子部位にめり込んだ。

 

軟体生物を抉るかのような感触と液体と肉の弾け飛ぶ音が、彼女の耳と脳に伝わる。

 

「――……っ!」

 

 目を細め歯を喰いしばりながら、生理的にクル嫌な感覚を無理矢理封じ込め、更なる連打で胞子部位を攻撃。

 

トゲ付き手甲が赤黒い液体で染まるが、そんな些細な事を気にしている場合ではない。

 

「――一旦離れろ!が生えて来るぞ!」

 

「――へっ?()っ?」

 

 突如、灰の剣士からの警告が飛び、彼女は彼の”手”と言う単語に戸惑う。

 

「――いいから早くっ!」

 

「――ぇ、はいっ!」

 

 彼は尚も急かし、彼女は言う通りに退避した。

 

程無くして呪腹の大樹は、彼の警告通りに幹から巨大な白い腕が生えてきた。

 

刃も通さない堅牢な幹が不気味に脈動し、ひび割れたかと思えばその部分から不気味な白い腕が存在していたのである。

 

その異様な光景に皆は目を奪われ、最早放心状態となっていた。

 

「おい、呆けるな!掴まれたら終わりだぞ!」

 

「出来るだけ接近しろ!掴まれ難くなる!」

 

 ゴブリンスレイヤーと灰の剣士が、呆けるメンバーらに声を張り上げた。

 

呪腹の大樹の腕は異様な長さを誇るが、逆に懐へと飛び込めば掴まれる危険性は大幅に下がる。

 

二人の呼び掛けに我へと返ったメンバーらは、各々の判断で接近を試みる。

 

しかし彼等の動きと同時に、呪腹の大樹の白い腕も始動を開始していた。

 

白い腕は、掌を開き腕を大きく振り被る。

 

「――誰かを狙っているっ?!」

 

 灰の剣士は、白い腕の予備動作で誰かを掴み掛ろうとしている事に気付く。

 

異様に長い腕だ。

 

その影響範囲は桁違いに広く、誰が狙われても不思議ではない。

 

「――!あの娘かっ!」

 

 標的とされていたのは、銀髪武闘家だった。

 

灰の剣士は標的対象を即座に判断し、彼女を庇う。

 

「――えっ?け、剣士さん?」

 

「退避し…――ぐぉぁっ!」

 

 いきなり割って入った灰の剣士に彼女は困惑するが、次の瞬間、彼は白い手に鷲掴みにされていた。

 

「――や、やべぇっ!」

「――こんな時にっ!」

「――は、灰よっ…!」

「あ…あぁ…け…剣士…さぁん…」

 

 戦士職のみならず、後衛職までもが彼の有様に表情を凍り付かせた。

 

「ぐっ!俺に構うなぁっ!一つでも多く胞子を破壊しろぉっ!」

 

 灰の剣士は尚も構わず、皆に胞子の破壊を呼び掛ける。

 

皆は冷静さを欠き始めていたが、胞子部位を破壊すればする程、呪腹の大樹は再生に力を割く事になり、その分挙動が鈍くなる。

 

それ即ち、白い腕の握力も弱体化すると言う事でもあり、結果的に彼の助かる可能性が高まる訳だ。

 

更に幸か不幸か鷲掴みにされていた彼だったが、上半身と両腕は自由が利く状態である。

 

打ち刀は落としてしまったが彼は何とか腰の鞘から短剣を引き抜き、白い腕に何度も突き立て抵抗を試みていた。

 

「――おいっ!ボサっとしてねぇで攻撃しなっ!アイツを助けんぞ!」

 

「――え…は…はいっ!」

 

 鷲掴み状態の彼に呆然自失としていた銀髪武闘家であったが、同期戦士に叱咤され我に返った彼女はすぐさま攻撃に復帰した。

 

戦士職の面々は次々と胞子部分を攻撃し一つまた一つと破壊していくが、そうしている間にも再生が完了し何時まで経っても破壊が追い付かないでいた。

 

だが、呪腹の大樹は再生に力を削いでいる為か、白い腕の握力は徐々に弱まりつつある。

 

――よし、いいぞ!このまま……。

 

灰の剣士も、その事を察知し尚も白い腕に短剣を突き立てている。

 

しかし――。

 

「――?!」

 

 突如として彼の視界が暗闇に閉ざされた。

 

――な、何だ?!

 

唐突に訪れた不可解な現象に、彼の思考は一瞬停止する。

 

そして周囲の騒ぐ声と、上半身を襲う凄まじいまでの圧力が同時に襲い掛かった。

 

「――ぐっ?!ぐぉぉああぁぁぁ……!!」

 

 彼はその圧力に叫び声を上げる。

 

全方位から上半身に掛かる不可解な圧力。

 

「……お…おい…嘘…だろ…」

「あ…り得るのか……こんな事……」

「あ…あぁぁ…」

 

 再び戦士職の面々は攻撃を止め、呪腹の大樹を見上げていた。

 

「う…腕が…もう…一本…」

「右があれば…左も当然…」

「ふ…普通…そう…だよな…」

 

 そう――。

 

呪腹の大樹には、もう一本の巨大な白い腕が生え、灰の剣士に掴み掛っていたのである。

 

つまり両腕を使い、彼の下半身と上半身を其々鷲掴みにしていたのだ。

 

――ぅゥぅuぅぐぅゥぅぅウっッ……?!!

 

白い腕の中から、彼のくぐもった断末魔が反響する。

 

しかし余りに不気味で悍ましい光景に、皆は彼の苦悶など届いてはいなかった。

 

普段冷静なゴブリンスレイヤーでさえも。

 

徐々に握り潰される灰の剣士。

 

上半身を握る腕の握力は特に優れ、メキメキと骨の亀裂音が暗闇の中で響く。

 

白い腕に彼の姿は完全に覆い隠され、彼が今どの様な状態なのか知る由も無い。

 

彼を包み込む、白い抱擁。

 

彼は確実に、圧死しようとしていた。

 

「――い、嫌ぁぁあっ?!剣士さぁぁぁんっ!!」

「――け、剣士様ぁぁっ!!」

 

 呆然とする面々に、銀髪武闘家と見習い剣士の少女二人だけが絶叫を撒き散らす。

 

 

 

 

 

奥の祭壇では、フォドリックとローブの男がほくそ笑んでいた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

小鬼(クリエイト・ゴブリン)(真言魔法)

 

 ファキオ(生成)…、ミニステルアリス(従僕)…、ゴブリン(小鬼)…

 

 小鬼の牙や爪と云った体の一部を触媒とし、小鬼を生み出す魔法。

 生み出された小鬼は、術者に従い操る事が可能。

 

 しかし、生み出された小鬼は思考力や知能が著しく欠如しており、単純な命令しか下せない。

 また術者の能力で生成ないし同時制御数に、大きく隔たりがある。

 

 この術は歴とした真言魔法ではある。

 しかし、生成物が混沌勢の代名詞ともいえる小鬼だ。

 故に、衆目の風当たりは厳しく、術者は世間から敬遠されるのも無理からぬが道理と言えよう。

 

 

 

 

 

 




 このまま呪腹の大樹撃破まで書こうと思っていましたが、まだまだ終わりそうにないので、ここで区切る事にしました。
次回で決着が付くと思います。

如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

デハマタ。( ゚∀゚)/
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