大寒波で、配管が凍りお湯が出ない……。
路面凍結で、スリップが恐い恐い……。
寒いのは嫌いです……。( ̄ω ̄;)
そんなこんなで投稿します。
ストームルーラー
「巨人殺し」の異名を持つ大剣
折れた刀身は、今でも嵐の力を宿し
巨人を地に打ち倒すという。
巨人ヨームはそれを二本持っていた。
一本は、彼を信じぬ人々に与えられ
もう一本は、薪の王となるその前に
一人の友に託されたという。
戦技は「嵐の王」
構えにより嵐をその剣に纏わせる。
その真価は、巨人を前にしたとき分かるだろう。
使命を果たし役割を終えたそれは、静かに朽ち果てた。
しかし、宿った想いと魂は形を変え受け継がれてゆくだろう。
それが友が託した真の願いだったのかも知れない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ぼやけていた輪郭が徐々に鮮明になってゆく。
街道を走る一台の荷馬車――。
其処には、10名を超す多数の冒険者が乗っていた。
故郷の流れ着く地ロスリック――。
その探索を終え、彼等は帰って来たのだ。
輪郭は次第にはっきりと姿を映し彼等の帰るべき場所、西方辺境街だった。
「済まん、此処で降ろしてくれ」
一人の鎧兜の冒険者、ゴブリンスレイヤーは御者に馬車を停めて貰い、其処で降りる。
「先に行っててくれ、悪いが報告は任せた」
「分かった、任せてくれ!」
彼の言葉に灰の剣士が応え、再び荷馬車は街へと走り出す。
彼の降り立った場所――。
此処は彼の帰るべき場所でもあり、守り抜く第2の故郷でもある
馬車を降りた彼は家へと向かう。
広く青々と生い茂った草原――。
その草原で緩やかに過ごす、牛や豚といった家畜――。
小高い丘に建てられた、彼の住まう家――。
ガチャリっ――。
いつもと変わらぬ仕草で扉を開けた。
「――あっ…!お…おかえりっ!」
牧場主の姪であり、彼の幼馴染である牛飼い娘が、少々驚いた表情で彼を迎え入れた。
「お仕事お疲れ様。お腹空いてるでしょ?いま何か作るね!」
予想だにしていなかった唐突の帰宅――。
彼女は少々あたふたした様子で、食事の支度を始めた。
「――いや、それは後回しだ。それよりも叔父さんを呼んで来てくれ、伝えなければならん事がある!」
「――え、え…?」
普段とは違う彼の様子に、牛飼い娘は困惑する。
何時になく急かす彼に少々戸惑いながらも、牧場主を呼びに行く牛飼い娘。
「う…うん、ちょっと待ってて!」
――どうしちゃったんだろ?何か急いでるみたいだったけど……。
彼女は急ぎ足で外へと向かった。
……
「じゃあ、俺達はギルドで報告してくっから、後の事は任せな!」
ギルド前に荷馬車が停車し、灰の剣士と男神官を除く全員が降車する。
重戦士が二人にそう告げ、皆を引き連れながらギルドへと入って行った。
「お手数をお掛けします!僕らは神殿まで向かいます故に!」
再び走り出すに馬車の中から、男神官が彼等に礼を述べる。
荷馬車には二人の遺体が載せられ、これから地母神神殿に葬りに行く処だ。
その遺体は牛飼い娘の両親でもあり、牧場主の妹夫婦でもあった。
今頃はゴブリンスレイヤーが事情を説明し、彼等も神殿に向かっている頃だろう。
程無くして地母神神殿に到着を果たす。
普段、直接馬車が神殿前で停車する事は先ず無い。
守衛の兵士は何事かと、警戒感を露にした。
何せ荷馬車の中から灰の剣士と男神官が、死体袋を抱えて馬車から降りて来たのだ。
普通に考えて、只事ではない。
「急を要します!大至急、葬儀の準備に取り掛かりますので、神官長と司祭長様にご報告を――」
男神官が衛兵に報告を命じた。
彼の事は存じている兵士達――。
何が起きたのかを聞き出そうとするが、”急げっ!”と彼の一喝に脱兎の如く奥へと走り去ってしまった。
元々男神官はこの神殿の所属で、神官長や司祭長からの信頼も厚く、高い地位を獲得している。
守衛の兵士ごときで、彼を問い詰める事は不可能だった。
それからというもの、神殿総出で葬儀の準備に取り掛かり皆が皆、喪服に着替え墓地へと移動する。
無論彼等の中には、あの神官見習いの少女も参列していた。
彼女は灰の剣士の姿を見付けていたが、その場で声を掛けるほど状況を読めない子ではない。
敢えてそれは避け、一信徒として振舞った。
数年前に起きた、あの惨劇――。
空の棺を掘り起こし、牛飼い娘の両親をその中に入れ、後は彼等を待つだけとなった。
既に物言わぬ遺体と化していた牛飼い娘の両親――。
取り分け母親の方は小鬼による損傷が酷く、綺麗な衣服に着替えさせられていた。
それはロスリック拠点街の交易神神殿の聖職者達が、二人の死を悼んだせめてもの善意であった。
「お待たせ致しました、皆様方……!」
待つ事暫し、牧場主たちが墓地へ到着する。
ゴブリンスレイヤーはそのままの格好だが、牛飼い娘と牧場主は礼服を纏っていた。
……
「神殿で葬儀…ですか…?」
髪を三つ編みに束ねたギルドの受付嬢。
彼女は槍使いから、ゴブリンスレイヤーの近況を聞いていた。
「詳しい事はアイツ本人から聞いてくれ。残念だが、こればっかりは俺の口から話す事は出来ねぇ……」
普段は陽気で親し気に話し掛けて来る槍使い。
今日に限っては、口調が些かに沈みがちであった。
一体ロスリックで――
一刻も早く真相を知りたいが、彼が戻って来ない事には詳細は分からない。
逸る気持ちを抑え、彼女は職務に従事する。
「――っかぁ~~やめだやめだ!今日はどうにも辛気臭く成っちまわぁっ!!おい!酒場で飲み直すぞっ!」
居た堪れなくなったのか、槍使いは頭を掻きむしり、早々に酒場へと移動してしまった。
「ちょっ、と、のみ、す、ぎよ」
”また後で”と受付嬢に向き直り、魔女は槍使いの後を追う。
――ゴブリンスレイヤーさん……。
受付嬢は神妙な顔つきで、カウンター越しに神殿の方角を向いた。
……
ギルド併設の武器工房にて――。
「……残念だが、コイツぁ無理だ…俺でもな」
工房の雇われ鍛冶師、アンドレイは目を細め謝罪する。
「……そうか……。貴公の腕を以てしても……」
「まさか、オメェがお手上げとはな……」
玉葱の様な出で立ちの騎士、カタリナのジークバルドは落胆し、工房主の老爺も意外そうにアンドレイを見た。
「残念だが、ここ迄破壊されちゃ、元には戻らねぇ……
ほぼ粉々と言っていい程に、損壊した二振りのストームルーラー。
一見すると元が剣だったのか疑わしい程に、砕けてしまっている。
「ほぅ……、
「ふむ…
アンドレイの意味ありげな指摘に、老爺とジークバルドも意味あり気に復唱する。
「――まぁ、
「アンドレイ殿…どんな形でも良い、修復して貰えんか。私にとってこの剣はっ――」
「――アンドレイ!幾らオメェの旧友だからと言って、お客さんには変わりねぇ!勿体付けてねぇで、何とかしろいっ!」
老爺に捲し立てられ、アンドレイは案を示す。
損壊し役目を果たさなくなったストームルーラーを、炉に入れ素材レベルにまで溶かし込む。
その上で、別の武器と溶かしたストームルーラーを融合させるといった手法。
その手法は過去にも実例があり、灰の剣士に対して施した事があった。
使用不能となったシミターを溶かし、今の打ち刀に融合させた。
それにより、楔石で強化された特性をそのまま別の武器へと引き継がせていたのである。
「ストームルーラーは、そんじゃそこらの武器とは違う。やるにせよかなりと手間と時間が掛かるぜ、それでも良いか?」
後はジークバルド本人の意思を確認するだけだ。
アンドレイは彼の本意を問う。
「是非も無い!たとえ姿形が変わろうとも、その魂と精神は新たに引き継がれる筈だ!お願いする、アンドレイ殿!」
ジークバルドは、頭を下げ彼に懇願した。
「そいじゃ、後はベースとなる武器だな。どうする、ここで買うのもアリだぜ?」
老爺は、素体となる武器の提示を要求した。
「ならこの剣で頼む。今の所、最も体に馴染んでいるのでな」
ジークバルドは現在愛用している、片手半剣『バスタードソード』をカウンターの上へと置いた。
「……ほぅほぅ…コイツぁなかなか……」
早速老爺が、バスタードソードを丹念に検分する。
かなり使い込まれていたが、丹念な手入れと最上質に近い品質を誇る逸品で、老爺も感嘆の息を漏らす。
「これ程の出来栄え、早々お目に掛れるもんじゃねぇ。どこで買った?それともロスリックとやらで拾ったのか?」
気になるのだろう。
老爺はバスタードソードの出所を尋ねる。
「水の都に在る『スカイフォージ』と呼ばれる工房で購入した」
「おお!やっぱりアイツのとこからか!そうだと思ったぜ!」
ルーツを知った老爺は上機嫌になる。
どうやら水の都の工房には、知り合いの同業者が居るらしい。
その工房で造られる武具は上質揃いが多く、駆け出しや新人の冒険者が手を出すには些かにハードルの高い領域でもあった。
「おう、アンドレイ!丁寧に、念入りに仕事を完遂しろ!機会があれば今度オメェにも紹介してやっからよ!」
深く頷いた老爺は、武器をアンドレイに手渡した。
「……えらく張り切ってやがんな、店主…。まぁ、仕事はキッチリこなすがよ」
武器を受け取ったアンドレイは、そのまま地下へと降りて行った。
そして出来上がるには早くても2週間は掛かるらしく、ジークバルドは予備の武器を購入する事に決めた。
やや短めの直剣『グラディウス』と手斧『ハンドアクス』を注文する。
出来上がる剣は、恐らくバスタードソードと同等の大型剣となる筈だ。
ならば補助兵装として、取り回し重視の武器を所持しておくのが望ましいとの判断だった。
「ではストームルーラーの件、宜しくお願い致す!」
「おぅっ任せな!出来上がる迄に死ぬなんて真似は止してくれよ、騎士さん!」
用が済んだジークバルドは、老爺に礼を言い工房を後にした。
――さて、適当に依頼でも見ておくか。
工房を出たジークバルドは、再びギルドへと脚を運んだ。
……
「……お帰り…ううん、ただいまって言えばいいのかな?……分かんないや」
喪服の牛飼い娘――。
二つの棺に跪き、静かに語り掛けていた。
「やっと会えたな、二人共……」
牧場主も、同様に語り掛けている。
「わたしね、今叔父さんの牧場で住んでるんだ。彼も一緒だよ」
牛飼い娘は、母親の方に語り掛けた。
最初、穏やかに語り掛けていた彼女であったが、徐々に声が上ずり小刻みに震え出した。
「……それか…らね…私ね…わたし…ね、…えっと……あ…の…わ…たし…、あれ…?……な…なに…を…えっと…?」
視界が歪む。
気が付けば目尻には涙が溢れ、自分で何を言っているのかも分からず、当惑していた。
そんな彼女へ、牧場主がそっと肩に手を置く。
「泣きなさい。――我慢しなくていいんだ」
その瞬間――。
牛飼い娘の涙腺は一気に決壊した。
………
……
…
あれから幾許かの時間が過ぎる。
今日の今日まで溜め込んでいたのだろう。
牛飼い娘は全てを吐き出しつくかのごとく、思い切り泣いた。
只管に泣いた。
只々慟哭した。
両親に対する様々な感情が、一気に噴き出した。
友愛、信頼、感謝――。
哀しみ、空虚、迷い――。
何もかも、今、此処で、吐き出し尽くした。
貰い泣きだろうか?
彼女に釣られ、すすり泣く聖職者達も居る。
見習い神官の少女も同様に――。
この場に参列している者たちは皆、彼女の哀しみを分かち合った。
『もう良いだろ?そろそろ私達を――』
『お願いです、直接あの子と話をさせて下さい!』
彼等が騒ぎ出す。
ソウル体となった、牛飼い娘の両親が彼に催促しているのだ。
ロスリック不死街で流れ着いた、ゴブリンスレイヤーと牛飼い娘の故郷。
滅び去ったその廃村で、天に帰る事なく留まり続けていた彼女の両親――。
そのソウル体を認識出来ていたのは、彼――灰の剣士だた一人。
彼等の願いで灰の剣士は自らを器とし、二人のソウルを連れ帰る事にしていた。
感情を吐き出す牛飼い娘に、居ても立ってもいられなくなったのだろう。
”早く解放してくれ”と、灰の剣士を急かす。
(――もう少し待って頂きたい!貴方たちは念が強過ぎて、他者にも普通に認知されてしまう!彼等だけになってから必ず開放する、もう暫し耐えてくれ!)
我が子を想うあまり、二人のソウルは鮮明で周囲の一般人に認知されてしまうらしく、このまま解放すれば忽ち大騒ぎとなり葬儀どころではなくなるのは目に見えていた。
せめて葬儀が終わり、身内だけになるのを待つ必要がある。
灰の剣士は、荒ぶる彼等を何とか宥め鎮めた。
いよいよ葬儀も大詰めを迎え、男神官が代表で鎮魂歌を謡う。
そして棺の彼等は再び埋葬し直され、参列者全員で彼等の冥福を祈った。
「――これで葬儀の閉式を宣言致します。皆様方、此度の参列、真に感謝致します」
男神官が葬儀の終了を宣言し、参列者はそれぞれの場へと戻った。
「……どうされました、剣士殿?」
「お兄さん、来ないんですか?」
男神官と見習い神官の少女は、灰の剣士が動かない事に疑問を感じ脚を止めた。
「先に行っててくれ、まだ用が残っているのでな」
「……分かりました。ではお先に――」
男神官なりに事情を察し、些か腑に落ちない少女を引き連れ神殿へと引き返した。
――さてと。
灰の剣士は牧場主たちに振り返る。
「どうしたの、剣士君?」
「私達に何用かな?」
「灰よ……」
「……会わせたい人が居ます」
訝しむ彼等に灰の剣士は静かに告げた。
『『はよ…、はよ…!!』』(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾ (੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
尚も急かす牛飼い娘の両親――の、ソウル体。
――うるさいなぁっ……さっきからっ……!( ̄ω ̄;)
余りに催促する彼等に業を煮やしたのか、灰の剣士もイラつきながら解放した。
「だ、大丈夫、剣士君?」
牛飼い娘も、顔を歪める灰の剣士を心配する。
そして程無くして――。
牛飼い娘たちの前に、青白い靄の様な物が現れた――。
かと思えばそれは徐々に人の形となり、彼女等の良く知る人物の姿となった。
『やぁ!元気そうだな!』
『大きくなったわね、本当に……!』
「――えっ、エッ、え……!?」
いきなり現れた一組の若夫婦――。
「――なっ!?こっ!?んんっ!?」
「――…!?」
牛飼い娘は元より、牧場主とゴブリンスレイヤーも困惑の表情を浮かべる。
それもその筈。
現れた一組の若夫婦。
葬儀で先程見送った、牛飼い娘の両親が今こうして目の前に立っているのだ。
三人は、唯々唖然とするばかり。
「「――ええええぇぇぇぇッ……?!!」」
「――ぬぅっ……!」
……
「――そういう事情がありまして、今に至っている訳です」
灰の剣士は、ロスリック不死街での出来事を説明した。
ゴブリンスレイヤーは二人の遺体を――。
灰の剣士は二人のソウルを――。
「そ…そうか…そんな事が…ね……」
未だ事情が呑み込めていないのだろう。
牧場主は戸惑いながら、二人のソウル体と灰の剣士を交互に見やる。
「私は席を外します。後はごゆっくり」
「え、あ、き…君!?」
自分は部外者だと言わんばかりに灰の剣士は、少し距離を置き近くの木陰から彼等を見守る事にした。
その後、彼等は存分に語り合う。
今迄の空白を埋め合わせるかのように――。
――やっぱり来たか。
「お兄さん!」
木陰に移動していたが、見習い神官の少女が駆け寄って来る。
どう説明したものか?
「……あれ、あの人達…さっきまで居なかったのに?」
少女は彼等の他に居た、二人の人物に目を向ける。
「彼等の親族でな、少し葬儀に遅れたらしい」
「そうだったんですね」
――なんか変な感じがするなぁ、あの二人。
疑念を抱きながらも、彼女は彼等を見つめていた。
『本当に有難う御座います、あの子を育ててくれて』
「いいんだ。いい子に育ってくれて私も誇らしいよ」
『こうやってお話が出来る、ホントに嬉しいわ』
「何か…不思議な感じだね。こうしてお父さんとお母さんが目の前に居るのって」
先程まで悲しみに暮れていたのが嘘の様に、牛飼い娘の表情は晴れやかだ。
「それからね…牧場でね、彼と出会ってね…」
牛飼い娘は捲し立てる様に、今迄の事を語った。
だが、何時までもこうしてはいられない。
牛飼い娘の両親はソウル体――。
既に肉体は死を迎え、大地の中で永遠の眠りに就いている。
そして彼等が留まるべき世界は此処ではない。
遅かれ早かれ、別れは到来する。
「そんな!行かないでよ!お父さん、お母さん!」
先程まで笑顔だった牛飼い娘は、急激に悲しみを称えた表情となり再び涙を溢れさせる。
『大丈夫よ。私達は何時でも、貴方達を見守っているから』
母親はそんな彼女の頬を優しく撫でる。
――あったかい……。
たとえソウル体であろうとも、母親の温もりは彼女に伝わっていた。
『娘を宜しくお願いします、義兄さん!』
「任せてくれ!安心して往っておいで」
父親も義兄である牧場主に娘を託した。
『ああそうだ兄さん!』
「ん?何かな?」
牧場主の実妹である牛飼い娘の母親は、彼に何か言及する事があるようだ。
『ちゃんと結婚して!一生独身なんて駄目よ?』
「お、おい!?何を言い出すんだ、私はもう……」
突然誰かを娶れと言われ、牧場主は言葉を詰まらせる。
『もう歳だからって言うのは無しよ?兄さんまだまだ、いけるクチなんだから諦めちゃ駄目。自分の幸せも考えて!』
「……う、うぅ~~む……」
頭が上がらないのだろうか。
完全に主導権を握られ、牧場主は言い淀んでしまった。
――あんな叔父さん、珍しい。
普段は厳格さと温厚さを併せ持つ牧場主。
そんな彼が言い負かされる様を初めて目にした牛飼い娘。
『ああ、君。ちょっと良いかい?』
「?」
牛飼い娘の父親はゴブリンスレイヤーに用があるのか、少々離れた所まで彼を連れて行く。
「どうしました?」
牛飼い娘に話があるなら兎も角、自分に何の用だろうか。
『もう過ぎてしまった事だが、君のお姉さんについてちょっとね……』
「――!!」
いきなり自分の姉に言及され、彼はハッとなる。
それは、ゴブリンに襲撃される一週間前の出来事だった。
街へと出かけていた彼の姉が、予定を過ぎても帰って来なかった日があった。
流石に心配したのか、村人総出で彼女を捜索する事となった。
当然、当時の幼い彼も捜索に参加。
捜索する事数時間――。
一向に見付からず、野党や人攫いに拐かされたのではないか。
若しくは獣に襲われたのではないか。
そんな不安が当時の彼には過っていた。
しかし、そんな心配も杞憂に終わり、彼の姉は見付かった。
村付近の草むらで倒れていたらしく、見つかった当初は意識が朦朧としていたが僅かな擦り傷と打撲を負うのみで、大事に至る事は無かった。
それからは何事も無かったかのように彼女は回復し、ゴブリンが襲撃するまで何時も通りの日常生活に戻っていた。
『君のお姉さんを見付けたのは私なのだが、その時、不審な人物が付近をうろついていてな』
行方不明となった彼女を見付けたのは、牛飼い娘の父であった。
しかしその時、倒れ伏す彼女の傍に怪しい人影を目撃したのであった。
薄気味悪いボロボロのローブを被り、背中に甲羅の様な蓋を背負った人物が一人。
そして彼に追従するかの様に、立派な鎧姿の騎士が複数名屯していた。
「ローブの人物に、複数の騎士?」
彼は首を傾げる。
余りに場違いだ。
あんな小さな村に、複数の騎士――。
不自然にも程がある。
だがしかし、それが何だと言うのだ。
もう過去だ。
姉は居ない。
姉は、あの憎き小鬼に――。
「……そうですか」
昂る感情を抑え、彼は静かにそう返すのみだった。
『いや、済まないね。もう過ぎた事だが、一応伝えておこうと思ってね』
「いえ、教えて下さって有難う御座います」
何とも釈然としない事実ではあったが、彼は一応礼を述べた。
どう考えても、ゴブリンに繋げる事が出来なかった。
『さて、そろそろ私も往かねばな』
……
『あ、それから貴方に伝えておくわね』
「なに、お母さん?」
『しっかり
「え、え、えぇぇ~~!?」
突然ゴブリンスレイヤーの事を言及され、牛飼い娘は素っ頓狂な声を上げた。
『その上で。
「ん…?
いきなり女の事を話され、牛飼い娘は母親に聞き返したが明確な答えは帰って来なかった。
『それじゃ私達は、そろそろ往くわね』
『元気でな!皆、仲良く暮らすんだぞ!』
牛飼い娘の両親は彼等に別れを告げ、ゆっくりと体を宙に浮き上がらせた。
「後の事は任せてくれ!」
「ちょっと待っててば!さっきのどういう意味なの?お母さん!」
「……」
納得がいっていないのか、母親の方に詰め寄る牛飼い娘。
『その内、分かるわよ。じゃあね!』
そう言い、青白い輝きを残しながら天へと飛翔して行く。
そのソウル体の行方を、三人と木陰の二人は見えなくなるまで見送っていた。
「お、お兄さん!あの二人一体……!?」
そんな光景を目にした見習い神官の少女は、驚愕の顔を浮かべている。
灰の剣士は、”この事は黙っていて欲しい”と彼女に念を押した。
話した処で信じる者は殆ど居ないだろうが、念には念を入れてである。
「は、はい!お兄さんと私との
彼女は力強く頷き僅かに、はにかんだ。
――ん…んん…?:( ;˙꒳˙;):
「んもぅ!お母さんたらッ――」
牛飼い娘は、釈然としない様子で空を見上げていた。
――泣き顔よりは遥かにマシか。
牧場主は、空を見上げる少々ふくれっ面の牛飼い娘を、微笑ましく眺めている。
決して笑顔ではなかったが、牛飼い娘はもう泣く事は無かった。
「しかし、私の事まで言われるとは思わなかったよ」
「あんな叔父さん初めて見た、ちゃんとお相手見付けなきゃね?」
そんな会話を交わす二人。
二人とも何処と無く、表情が晴れやかだった。
「先に戻っていて下さい。まだギルドの報告義務が残っていますので」
牧場へと戻る二人に対し、ゴブリンスレイヤーはギルドへ行く事を告げた。
「時間は掛かるのかね?」
「はい。少々長くなるかと」
「今日位、小鬼退治は控えてくれよ?」
「勿論です。もう、昔とは違うと自負しています」
「そうか。ああそれと、もう一つ――」
牧場主の言葉に、彼は向き直る。
「ありがとう。妹夫婦を連れ帰ってくれて!」
「――!?」
牧場主の言葉に、彼は兜の奥で目を見開いた。
自分に接する時は、決まって仏頂面だった牧場主。
余り快く思われていないのは、自分自身がよく理解している。
しかし今の牧場主の表情は、穏やかな笑みを浮かべていた。
紛れも無く、彼に向けられた感謝の証だった。
「…いえ、その、大した事は……」
どう反応して良いのか分からない。
少しばかり焦った彼は、取り敢えずの言葉で取り繕う。
そして歩き出した。
「街中だから大丈夫だと思うけど、一応気を付けてね!」
「ああ」
牛飼い娘にも言われ、彼は木陰の方角に脚を向ける。
「あ、こっちに来た」
ゴブリンスレイヤーが此方へ向かって来る、少女は一歩下がり様子を窺った。
若干警戒しつつも、彼女の視線は彼に釘付けとなっている。
何故かは分からない。
しかし自然と彼に、目が向いてしまうのだ。
「灰よ、少し聞きたい事がある」
「……」
彼は灰の剣士へと質問を投げ掛けた。
先程、牛飼い娘の父親から聞いた、姉についてだった。
倒れていた彼女を見付けた際、不審な人物が居た事を説明する。
その中に複数の騎士と、甲羅らしき蓋を背負った人物が含まれていた事を告げる。
「ロスリックの中で何度か目にした奴と特徴が一致すると思うのだが、お前はどう思う?」
過去に何度か探索したロスリック。
ボルドの部屋の手前や不死街の入り口付近で、遺体と化していた巡礼者達――。
聞いた話が事実なら、その巡礼者と特徴が一致し、何かしら関連性が有るのではないか。
それを解き明かした処で、何かが変わるとは到底思えない。
姉はもうこの世には居ないのだ。
だが聞かずにはいられなかった。
割り切った積りでいたが、やはり心の何処かで妙に引っ掛かるモノが有ったのだ。
「……もう何年も前の出来事、その場に私は居なかったからな。確かめる術が無い」
「そうだな」
分かり切っていた答えだ。
一体自分は何を期待していたのだろう。
高揚する事も落胆する事も無く、彼は唯そう返す。
「だが、あの村で不審な点は此方でも確認出来た」
「……」
ゴブリンスレイヤーは、彼を見据える。
灰の剣士が語るには、不死街に流れ着いた彼の家で塵灰が降り積もっていた事に言及した。
その塵灰は、不死人や亡者が絶命した後に残す物だ。
見間違える筈はない。
嘗ての自分がその不死人で、数え切れない程の死を重ねて来たのだから。
「君のお姉さんの他に、ご家族は?」
念の為、彼に尋ねてみる。
「居ない。姉さんだけだ」
「その襲撃の後、誰かが侵入したのだろうか?」
「……」
あらゆる可能性を思案してみるが、明確な答えは出なかった。
確証がない以上、推測はあくまで推測でしかない。
それに、これはゴブリンスレイヤーの領域だ。
確証の無い軽々しい発言は控えるべきだろう。
「そうか。今の話はもう忘れてくれ」
そう言ったゴブリンスレイヤーは、これからギルドへ向かうのだという。
「私は少しばかり、神殿に滞在する事になってな」
灰の剣士は、数日間この神殿に留まる事になっていた。
(その傍らで少女は、何故かガッツポーズをとっている)
呪腹の大樹や邪教徒の件も含め、色々報告しておきたかったのである。
「分かった、ではな」
「ああ」
互いに短い別れを告げ、ゴブリンスレイヤーは神殿を後にする。
――彼の言葉に間違い無ければ、その巡礼者は恐らく……。
遠ざかる彼の背中を見送りながら、灰の剣士は巡礼者や騎士について憶測を張り巡らせた。
火継ぎの時代、関わってきた巡礼者は殆どが、あの組織に所属していた。
――彼の故郷とあの連中に、何の関係が?
ついつい、考察の迷路へと足を踏み入れてしまう。
「お兄さん、神殿に戻りましょ。もう暗くなってきましたよ!」
見習い神官の少女から声を掛けられ我へと返った彼は、少女に手を引かれながら神殿へと向かった。
気が付けば時刻は夕暮れを過ぎ、もう直ぐ夜を迎えようとしていた。
……
既に日は暮れ、街明かりが灯り始める。
西方辺境冒険者のギルド。
夜なら夜で賑わっている筈の冒険者ギルド。
今宵は珍しく、居座っている冒険者は僅か数名を残すのみだった。
疎らな冒険者に混じり、ゴブリンスレイヤーはいつも通り、受付嬢へと報告を行っていた。
「――以上が全てだ」
ロスリックでの
亡者の穴倉での戦闘後、彼は途中で撤退する事となった。
その理由は言わずもがな。
不死街で流れ着いていた、彼の滅び去った故郷に起因していた。
遺体と化していた牛飼い娘の両親を連れ帰り、今しがた地母神神殿での葬儀を終えたばかりだ。
「……そう…だったん…ですね…」
三つ編みの受付嬢は、言葉を詰まらせながらも何とか相槌を打つ。
「貴方に、そんな過去が――」
彼の並々ならぬ小鬼に対する執着――。
周囲の冒険者から忌諱の目で見られながらも、只管に小鬼のみを狩り尽くしていた理由が明らかとなった。
平和に暮らしていた筈の村に、突如として襲い掛かった小鬼の群れ――。
家族を失い、帰る家を失い、何もかも喪った一人の少年――。
そんな少年が長じて復讐鬼と化すのは、何ら偶然でもなく必然だった。
「…………」
掛ける言葉が見付からない。
受付嬢は沈んだ表情で、彼を直視できなかった。
だが、ゴブリンスレイヤーは再び言葉を続ける。
「訓練期間中、ある事実を叩きつけられた」
彼の言葉に受付嬢は、ハッとなり顔を上げる。
或る圃人に拾われ雪山での訓練期間中、承った事実――。
―― 小鬼の絶滅は不可能 ――
その事実を突き付けられた時、彼の頭は真っ白となり茫然自失となった。
しかし、小鬼の絶滅が不可能であれば、小鬼の脅威を排除し克服すれば良いという発想を教え込まれた。
確かに小鬼の脅威を克服し、組織的に防衛する術を身に付ければ、犠牲者が殆ど発生する事は無くなるだろう。
だが彼は冒険者と成り小鬼と対峙した瞬間、殺意と憎悪が勝り単なる殺戮へと走ってしまっていた。
結局、小鬼の脅威と真面に向き合ったのは、灰の剣士と出会い彼と組んだ後であった。
「…………」
受付嬢は、尚も無言で耳を傾ける。
気が付けば周囲には冒険者は誰一人残っておらず、数名のギルド職員を残すのみとなっていた。
「まだ、続けても構わないか?」
「…ゴブリンスレイヤー…さん?」
普段そんな事を口走る事は、先ず無いゴブリンスレイヤー。
受付嬢は困惑した表情で、彼を見る。
今日の彼は、一体どうしてしまったのだろう?
ロスリックで何があったのだろう?
彼女は心配になり彼を見つめる。
「はいはい、お二人さん!談話室を空けておいたから、お茶でも飲みながらゆっくりと語り合っておいで!」
同僚でもあり監督官でもある受付嬢が、何時の間にか談話室とお茶を用意してくれていた。
「――え?あ…はい、ど、どうもすみません!」
「そうか」
思わぬ同僚の配慮に、慌てる受け付け嬢といつも通りの彼。
二人は厚意に甘え、2階の談話室へと場を移した。
「随分、気を回すのね」
「もう報告領域を越えちゃってますからね」
先輩嬢に監督官は、そう返す。
かなり長々と話し込んでいた上に、珍しく過去まで語ろうとしていた。
一応興味はあったものの、これ以上聞き耳を立てるのは、職員としての領分を越えている様な気がしていた。
これより先は、完全に一個人としての領域だ。
ゴブリンスレイヤーは彼女に、一定の信頼を寄せた上で語ろうとしていたのだろう。
故に、監督官は談話室と密かに茶を用意しておいた。
どうせ、この時間帯に使う人間など居はしない。
好きに使った処で咎める人間など皆無だ。
お茶請けは用意していないが……。
――ま、精々頑張んなさいな!
監督官は心の中で、同僚に
2階の談話室――。
受付嬢はカップに茶を注ぎ、彼に差し出した。
暫くの間、両者は無言で互いを見つめ合っていたが、やがて彼の方から茶を一口啜り喉を濡らしてから、ゆっくりと語り始めた。
矢張り今日の彼は、いつもと少し違う。
受付嬢は不思議に思いながら、彼の話に耳を傾ける。
「俺には、姉さんが居た」
姉さんが
――過去形だ、…という事は既に……。
口には出さなかったものの、彼女には大方の察しが着いていた。
ゴブリンスレイヤーとて最初から、
彼とて、元々は小さな村の少年で、感情豊かで冒険者や勇者に憧れる様な、何処にでも居る子供だった。
父と母は流行り病で亡くなり、そんな自分を育ててくれたのは実の姉だった。
温厚で、時には優しく、時には厳しく接し、知識神の寺院で手伝いをしていた姉から多くの知識を教わった。
読み書き計算が出来るのも、姉の教育の賜物だった。
だが平和な生活は、小鬼の襲撃によって打ち砕かれる。
殺され逃げ惑う村人達――。
そんな騒ぎの中、姉は幼い自分を匿い自ら囮となった。
其処から先は言うまでもないだろう。
美しく若い女だ。
小鬼に凌辱され尽くし弄ばれ、最後には肉塊と成り果て小鬼の胃袋に収まった。
一晩中?
いや数日経ったのだろうか?
一部始終見ていた筈だったが、いつの間には自分は意識を失っていたらしく、目を覚ました時は小鬼は家の外へと徘徊していた。
何とか村の外へと脱出を試みたが、運悪く小鬼に見つかり容赦なく襲い掛かってきた。
幼いながらも必死に抵抗したが、力及ばず殺される寸前で、通りすがりの圃人に命を救われた。
彼は雪山に連れて行かれ、その圃人に師事し、小鬼の殺し方を必死に学んだ。
そして成人を迎えた彼は冒険者と成り、今に至る訳だ。
「ロスリックに赴き、どう言う訳か俺の故郷が流れ着いていた」
そして彼は、今回のロスリック不死街での出来事を語る。
見覚えのある街道を目にした途端、彼は脇目も振らず
彼の予想通り、其処は滅び去った自分の村であった。
そして彼は僅かな望みに賭けたのだ。
―― 若しかしたら、姉さんが……! ――
「分かっていた筈だ。……少し考えれば、直ぐにでも……!」
彼の頭は自然と俯き加減となり、両膝に置かれていた両の拳は握り込まれている。
結局居たのは、亡者と化した小鬼だけだった。
彼は、普段通り小鬼を殺し尽くした。
たとえ亡者と化していようとも――。
「――そこから先は、さっき報告した通りだ」
彼はそこで独白を終わらせる。
「…………」
「…………」
互いに言葉も無く、時間だけが過ぎ去った。
彼は静かに席を立ち上がる。
そして部屋から出ようとし、背を向けた矢先――。
「どうして……。――どうして私にこの様な話を?」
受付嬢も立ち上がり、彼に問う。
「……。正直…、俺にも良く分からん。……ロスリックでのあの体験以来、心がざわついて仕方がない」
「…………」
小鬼の襲撃、滅んだ故郷、そして唯一の肉親――。
片時も忘れた事など無かった。
しかし、唐突に訪れた故郷の惨状。
表面上落ち着き払ってはいたが、内心は非常に不安定で揺れ動いていた。
あの時微かに寄せた望み――。
姉が生きているかも知れない――。
だが現実は非情だった。
やはり心の何処かで望んでいるのだろう。
―― 姉に逢いたい ――
同時に分かっていたのだ。
この彼女に抱いていた想い。
周りから忌諱の目で見られようとも、親身になって接し常に支えてくれた。
故に聞いて欲しかったのだろう。
抱え込んでいた過去を――。
姉への想いを――。
自分の本心を――。
「俺は何処かでアンタに、姉を重ねていたのかも知れない」
彼は打ち明けた。
彼女に抱いていた本心を――。
「自分の身勝手な妄想を、誰かに対し重ねる――それが侮辱である事は愚鈍な俺でも分かる。それでも…それでも俺は――」
――アンタに……!
最後まで言葉が出なかった。
自分は何を口走っているのだろう?
彼女に何を伝えたいのだろう?
彼の思考は混濁し迷走する。
その時である。
「――ゴブリンスレイヤーさん!」
背中に衝撃が走る。
彼女だ。
受付嬢が、彼の背中に抱き着き顔を埋めていた。
「「…………」」
再び無言の静寂が談話室を支配する。
「……スマン。自分でも上手く言葉に出来ない」
「良いんです!漸く貴方を知る事が出来ました!」
彼が過剰にまで、小鬼に固執していた理由――。
周囲の評価など歯牙にも掛けず、唯々黙々と小鬼を駆り続けてきた。
その原因が今ハッキリと理解出来た。
「逆に嬉しいんです!こんな私に本心を打ち明けてくれて……!」
「…………」
彼女は腕を彼の胸元にまで寄せ、更に深く抱き締める。
「明日からいつもの私に戻ります…!ですから……!…あと少し…あと少しだけでいい…、こうさせて下さい!」
彼女は尚も彼を背中から抱き締める。
「ああ」
静かな談話室――夜は更けてゆく。
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無名騎士の防具一式
名も無き騎士の防具一式。
薄板でも防御効果を持つ溝の加工が特徴。
騎士道においては、忠誠、公正、勇気、武勇、慈愛、寛容、礼節、奉仕などが徳とされた。
ただし現実問題として、それらの建前が忠実に守られていたかといえばそうでもない。
大方の騎士はそうした理想とは程遠く、吟遊詩人たちが美化して謳い上げた騎士道は、多分に虚像であった。
攻城戦の末に落とした町での略奪や破壊、虐殺は当時では一般的なことであったが、騎士もそうした狼藉をはたらいたのである。
騎士の中には、農民のように平凡に暮らす貧しい小城主もいれば、富裕な捕虜の身代金を取ったり略奪を事とする粗暴な者も存在していたのである。
また、自らの力を試したり、ロマンチックな冒険を求めて方々を渡り歩く騎士を遍歴騎士(自由騎士)と呼んだ。
各地の大領主が主催する武芸試合に出て金を稼ぐ騎士もいた。
そうした武芸試合の呼び物には騎士たちによる模擬戦があり、勝ったほうのグループが捕虜を取って獲得する身代金は、騎士の収入のひとつであった。
常に清廉潔白な精神を宿していきたいものである。
民の希望と憧れを裏切らぬ為にも。
自分で書いておきながら言うのもなんですが……。
ゴブスレさんと受付嬢、このままおっ始めそうな雰囲気だな。
やり過ぎたかな?( ̄ω ̄;)
如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
デハマタ。( ゚∀゚)/