ゴブリンスレイヤー ―灰の剣士―   作:カズヨシ0509

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 こちらはダークゴブリン側の視点です。
少々短いです。

ではドゾ。


第73,5B話―救済なれり、好きに生く―

 

 

 

 

 

投石杖(スリングスタッフ)

 

 二股になった先端部に、投石紐を通した杖。

 初心者にも使い易く、柄を短くした物はパチンコとも呼ばれている。

 小型の石ころを飛ばす単純な射撃から、複数の石弾を束ねて投射する代物まである。

 

 むやみやたらに間合いを詰めるものではない。

 相手の射程外で、安全に攻める事が出来るならそれに越した事はないのだ。

 

 値段は金貨 3枚。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

(推奨BGM ゴブリンスレイヤー ―― 冒険者の夢の跡)

 

 

 順風満帆と言えば良いのだろうか。

 

辺りを見回せば、柱の土台が次々と出来上がっていた。

 

簡素な屋根で覆った作業場に”炉”や金床が置かれている。

 

炉で溶かした金属を、鎚で叩き鍛え上げ冷水でそれを冷やす。

 

その金属で蝶番や釘を造り上げ、連結部や接合部に使用する為だ。

 

土や粘土を加工する者――。

 

木を切り製材する者――。

 

金属を鍛え上げる者――。

 

弦や葉を集め、道具を作る者――。

 

皆が皆作業に従事し、忙しなく働いている。

 

緑の体表に、小柄な体躯、そして醜い容貌――。

 

それは混沌勢底辺と呼ばれる鬼に連なる種族――。

 

 

 

    ―― 小鬼(ゴブリン) ――

 

 

 

だがその中に、一際異質の黒い小鬼が存在していた。

 

 

 

    ―― 黒き小鬼(ダークゴブリン) ――

 

 

 

此処の小鬼を統括する存在で、また自らも率先して働いていた。

 

四方が海で囲まれた離島――。

 

この地はそんな自然の要塞だった。

 

まだ人の手も付かず魔物すら踏み入った事のない、天然自然の無人島――。

 

発見できたのは実に偶然と言っていい。

 

ダークゴブリンが翼竜と共に発見したのだ。

 

島の面積、埋蔵された資源共に申し分なく、この島を新たな拠点とすべく目を付けた。

 

更に偶然は重なり、奇妙な小鬼と遭遇した。

 

圃人の女を庇い、自ら傷付きながらも逃がそうとした小鬼。

 

その小鬼と圃人の女を、この島へと連れ込み生活をさせる。

 

殆ど敵の存在しない島だ。

 

後は時間をかけ、翼竜で生活用品や資材を運び込み、彼等に知識と技術を授けた。

 

そして徐々に、厳選した同胞と人族の女をこの島へと案内したのである。

 

従来の同胞なら、人族の女を見るなり直ぐに蹂躙し殺害するだろう。

 

しかし厳選した同胞達は、どう言う訳か人族の――それも秩序側に近い思想と価値観を有していた。

 

丁度、圃人の女を庇ったあの小鬼の様に――。

 

そういった同胞には、黒い鳥を彩った肩当てに()()()()()を打ち込む事で、識別させてある。

 

厳選した同胞には、自分の伴侶である夢魔たちや側近の一人である長弓ゴブリンと書記ゴブリン、その部下達も含まれていた。

 

当然、夢魔達に産ませた自分の子孫たちも――。

 

何故彼等が、秩序側の思想を持つに至ったのか定かではない。

 

しかし、小鬼という種族である以上、人族は言うに及ばず混沌勢からも敵意の対象となる事は明白だ。

 

故に、価値観を共有する者同士で共存させるしか道はないのだ。

 

幸いこの島なら条件を備えている。

 

四方が海に囲まれ殆どが荒れ、船での発見は容易ではない。

 

誰も好き好んでこの島に近付きはしないだろう。

 

この島内では資源は限られているが、地下空洞は大陸と繋がっている事が調査で分かった。

 

必要な時はその地下空洞を伝い、大陸へと渡る事で物資の調達が可能となるだろう。

 

更に、魔神軍より追加の翼竜をこの島に連れ込んである。

 

2組の番い(つがい)で適度に交配させれば、空路での輸送に事欠く懸念もない。

 

更に、廃村から連れ込んだ人族の女達――。

 

一応本人達の意思を確認した上で、この島に連れ込んだのである。

 

この島での生活を選んだ女達は、皆人族社会に見切りを付けていた女達であった。

 

どの様な過去があったのかはさして興味はない。

 

此処で同胞達と社会を築く意思が在るか否かが重要だ。

 

今は、調理を中心に役割を与えてある。

 

必要最低限な物資、人材、環境は揃えた。

 

部下を含め人族の女達にも”洗礼の儀”を以て、ソウルを分け与えてある。

 

彼等は、本来以上に知識も身体能力も得ている筈だ。

 

興るも廃るも後は彼等次第――。

 

準備は整った――。

 

否、救済は成ったと観るべきか――。

 

これよりは自立の道を歩んで貰う。

 

これもまた、ダークゴブリンの歩む救済道の一つ――。

 

我が道に”聖”も”邪”も無し――。

 

……

 

数日後、ダークゴブリンは長弓ゴブリンと書記ゴブリンと共に、本来の拠点(廃村を改造した)へと戻る準備を整える。

 

いざ翼竜を飛び立たせようとしたその時、彼の伴侶である上夢魔が姿を現した。

 

「――あら、もう行くのね?」

 

「人族との戦が近い故な」

 

 翼竜に跨り、ダークゴブリンは上夢魔に向き応える。

 

「仮にもアンタの妻だから、命令には従ってあげる。…けど、飽きたら私は自由にさせて貰うわよ?」

 

 元々彼女は魔神軍の幹部で魔神将だ。

 

異端の温情派とは言え混沌勢の彼女――。

 

律儀に何時までも束縛されるつもりはなく、それは彼女の部下も同様である。

 

「――少なくとも数年は義務を果たせ、我が子孫たちが力を付けるまでな。その後は好きに生き、好きに死ね…誰の為でもなく――」

 

「……そうさせて貰うわ。じゃ、行ってらっしゃい、我が夫!」

 

 何とも淡白な夫婦の会話である。

 

いや、小鬼と夢魔で夫婦間が成立しているのだ。

 

先ず起こり得ない現象だ。

 

弱肉強食――。

 

それが混沌勢の法――。

 

そんな彼等が歪な形とは言え、夫婦が成り立っている。

 

そうこうしている内に、ダークゴブリン達は翼竜を飛び立たせ島を出る。

 

「…………」

 

 上夢魔は無言で彼等を見送った。

 

翼竜で飛行すること暫く――。

 

眼下に移る、廃村を改造した本拠点――。

 

――あの翼竜は……。

 

見覚えのある翼竜が廃村に佇んでいた。

 

ダークゴブリン達は翼竜を降下させ、本拠点へと到着する。

 

そんな彼等を恭しく出迎える小鬼達――。

 

その中に見覚えのある大型種が一人。

 

(推奨BGM ゴブリンスレイヤー ―― Encounters with the Goblin Slayer)

 

「Gyeev?」

(随分遅いお帰りですなぁ、ボス?)

 

其処に居たのはバンダナゴブリン――ダークゴブリンの側近の一人だ。

 

「Gylyoov」

(何処に行ってたんですかい?あちき等を差し置いて――)

 

軽く飄々とした口調の中、怒りと憎悪が滲み出ていた。

 

口元と目元を歪ませ、今にも武器を抜かんとする勢いだ。

 

「Gloobo!」

(身の程を知れ、ボスに向かってっ!)

 

長弓ゴブリンが弓を構え、バンダナゴブリンを威嚇する。

 

「Gluee!Gyobu!」

(お宅は引っ込んでて下せぇッ!コバンザメの腰巾着なんざ眼中に無いんでさぁ!)

 

「Guab!」

(貴様……!)

 

バンダナゴブリンの意識は、あくまでダークゴブリンに向いていた。

 

彼にとって、長弓ゴブリンは”長いものには巻かれろ”主義の軟弱者としか映っていなかったのである。

 

「GROOV」

(態々文句を言いに来た訳ではあるまい?要求は何だ?)

 

単身此処へ赴いたのには、それなりの理由が存在する筈だ。

 

ダークゴブリンは問う。

 

「Goov!」

(なぁに、至極単純な事でさぁ!)

 

余り長々と引っ張る積りもない。

 

バンダナゴブリンも直ぐ本題を述べる。

 

現在第2拠点(元山賊集団の砦)には、バンダナ、大シャーマン、格闘ホブを主導となり多数の小鬼達が駐屯している。

 

無論それは来るべき人族との戦に備える為だ。

 

バンダナゴブリンの伝えたい事は一つ――。

 

この戦を最後に自分は独立するというものだった。

 

彼にも追従する小鬼は多数存在している。

 

彼の奔放な思想に賛同し、続こうとしている小鬼達だ。

 

剣の乙女率いる冒険者との戦――。

 

勝とうと負けようと、バンダナゴブリンは独自の集団を引き連れ自分の組織を造り上げようとしていた。

 

彼は最初からダークゴブリンに生涯尽くす気など無いのである。

 

この集団に加わり尽くしてきたのも、全て力と知識を身に付ける為だったのだ。

 

「Greluaa!」

(あちきだけじゃあ、ありやせんぜ!)

 

バンダナゴブリンだけでなく、大シャーマン、格闘ホブも同じ結論に至っていると言う。

 

第2拠点に駐屯する小鬼の殆どは、独立を模索し独自に準備を始めているとの事だ。

 

備蓄された物資を使いながら――。

 

「Ge、Ge、Ge、Gluoov!」

(ケッケっケ…悔しいですかい、ボスぅ?何時までもお宅の天下は続かねぇって事ですゎぁ!)

 

口元を吊り上げ歪ませ、愉悦に浸るバンダナゴブリン。

 

「Guoob!」

(調子に乗りおってっ!)

 

心中穏やかでないのは、長弓ゴブリンとその部下達――。

 

弓を引き絞り、合図があり次第いつでも射撃に移れる体勢だ。

 

「Gruee…」

(悔し過ぎて言葉も出ませんかい、ボ…――)

 

再び皮肉で攻め立てようとしたが、視界にはダークゴブリンの姿は無かった。

 

「……!!」

(……っ!!!)

 

バンダナゴブリンは言葉を発する事が出来ない。

 

それも当然だ。

 

「GRUUBO!」

(そうだ。それで良いのだ!)

 

言葉を失うバンダナゴブリンの肩には、ダークゴブリンの手が添えられていたからだ。

 

瞬きする間も無く、ダークゴブリンは後方へと回り込んでいたのだ。

 

「GYREEV!」

(やっとその気になってくれたのだな。俺は嬉しいぞ!)

 

「……!?」

(……!?)

 

言葉もなく立ち尽くすバンダナゴブリンとは裏腹に、ダークゴブリンは満足げな表情を浮かべている。

 

「GYEVO!」

(自らの意思で立ち、前へと突き進む。俺の目指す救済とは、まさに()()なのだよ!)

 

バンダナゴブリンの肩に手を添えつつ、ダークゴブリンは言葉を続けた。

 

今日の今日までこうして集団を立ち上げ、活動を続けてきたのも本来は全て自立を促す為でもあった。

 

幾ら追従し付き従った処で、何れは綻びが生じ組織は瓦解するものだ。

 

統率者が優れていればいる程、それを失い統制が崩れ去った時の反動は大きいもの。

 

ダークゴブリンとて定命の存在――。

 

その命は無限ではない。

 

知識を授け、技術を構築し、物資を蓄えてきたのも、全ては独立を促し自らの脚で歩む事を望んでの事だった。

 

自分一人で世界そのものを平定できるなど、ダークゴブリン自身も自惚れてはいない。

 

生物学上、小鬼を凌駕する種族は其処彼処に存在する。

 

小鬼が全ての種族に打ち勝てば話は別だが、それを成すにはどれだけの時と犠牲を浪費するのか見当も付かない。

 

故に、各々が独立し、部族を造り上げ社会を生成する。

 

もしその社会のパワーバランスが小鬼族に傾けば、必然と小鬼主導に世界が廻るであろう。

 

試行錯誤の末、ダークゴブリンはそういう答えに辿り着いていた。

 

救済は何も一つではない。

 

これもまた救済の一環である。

 

戦に勝てば良し――。

 

敗ければ致し方なし――。

 

それも()()()という事だ。

 

バンダナゴブリン達は独立を宣言した。

 

しかしそれは、ダークゴブリンの望んだ終着点なのだ。

 

――救済は成った!

 

――後は生き延びるのみ!

 

「GUUV!」

(よくやった!俺の望みは叶った訳だ!)

 

「Gruee!」

(――ケッ!これもお宅の掌の上って訳ですかい?気に入りませんなぁ!)

 

歪に顔を歪ませ歯軋りするバンダナゴブリン。

 

結局、自分は眼前の黒き同胞に踊らされていた形となったのだ。

 

「GROOV!」

(最後の物資を第2拠点へと運び込む!総員動けッ!)

 

唖然とするバンダナゴブリンを余所に、ダークゴブリンは号令を掛け部下達は一斉に動き出した。

 

………

 

……

 

 

粗方準備は整った。

 

既に野戦兵器は第2拠点へと移し替えてある。

 

翼竜の増強も成った。

 

装備も部下や囚人に行き渡った。

 

食料、女も充分。

 

総じて士気も練度も高い。

 

戦に勝てばこの廃村拠点を再改造し、新たな住処に作り変えればいい。

 

敗ければ、独立した部下達が集団を率いて各地へと広がるだろう。

 

それで良いのだ。

 

完全に満たされた訳ではない。

 

しかし悲願は成就した。

 

一先ずの救済は成ったのだ。

 

後は武力を存分に振るのみ――。

 

空けて久しい玉座に腰掛け、ダークゴブリンは部下達の報告に耳を傾ける。

 

眼前には魔神軍の熾した『篝火』が揺らめいていた。

 

――そんな時である。

 

突如、篝火が不自然に揺らめき一瞬だが激しく発火したような現象を、引き起こした。

 

「「「「「――!?」」」」」

 

 その光景に周囲の小鬼達も騒めく。

 

――これは一体!?

 

眼前に広がる光景にダークゴブリンも驚きを隠せなかった。

 

火が治まったかと思えば、篝火の傍らには女が蹲っていたからだ。

 

「Grv!?」

(なんでこの女がッ!?)

 

「GROOV」

(どういう事だ、説明せよ)

 

バンダナゴブリンは蹲る女に見覚えがあるようだ。

 

ダークゴブリンは説明を要求する。

 

篝火の前に姿を現した素性の知れぬ女――。

 

人族――只人の若い女だ。

 

茶色の長い髪を紐で括り肩に垂れ下げ、何とも生気のない茶色の瞳をしている。

 

バンダナゴブリンの説明によると、山賊が残した娼婦だと言う。

 

かなり使い込んでいたらしく、山賊達からも飽きられていたのだろう。

 

何処かへ売り飛ばす予定だったらしい。

 

今迄は末端の小鬼達に相手をさせていたが、どう言う訳か小鬼達も次第に敬遠し、この女には見向きもしなくなった。

 

対応に困った大シャーマンが数日前に、仕方なく囚人達へと振舞ったのである。

 

あらゆる欲に飢えている囚人の小鬼達だ。

 

若い女を放り込めばどういう末路を辿るか――。

 

もはや語る迄も無いだろう。

 

バンダナゴブリンの説明――。

 

だが些かにに腑に落ちない部分があった。

 

何故この女が篝火の前に現れたのか。

 

――この女のソウル、まさか!?

 

ダークゴブリンは女に近付く。

 

「ああ…。貴方様が新しい旦那様ですね、どうかわたしを可愛がって下さい…。わたしはどんな事でも従います、どんな要求でも受け入れます、どうかわたしを愛でて下さいまし……」

 

 生気のない瞳で力無く訴えかける人族の女――。

 

ダークゴブリンは女の衣服を掴み胸元を破り上げた。

 

質素な薄布だ。

 

当然ダークゴブリンの力に抗する訳もなく、呆気なく破り捨てられ女の胸元が露わとなる。

 

だがダークゴブリンは性欲を滾らせる事はない。

 

人族の女では反応しないのだ。

 

ダークゴブリンは女の胸元を注視する。

 

「……女よ、この刻印は何だ?」

 

 女の胸元に浮かび上がる、黒い輪環――その外縁部は燃える様な火が刻み込まれている。

 

「ああ…、どうかわたしをお使い下さい、旦那様……」

 

 しかし女は応えない。

 

――真面な反応は返って来ぬか、どうする、こ奴の処遇?

 

今から戦に赴こうとする矢先、薄気味の悪い女が現れたのだ。

 

女の処分に苦慮していた時、またもや篝火から一人の巨漢が姿を現した。

 

「――不死の女…しかも()()()の呪いを発症しているようですな」

 

「…大主教か」

 

 姿を見せたのは、魔神皇に仕える大主教だった。

 

大主教が語るには、この女はダークリングを発症し呪いにより『不死人』と化していると言う。

 

「大方事切れ、この篝火を起点として復活したのでしょう。……かなり人間性を摩耗しているようですな」

 

 どうやらこの女、先程死んだというのだ。

 

ダークリングによる不死は、基本死んだ後復活する。

 

そして人間性や精神を代償に蘇生するのである。

 

大主教の見立てでは、この女は既に、何度か死を繰り返しているらしい。

 

「このソウルの流れ、ロンドールの仕業ですな」

 

「――例の組織か」

 

 大主教は女のソウルを探り、人為的に呪いを付与されたものだと見抜いた。

 

「無責任に不死を振りまく、傍迷惑な組織だ」

 

 ダークゴブリンは忌々し気に女を見据え、長弓ゴブリンへ処遇を任せる事にした。

 

「GROOV」

(この女に最後の食事を与え、幽閉しておけ)

「Goa」

(御意)

 

長弓ゴブリンは女を担ぎ上げ、その場を後にした。

 

「さて、何用かな?大主教よ」

 

 ダークゴブリンは、何故この場に大主教が現れたのか理由を問う。

 

「望みの物資をお持ちした。勝つも良し、敗けるも良し、魔神皇様も着目しておられる」

 

「そうか。これで手札は揃ったな」

 

 大主教の報を聞き、ダークゴブリンは表情を変える事も無かった。

 

「この戦――勝てば我等は更なる立場と地位を得よう。負ければ我等は瓦解する――それだけだ。あの御仁に伝えておいてくれ」

 

「承知」

 

 短く答えた大主教は、篝火に手を翳し姿を消す。

 

「GRUUV」

(――総員、此処を発つぞ!)

「「「「「Gov!!」」」」」

 

 ダークゴブリンは号令を掛け、この廃村拠点を発つ事となった。

 

向かう先は第2拠点――。

 

其処で人族との戦に備える為だ。

 

……

 

女を担ぎ、ある小屋へと向かう長弓ゴブリン。

 

女は気を失っていた。

 

暴れられては困ると、女の項に手刀を叩き込み予め気絶させておいたのだ。

 

小屋に入り、鉄格子を開け女を放り込む。

 

そして乾パンと干し肉の入った袋と水筒を傍らに置いた。

 

数日はもつだろう。

 

一連の処理を終えた長弓ゴブリンは、鉄格子に鍵を掛け暫し女に視線を寄せた。

 

「……」

 

 彼は何を思ったのだろう。

 

事もあろうに鉄格子の鍵を女の傍へと置き、その小屋を後にした。

 

 

 

……

 

 

 

その後、全ての小鬼が廃村拠点を発った。

 

この廃村は完全な無人となったのだ。

 

一人の『不死人』を取り残して――。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

投矢(ダート)

 

 投擲用に調整された小型の投げ矢。

 的当ての娯楽にも用いられる。

 無論、的が人の場合も。

 

 先端部に毒を仕込めば、恐るべき暗殺武器へと変貌するだろう。

 

 値段は一発につき 銅貨3枚~銀貨3枚。

 

 

 

投げナイフ(スローイングナイフ)

 

 投擲用の小型ナイフ。

 多くのアイテムは使い手を選び熟練の使い手は、その威力をさらに高める。

 力を得るとは、いつでもそういうことだ。

 

 只人の本質とは投擲にあり――誰の言葉だっただろうか

 

 値段は一本につき 銀貨2枚~金貨1枚。

 

 

 

 

 

 




 ゴブスレTRPGのサプリが出る迄、暫く更新はないです。
新しい魔法や追加アイテムが掲載されているらしく、読むのが楽しみです。
匂い立つなぁ……。

如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
デハマタ。( ゚∀゚)/
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