バレー選手との恋   作:赤いティントリップ (活動停止中)

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山口の想い人

放課後、練習を始めてすぐ

 

「スイマセーン!山口くんいますかー!?」

 

練習中いきなり体育館に大声が響いた

 

聞き間違いもしない

 

想いを寄せる彼女の大声が

 

 

 

彼女の声はとても大きくよく通っていた

 

 

 

 

 

「山口なら居るよ、何か用事が有るの?」

 

丁度近くにいたスガさんが聞いて居る

 

その間に俺は彼女が顔を覗かせる扉まで走り寄る

 

「先生に山口くんを連れて来いと言われ呼びに来たんです」

「そう、じゃあ山口行って来い」

 

スガさんが彼女に近くまで来ていた俺の背中を押し差し出す

 

差し出されたせいで彼女との距離が近くなり体の温度が急上昇する

 

 

 

 

靴を体育館シューズから上靴に履き替えるの待ってもらう

 

「よし、履けたね、行こっか」

 

そう声がしゃがんだ俺の頭上から聞こえいきなり視界に彼女の手が写り込んだ

 

疑問に思い彼女をしゃがんだまま見る

 

すると視線がぶつかる

 

そしてそのまま見つめ合うこと数秒彼女がはじかれた様に手を引いた

 

「…………あっ!ごめん、ウッカリ手を出しちゃった、気にしないで」

 

視線を外し恥ずかしそうに顔を朱に染めている

 

迷わずその手を握ればよかったと後悔した

 

 

 

「山口くん筋力不足じゃないから手なんて使わなくても立てるよね……」

 

両手で顔を覆ったうえ、下を向いたままそう話している

 

「そういえば、どうして呼ばれたの?俺」

 

質問を投げかける

 

「わかんない、だって、私職員室の前通った所で先生に呼び止められて、丁度いい所にちょっと山口連れて来て、て言われただけだし」

 

並んで歩いて居るせいで彼女が身長の高い俺と目を合わせようとすると結構な上目遣いになり、恋情を膨らましていく

 

「そういえば今気付いたんだけどちょっといい?」

 

ジッと目を合わせる様にして話しかけられる、彼女の目は一度合うと離せない何かの力がある様だった

 

「どうしたの?」

「山口くんて身長高かったんだね、いつも月島くんの近くにいるから高いイメージ無かったけど」

「そう?」

 

流石の俺も四六時中ツッキーにくっ付いてる訳じゃない

 

「山口くんの身長って幾つ?180位?」

自分の身長と比べる様にスッと手を水平にして俺の頭付近に近づけてくる

 

そのせいでまた彼女との距離が近くなる

 

耐えられなくてスッと彼女から視線を外し彼女から距離を取る

 

「うん、その位だよ」

「やった、当たり」

 

 

 

 

 

「せんせーい、山口くん連れて来たよ〜」

「おー、ご苦労さん」

「じゃ、私教室戻っていい?」

「いいぞ、じゃあな」

「はーい」

 

そう返事しつつ彼女は廊下を歩いて行った

 

「さて、問題です、貴方は何故呼ばれたでしょう?」

 

ニコニコ笑顔の先生に問われる

 

「何故、ですか?」

「そうそう」

 

たっぷり数十秒の沈黙が流れた後ようやく先生が口を開く

 

「実はな、先生いいモノを拾ったんだ、コレに見覚えないか?」

 

そう言いつつ先生はペラペラと紙を目の前に出して来た

 

「あっ!」

 

その紙にはとてもよく見覚えがあった

 

「俺の予想ではここに書いてあるあんたの好きな人のイニシャル、俺がお前を呼びに行かせたあの子なんだと思うんだが?」

 

恥ずかしさで顔から火が出そうだった

 

「やっぱり大当たりだな、山口の好きな人」

 

先生の顔には更に深い笑みが浮かぶ

 

「人の想いで遊ばないでください…」

「いや、遊んでる訳じゃないんだこの好きな人のイニシャル、苗字、名前、という順に書いてるか名前、苗字、という順に書かれているかって言う場合があるだろ?」

 

ペラペラと紙を振りながら聞かれる

 

「はい」

「彼女の場合は苗字、名前だが、うちのクラスには逆も居るの覚えてるか?」

「逆?」

 

そんな人いたかと頭を捻る

 

「まさか、覚えてないなんて言うなよ?」

「ゔ、でも、分からない……」

「好きな人以外眼中にありませんてか?幸せだなぁ」

 

ニタニタと揶揄される

 

「で、それがどうしたって言うんですか?」

「見られた」

 

聞くと即答される

 

「えっと……え?」

「だから見られたんだって、この紙」

 

そう言われサッと血の気が引く

 

「拾った奴、このイニシャルは自分のものだと信じて、山口に好かれてるとか気持ち悪いって言ってた」

 

誤解で気持ち悪がらないでほしい

 

「けど、俺それ聞いて違和感感じたんだよなぁ……なんか、山口の趣味は違うって」

「で、それ誰なんです?自分だと感違って気持ち悪がってるんのは」

 

つい隠しきれない嫌悪感を出しながら聞いてしまう

 

「あの、派手派手しいグループのリーダー格の彼奴だ」

 

そう言われると脳内に思い出された奴のイニシャルは彼女の逆だった

 

「な?山口の趣味じゃないだろ?」

「そうですね」

「けどな、彼奴ら止める間も無く行っちゃったから結構すぐに広まるかも」

「何がですか?」

「山口くんって私のことが好きなんだってー!」

 

聞くといきなり裏声を使って応えた先生

 

そしてその応答に血の気が引く

 

「本命の彼女の耳に入ったらどうなるか分かったら教室に行け」

 

そう聞いて返事もせずに走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を覗くと彼女は独りで居た

 

「あの、ごめんちょっといいかな?」

 

そう彼女の背中に声をかける

 

その瞬間彼女がビクッと動いた

 

彼女の過剰な反応に不思議に思い近付いた

 

「来ないで!」

 

振り向かないままの彼女がいきなり怒鳴った

 

「っ!」

 

声が涙声なことに驚く

 

「どうして……泣いて……」

「思い当たらない?自分に聞いて見てよ?」

 

彼女が振り向き捲し立てた

 

「ねぇ?本当に分からないの?自分が好きじゃない人の事は気にしてないから?」

 

さらに捲し立てられ自意識過剰の様な自分に都合のいい考えが浮かんでくる

 

「あんなに優しくしてもらったら勘違いしちゃうじゃん……」

 

尻すぼみに言い切り彼女は顔を覆って静かに涙を流して居た

 

辛そうな姿が見てられなくてつい抱きしめる

 

「勘違いなんかじゃない」

 

抱きしめたままきっぱりと言う

 

「俺が好きなのは貴方です」

 

そう言うと彼女が驚いたのが分かる

 

「……しも……き」

 

腕の中で彼女が何かを言うが声が小さくくぐもっている為聞き取れなかった

 

「ん?」

「だから……私も好き……で…す……」

 

耳まで真っ赤になりながらそう言ってくれた

 

 

 

この日、人生で始めて彼女ができた

 

 

 

 

 

 

〜裏話〜

 

「いやぁ〜、成熟してよかったですね」

「そうだな」

 

え?お前らは誰かって?勘違いしてることになってる派手なグループのリーダー格の私と、先生だよ

 

「それにしても、お前立ち回り上手すぎだろ」

「先生もナイス演技でしたよ」

「でもいいのか?勘違い女のままで」

「まぁ、あの2人がそんなに積極的に広めようとする様な人達ではないですし仲良い子は計画知ってるし」

「そうか、そういえば、どうしてこんな事しようと思ったんだ?嘘ついて立ち回って」

「ああ、した理由ですか?単純に2人とも優しいいい2人だから両思いならくっついて欲しいなぁって思ったからですよ」

「そだな、あいつらいい奴だよな」

「なんか、純粋で真っ直ぐだし」

「お前は純粋でもなければ真っ直ぐでもないけど、いい奴だな」

「でしょ?けど、私一つ誤算があったんです」

「よし、当てる、あの子が泣いた事だろ?」

「当たりです、そうなんですよ〜、泣かしちゃったんですよ〜、泣かす気なんて更々なかったのに」

「まぁ、泣かせた事くらい大目に見てもらえると思うぞ、仲を取り持ったんだからな」

「そうですよね」

「と言うわけで、めでたしめでたし」

「ちゃんちゃん」




思いつきで書いた、短編
微笑ましく見守るように読んで頂けたら幸い
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