妄想果ての産物。
続きはない。断じて無い。

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実はこんな世界観

○月○日

 彼女達の薦めで、日記を付ける事になった。

 何でも、日記を付ける事で望郷の念を忘れない様にする為らしい。

 正直、未だ夢を見てるとしか思えない状況だし、その辺を整理する為にも、日記を付けようと思う。

 まず書くべきは、俺が2018年の日本から、この世紀末の世界に来てしまった事だ。

 小さい会社で働いて、その稼ぎを、家賃だけ残して全部ドルフロにぶちこむと云う生活をしていただけの一般人の俺が、この世界に迷い混んだ理由は、グリフィン側の人形のせいらしい。

 代理人の説明では、なんでも、あの獣耳のマッドが自身を人形化させて、異次元を観測。その異次元に干渉。この世界をゲーム化したドルフロを、その世界。つまり、俺のいた世界の人間に作らせたモノなんだとか。

 そして、干渉した世界で、ゲーム。つまり、ドルフロを始めた指揮官を、この世界に引き込む装置も作ったらしい。

 代理人が言うには、もうこの世界に人間が居ない為の苦肉の策なんだとか、傍迷惑な話だと思う。

 

○月△日

 ウロボロスが、俺に構ってくる。

 彼女が言うには、脆弱な人間の俺は保護対象らしい。

 俺が人間が嫌いなんじゃないのかと聞くと、俺はこの世界の人間じゃないので嫌いじゃないらしい。

 彼女達が人間を嫌う理由は、自分達は安全な所で堕落しきって居るのに、ソレを自覚せず、人形に全てを押し付けて、人形を見下している人間らしい。

 俺はそういう人間じゃないので、嫌いじゃ無いとのこと。

 綺麗な笑顔でそう言われてしまい、そんな高尚な人間じゃないと思わず言ってしまった。

 すると、彼女は、華の様に笑い。そんな事を言える人間だから、私達は助けたいと思うんだと言われてしまった。

 

×月○日

 遂に、彼女達による、転送装置奪取作戦が開始される。

 なんでも、俺を元の世界に帰す為には、俺をこの世界に拉致するさいに使った装置でなければならないとのこと。

 無限に存在する異世界から、元の世界を割り出すのは不可能な為、俺のいた世界の座標を記録している装置でなければ、元の世界に帰せないらしい。

 俺なんかの為に、彼女達が傷付くのは嫌だと伝えたら、ウロボロスが、絶対に元の世界に戻して見せると約束してくれた。

 この世界はもう終わった世界になのに、無関係の人間を巻き込むのは、絶対に間違っている。だから、絶対に帰すと、真剣な表情で言われてしまった。

 元の世界に戻れなくても良い。優しい彼女達に無事に帰って来て欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

「ナンだこれ? 狂人の日記かナニかか? それとも洗脳でもされたのか??」

 部下の人形達が制圧した鉄血の施設に有った日記を読んだ俺は、自分と同じ異世界組の人間が書いたモノらしきモノを投げ捨てた。

「鉄血が優しい。て、狂ってるとしか思えんな」

 日記に書かれてる獣耳のマッドて、ペルシカの事だろ? 彼女はどう見ても人間だ。なのに人形とか......頭を疑ってしまう。第一。映像だけとは云え、クルーガーとヘルアンと話した事だって有るし、カリーナとは毎日会っている。整備関係や輸送関係の仕事に着いている人間とも会った事が有る。

 それなのに、この世界に人間がもう居ないと書かれていても、頭大丈夫か? としか言えない。

「指揮官。こちらでしたか。この基地に有った施設等は全て破壊しました。帰還しましょう」

 頼りに成る副官(相棒)の登場に、俺は軽く手を上げて答える。

「だいたい。指揮官である貴方が、こんな前線に来ること事態がおかしいのです。事前に言った通り、私達の側を離れないで下さい。貴方に何か有ったらどうするつもりですか?」

 何時も小言を言い始めた相棒に、苦笑いを返すと、相棒がますます怒り始める。

「悪い悪い。ナンか分からないけど、此処に来ないといけない気がしたんだよ。最も、なんの意味もなかったけどな」

 肩を竦めながらそう言った俺を見て、相棒が深い溜め息を付いた。

「だから、基地で大人しくしていて下さいと言ったじゃないですか」

 プリプリ怒っている相棒に、怒ってる顔も可愛いな。と俺が言うと、相棒が顔を真っ赤に染め上げた。

「なっ、なっにを」

 トマトの様に真っ赤になった相棒を余所に、俺はこれ以上の小言を言われたくない一心で、その場から走って逃げだした。

 元の世界に戻れないけれど、こんな生活も悪くない。いや、最高だと思いながら。

 

 

 

 

 

 

「ああ。これを読んでたんですか」

 嘗て、私達の指揮官が鉄血に連れ去られ、囚われていた時に付けていた日記を、ペラペラと捲るとその場に投げ捨てる。

「これを見ても問題ないなら、もう大丈夫ね」

 漸く、指揮官が、私達の指揮官に成った事を確信できた。

「ずっと、ずっと、永遠に、人形遊びをしましょう」

 ペルシカに頼んで、子供を産める様になった私達が、指揮官の子供を産んで育ててあげる。

「本当に、幸せ」

 他の私達が、他の指揮官の子供を産んで育ててる様に、私達も幸せになりましょう。

「それは、絶対に素敵な事だもの」

 ソレを永遠に繰り返せば、きっといつか、この終わった世界を、再生できるから。




続き読みたいなら、誰か書いて下さい。
俺には無理です。


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