スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~   作:tubaki7

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Episode10

 

我ながら失言だったと思う。そう気づいた時にはもう遅かった。ゾクっとした悪寒に振り向けば此方を睨んでくる相手と目が合う。その目力は半端ないものあがり、今まで見てきたどの悪役よりも鋭い瞳で自分を映していた。その眼力に何も言えずに黙っていると、つばきが口を開いた。

 

 

「黄瀬、今のは忘れろ。それからみゆき、ちょっと来い」

 

 

嫌だとは言わせない。そんな意味のこもった目で睨まれればまず反論などあろうはずがないので仕方なく手を引かれて屋上を出ていく。扉の敷居を跨ぎ、ドアが閉まったところで立ち止まり、壁に押し付けられた。いわゆる、壁ドンというやつである。これが別のシチュエーションであるなら今頃頭から湯気でも出してパニックになっていたことだろう。なんせ男子とはあまり免疫のないみゆきだ。こういうことも初めてだし、もちろん男子とこんなに長い時間一緒にいたのも初めて。

 

が、今回はそんな悠長なことなど言ってる場合ではない。目の前の相手は怒り心頭。今にも胸倉をつかまれそうな勢いの感じさせる彼の躰はこみ上げてくるものを抑え込もうと僅かに震えていた。

 

 

「どういうつもりだ」

 

 

抑揚のない声が耳に聞こえる。それが軽く恐怖心を煽ったことでビクリと躰をこわばらせる。

 

 

「どういうって、黄瀬さんピッタリだと思うんだ。かわいいし、プリキュアの衣装とか着たらきっと似合うよ」

 

 

「ああ、だろうな」と呟くもそれすら抑揚がない。あるのは怒りと、自分を責め立てる念。俯いたまま、壁へと押し付ける手が拳を握る。

 

 

「・・・・それだけか?」

 

「う、うん・・・・」

 

「前にも言ったはずだ。これは遊びじゃない、ましてやリセットの効くゲームでもないんだよ。負ければ死ぬ、命がけの戦いなんだ。そんな危険なことに、ただ衣装が似合うから、かわいいからという理由だけで彼奴に声をかけたのなら、俺はお前を許さない」

 

 

上げた顔、そこにあった瞳から感じられたのは、明確な拒絶。発言そのものだけでなく、星空みゆきという少女そのものを拒否する目だ。こんな瞳に今まで出会ったことのないみゆきはただただその瞳に映る自分を見てようやく自分がどういう表情をして、どういう状況に置かれているのかを知る。この話題――――というよりは、彼女に関してのプリキュアはの勧誘は彼の逆鱗に触れてしまったらしい。

 

 

「まだ軽い気持ちでいるのなら・・・・今すぐプリキュアをやめろ」

 

「か、軽くなんかないもん!私だってちゃんと考えて――――」

 

「考えて!?それで出たのがあの言葉か!?だとしたらトンだオフザケだな。それで誘って、彼奴が仮にその誘いを受けたとして。もし黄瀬が変身できなくてその結果死ぬようなことになったらお前は責任とれんのかよ、えぇ!?」

 

一気にまくし立てるつばき。相手が女子だろうと関係ないような感じはなんとも彼らしいといえばらしいのだが、これを受けているみゆきからしてみればたまったものではない。あまりにもの迫力と感情に恐怖すら感じるほどで、小さく震えだす。そんなみゆきを、半分涙目で見る彼女を見てハッとなるも今更もう遅い。やってしまったことへの引っ込みがつかなくなったつばきはどうしていいかわからずにそれまでの流れを紡ぐようにしてみゆきから顔をそむける。

 

――――ホントは、こんな筈じゃなかったのに。

 

そう心中で呟いてから手を壁から離してみゆきを解放する。気まずい空気が流れる中、扉を開く音が聞こえてそちらを見る。恐る恐る此方を見てくるのはやよいだった。それを見てまた気まずくなって顔を伏せる。

 

 

「・・・ワルい、今日はもう帰るわ」

 

 

逃げるようにして階段を降りていくつばきのあとをおいかけるようにして、やよいも階段を下る。みゆきとすれ違い様、「ごめんね、ワケはまた後で話すから、あまた明日!」と言い残し降りていく。そんな現場をもろに見てしまったあかねは頭にキャンディを乗せて思う。

 

 

いよいよ、面倒なことになったなぁ、と。

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