スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~ 作:tubaki7
「出でよ、アカンべー!」
握りしめた赤っ鼻を天高く掲げれば、そこから黒いマイナスエネルギーが噴出される。キュアデコルをバッドエナジーで包み込み、光の力を捻じ曲げて闇へと変換させたそれは依代となるものを求めアカオーニが指定したものへと流れ込む。それは一枚の紙切れ、やよいが心血そそぐ想いで書き上げたポスターだ。現れたのはポスターに描かれていたヒーローとは真逆の悪役の姿。ピエロの鼻が皮肉にもよく似合うのが恨めしい。
『テメェ・・・・!』
もちろん、それを見て冷静でいられるほどリュウケンドーこと鳴神つばきは大人ではない。現れた直後ゲキリュウケンを携えて咆哮をあげながら切りかかる。体格差は言わずもがなではあるが、それでも魔弾剣士は臆することなくその巨体へと斬撃を叩き込む。が、それでもどうしても体格差というものは事戦闘には優劣を分けてしまう。相手の攻撃は見切れる、回避も容易だし、こちらが攻撃を当てやすいのもたしかだ。しかし、そうメリットばかりではない。手にした得物である箒をブンブンと振り回せば闇雲でもかなりの脅威となる。
『ぐわ…!』
〔箒が邪魔で近づけない・・・・リュウケンドー、ここはファイアーコングだ〕
『言われなくても!』
ファイアーモードへと武装し獣王であるファイアーコングを召喚する。炎の属性変換能力を有したキャノンに変形しリュウケンドーに装備される。砲身に備わったトリガーを引けば連射形式で炎の弾丸が発射される。が、それさえも楯の役割を果たしている塵取りにより防がれ、まるで打つ手がない。毒づくリュウケンドー。後ろにはやよいが。ここで引き下がるつもりはさらさらないがこれでは八方ふさがりだと舌打ちをする。
「ダブルプリキュアキーック!」
待ちかねた声が聞こえてアカンべーは死角からの直撃をくらい倒れる。蹴りの反動で回転しこちらに着地したのはハッピーとサニーだ。
『オッセーぞ!』
「仕方あらへんやろ、この結界みたいなん思ったより頑丈なんやから!」
「でも、遅れた分はキッチリ返すよ。サニー!」
「よっしゃ!」
なぜだろう、嫌な予感しかしない。そう思いつつもリュウケンドーは駆けだしていくサニーを止めようとはせずに何をするのかと後姿を眺める。
「プリキュア・サニーファイヤー!」
やっぱり必殺技かと思う。それをみてやっぱりこの光景どこかで見たなと記憶を探るとそういえばハッピーもこんなことやったっけと思い出したときにはもう遅い。サニーファイヤーは塵取りに当り、なんとか破壊するも不発に終わる。だがこれで奴を守るものは無くなったとファイヤーキャノンを構えるが、それよりも早くハッピーシャワーが脇を抜けてアカンべーへと向かう。サニーは囮で、本命はハッピーかと思ったがこれも不発。あっさりと躱されてしまった。技を使った疲労によりペタンと座り込む二人を見て『学習しろ!』と怒声を飛ばす。アカオーニと高笑いが響く中、しびれを切らしたリュウケンドーはもう一度キャノンを発射。しかし塵取りは無くなったものの箒が健在なためそれを前に出して振り回すことでファイヤーキャノンをやり過ごしてしまう。そして今度は此方の番だといわんばかりに箒とパンチによる猛襲がくる。耐えるリュウケンドーだったが、嵐のような猛攻の前に膝を着いてしまう。ファイヤーコングが消え、モードも元に戻ってしまう。
「どうしたオニ、さっきまでの威勢がまるでないオニ!」
クソッタレが。心中で呟いてみるもパワーでごり押しされている為思うように攻められない。疲労はダメージと共に蓄積されていき、やがて立つことさえままならないような状態に。
「あ、アカン、足に力入れへん・・・・」
「なんの、これしき・・・・やっぱりダメ~」
『気の抜けるような声出すなっての・・・・!』
「ガハハハ!それにしてもお前も馬鹿オニ。こんな絵一枚で何ムキになってるオニ?」
『こんな絵、でもな…アイツにとっちゃ一生懸命描いた大事なものなんだよ。それを貶したり悪用する奴は何がなんでも許せねー…ただ、それだけだ』
ゲキリュウケンを杖のようにして立つリュウケンドー。しかしそれもすぐ崩れて膝を着く。もう限界か、そう思った時、目の前に出た影に視線を上げる。そこには、先ほどまで絶望していた筈のやよいの姿が。
『おまえ、どうして…!?』
「…聞こえたの。星空さんの声、あかねちゃんの声、そして・・・・つばき君の声。私のこと、一生懸命守ろうとしてくれたのがわかった」
振り返り、リュウケンドーの手を握る。その手が震えていたのを、彼は見逃さなかった。怖いならどうして逃げなかったと言うと、やよいは静かに首を振った。
「私とつばき君が始めて出逢った時もそうだった。泣いてる私を、つばき君はこんな風にして手を握ってくれた。その時、すごく安心したの。それから、いつも守られてばっかりで…自分では何もできなくて。そんな自分がイヤで、変わろうとしたけど・・・・やっぱり駄目だった。また、私は守られてばかり。でも――――」
立ち上がり、アカンべーと真っ向から対立する。震えながらも、恐怖で逃げ出したい、泣きたい気持ちを一生懸命抑え込みながらやよいは腕を広げる。
「もう、守られてばっかりじゃダメだってわかった。今度は、私の番。私がみんなを――――つばき君を、守りたい!」
――――その時、何かが弾けた。