スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~   作:tubaki7

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Episode17

 

光が瞬く。天高くそびえるかのようなその緑色に発光する柱の中で生まれた存在に、アカオーニは一種の恐怖すら感じる。驚愕とともにその内部を手で遮った瞳でしっかりと見つめる。やがて慣れた先で見えたのは、一つのシルエット。

 

 

「勇気リンリン、直球勝負!キュアマーチ!」

 

 

そして、さらにもう一つ。

 

 

『ストームキー、発動!』

 

〔チェンジ。ストームリュウケンドー〕

 

『疾風武装!』

 

 

緑色の鍵であるストームキーをゲキリュウケンに装填しすると、魔力でできた緑色の竜がアカンべー目掛けて突撃し、その際に拘束されていたハッピーを解放する。轢かれたアカンべーは尻もちをついて倒れ、アカンべーを轢いた竜はそのまま鉄橋の下を潜り抜け、空高く舞った後にリュウケンドーへと降り注いだ。魔力が変換され鎧となり、緑色でできた、風をモチーフとした雲のような装飾が備わる。

 

 

『ストームリュウケンドー、来迅!』

 

「おぉぉ~…なにコレ、どうなってんの?キュアマーチって・・・・」

 

「キュアマーチ・・・・やっぱり4人目は緑川さんだったんだ!」

 

 

『マジかよ』とマーチに変身したなおを見てこぼすリュウケンドー。同じように、リュウケンドーとなっているつばきを見て改めてリアクションするマーチ。

 

 

「また増えたオニ…!」

 

 

忌々しそうにつぶやくアカオーニ。人質を解放され、あわやプリキュアの覚醒。あと一歩というところでこんなどんでん返しがあろうとは誰も予想などできないことではあるが、アカオーニにとってはそんなことはフォローにもならない。

 

いや、そもそも彼にフォローなんてことは必要ないのかもしれないが。

 

 

「アカンべー!」

 

 

アカンべーに指示を出す。倒れていたアカンべーがむくりと起き上がり、両腕の羽を広げて飛び立つ。

 

 

 

「大切な家族の絆・・・・守ってみせる!」

 

『そう熱くなんなって。もうちょいクールにいこうぜ・・・・って、聞いてないか』

 

 

目にも留まらぬ速さで駆け抜けるマーチ。彼女が走り抜けた後にはその勢いの副作用か、はたまたその形容しがたい髪型のせい・・・・仮にトリプルテールとでも言っておこうか。そのどちらのものによるものかはわからないが、ソニックムーブのような現象が発生する。その風に煽られてアカンべーは空中で踏ん張れるはずもなく飛ばされる。なんとか体勢を立て直すも、走っただけでこれなのだからすさまじい。

 

 が、ここで問題が発生する。マーチの頭の中では、アカンべーを真っ向から迎え撃ち、キックでもパンチでもして攻撃するつもりであったのだろうが変身したばかりで能力の制御が上手くいかずにアカンべーを通り越してしまう。足を止めてブレーキをかけるも生憎と下は芝生。急に止まれるはずもなくズザザザと音を立てながらどんどん距離は開いていき、その眼前には鉄橋を支えるコンクリートの柱が。

 

 

「危ない!」

 

 

ハッピーが叫び、ピースが顔を手で覆い、サニーが手を伸ばすもそれは届くはずもない。

 

 

『世話が焼けるな・・・・』

 

 

そう呟きが聞こえた時にまたあの突風が吹き荒れる。直後、ドン!という音が鳴り、煙が立ち込める。

 

 

「ど、どどどどうしよ~!?」

 

「お、おおお落ち着くんやハッピー!」

 

「そうだよ!まずは救急車を・・・・」

 

「救急車なんて来ないクル!」

 

 

軽くパニックになる三人に珍しくツッコミを入れるキャンディ。宥めようとあたふたしているところへ、声が聞こえた。

 

 

『ったく、制御もまだロクにできねーんだからはしゃぐな。みっともない』

 

「ごめん・・・・って、なにしてんのさ!?」

 

 

自分がリュウケンドーに抱きかかえられているのを見て顔を真っ赤にするマーチ。いわゆる、お姫様抱っこというやつである。

 

 

「羨ましいかも・・・・」

 

「ハッピー?」

 

「女の子の憧れだよ!お姫様抱っこだよ!?いいなぁ~…」

 

 

心底羨ましそうな顔で言うハッピー。まったく緊張感のない奴らだとサニーは呆れ、ハッピー同様――――いや、それ以上の目でみるピースを見てまた「やれやれ」と呟く。

 

 

『ごちゃごちゃ言うな。ホラ、行くぞマーチ』

 

「ふぇ、う、うん!」

 

マーチをおろしてアカンべーが頭の砲門から攻撃を撃ってくるのが見えた二人は即座にその場から消える。速すぎるそのスピードにアカンべーは標的を捉えることができずにただただ無駄玉を撃ちまくる。

 

 

「さっきは失敗しちゃったけど、今度は・・・・!」

 

 

素早く方向を変え、鉄橋の柱を駆けあがりアカンべーの頭上へと跳躍する。落下する勢いを利用し振り上げる足から繰り出されるのは踵落としだ。それがものの見事に命中し、アカンべーは顔面から地面へと落下した。

 

なんとか起き上がるアカンべー。だが、その先にはリュウケンドーが。

 

 

『これで!』

 

 

剣を振るう。目で追えない程の速さで繰り出されるその斬撃はアカンべーの羽となっていたゴールネットをバラバラに切り裂き、飛行不能にしてしまう。それにアカオーニが「キィィィ!」と黒板を引っ掻いたような声を上げるがもう遅い。完全に形勢は逆転しもう勝利のしょの字も見えない。

 

 

「二人でアカンべーを浄化するクル!」

 

〔キュアマーチ、スマイルパクトに力を籠めろ!〕

 

 

キャンディのゲキリュウケンに促されて言われるがままスマイルパクトに触れる。するとパクトが緑色の光を発光、それを吸収するかのように輝きだす。それに比例するかのようにしてだんだんと力が抜けていくマーチだがキャンディの「やめちゃだめクル!もっと力を籠めるクル!」という声に従って力を送るイメージを脳内でする。するとより一層光が強いものへと変わっていった。

 

 

〔こっちもやるぞ!〕

 

『ああ。ファイナルキー、発動!』

 

〔ファイナルクラッシュ。疾風斬り〕

 

「プリキュア・マーチシュートォ!」

 

 

マーチが緑色でできたエネルギーの球を蹴る。それがゲキリュウケンへと当り、刀身を輝かせた得物を手に、リュウケンドーが駆ける。

 

 

『剣士、魔弾龍、戦士。三つの力を今一つに!三位一体!疾風斬り!』

 

 

一気に加速し、アカンべーが目の前に来たと認識するよりも早くすれ違い様にゲキリュウケンを振りぬく。浄化の光を纏った剣はアカンべーを浄化し、赤鼻を元のキュアデコルへと変えた。

 

 

『闇に抱かれて眠れ・・・・』

 

「ハァ…ハァ…なにコレ、パワー全部使い果たしたって感じ…」

 

 

倒れそうになるマーチ。それをリュウケンドーがすばやくキャッチして立て直す。ありがとうと御礼を言おうとするマーチだが、先ほどの事を思い出してしまい上手く喋ることができないで俯く。それをみて首を傾げるリュウケンドー。

 

 

「アイタタタ、尻もちついちゃったからパンツ破けたオニ」

 

『鬼のパンツって破けるもんだっけか?』

 

「プリキュア、リュウケンドー!覚えておくオニ!」

 

『って、おい!・・・・あ、なんかこの扱いデジャビュ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けばあたりはすっかり夕暮れとなっていた。さっきまで絶望に沈んでいたなおの兄弟たちももうすっかり元通りになり、今では元気にサッカーそしている。そんな様子を土手から見下ろしながら、一件落着と息をついた。

 

 

「あ、あのね緑川さん…」

 

「なおでいいよ」

 

「――――なおちゃん、改めて私たちと」

 

どこか気まずそうに言うみゆき。それもそうだ。さっきはあんな恐い思いをして、結果オーライにはなったものの巻き込まれたことは事実。プリキュアになったからといって断られても文句の言いようがない。あかねややよいが快諾してくれたことがほぼ奇跡みたいなものだとみゆきは思う。なおの場合は家族が巻き込まれた。あと一歩間違えていたらと思うとゾッとする。

 

しかし、なおは笑顔で言った。

 

 

「みゆきちゃん。私たち、良いチームになりそうだね」

 

 

その一言に「え?」となる。断られるとばかり思っていたからだ。

 

 

「家族を守ろうとしてくれてありがとう。それに、なんだかみんなといると楽しいし!」

 

 

そう言ってハニカムなおの笑顔は、同じ女の子であるみゆきもどこかキュンとするほどにいい笑顔だった。

 

 

「・・・・なにはともあれ、これで4人目だな」

 

「え、いいのつばき君?」

 

「どーせプリキュア5人集めなきゃいけないんだったらおんなじことだよ。それに、こうなった以上は入ってもらわないと困るのはこっちだしな」

 

「相変わらず素直じゃないね」

 

「ほっとけ」

 

 

やよいに言われてそっぽを向くつばき。直後、「危ない!」という声が聞こえてきて何事かと振り返ると視界が黒くなったとおもいきや顔面にめり込むボール。サッカーボールが綺麗につばきの顔面にクリーンヒットし、そのまま倒れる。

 

 

「やっべ、シショーに当った!」

 

「お~まぁ~え~らァ!」

 

 

起きあがるなり鬼の形相で追いかけまわすつばき。しばしの間、グラウンドには明るい笑い声が響き渡っていた。




と言うわけでオリジナルのストームキーです。一応なおへのフラグっぽい何かもたててみました
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