スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~   作:tubaki7

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Episode18

 

この世の不幸という不幸を詰め込んだ空間。ありとあらゆる希望が絶望へときすその世界はバッドエンド王国と呼ばれる場所だ。プリキュアとリュウケンドーが戦っているウルフルンやアカオーニもこの空間に住んでいる。

 

そして、彼らと立場を同じくする人物が一人。大きな壺を鍋に見立ててその中の液体をぐつぐつと煮込みながら怪しげな笑いを浮かべる老婆。身長はキャンディと変わらないでも、纏う雰囲気はまさに幹部といっても差支えない。

 

 

「ウルフルンもアカオーニも使えない奴らだワサ…」

 

 

同僚にたいしての悪態をつきながらも、笑い声はどこか嬉しそうに聞こえる。

 

 

「いよいよこのマジョリーナ様の出番だワサ!」

 

 

高笑いをしながら鍋の中から浮かんできたリンゴを指えつまみ上げる。老婆の名前はマジョリーナ。バッドエンド王国3幹部の一人にして、頭脳派である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ちぃこぉくぅだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

「また同じこと言ってるクル」

 

「そんなことないもん、はっぷっぷ~」

 

「だいたいお前があんな時間に電話してくるからだろうが!」

 

「だってなおちゃんが入ってくれたおかげで4人になったんだよ!?こんなウルトラハッピーなことはないよぉ!」

 

「俺はウルトラアンハッピーだけどな!」

 

〔このやり取り何回目だ…〕

 

「えっと・・・・6回目クル!」

 

 

数えてたのかと軽くキャンディに感心するゲキリュウケン。まったくこの二人は仲が悪いのか良いのかがイマイチよくわからない。人間という生き物はつくづく不思議だと思いながら二人が校門を潜ったところで黙り込む。

 

 

「――――わ~、綺麗!」

 

 

みゆきが立ち止まり花壇の花をみて言う。花なんていつも見てるだろと言いたいところだが、彼女には彼女なりの感性があるのでここは黙っておく。しゃがんで目をキラキラさせるみゆきのその横顔が、不覚にもかわいいと思ってしまったつばきは慌ててソッポを向く。と、視線の先に見かけたのは我がクラスの委員長である青木れいかだった。

 

 

「あ、青木さん!」

 

 

花壇に水を撒く姿も絵になる。美人とはこういう女の子のことをいうのではないだろうか。

 

 

「青木さん綺麗!まるで水の妖精さんみたい!」

「恥ずかしいセリフ禁止!」

 

 

みゆきの言葉に被せるようにしてツッコミをいれて頭を軽く小突く。しかしそれがどうやら痛かったらしく、目じりに涙を僅かに浮かべて頭を押さえながらつばきを見る。

 

 

「こら鳴神君。いけませんよ人をむやみやたらに殴っては」

 

「へいへい」

 

「~…この花壇、青木さんが手入れしてるの?」

 

「はい。お花が大好きなので」

 

「相変わらずもの好きだよなぁ。誰に頼まれた訳でもないのに」

 

「あら、それを言うなら鳴神君もではないですか?最近、なおや星空さん達とよく一緒にいるところを目にします。いい傾向でなによりです」

 

「いやぁ、それはだな・・・・」

 

 

言いかけて、予鈴がなる。そこで今遅刻寸前だったことを思い出し慌てて駆けだすつばき。

 

 

「なにやってんだ行くぞ〝れいか〟!」

 

 

如雨露を置いてから行こうとしたれいか。しかしつばきに手を引かれて如雨露を落としてしまう。が、今彼女が驚いているのはそこではない。今まで苗字でしか呼ばなかった彼が自分のことを名前で呼んだからだ。

 

つばきが他人の、自分と距離感が比較的近い人間の名前を呼ぶときは必ず苗字で呼んでいる。小さい頃は名前で呼んでいた時もあったが、この学校に入ってからは苗字で呼ばれている。それはひとえに〝つばきが距離を置いているからだ〟。これは一年の時も徹底されていたし、比較的距離感の近いと思っていたやよいでさえそうだったのだから間違いない。

 

が、今彼は間違いなく自分の事をれいかと呼んだ。そしてしかも―――――手まで握られている。このことから彼の中で何かが大きく変わってきているこが窺える。

 

一体彼がどうしてここまで変わったのはかはわからないが、おそらくその中心には今つばきの隣を走っているみゆきがいるのだろうと推測してみる。

 

それがなんだか嬉しくもあり、少し悔しい気持ちでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様~!」

 

「…って、何してんのつばき」

 

「いや、昨日のあの二人組が来ないかと警戒を・・・・」

 

「用心深じゃなくて、それじゃ怪しい人だよ」

 

「なんだと!?みゆき、お前こそ今日ずっとれいかのこと見つめてたじゃないか。時々溜息なんかついたりして!」

 

「マジか!?」

 

「言っておくけど、私ソッチじゃないからね」

 

 

即座に否定されたことに心底残念そうにするつばき。いったい何を期待してたんだと言いたいところだが、それはこの際どうでもいい。重要なことを言わなければと咳払いを一つする。

 

 

「みんな、私ね、5人目のプリキュア見つけちゃったかも!」

 

 

食いつく3人。「まさか…」とこぼすつばき。

 

 

「5人目のプリキュアはぁ、責任感があって、賢くって、優しくって、水の妖精さんみたいな人~」

 

 

「よし、全部ハズレてるな。特に二つ目なんかここにいる奴らこの前のテストの点数壊滅的だったし」

 

「やかましい!」

「あべし!」

 

 

あかねのハリセンが今日も唸る。満足そうに頷いてから叩かれて伸びているつばきを放置してみゆきに向き直る。

 

 

 

「水の妖精さんはともかくとして、これに当てはまる人物っていったい・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静まり返る場内。水の滴る音さえ聞こえてきそうなそんな厳かな雰囲気の包む静寂の中、一人少女が弓を構えて佇む。綺麗な姿勢で構えた弓を胸の前までおろし、弦を弾く。射った矢はまっすぐにぶれることなく的に命中し、ど真ん中に突き刺さった。

 

 

「なるほど、確かにれいかなら頭もいいし」

 

「頼りがいがあるし」

 

「つばき君にも優しいし、ぴったり!」

 

「おいちょっと待て、なんだ最後の」

 

 

 休憩時間を見計らって話をする時間を何とか作ってもらった。弓道部に生徒会のかけもちは時間もかなり限られている為、れいかはかなり忙しい。それを踏まえればプリキュアなんてやってる暇も余裕もなさそうではあるが、物は試しだと言ってきかないみゆきを諦めなぜか一緒に頼みこむはめに。

 

事のいきさつ、あらすじを簡単に説明し終えるころにはもう足が限界に達していた。みゆきが最後の気力を振り絞るように言う。

 

 

「と言うわけで青木さん。お願いします!」

 

「おねしゃ~す」

 

 

つばきのなんともやる気のない声が後に続く。これだけの時間正座しているにも関わらず足のしびれどころか顔色一つ変えないところをみるとさすがは剣道場の息子といったところか。

 

 

「伝説の戦士、プリキュアにリュウケンドーですか・・・・にわかに信じがたい話ではありますが、みなさんが嘘をついているようにも見えませんし・・・・」

 

「嘘やないって!」

 

「そうだよ!私たち、ホントにスーパーヒーローなんだから!」

 

 

ヒーローではないだろうとツッコミを入れるあかね。そして物は試しだとまた言ったみゆきはつばきを見る。キャンディをだしたところで新手のおもちゃかなにかと思われると思ったのだろう。仕方ないと溜息をついて立ち上がる。

 

 

「ゲキリュウケン!」

 

 

相棒の名前を口にして戦闘形態へと変える。それをみて「おお」と驚くれいか。でがここまでならマジックかなにかと思われるだろうともうひと押しどばかりに視線でつばきに合図を送る。いやいやながらもつばきはリュウケンキーを取り出した。

 

 

「リュウケンキー、発動!」

 

〔チェンジ、リュウケンドー〕

 

「ゲキリュウ変身!」

 

 

そして、リュウケンドーへと姿を変えた。

 

 

「こ、これは・・・・!」

 

「ね、信じてもらえた!?」

 

「不思議なことが起きているのは、間違いないみたいですね…」

 

「だからお願い、私たちと一緒にプリキュアやってください!」

 

 

証拠を見せられたれいかは考えるように黙る。「もしかしてこのままとんとん拍子に5人目か!?」とつばき――――リュウケンドーも期待を持つ。

 

 

そして。

 

 

「・・・・折角のお誘いですが、お断りさせていただきます」

 

「うん!―――――って、」

 

『「「「「えぇ~!?」」」」』

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