スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~   作:tubaki7

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Episode2

 

『なんだ、コレ・・・・俺どうなっちまったんだ!?』

 

 

急に自分の躰が変わったことに鳴神つばき――――リュウケンドーは軽くパニックになる。それを見かねて彼が握る剣であるゲキリュウケンが宥める。

 

 

[落ち着け。それは鎧を纏ったおまえの姿だ]

 

『剣が喋った!?』

 

[だから落ち着け。いいか、おまえの躰には今力が宿っている。目の前の敵を倒すことができる力が]

 

 

ゲキリュウケンの言葉を聞いてリュウケンドーは自分の手、そして相手とを交互に見る。力がある、守るものもある。それができるだけのものがあって、やるべきこともわかっている。だったら迷う必要はない。ただまっすぐに向かって――――切り伏せるのみ。

 

 

『力・・・・なら、安心だ』

 

 

剣を構え駆けだす。アカンベーが狼、ウルフルンの指示で踏み込んでくる。リュウケンドーはそれを真っ向から迎え撃ち、繰り出された拳を切り払ってカウンターを叩き込む。相手が後ろに体勢を崩すとそこへすかさず回し蹴り。吹っ飛ばされたアカンベーは巨体を地面に打ち付け、数回バウンドしてから後方にある家を壊しながら倒れる。それを見たウルフルンは悔しさを通り越して予想外すぎる相手に驚愕し口がみっともなくあんぐりと開いていた。

 

 

『す、スゲー!躰がめっちゃ軽いしなんか力が漲ってくる!』

 

[油断するな。まだ浄化できたわけじゃない]

 

 

ゲキリュウケンの言葉にハッとなったキャンディが慌ててハッピーの肩に飛び乗り、

 

 

「そうクル!プリキュア・ハッピーシャワーでアカンベーを浄化するクル!」

 

 

起き上がったアカンベーと自棄になったウルフルンをリュウケンドーが抑える。剣を縦横無尽に振り二対一の状況でも全く押されているようには見えない。むしろ彼の方がおしていると言っていい。まるで戦い慣れているようなその動きは素人目のハッピーでもわかるほど手練れていた。その姿に少し見惚れているとキャンディのごうを煮やした声にハッとなって「わ、わかった」と慌てつつ構える。

 

 

「リュウケンドー!今からハッピーシャワーを使うクル!それでアカンベーを浄化するクル!」

 

『よっしゃ、わかった!』

 

 

パンチを切り払い、ウルフルンを蹴り飛ばして相手から距離を取る。

 

 

そして―――――

 

 

「プリキュア・ハッピーシャワー!」

 

 

これで勝負が決した。誰もがそう三者三様のリアクションをしている。リュウケンドーはヒーローの勝った姿と言えば背中で爆発がドーンだろと言わんばかりにマスクの中ではドヤ顔で後ろを向き、ウルフルンとアカンベーはいつ攻撃が飛んでくるかと目をつむる。が、いつになってもなんの変化もない状況に誰もが頭に“?”を浮かべる。

 

 

『・・・・おい』

 

「ハッピーシャワー!」

 

『おいって』

 

「ハッピーシャワー、ハッピーシャワー、ハッピーシャワー、ハッピーシャワーーーーーー!」

 

『コラッ!』

 

 

脳天を殴る。なかなかいい音をした証拠にハッピーが頭を抱えて涙目でう~と呻る。そしてキッとリュウケンドーを睨んで、

 

 

「なにすんの!?」

 

『アホ、それはこっちのセリフだっつーの!期待持たせといてこのオチとか笑えねーっつーの!俺のドヤ顔返せ!』

 

「返せとか言われてもマスクつけてるからわかりっこないじゃん!」

 

『いいんだよ、こういうのは気分なんだ気分!』

 

「はっぷっぷ~」

 

 

などと此方をそっちのけで口げんかをはじめだす二人。こいつら、ひょっとしてとんでもなくバカなんじゃないかと半ば失せた戦意をなんとか絞り出しアカンベーにチャンスだと命令を出す。今なら確実にあの邪魔者二人を仕留めることができると踏んでアカンベーも意気揚々と先ほどのお返しとばかりに伸びる腕を繰り出す。

 

が、

 

 

「『今取り込み中!』」

 

 

あっさりと弾かれて逆に自分に当たる。

 

 

『だいたい気合いが足んねーんだよ気合いが!気合いを込めろ!』

 

「あ~もうわかったよ!気合いだ気合いだ気合いだ気合いだあああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

ハッピーがやけくそとばかりに気合いを連呼し顔を真っ赤にする。すると、どうだろうか。それまでただの飾りとばかりに思っていた腰のポーチに桃色の光の粒子が溜まっていくのが見える。それを見てリュウケンドーが『マジか!?マジで発生条件気合いか!?』と驚愕する。

 

 満ちたエネルギーを指先に移動。身体全体を使って大きくハートを描くようにして腕を振るい、収束されたエネルギーをハート型に縁取った手でキャッチ、腰だめに構えたそれを押し出すようにして前方へと放つ。ハッピーの手から離れたエネルギーの本流はさながら名を体現するかのようにシャワーとなって広がる。その桃色の光はアカンベーを呑みこみ、リュウケンドーを翳めて浄化する。

 

 

「な、なにこれ、すっごい疲れる・・・・・」

 

『おまえな~、俺まで巻き込む気か!?』

 

[大丈夫だ。こちらには害はないから死んだり怪我することはないから安心しろ]

 

『そういう問題じゃねーだろ!』

 

 

なんなんだこいつらは。アカンベーを倒し、さらには敵の前だというのにこの余裕。だが――――

 

 

(油断している今がチャンスだ!)

 

 

せめてもとウルフルンはすっかり油断しきっているとみられるリュウケンドーめがけて爪を立てる。このタイミングなら確実に仕留められると確信しての行動。が、それはかえって致命的な判断ミスとなった。

 

 繰り出された爪を、剣を翳すことで受け止めて弾く。カウンターを喰らい転がるウルフルンはいったい何が起きたのかわからずに目を見開く。こいつ、いったい今なにをした・・・・!?

 

 

『そんだけ殺気だしてりゃ気を抜いてたってわかるっての。・・・・こういう時だけはあのじーさんに感謝だな』

 

 

腰のホルダーを回転させ、マダンキーを引き抜く。これが何に使うべきなのか頭に流れ込んでくる情報を処理せずそのまま行動に直結させ抗うことなく躰を流していく。

 

 

『ファイナルキー、発動!』

 

 

ゲキリュウケンにマダンキーを差し込み、ロードする。それから読み込まれた情報がゲキリュウケンという端末を介し術式が発動され剣にエネルギーが纏われていく。それを腰だめに構まえ、一気に振り抜く。

 

 

『ゲキリュウケン、魔弾斬り!』

 

 

斬撃をウルフルン向けて放つ。斬撃を受け、浄化寸前まで追い込まれるウルフルンは躰を駆け廻る激痛とも呼べる痛みに悶え、叫ぶ。その断末魔のような声を聞きながらリュウケンドーはゲキリュウケンを振り抜いたモーションから背中を見せたまま呟く。

 

 

『闇に抱かれて眠れ・・・・』

 

 

眠る――――死ぬ、存在が消える。そのワードがウルフルンの脳内を占め、彼を消えゆく淵から奮い立たせ、浄化の光をなんとか振り払い、撤退する。それを背中越しに気配で感じとり、戦闘が終わったことに息をつく。そしてハッピーに歩み寄り、

 

 

『まあ・・・・なんだ。大丈夫か?』

 

「う、うん・・・・」

 

 

差し出した手を握った彼女を引き上げる。さて、これからどうなることやら・・・・そう考えながら。

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