スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~ 作:tubaki7
解せないなぁ・・・・。溜まった不満を心中で呟いてみる。外には溜息という形で吐き出し一物の不満を解消しようとしてみるもそれもあまり意味がなかったことに悩みを抱える。
「随分と深いため息だね?」
隣で弁当を食べるのは黄瀬やよいだ。幼いころから親睦のあった彼女とはここ最近疎遠だったが数日前からはこうして一緒に昼食を共にするようになっている。未だ苗字で呼んでいるのは変わらないが。それでもこうして誰かと昼食を共にするというのは妹以来久しぶりのものとなる。今は黙っているゲキリュウケンでこそ一人でいるときは話しかけてくれるが、それもふつうの話ではない。
そう、いい例が-----
〔んん、〕
咳払いしてそれが何なのかを悟る。ゲキリュウケンも馬鹿ではない。関係のない者がいる前では一方的に念話を送り、必要な要件のみを伝えるという手段をとっているが二人の決め事。それ以外では喋らずちょっと厨二臭いアクセサリーを装うというのが普段の彼だが、このように、主であるつばきが「これは頼む」ということのみを了承し行っている。それがこれだ。
「悪い黄瀬。ちょっと我慢してくれな」
「え?――――むごっ」
急に口を手でふさがれて壁に押し付けられる。あまりにも急すぎる展開に心臓が口から飛び出そうになるような錯覚と鼓動が早くなるのを感じる。漫画でよく見た展開にやよいの頭は絶賛パニック中だ。何で、とか、どうして、とかそんな言葉しか出てこない。
もしかしたらこのまま―――――。そんなあらぬ方向に思考が妄想に変わる寸前にバタン!と音を立てて屋上の扉が開いた。そして聞こえてきたのは、つい最近転校してきた元気いっぱいのあの子。
「つばき君~…てあれ?たしかここにいるって聞いたんだけど・・・・どこか行っちゃったのかな?いつも居ないし、フラッとどっか行っちゃうし・・・・はっぷっぷ~」
不満全開で出ていく星空みゆき。その姿を陰から見ていたつばきはホッと溜息をつくとなんだそういうことかと状況を理解し一気に思考がもとにもどる。
残念だったような、安心したような。複雑な感情が入り混じってやよいはつばきに不満をぶちまける。
「いきなり酷いよ。怖かった」
「悪い。急なことだったからこうする以外なかった」
「もう。けど、どうして星空さんから逃げてるの?」
やよいが落としたスケッチブックを拾いながらポンポンとついたほこりを払いながら質問すると「う~ん」と悩む。少しすると口を開いた。
「・・・・別に嫌いってわけじゃないんだけどな」
「じゃあどうして?」
「・・・・黄瀬と居たい、から?」
そうして疑問形と質問で返そうとした言葉を飲み込み言われたことに浸る。
――――黄瀬と居たいから。
その言葉だけで、やよいの心は天にも昇るような思いだった。嬉しくて自然と頬が綻ぶ。
「なんかヘンなこと言ったか?」
「それ、結構クサいよ?」
「そうかな?割と自信あったんだけどな」
それで本当に射抜いてくるんだから手におえない。嬉しさと幸せな気持ちがいっぱいになって溢れるのを止める術を知らないやよいはただその波に心を浸からせた。
「どうせだったらもっとクサいほうがいいかな。私的には・・・・そう、ヒーローみたいな!」
「ヒーローってガラじゃないし」
「そんなことないよ。つばき君は・・・・今でも私のヒーローだから」
やよいの言葉につばきは空を仰ぎ見たまま反応がなくなる。そしてしばらくして――――
「・・・・俺、やっぱヒーロー向いてないかも」
「え?」
「ホラ、ヒーローってさ。敵のこと気配とかに敏感に察知して攻撃するじゃん?」
「まあ、まちまちだけどね。けどなんで?」
「これがその原因」
バタン!とまた大きな音を立てて開く。するとそこには先ほどやってきたみゆきと・・・・日野あかねの姿だった。
「あと、ヒーローは敵前逃亡なんてしない」
そう言って全速力で逃げ出すつばき。迫っていた二人の間を強行突破して出口まで駆け抜ける。
「待ってよつばき君!なんで逃げるの!?」
「おとなしく観念してウチの必殺スパイクを受けるんや!」
「そこのデンジャラス・バイオレンスバレー馬鹿のせいだこの野郎」
「ウチ女やし」
「ゴリラのマネ、うまいよな」
「狙い撃つで!?」
「そんなわけで黄瀬、今日は一緒に帰れそうにない。またあとでな」
そう言い残して嵐のごとく去っていく。その後ろ姿を見送りながら手を合わせ、
「・・・・生きてますように」
何故かあかねの餌食になるつばきの図が浮かんだ為そう天に向かった呟いた。
この作品にはキャラ崩壊成分が含まれています