スマイルプリキュア!~魔弾剣士と5人の戦士~ 作:tubaki7
「おっはよ~つばき君!」
「おはようさん、つばき」
「おう」
朝の登校でにぎわう通学路。前方でテンション高く――――約一名を除いて――――はしゃぐクラスメイト、一人は最近転校してきた星空みゆき。もう一人は一年から同じクラスの日野あかね。そして――――
「おす、黄瀬」
幼馴染の鳴神つばき。小さな頃からずっと一緒だった男の子、けれどいつの間にか二人の距離はこんなにも遠い。物理的なものではない、主に精神的なものであり、物理的な方はこんなにも簡単に埋まる。足を動かして、いつも通りに彼の隣に並ぶ。多少強引になるようにしてみゆきとつばきの間に入る。我ながら大胆な行動にでたなと思うが、やってしまったものは仕方がないのでこのまま歩くことにする。強引、というよりはもう縄張りを荒らされるのがイヤな動物のそれに近いかもしれないとさえ思う。
「おはようつばき君」
それでもこうやって挨拶したりお喋りしたりできるだけでも嬉しかったりする。こうでもしないと引っ込み思案な自分は勇気がだせないのだから参ったものだ。しかし、この行動がかえって裏目に出てしまう。
「なんややよい。みゆきにヤキモチか?」
「ふぇ?」
「ヤキモチ?」
「ち、ちちちち、違うってば!」
慌てて否定するも今更遅い。あかねがこの場にいたこと時点でこうなることは決まっていたようなものだ。にぎやかし役でもある彼女がこんなオイシイ場面に出くわして食いつかないわけがない。完全に失態だとおもいつつあかねの言葉を否定しておく。まぁ、実際のところあまり間違ってないのが不満だが。それでも否定しておかないと後でこじれても嫌だと上手く回らない舌と口で弁解する。
「これは、その、あの、えっと・・・・」
だが言葉が出てくるはずもなく。弁解しようとすればするほど空回りしていく。もういっそ泣いてしまおうか、なんて考え始めるとそれを見かねたつばきがあかねの脳天にチョップをいれた。「なにすんねんっ」とあかね。
「朝っぱらから面倒事おこすな。それと、一応黄瀬は俺の幼馴染。気がしれた相手ならこれぐらいのスキンシップはあっても不思議じゃないだろ?無理やり発展させんな」
「チェ、いいネタ仕入れた思うたのに」
スキャンダルだ!そう思ったあかねだがつばきに根底から崩されて論破されてしまう。つまらないと口をとがらせるあかねにさらにもう一発入れてやろうかと手刀を構えるとみゆきが申し訳なさそうに声を上げた。
「二人って、どういう関係?」
「やよいとつばきは幼馴染でな?小学校よりも前からの付き合いらしいで」
「まあ親同士が同級生だったってのもあってな。よく遊んだりもした。最近じゃ、学校で会うぐらいでそういうのは無くなったけど」
所詮幼馴染なんてそういうモンだ、と言い終えてからあくびを一つ。相変わらず朝は弱いんだなとその光景をみて小さく笑う。するとそれに気づきたのかこちらに視線を向けてきたので慌ててなんでもない風を装った。
◇
「校内清掃のポスター?」
「ホンマに先生の話聞いてなかったんやな」
「だって朝眠いし」
「わからんでもないけどな」
でも寝るのはどうかと思う、とみゆき。仕方がないだろとはつばきだ。だがいつまでたっても話が進まないのでとりあえず強引にあかねが話の先導を切る。
「これから一週間、生徒会で決めた目標なんやて。で、それを宣伝するために生徒から宣伝ポスターを募集するらしいで?」
「生徒会も真面目だこと・・・・で、ウチのクラスから誰か出るのか?」
話しながらあくびをして心底眠そうに問う。そういえばここのところプリキュアやらなにやらでいろいろと休まる暇がなかったなとこの眠けの主な原因について考える。「はいは~い!」とみゆきがここぞとばかりに元気に挙手してくるのでこれは無視するにしてもこう主張が激しいと無理だと判断してとりあえず発言許可だけを出しておく。
「はい、星空君」
「はいっ!私、黄瀬さんがいいと思います!」
「ってな感じで推薦したらものの見事に決定して、当事者はというと・・・・」
あかねの指さす方を見る。がっくりとうなだれるその姿はテストでとってはいけない点を取った時の自分とよく似ているな、とその時の自分の姿を照らし合わせる。背中のうな垂れ方など完全に一致じゃないかとさすが幼馴染、よく見ていると心の中で褒める。・・・・何故だろう、哀しくなってきたと考えるのをやめるて話を元に戻す。
「なるほどな。よし、星空君」
「はい、何でしょうか先生!」
「お前、後で屋上な」
「それってもしかして・・・・」
「そう、よくヤンキーが気に食わない奴に言うアレだ」
「そんなぁ・・・・」
まあ、何はともあれやってしまったものは仕方がない。こうなってしまったらやるしか道はないだろうと席を立ちやよいの隣の椅子に腰かけるとこう言った。
「ドンマイ」
「やっぱりつばき君っていじわるだよね」
失敬な。そう言葉にすることなく顔で不満を表現した。