魔法少女まどか☆マギカ[新説]~ヴァルプルギスナハト~   作:マンボウ次郎

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第一話 Walpurgisnacht(ヴァルプルギスナハト)

「……建物が……街が!」

 

 灰色の空を舞う、ビルの残骸たち。黒い雨、嵐のような旋風。

 

「どうしてこんなことに……」

 

 そこに現れたのは、白と紫を基調とした女子制服のような服で、鋭角的なデザインの衣装を身にまとう見知らぬ少女。

 

「誰? この子は何をしているの?」

 

 空を飛び回り、荒廃した街を駆け抜けながら必死で戦っている少女。銃火器や兵器を操りながら時折、不思議な動きを見せている。突然消えたり、突然現れたり、砲撃もまるで複数人で行なっているように、一度に何十発もの砲弾を噴かせていた。

 

 やがてその少女は不思議な動きを見せなくなり、落下するビルの残骸に巻き込まれて消えていった。

 

 ここはどこの街なのか、いつの時代なのか、わからない。そして今日は何月何日なのか、何時なのか、空はどんよりと暗く、厚い雲に覆われてわからない。

 

 世界の終わりのような未曽有の大災害は、突如としてこの街に訪れた。崩壊していく都市を見下ろしているのは……

 

「私……!?」

 

 

 

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「……なつき、……なつき!」

 

 何かで頭をつつかれて、御上那月(みかみなつき)は目を開けた。ゆっくりと顔を上げると、見えてきた右の袖がしっとりと濡れている。

 

「ちょっと、それ! よだれ?」

 

「えっ? うわわわわっ!」

 

 淡いカーキ色のセーターの袖を慌てて隠すと、那月は誤魔化し笑いを浮かべた。袖の冷たい感触で、我に返るまでにそう時間はかからなかった。

 

 ここは……教室?

 

「な~にやってんの。もうすぐ授業始まるよ」

 

「ゴメンゴメン。つい、うたた寝しちゃってた」

 

「うたた寝って……アンタ、結構マジで寝てたっぽいよ? 寝言まで言ってたし」

 

 マジ寝どころか、しっかり夢まで見てました。しかも横顔を見せて熟睡してたとあっては、一体どんな寝顔と寝言を晒していたのか。そう思うと、恥ずかしさで自分が縮んでいくような気がする。

 

「と、ところで……どうしたの、柚葉。何か話?」

 

 喉元過ぎれば、なんとやら。話題を逸らせば、よだれも乾く。那月は午後の授業で使う教科書を取り出しながら尋ねた。

 

「ああ、学校終わったらちょっと買い物に付き合ってよ。どうせアンタ、暇でしょ?」

 

「暇ってことはないわよ。これでも私は何かと忙しいんだから」

 

 何かと、が何なのかと聞かれても答えようがない。暗黙に了解してほしいと思いながら、那月は目線をそらした。

 

「はいはい、家に帰るのがそんなに忙しいのね。つーことで、学校が終わったらいつもの所ね」

 

「ちょっと、私まだ行くって言ってないよ」

 

 強引に話を進められてしまったところで、狙いすましたように授業が始まる鐘が鳴り、柚葉は「じゃね」と言って自分の席に戻っていった。

 

 彼女の名前は宝条柚葉(ほうじょうゆずは)。那月のクラスメイトで、市内でも有数の豪邸に住む本物のお嬢様。

 

 なのだが、ホントか? と疑いたくなるほど普通に普通の中学生。喋り方も乱暴だし、かなり強引だし、勉強嫌いだし……まあ、見た目だけは麗しい、黙っていればお嬢様。サラサラなロングヘアで細身で胸も大きくて……いやでも、あんな性格だから寄り付く男子はことごとく玉砕しているのを知っている。

 

「はぁ……柚葉と買い物って、時間かかるのよねぇ」

 

 窓際の席に座る那月は、ポカポカ陽気の窓の外に目を移してため息をついた。

 

「それにしても、変な夢だったなぁ」

 

 那月は、風に揺れたカーテンをシャーペンで突っつきながら、さっきの夢の事を思い出した。知らない街を見下ろしていたのは、間違いなく自分だった。妙にリアルで、まるで自分がそこにいるような、いや、自分が街を壊していたような……そんな気さえ感じさせる夢だった。

 

「しかし、よだれは失敗だった……」

 

 と呟きながら、ガクっとうなだれた。中学二年にもなって、うたた寝でよだれを垂らしていたなんて我ながら情けない。今時、マンガでもそんな恥ずかしい寝方をしているキャラはいないだろうと思った。マンガは観ないけど。

 

 とりあえず、起こしてくれたのが柚葉で助かったという結論で落ち着かせることにした。

 

 ここは、北夜見市(きたよみし)にある、市立北夜見中学校。どこにでもあるような普通の中学校。普通のクラスで、普通に友達がいて、普通に過ごしている。

 

 が、御上那月は普通の中学生ではなかった。

 

 勉強は、割とできるほう。学年トップをとるような秀才ではないけれど、それなりに勉強してクラスの上位をキープできるレベル。別に自慢じゃないわよ、と自分で自分に言っておく。

 

 運動は大得意。走るのは速いし、何でも器用にできる万能少女。去年の校内マラソンでも学年三位だったし。そのくせ、部活動には入っていない(つまり帰宅部のエース)のは、私は何かと忙しいんだから、と言い張っておく。

 

 何が普通ではないのかというと、それは那月が付けている指輪だった。中学生が学校に指輪をしていくなんて禁止も禁止、それこそ校則違反なのだが、それは他の人間には見えないものだった。指輪には小さな青紫色の石が付いていて、それが頬杖をついている那月の右指で静かに光っていた。

 

 その輝きはどこか不思議で神秘的で、サファイアやアメジストなどの宝石ではない。ましてや、異性に対しては消極的な那月が「彼氏からもらったプレゼントなの、テヘッ☆」的な色恋アイテムでもなかった。

 

「あ~あ、昨日の夜に見つけたヤツを狩りに行こうと思ってたんだけどなぁ」

 

 そんなことを考えながら、午後の授業もウトウトしながら過ぎていった。

 

 

 

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 学校帰りのショッピングは、校則で禁止されている。制服のままウロウロすれば、それこそ北夜見中学の生徒だなんてすぐにわかってしまうのだが、そこは普通の中学校。監視の先生なんて滅多に来ない。

 

 もし見つかっても「ゴメンナサイ先生、ウルウル……(泣)」という、必殺の泣き落とし(ただし、男の先生相手に限る)で乗り切ろうというのは、柚葉のアイデア。

 

「でもそれ、絶対通用しないと思うんだけど」

 

「い~や、那月なら出来る。アンタは感情表現が激しいから」

 

「それ、褒めてるの?」

 

「褒めてるよ。あたしにはそんな恥ずかしいこと、できないもん」

 

「おいおい……」

 

 絶対コイツ、私を人身御供にして逃げるつもりだ、という疑惑しか浮かばなかった。だったら泣き落としよりも、柚葉のお色気で「ゴメンナサイ先生、ウッフン(揺れ)」と豊満なお胸をチラつかせる作戦のほうが、ワンチャンあるんじゃないかと思ってしまう。……中学生のすることじゃないけど。

 

「ところで、柚葉。一体何を買いに来たの?」

 

「誕生日プレゼント」

 

 まさか、オトコか!? いやいや、男子生徒を手玉にとるような柚葉がプレゼントなんて、らしくない、らしくない。コイツはあげるよりも貰うタイプ。むしろ貢がれるタイプ。いや、でもまさか……

 

「お母さんの、ね」

 

「ですよねーっ!」

 

 なぜか安心してしまった。ふたりの興味は、どちらかといえば花より団子だから。こうなったら早いところプレゼントを買って、何か美味しいスウィーツでも食べていこうなんて考えている那月もまた、色恋とは縁の遠いお子ちゃまなのだった。

 

「あ‥‥‥悪い。この買い物、那月に付き合ってもらうのはマズったかな」

 

「どうして?」

 

「いや‥‥‥何でもない」

 

 柄にもなく、申し訳なさそうな顔を見せた柚葉の考えていることは、なんとなくわかっていた。

 

 那月には母親がいない。正確には、母親を亡くしている。那月がまだ小さい頃、事故で帰らぬ人となっているのを柚葉に話したことがあるからだ。

 

「私は別に気にしないよ」

 

 強がりでもない、我慢でもない。まったく気にならないといえば嘘になるが、母親を亡くしていることを柚葉が気にして言葉を詰まらせたのが、逆に申し訳ないと思った。

 

 いい子なんだよ。

 

 口は悪いけど。

 

「で、何を買うつもりなの?」

 

「だからそれを選んでほしいの」

 

 あ、なるほど。

 

「あたしが選んで失敗したら嫌じゃん。アンタが選んで失敗したら、来年の参考になるじゃん」

 

 前言撤回。コイツはズルい子。

 

「毎年考えるのも大変なんだから」

 

 そう言いながら、楽しそうに雑貨屋さんに入っていく柚葉を見て那月は思った。

 

 コイツはズルいけど、優しい子。

 

「仕方がない。それでは、この私が選んであげましょう。フフフ、究極の逸品をね!」

 

「ほう‥‥‥自信たっぷりではないか。ならば、その御礼は『ロイヤル・フォレスト』の苺ケーキでいかがかな?」

 

「わおっ! 南蛮渡来の高級スウィーツではないですか。お代官様、さすがにお目が高い♡」

 

「カッカッカ! お主も欲深き乙女よのぉ」

 

 苺ケーキに釣られて時代錯誤な芝居を披露する中学二年生。そして、乗ってくるコイツも同類。ケーキは南蛮渡来じゃなくて洋菓子だけどね。勢いって、恐い。

 

 結局、ふたりであーだこーだ探しながら選んだのは、二千円くらいのキレイな花柄のハンカチ。柚葉はお嬢様で、家はお金持ちだけど、自分を弁えたプレゼントを選ぶのは偉いと思った。金にモノを言わせて、ウン万円の物を買うような子じゃない。

 

 だから柚葉とは、一番仲良しの友達でいられるのかもしれない。

 

「それじゃ軍曹殿、苺パフェに突撃であります!」

 

「よろしい、那月二等兵。ロイヤル・フォレストに進軍開始だ~!」

 

 やっぱりコイツは、とてもお嬢様とは思えない。

 

 

 

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「で、帰ってくるのはこんな時間‥‥‥っと」

 

 陽もどっぷり暮れた、とゆーかもう夜の八時過ぎだよ!

 

 ふたりのお喋りはエンドレスだった。始まりがなければ終わりもない。いったん話に花が咲いたら、あとは流れること水の如し。それは清らかな清流ではなく、荒れ狂う濁流のように話は止まらない。残弾∞のチート武器のように、マシンガン会話が続けられ、そして最後は

 

「ヤバっ、あたしそろそろ帰らないと」

 

 という柚葉のひと言で戦闘は終結を迎えた。どこまでも唯我独尊な柚葉さん。もう惚れるしかないね。

 

 苺ケーキと無制限のドリンクバーでタプタプになったお腹を抱えて、那月は自宅に帰ってきた。明かりの点いていない、真っ暗な一軒家。

 

「お父さんは今日も残業ですね。お疲れさまです」

 

 那月は母親を亡くしてから、父親とふたり暮らしだった。その父親も、このところ仕事で帰りが遅い。

 

「ということは、今夜も都合がよろしいようで」

 

 二階の部屋に電気を点けて扉に鍵をかけると、女子中学生の戦闘服(いわゆる制服)をハラリと脱いだ。夜はまだまだ肌寒い季節なので、ひんやりとした部屋の空気に那月の白い肌が少し震えた。無垢な下着をあらわにしながら、全身鏡に映った自分を眺めて

 

「う~ん‥‥‥何を食べたら柚葉みたいになるんだろう」

 

 主に胸のあたりを気にしながら、ひとり呟く。

 

 この薄っぺらい膨らみは今日も一段と慎ましく、自己主張に乏しい。明日もきっと、地味に控えめに世の中を渡っていくことだろう。

 

「ま、まあ‥‥‥これはこれで需要があるかもしれないし」

 

「何がだい?」

 

「ブッ! キュゥべえ!?」

 

 部屋の出窓の縁に、猫くらいの白い生き物が座っていた。いや、猫ではない。ウサギでもない。真っ白で四つ足、赤い目、耳から生える長い触手のような羽。

 

 コイツはキュゥべえ。喋っているようにみえて、実は精神感応(いわゆるテレパシー)で意思を伝えてくる。

 

「いつからいたのよ!?」

 

 那月は慌てて上下を隠した。純白の下着だけの恰好を両手で覆い隠せるわけはないのだが、反射的にそうしてしまうのは乙女の恥じらい。つまり条件反射。あまりに早業のせいで、下着の肩ヒモが少しだけズレていた。

 

「何を怒っているんだい? 僕は最初からいたじゃないか。それに気付かないのは君の落度だよ」

 

 ガン見しながら正論を吐くのはヤメていただきたい。とは言っても、コイツは人間じゃないし、さらに性別すら分からない生き物。乙女の下着姿も、薄っぺらい膨らみも、コイツにとってはただの繊維と脂肪でしかない、らしい。

 

 でも、「僕」って言うんだから、どちらかといったら男の子寄りなんじゃないかと思ってしまう。

 

「ちょっと、あっち向いててよ」

 

「なぜだい?」

 

「なぜじゃなーい! いいから、あっち向いてて!」

 

 キュゥべえは、やれやれといった感じで窓の外を向いた。澄んだ夜空に、細い三日月が浮かんでいる。その鋭利な光を、丸くて赤い瞳で見たキュゥべえは

 

「今日は月がキレイだね」

 

 と呟いた。

 

 それはもしかして、月とスッポン的な揶揄ですか? 私がスッポンですか? はいはい、どうせ私の脂肪は貧弱ですよ!

 

「もう、いいわよ」

 

 クローゼットから取り出した服に着替えた那月は、不貞腐れた顔で言った。わかっちゃいるけど、言われると悔しい。見てなさいよ? いつかゴージャスで立派なお胸になってやるんだから。三日月だって、じきに満月になるんだ。そうだ、大豆製品のイソフラボンがいいって誰かが言ってた気がする。

 

 そうして、明日から豆乳を飲もうと誓う那月であった。

 

「それじゃあ、昨日のヤツを探しに行こうか。あの時は不用意に近づいたせいで、取り逃がしちゃったからね」

 

 支度を終えた那月に、キュゥべえが号令をかける。

 

「よし、ついでに豆乳も買ってこよう」

 

 支度を終えた那月は、今日も何かと忙しかった。

 

 那月は、キュゥべえの契約者。こんな小動物みたいなのと何を契約しているかというと、願いと引き替えに魔法少女になること。うんうん、そういうアニメ観てたことあるよ、小さい頃に。変身グッズも持ってたよ。

 

「プリ○ュア、オープンマイソウル!」

 

 みたいなのね。

 

 でも、魔法少女ってのは本当の話。那月はキュゥべえに願いを告げて、魔法少女になっていた。たったひとつの願いをもとに、自らの魂をソウルジェムに変え、魔女と戦う使命を課せられる。それが、御上那月が普通の女子中学生ではない本当の理由。

 

 そしてソウルジェムというのが、右指に付けている指輪に輝く石。宝石でも鉱物でもない、今はこの輝く石が那月の魂。

 

 ソウルジェムに魂を宿し、身体は見せかけだけのタンパク質と脂肪の塊。肉体がどんなに傷付いても、ソウルジェムがある限り回復と再生を繰り返すことができる。

 

 つまり那月の身体は、不死のゾンビ状態ということ。いや、それは例えが悪い。こんなにカワイイ女子中学生がゾンビだなんて……。

 

 那月は鏡に映る自分を見た。肩まで届く、青みがかった黒髪に映えるキューティクル。白い肌にパッチリな目。

 

 その姿にキリッと笑みを浮かべてから

 

「じゃ、行こうか!」

 

 と言って部屋の窓を開け、ベランダの欄干から飛び降りた。

 

 部屋は明かりが点いたままになっていて、入り口のドアには『勉強中! 声掛けないで』と書かれたプレートが掛けられていた。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

 

 

 宵の北夜見市。

 

 静かな住宅街を細い三日月が照らしていた。ここは県境の住宅都市で、近代化の進む隣町のベッドタウンとしてたくさんの人が暮らしている。

 

 とはいっても賑やかな街ではないので、夜は閑静なものだった。独自の産業基盤をもたない、大都市への通勤者の居住地。娯楽施設も少ないので、この時間は帰宅を急ぐ人々が足早に過ぎていったり、温かい家庭の匂いが漂う、そんな街だった。

 

「たしか、こっちの方だったよね」

 

 那月は光る石を両手に抱えて、暗い夜道を歩いていた。さっきまでの指輪型のソウルジェムを卵型の石に変え、その光の強くなる方へと進んでいく。

 

 ソウルジェムが放つ光は、特殊な魔力を探知している。この魔力の波動を辿った先にあるのが、魔女の結界。『魔女』っていうのは異形の姿をした化け物で、『結界』という普通の人間には見えない異世界から『使い魔』と呼ばれる部下を伴って現れる。魔女は人間に『魔女の口づけ』という呪いをかけ、呪いを受けた人間を自殺や交通事故などに駆りたててしまう。

 

 なんだかお伽話みたいで、那月も最初は信じられなかった。でも実際に『魔女』や『使い魔』を目の当たりにし、そいつらが本当に『魔女の口づけ』という呪いをかけている姿を見てからは、その現実を素直に受け止められた。

 

 そして魔法少女は、魔女を狩らなければならない。それが那月とキュゥべえの契約。願い事を叶える代価として、魔女と戦う使命を課せられる。それが魔法少女の運命。

 

 何より、魔法少女は魔女を狩らなければ生きていけない。

 

「近いね」

 

 那月の足元でキュゥべえが立ち止まった。ソウルジェムの光が、強い。

 

「たぶん昨日のヤツだ。いいかい那月、焦らず慎重に行くんだ」

 

「わかってるわよ」

 

 ゆっくりと歩を進めると、見えてきたのは暗い病院。明かりは点いておらず、もう何年も前に廃院となった建物だった。舗道の上から那月たちを照らす外灯がチカチカと点滅している。

 

 いかにも何かが出そうな場所だった。

 

「なんで、よりにもよってこんなところに……」

 

 こんな場所、恐くない……わけはない。

 

 冷えた夜風が、雑草だらけの荒れた敷地を吹き抜ける。不規則に点滅する外灯の光が、静かな稲光のように閃く。足元の影がフッと消え、パッと現れ、それを繰り返している。

 

 B級ホラー映画だったら、この後はゾンビでも出てくるんじゃないかと思えてくる。

 

 あ、ゾンビは私だ……。そんなツッコミをほんの少しの勇気に変えて、那月は廃院の扉に手をかけた。

 

 

 

続く




いよいよスタートしました。オリジナル小説・第二弾

魔法少女まどか☆マギカ[新説]
~ヴァルプルギスナハト~

「ヴァルプルギスナハト」というのは、ワルプルギスの夜のドイツ語読みです。

まどマギ本編に登場する舞台装置の魔女(ワルプルギスの夜)は「最凶最悪」と呼ばれ
絶対的で圧倒的な力を持つ魔女で有名ですが、その成り立ちは明らかになっていません。

今作では、その「ワルプルギスの夜」について
いつ産まれ、どのように存在し、そしてどこへ向かっているのかを
オリジナルストーリーで描いていきたいと思います。

前作の[再臨の物語]を読んでいただいた方、
今作から初めて読まれる方、
私の作品はまだまだ素人レベルですので、読みにくい部分や分かりにくい表現など多々あるかと思いますが
私も書きながらゆっくり成長していければと思っていますので
ご容赦くださいますようお願いいたします。

また、感想のコメントも大歓迎でございます。
ダメ出しや辛口なコメント、誤字脱字の指摘も、もちろんOKです。

今作の「ハナト」は
全24話、18万文字程度を目指しております。
基本は毎週月曜日に1話ずつアップする予定ですが、進行度合いにより遅れる場合もありますので
その際は「あ、コイツ追いついてないな」と思っていただければ(;^ω^)

ということで、これから約半年間
「ナハト」をよろしくお願いいたします!
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