あなたの個性は増強型ですか?いいえ違います   作:ヒロアカ面白い

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第1話:入試と奇縁

始まりは中国のとある場所 軽慶市にて、【発光する赤児】が生まれたことであった。以降、各地で超常が発見され、原因も判然としないまま時は流れる。

 

いつしか【超常】は【日常】に【夢】は【現実】に。

 

それと共に世界総人口の8割が特異体質【個性】を持つ超人社会となった今、かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が脚光を浴びていた。

 

その名は『ヒーロー』

 

 

 

名前も知らない同い年の少年少女たちが共にバスに揺られ走ること数分。訪れたのは巨大なコンクリートの壁に囲まれた、もはや街と呼べるほどのーーーというか最早街があるーーー大きさのグラウンド

 一人また一人とバスの乗降口から降り、グラウンドへと入るための入口へと集合する少年少女。人により差はあるものの、一様にして緊張の表情を浮かべている。

 

 それもそのはず。これから行われるのはとある高校の入試試験、しかも合否を左右するといっても過言ではないほどに大事な実技試験なのだから。

 試験開始までの時間、あるものは準備運動をあるものは集中力を高めたりと、それぞれがベストなコンディションで試験に臨もうとしている

 

「ふー…やっぱ緊張すんなぁ」

 

オレンジ色の髪をサイドテールにした少女ーーー拳藤一佳もまたそんな人々の一人だった

 

「おっとすんません」

「いや大丈…ぶ…」

 

相手がスタート位置をきめていなかったのか少しぶつかった。別に悪気があったわけじゃないのは明白だし相手も謝ってきたので文句は無かった。

ならなぜ一佳がどもったのかそれは、

 

(で、でかぁ〜〜〜!!本当に同い年!?私の頭二つ分くらい差があるんだけど!?)

 

金髪でつり目、さらに目元に濃い隈のせいで関わり難い雰囲気をまとっており、タンクトップにゆったりとしたジャージパンツ、軍靴の服装をした周りより一回りほどデカイ筋骨隆々な受験者が現れたからだ

この超人社会において身長が特別高いのは特に珍しいことでもないのだが、流石にこの歳でしかも異形型でもないにも関わらず軽く2mはありそうな人物は殆どいない

 

(うわぁ〜全身バッキバキでなんか傷だらけじゃん…)

 

あまりの鍛えっぷりに雄英ってやっぱスゲェーなんて思っていた一佳

 

「あの」

「ひゃい!!??」

「どうしたんすか、俺の体になんかついてますか?」

「いや、あの、すげえ身長高いからさ、ちょっと驚いちゃって……」

「あぁこんなナリなんですし、まぁ慣れてください」

「いやこっちこそジロジロ見てごめ「はい、スタート」……え?」

「お先に」

 

そのまま一佳が気をとられてる隙に話していた受験生はスタートダッシュを決めていた

 

「「「標的補足、ブッコロ……」」」

 

そのままヴィランロボ三体をラリアットで頭を吹き飛ばす

 

 

 

ーー雄英高校実技試験開始!!

 

 

 

ロボが伸ばしてきたアームを体を落とすことで掻い潜りカウンターの蹴り一撃で壊す。

これで倒した敵は34体だがその殆どが1Pのロボであり今の持ち点は42点とあまり高くない

 

「ちっ、思った以上に散らばってんな」

 

残り時間を見ると後五分といったところ

しかしこの場所も人が増え始めロボの数がだいぶ減ってきていた

 

「一旦ビルの上に登って探すか……」

 

その時まるで地震のような大きな揺れとともに現れたのはとてつもなく大きな仮想敵

 ビルや建物をなぎ倒し、所狭しと大暴れをしながらこちらに向かってくるその一歩一歩でコンクリートの地面は割れて揺らし上からは瓦礫やガラスが降ったりと一瞬にして場を混乱させた

 

「逃げろー!!」

「あんなの無理だあ!!」

 

多くの受験生が背を向けて走り1秒でも早くこの場から逃げようとする

 

(確かありゃ0P……けどあんなんに時間かけてちゃもったいねぇ)

 

その時彼の視界に他とは真逆の行動をとった人間が目に入った

 

(あいつは確か開始前にいた)

 

人並みに逆らいながら懸命に走り一佳が向かった先には瓦礫に挟まって動けなくなった女子がいた

個性『大拳』で手を大きくして瓦礫を撤去していくが最後の一つは非常に大きく見積もって数tはあろうか

流石に個性で強化してもビクともしない

それでも諦めず押したりしても結果は変わらず時間だけが無為に過ぎていき既に巨大な仮装敵はすぐそばまできていた

しかし彼は動こうともせずただ見ていた

 

 

その時見えたのは

 

 

 

二人の目の前の圧倒的な恐怖に震えて青褪めたーーー絶望した表情だった

 

 

 

『な、なんで父さんと母さんを……』

 

(なんで今これを……)

 

照明は明滅を繰り返し机割れ棚は倒れて部屋に飛び散った血痕そして上半身は潰れてもはや原型のない父、下半身は潰れてかろうじて息をしている母

そんな中ただあいつが一人高笑いして、あいつの笑い声だけが嫌に耳に残っている

こっちにその肉親の血で染まった体を向けて口元を引き上げた

 

 

『俺がそうしたかったからだ』

 

その時の俺の顔はまるでーーー

 

 

 

その時彼の体は既に飛び出していた

ビルを使い壁キックの要領で受験生の頭上から最短で彼女たちに向かう

 

「おい!そこのサイドテール!俺が持ち上げてる間にそいつを引っ張り出してこいつを全部飲ませろ!説明は後だ!」

 

そう言って腰にあるポーチから赤い液体の入った小瓶を一佳に渡す

 

「いくぞ!」

 

瓦礫に指を突き刺して滑らないようにし雄叫びを上げながら全身に力を込めると徐々に瓦礫と瓦礫の隙間が大きくなり瓦礫に挟まれていた女子がようやく引き摺り出された

 

「はいこれ飲んで…って怪我が治ってるの?」

「は、はい…痛みも引いてきました」

 

小瓶の液体を飲むと先程まであった切り傷が塞がり、足の痛みまで引いていく

 

「おい走れるならさっさと走れ…あぶねぇぞ」

「あぁ、てかいつまで持ってんだよ、もう下ろしていいぞ」

 

だが彼は力を緩めず身体中のいたるところの血管が浮かび上がり歯が砕けそうになる程に噛み締めの筋肉を総動員させる

そして遂に成人男性十数人分はあろうという瓦礫が浮かび上がった

 

「テメェが蒔いた種だ…返すぞ木偶の坊!」

 

その瓦礫はハンマー投のように投げられビルを優に超えるロボに突き刺さった

その光景に受験者達は顎が外れそうなほど口を開けて、目玉が飛び出しそうなほど目を見開く

胴体部分に瓦礫が突き刺さった巨大ロボは仰向けに地面に伏した

と同時にーーー

 

 

試験終了を告げるけたたましいブザーが嫌に静かな会場に響いた

 

 

 

 

 

日は傾き雲のない空は橙色に染まり仄かに暖かみを感じるが冬の乾燥した風が吹き体を冷やす

雄英から多くの受験生が出てきてその顔色は人おおよそ二つ

あるものは自分の実力が出たことに安堵し、あるものはうまくいかず顔をうつむかす

 

「はぁ……」

 

そんな中ため息をつきながら校門を出てくる拳藤もまたそんな中の一人。

試験内容は別に拳藤と相性が悪いわけではなかったが怪我をした人を見過ごせず、助けていたため総得点は28Pと合格は難しい点数。

その事に後悔をしているとは思ってないが、最後の残り五分で敵を倒せたら合格圏内だったのでは…と思ってしまい歯がゆい気持ちになる。

 

(そういえばあの人どこいったんだろ…)

 

拳藤が個性を使ってもビクともしなかった瓦礫を一人で持ち上げ、あまつさえぶん投げ巨大ロボに突き刺したあの受験生声をかけようとしたがすぐにどこかに行ったのか周りを見渡してもおらず結局今に至る。

 

(一言お礼言おうしたのに……)

 

ボンヤリと頭の中で考えていると既に駅の近くまできていた。

 

その時だった。

 

電車の出る音が鳴りぎょっとして腕時計を見ると既に針は拳藤が乗るはずの電車の出発時刻を指していた。そこから全力で走るも時すでに遅し。

無情にも電車は発車した。

しかし不運はまだ彼女を襲う。

彼女の家から雄英に行くためにはこの電車を含め二本乗り継がないといけないのだが彼女の家は都心からかなり離れている。郊外というより田舎である。

つまり田舎あるあるの電車の本数が驚く程少ないのだ。

 

(次の電車は……うわ……一時間半後かぁ……)

 

らしくない失敗に悪態をつくが時間は戻らない。

親には遅くなることを連絡して、今日何度目かわからないため息が口から漏れた。

 

「あーやっぱ間に合わなかったか」

 

そのつぶやきに自分と同じやつがいたのかと若干安心しその声の主に声をかける。

 

「らしいな、まあここの電車はすぐくるから大丈…ぶ…」

 

このつまり方に既視感を覚える

それもそのはず声の主は金髪に目元に濃い隈、2m近い身長に黒のブレザーのごしにでもわかる筋骨隆々な肉体

 

「お、あん時の…ども」

「あ、こちらこそ…」

 

びっくりして彼の返事にまともに返せなかった

しかしすぐ心を入れ替える

彼には言いたいことがあったのだ

 

「あの時は助けてくれて助かったよ、怪我してた女の子の分も言うよ、ありがとう」

「別に、あんまし気にしなくていいすよ」

「助けられたらお礼を言うのは当たり前だろ」

「そうすね」

 

軽い会話をしていると少し気になった

 

「それよりさ、え〜と…」

「そういや名前言ってませんね、血流流治っす」

「私は拳藤一佳よろしく」

「受かった分かんないのによろしくするんすか?」

「いいじゃん別にあんたいい奴だしさそれで十分」

「そういうもんすか」

「そんなもんだよ」

「……」

「……」

「……ぷっ」

 

急に吹き出した拳藤に流治は少しぎょっとした

我慢していたがやはりダメだった

だって

 

「ごめん、悪気はないんだけど…その見た目でその口調はダメ…」

 

ついに堪えきれず笑い出した。

だって166cmの少女はタメ口なのに2mの金髪で筋骨隆々、若干つり目とちょっと威圧感のある感じなのに口調は丁寧語っぽい。

しかも試験中は普通にタメ口だったのに、相手に失礼のないようにとそう考えて言ってると思うと……

流石にそんなに笑われるとちょっと恥ずかしいのかそっぽを向く。

またその仕草が笑いを誘う。

そんな時だった。

他人を笑ったからだろうか。

 

 

ーーークゥ〜〜〜〜〜

 

 

可愛らしい小さな腹の虫が鳴り、彼女の顔がみるみる内に笑顔の赤色から羞恥の赤色に変わっていく。

少しだけ首を傾けて隣を見ると流治が口元を押さえて体が震えている。

わかってるこれは天罰だ。

そうだ私が悪い。

 

 

 

「……でも仕方ないじゃないか。女の子とは言え育ち盛りだし、緊張で昼はあまり喉を通らなかったし、実技試験をした後そのまま帰ってきたんだだから別に私が食い意地はってるとかそんなんじゃなくて仕方ない整理現象なんだ」

「とりあえず、寒いし近くのファミレスにでも入ります?」

「うん…後タメ口でいい」

 

その後拳藤と流治の家が歩いて10分くらいの位置でギリギリ隣町だったため幼稚園から中学まで別だったと知るのはちょっとした蛇足

 




血流 流治【ちながれ りゅうぢ】
身長:218cm
体重136kg
個性:【血癒】
自分の体に流れる特殊な血を飲ませると相手の傷が治る。自分の傷も治る。治る時の相手の体力は使わない。だいたい輸血パック一袋でトリアージ赤の真ん中くらいの怪我なら治る。
趣味:サバイバル
流治'sヘアー:左右を剃ったショートモヒカン
流治's顔:強面
流治's全身:全身擦り傷だらけのバキバキ!強い!
流治's口調:初対面に対して少し丁寧語、似合わねー!拳藤に指摘され少し気にしている
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