あなたの個性は増強型ですか?いいえ違います 作:ヒロアカ面白い
始業のチャイムが鳴ると、教室に入ってきたのは黒い艶のある長髪に全身極薄タイツのボンテージ姿の女性が入ってきた
あまりの服装に思春期の男子は顔をそらしてしまう
彼女は18禁ヒーロー『ミッドナイト』
彼女によると担任となる『ブラドキング』はヒーロー活動が運悪く重なったため、午後からの合流で、それまでの間は彼女が受け持つらしい
…入学初日から担任不在とか自由すぎる、流石雄英高校。
午前中、入学式に出席した
その中で唯一の欠席はヒーロー科1年A組のみ
ミッドナイトによると担任のイレイザーヘッドは超合理主義なので入学式と言った式典には出ないらしい、それでいいのか雄英
その後は簡単なガイダンスを済ませた後、校内の見学で午前は終了した
そして午後の授業からはようやくクラスに合流した担任『ブラドキング』先生と簡単な挨拶を交わすと、「体操着に着替えてグラウンドに集合するように」と指示された。
「個性把握テスト?」
生徒の一人が疑問形で返す。「そうだ」と短く答え、説明を続ける。
「「スポーツテスト」中学の時にやったことがあるだろう?あれは個性禁止でやっていた物だが…今回は個性の使用を許可する…実際にやってみようか
血流、ちょっとこっちに来い」
「うす」
「ソフトボール投げやってみろ。個性は自由に使って良いぞ」
「分かりました」
と言われても俺の個性はこういったものに向いてない
けど個性のお陰で普通は耐えれない百パーセントの力を発揮できる
「…シィっ!」
右腕がミチミチと音を立てるがすぐに治る
リミッターを外した時の痛みにも大分慣れてきたと思うと成長を感じる
先生の手に持つ測定器が結果を出す。
「…209.6m」
記録に生徒一同から、おおと言う歓声の声が上がる
個性を使わずには出せない記録だ
「まずは、自分の能力の最大限を知るところからだ、しっかり考えろよ」
「「「「はい!」」」」
第一種目:50m走
「記録、4秒23」
意外といい記録が出た
5秒切るか切らないかだと思っていたが
第二種目:握力測定
これは俺が一番自身のある種目だ
趣味のサバイバルをするときでフリークライミングのスキルを養ったがそれには足と手の指の力ーーーピンチ力が必須
初めは両手の指だけでぶら下がるだけが精一杯だが今なら足の指だけで壁を掴んで腹筋ぐらいできるーーーはずである
すると手を最大まで大きくした拳藤がこっそりとブラド先生に握力計を持っていった
「先生すいません…針が振り切って測れないんですが…」
拳藤は測定不能だった
俺と同じだが何か負けた気がした
あと拳藤をゴリラとからかった物間という男子は一佳の手刀で気絶していた
第三種目:立ち幅跳び
これも第一種目同様
ただ前にいた小森という女子は足下に巨大な茸を作りそれをトランポリンにして、ポーンと軽やかに跳んでいった
…立ち…幅…跳びなのか?
第四種目:反復横飛び
特になし
第五種目:ソフトボール投げ
デモンストレーションと同じだった
第六種目:上体起こし
ここはただ全力で腹筋をする
そのスピードは自分で言うのもなんだが周りよりも頭一つ速い
小森さんは背中側に茸を生やしてポヨンポヨンと回数を伸ばす
それは上体起こしなのか?
第七種目:持久走(20mシャトルラン)
ドレミファソラシド、ドシラソファミレド、ポーン。電子音が運動場に鳴り響く。
「うおおおおっ!!」
「がおおおおっ!!」
ここでは個性の応用で血中の酸素濃度をあげて行うが宍田がそれに食いついてくる
すでに俺と宍田の二人だけ
激しいデッドヒートの末に勝った
ここまでの接戦は初めてだ
第八種目:長座体前屈
ここも“個性”は使えないので普通に計る
「イッケーマイホーン!」
「あ?顎!?」
「キャー!sorry!!!」
角取が角を飛ばすが勢いがつきすぎて向かい側にいた泡瀬の顎を貫いた
そして鳴り響く破壊音
こっわ…
「さあ、成績発表だ」
機械を操作して、個性把握テストの総合成績を表示する。生徒たちが自分の成績を確認して一喜一憂している
「…これで個性把握テストは終了だ。各々自分の得手・不得手について理解が深まった事だろう。今後、自分の長所・短所にどう向き合うかが、ヒーローの資質を上げる重要なカギになる。これから精進するように。…さて、この後は制服に着替えてホームルームだ」
締め括りの言葉を言うと生徒一同は教室に戻るため移動を開始する。「あれが楽しかった」「これが面白かった」などと言う、浮ついた…緊張感の欠けた雰囲気に少々気落ちするも中には互いの個性を見せ合って別の視点からの意見で考察し合う生徒もいた
「血流少しいいか」
「うす」
血流流治
治療系の個性という稀有な個性を持ち高い身体能力を持つ生徒だ
血を使うという点で彼の担任になったが少し疑問ある
「お前の個性はこういった場面でも応用が利くのか?明らかに記録としては常識のそれを超えている」
「俺の個性の本質は自分の中に流れる特殊な血液そのもので治癒効果はその副産物みたいなもんです。でその血液の効果は俺が知る限り細胞の活性化。つまり俺は常に少しだけ素の身体能力が強化されてます。あとその活性化の度合をある程度なら調整できます。例えば血中の酸素濃度を増加させて持久力をあげたり治癒速度の上昇とかです。ここら辺は自分の個性ってより体の操作って感じなんで大分かかりましたけど」
「なるほど…分かった、すまんな引き止めて」
「いえ」
血流は少し駆け足気味に校舎に戻っていく
私は彼のいったことに驚いていた
16才の少年が自分の個性の本質を理解しそれがどのようなプロセスを経て効果を出すのか考察しその上で自分ができることを考える
これが私のようにただ怪我が治るだけに注目していてはできないことだ
「個性の理解に関しては既に周りよりも一歩も二歩も先に行っているな」
今年は例年以上に優秀な生徒で溢れている喜びを胸に秘めて彼らの背中を見ていた
HRを終えて一佳と一緒に校門を出る
他のクラスの生徒も帰路につき沢山の生徒がいる
「それにしても個性使っていいなんて流石雄英って感じだよな」
「ああそれより俺は一佳が握力計ぶっ壊したのが一番びびったけどな」
「うっせ」
なんとなく気にしてるのか口元を尖らせてそっぽを向く
彼女と出会ってからまだ一月ぐらいだが家が近かったり話のうまがあったりあの地域で雄英を受けたのが二人だけということもあってよく一緒にいるので彼女の気質が大体わかってきた
男勝りでサバサバした性格、曲がったことは許さずみんなをまとめる姉御肌
でも可愛いものが好きでふとした時に見せる今みたいな乙女っぽい恥じらう
そんな普段とのギャップにドキッとしてしまう
「悪かったって、機嫌なおしてくれよ」
「…」
意外と気にしてたのか、どうしたもんかと考えていると確か近くにある一佳お気に入りの喫茶店の割引券があったことを思い出した
「なぁ一佳、今お前のお気に入りの店の割引券あるからいかね?奢るからさ」
「…….」
「……ケーキもつくぞ」
「……わかったそれで手打ちにしてやる」
(意外とチョロ)
夕日に照らされた街角の一角で二つの影がある
一つは足取りが軽いが対照的にもう一つは重い
「いや美味しかったな」
「…よかったっすね」
誰だ一佳チョロとか言った奴、こいつわかってた上でやりやがった
悔しいが俺より一枚上手だったら
立ち寄った喫茶店はオレンジ色の柔らかみのある光で照らされテーブルは木を丁寧に磨いて木目と節がほんのりと浮き出ている洒落た店だった
コーヒーもインスタントとは違い焙煎した豆の香りが通り抜け口に含むと雑味のない味わい深い一品だった
しかし会計は予想をはるかに超えていた
「ふふん、ならこれからはちゃんと女心に気を使って生きなよ」
そう言いながら溌剌の笑みを浮かべている一佳を見てまぁいっかと思うあたり俺も十分チョロいのかもしれない