拳突き上げた先に   作:それを言うなら

1 / 20
ネグレクト要素が入ります。苦手な方はご注意ください。


【魔拳士】クラウン・スプリングス
プロローグ


■????■

 

「ここには世界がある。ここには夢がある。私達はここで救われる」

そう言って、春ねぇ――春夜は<Infinite Dendrogram>を始めた。

親にも見向きもされず、体が弱かった春ねぇはいつもゲームをしているときは楽しそうだった。

ニュースやブログの記事で同じ様な体の弱い子達が、遊ぶ姿を見て、春ねぇは憧れを抱いていたのだ。

そうして、少しずつお金を集めて買った<Infinite Dendrogram>を春ねぇは楽しみ、僕だけがこの現実に取り残された。

その時抱いた嫉妬心を未だに覚えている。僕にとって家族は姉の春夜しかいなかった。だから、嫌だった。春ねぇを取られるのが。

春ねぇはそうして本当に何処かへ言ってしまうのではないのか?

気持ちの奥から溢れる嫉妬心を、春ねぇの前で必死に抑えた。

僕も春ねぇと一緒に遊びたかった。そう思い少しずつお金を集めていった。高くて、いつから一緒に遊べるようになるか分からない。当時小学校の僕にはろくなお金もなかったのだ。

「私もお金出すから一緒にやろうね」

そう言った春ねぇの顔に、喜んだ矢先のことだった。

 

姉が死んだ。

 

心臓麻痺だった。

<Infinite Dendrogram>のVRゴーグルを付けたまま死んでしまっていたのだ。

第一発見者は僕で、全く動かない春ねぇに違和感を抱いたことを覚えている。

ゲームをやっている途中は基本的に寝ているということは聞いたが、顔色が明らかにおかしかったこと、異常に汗をかいていた春ねぇに気づき、体を触ったら異常に冷たかった。

どうすればいいかわからず、家にも電話がなかった家を飛び出し、外に出て助けを叫んだ。それを聞いて近所のおばちゃんが電話をかけてくれ、正式に死んでいることが発覚した。

終始涙を流していた。そうして病院に来た親に言われた一言で、僕は全てを恨むこととなる。

「ようやく死んだか」

何を言っているか分からなかった。だって、死んだのは貴方達の”娘”なはずなのに。

「お前らがっ! お前らがちゃんと春ねぇを見ていなかったから!! なんで、何でそんなこと言うんだよ!!」

叫んだ声を二人は無視して病院を出ていった。家の墓に入れられたが、結局葬式については行われなかった。

そんな全てが嫌になった僕は、中学校から寮がある私立学校を希望し、”あの人達(・・・・)”もそれの方が楽だということで了承した。

寮に移る際、あの人達が隠していた死んだ春ねぇの<Infinite Dendrogram>のVRゴーグルを見つけ、それを持っていった。

「(きっと、春ねぇはこっちにいるはずだ)」

心臓麻痺だって、不思議だった。いきなりあんなのが起こるなんて信じられない。

きっときっと――

「春ねぇは生きてるはずなんだ」

こうして、僕はゲームを始めることになる。この<Infinite Dendrogram>を。

そこで時には負けて、時には勝って、出会った仲間たちと、様々な旅をすることを、僕は体験していくのだ。

春ねぇを。僕のたった一人の家族を探すための冒険が――

――今、始まる。




三行まとめ
1.姉が死んだ
2.両親はクズ
3.姉を救うためゲームスタート!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。