拳突き上げた先に 作:それを言うなら
明日にクラウン君のエンブリオの名前公開です。良ければ名前などを考察してみてください。
修正 <橋の向こうへ>をストック制に。
SPコストだけだと軽すぎると思ったゆえ修正。
■【名探偵】カレン・レディ■
完璧に機能しているはずの【頭概天測 ホヴズ】の探知だが、痕跡が見えない。だが、ここでは機能は生きていることに意味があった。
「(まだクラウン君が生きてる。ホヴズの探知は続いているってことはそういうこと)」
デコちゃんから、クラウン君からの連絡が途絶えたと聞き、敵に殺された恐れがあったが、今の所そういうことはないようだ。
【頭概天測 ホヴズ】は探知してる対象の死亡、、ログアウトがない限り解除されない。
つまり、まだクラウン君は生きているはず。
しかし、事態は一刻を争う。
持久戦に向かない【魔拳士】。<エンブリオ>は未だ第1形態。未知の敵に対してクラウン君が何処まで抗えるかはわからない。
既に経った時間に焦りを感じつつ。デコちゃんの元へ私は走っていた。
集まってもらったメンバーにも配置場所周辺で情報を調べてもらった後に、デコちゃんの元へは走ってもらっている。緊急時の対策をするためと、各々の能力でどうにか出来るかの確認のためだ。
"ジョブ"、"エンブリオ"、"特典武具"。
隠すことが多いこのゲームでは、人の能力を一見では判断出来ない。喋ってくれるか、能力を明かして協力してくれるかは善意を信じるしかないのだ。
私も、様々な能力を隠しているもの一人として、隠すを責めることは出来ない。
「カレンさん!」
合流場所に着くとデコちゃんが駆け寄ってきた。
「誰かどうにか出来そうな人はいた?」
既にそういった話をするようには促していたが、
「いえ、皆じゃこれはどうにも出来ないって……」
敵の能力が不明な以上対処の仕様がない。推測の域を出ない意見では当てにならない。確かな情報も一番あるのは、私だけ。
「そう。皆!」
集まってくれた皆に呼びかける。
「私の能力でクラウン君の生存が確認出来たわ! 調べた後に集まってもらった所悪いけど、もう一度各自で当たってみてくれないかしら。次は自分の配置場所だけじゃなくて、この街全体をお願い!」
少しでも情報が欲しい。こんなにも隠密性に特化した敵は初めてだ。噂では、完全に認知できなくなる能力が幾つかあるとは聞いたことがあるが、ここまで有効なものなのだろうか。<UBM>なら<伝説級><古代伝説級>。マスターなら<凖・超級><超級>を覚悟しなければいけない。
「(事件現場で調べれば何らかの情報が出るなんて考えてたのが甘かった。魔力の密度が濃いレジェンダリアじゃ、魔力なんてそこらへんに溢れてるから魔法の探知も難しいし……)」
となれば、
「――最終手段ね」
皆が散ったのを確認しつつ、デコちゃんの肩を叩き皆に見えない所へ誘導する。
「デコちゃんにはクラウン君の元へ行ってもらうわ」
そう、自分のの能力を明かす決意をした。
「出来るんですか!?」
食い気味に聞いてくるデコちゃんを制し、落ち着いてもらう。ここから、一番気まずいのはここから……なのだ。
「あのね。それには条件があって――」
「僕何でもやります! 言ってください」
「髪の毛が欲しいの」
その言葉を聞いたデコちゃんの顔には疑問符が浮かんでいた。クラウン君には秘密にしておいて欲しかったため、提供時してもらった時に個別で話したからか、デコちゃんには何のことか分からないのだろう。
それでもクラウン君は全く何も聞かずにその場で髪の毛を引き抜いてくれたが、デコちゃんはそれでは終わってくれない。
「……髪の毛。どうするんですか?」
「た、探索のために、ね?」
「答えになってませんよね」
「ち、違うの! 本当に探索に使うのよ! これから使う能力にも必要で!」
「答えてください」
「……はい……」
そうして私は【頭概天測 ホヴズ】の探知能力の条件である『DNAの摂取』。エンブリオにDNA情報を収納が必要なを話すことになった。
ホヴズは古ノルド語で人間の頭を示す単語である。そのためか、能力発動には人の頭にあるモノのほうが効果が発揮しやすい。
一応、肌の垢などを摂取することでも発動することは確認しているが、人の頭にある髪の毛の方が何故か精度が良くなる。頭の皮などを食べるとどうなるかとは考えたことがあるが、私は、私は――
「望んでこんな能力じゃないの。仕方なくなの、仕方なくなの……」
だから【頭概天測 ホヴズ】の能力は余り好んで使わない。自分から出た<エンブリオ>の能力発動条件が、恥ずかしい。どうしても手がかりがなさ過ぎる最初の時か、仲間を囮として使うこういった状況でなければ……いや、便利だから数え切れないぐらい使っている。
「公開するわね……。こういうスキルなの……」
スキル<
『他者のDNA情報を摂取し収納スペースに入れることで発動する。摂取したDAN情報を痕跡としてレンズに映し出すことが出来る。
なお、痕跡の探知は頭にある髪の毛などのDAN情報からのほうが精密に映し出される。
探知時はMPを継続的に消費する。
このスキルは対象が死亡、ログアウトするまで探知可能。
ストックも可能。最大3人までDAN情報をキープ出来る。このストックは24時間保持される(探知出来るのは一人まで)』
「これ、対人限定って使いにくくないですか?」
「モンスターのDAN情報でも発動できるわ。だから、探知するのに結構便利よ」
モンスターの場合は用途が多い、特に生態系等を調べたい時などは使えるし、今回の相手も、調査していればどこかで体の何かしらが見つけていれば、ホヴズの能力で調べられると思って当たりを付けていた。
「じゃあ、どうやってクラウンの元に?」
「<
スキル<
『ストックを貯められている中から対象を選ぶ。選べるストックは頭部のDAN情報からのみ。その選んだ対象先にテレポートすることが出来る。
消費SPはテレポート距離に依存する。
また、ストックに貯められている対象と肉体的接触があれば、自身の代わりに対象をテレポート可能。その場合テレポートの消費SPは1.5倍になる。
このスキルは2回まで行える。回数は2日に1回分使用回数が回復する』
しかし、この能力はコストが高い。距離によって消費されるSPが変動されるが、自身を数メテルの距離テレポートしてもSPの3分の1程が持っていかれるために、そうそう使える能力じゃない。
それでも奇襲、緊急回避と用途が多く、戦闘でも使用時には余りスキがないため、条件さえクリアすれば使える部類の能力なのだ。
「特殊な空間に入り込まれるとテレポート出来るかわからないけど、ほぼほぼ行けると思うわ」
特殊な空間にテレポートするのは余り試したことはないために確証はできないが、出来なかったパターンは、昔下級職の頃にSPが足りなかった時と、完全に隔離された空間による抵抗があった場合のみ。
「じゃあカレンさんが行くのは?」
「大した戦力じゃない私が行くより、息の合った相棒のデコちゃんが行ったほうが戦力になるわ。デコちゃんを送った後は、<SP回復ポーション>飲んで他の誰かを、クラウン君かデコちゃんの元へテレポート出来るからね」
あくまで私の目的は敵を倒すことではなく<クエスト>の解決だ。自分に拘る必要はない。
「……わかりました。お願いしますカレンさん」
そう言ってデコちゃんは髪の毛を一本抜いて。
「こ、コレでいいですよね」
そう恥じらいを載せ、髪の毛を渡してくれた。これで、テレポートが出来る。
「ええ、ありがとう。なるべく早く助けを送れるように私も頑張るわ」
そうして髪の毛を摂取し、デコちゃんと握手した。
「出来るだけ時間を稼いで、応援は必ず出すから」
「はい。カレンさんのことは頼りにしてます」
確かに握られた感触を感じながら、【頭概天測 ホヴズ】メガネのテンプル部分にある収納スペースに髪の毛を入れ、デコちゃんに<橋の向こうへ>のスキルを使う。
「無事にね。成功したら、また【Fairy】に行きましょう」
「はい!!」
スキルの使用と共にデコちゃんの体が光に成り空を飛ぶ、残光は虹となり、何処かへと向かった。
その虹を見てホッとしたと同時に、SPがなくなるぐったりとした感じを味わいながら、残り残量を確認するとSPは100分の1も残っていなかった。
「<SP回復ポーション>足りるかしら……ね」
あの二人に足りない役割を考えながら、アイテムボックスからあるだけ出していく。
「盾役が、必要かしら」
お腹は減っていない。むしろケーキも食べたのだから、少食の私は今お腹一杯だ。しかし、飲まなければいけない。
助けを求めているものがいる。助けが必要なものがいる。
そのために、何も迷わずに向かった少年のために、私は奔走した。
1.変態<エンブリオ>
2.ストーカーになる能力
3.ポーション腹
実は髪フェチカレンさん