拳突き上げた先に 作:それを言うなら
何処かでキャラによる説明会も設けたいと思います。
■【軽双銃士】デコレーション■
【軽双銃士】の評価は難しい。それは『使いこなす難易度が高い』という単純な理由があった。
そもそも、【軽双銃士】の優位点は最初の頃見出されていなかった。軽い銃しか扱えず、ステータスはAGIとDEX重視であり、大した攻撃力を持たないため立ち回り方が難しい。それと使える弾の種類。
特に各遺跡で発見された特殊弾。現在ではドライフ皇国が主に生産しているその中の一つ。<罠弾>という弾丸が扱いが難しかったのだ。
<罠弾>とは設置式のトラップ弾。一度設置からしか使えない弾丸が多く、<罠師>を取らないとちゃんと扱えない弾丸すら存在した。
設置された弾丸は仲間に見えず、設置した罠が敵味方の認識が出来ないため、野良でパーティを組まれた時は地雷扱いされる程評価が下がった。
そうして広がってしまった<罠弾>の評価に通じて、【軽双銃士】は評価を一時期落としてしまった。
デコはそれでいいと思った。逆に、『コレでいい』と。
他の誰とも競わずにいける職業であり、きっとクラウンとの連携にも使えると。
ただ、実際やってみるとやっぱり連携が難しく、大して火力が出ない、アタッカーとして使えないと考えると【軽双銃士】の評価はデコの中でも一般的評価で落ち着いた。
そして一番困ったことは、クラウン以外にチームに前線を取り入れにくく、練習すればするほどなっていったことだった。
だが、それらを全てをひっくるめて、デコはコレでよかったと思った。【軽双銃士】でしか使えない弾達。コンビネーションで生まれる一体感。してやった時の達成感。
これらは、デコがこのゲームを続けていく中で大切なものとなっていった。
練習を重ねた。2人の方向性が決まった時、お互いがオカシイと罵りあった。だからこそ、2人はどちらかが足を引っ張り合うことを良しとしない妥協しない関係になっていったのだ。
「(クレイモア弾設置したよ。クラウンの五時方向)」
そうして、出来たクラウンとの連携は、
「(了解)」
目でアイコンタクトを済ますだけで連携が取れるほどに成長することが出来た。
「<マジック・ミサイル>!」
そう、クラウンには魔法がある【魔拳士】では専門職が使えるような魔法は使えない。【魔術師】で使える攻撃魔法のみが【魔拳士】で使える魔法なのだ。
「(いつ考えても少ない……)」
【魔拳士】も【軽双銃士】に似て、中々濃い職だと改めて思い返す。
だが、魔法は弱くても、<罠弾>で設置したトラップに反応する。
同時に魔法を使い、前線に張り付ける【魔拳士】ならではのコンビネーションを、2人は実現することが出来た。
クレイモア弾が爆発し、辺りに煙が巻かれる。敵が分かるように<ペイント弾>を敵の体に設置する。これで、パーティに入っているクラウンは、煙の中でも敵を認識できるようにした。
更に、アイテムボックスから<煙玉>を出し、煙を追加する。
「(準備完了。さってと、後は、<エンブリオ>を使うだけ)」
煙に紛れ、様子を見る。スキはクラウンが作ってくれる。それを見逃さないように、敵の位置を把握し、動いた。
■【悪辣訓戒 ブギーマン】■
ブギーマンは何もかもが初めてのことが重なっていく。
しかし、もはや半ば【概念】となっているブギーマンには、対応できないことが多すぎた。
他者の介入は一番の問題だった。
しかも、入ってきた子は、子供であるようで子供でないようなマスター。【悪辣訓戒 ブギーマン】としての判定は彼女を【良い子】と指し示していた。
その【良い子】に攻撃された。だが、【良い子】は【悪い子】守ろうとしているだけなのだ。
それをどう罰せようか。
都市伝説や、逸話にそんな回答は一つだけ存在した。あるのは【皆殺し】。
そんなことはしたくない。このままでは、やられてしまう。
"攻め側"から"受け側"に回ってしまった都市伝説は、解決されるだけなのだ。
『そんなことは許されない』
【悪い子】を処理しなければ【悪辣訓戒 ブギーマン】の存在意義に関わる。
そうでなければ、"彼"は何のために【ブギーマン】になったのか。
【ブギーマン】は【良い子】の攻撃は弾けない。スキルにより【悪い子】に対しての攻撃耐性は持つが、スキルによるステータスの上昇にHPは含まれていない。
このままでは、【悪い子】を、【悪い子】を――
「チャージ」
目の前から声がした。そう、クラウンだ。【悪い子】だ。
攻撃しようとしている。気配から感じるのだ。手甲から後ろに伸びた大きな管のようなモノ。それを使い自分を殴ろうとしている。
「君は、君は何てっ、何て【悪い子】なんだぁぁぁああああああ!!!!」
【ブギーマン】は分からなかった。何で自分が叫んでいるのかを。
そんなことはどうでもいい。この【悪い子】を始末しなければならない。
手を伸ばす。もはや風前の灯火。クラウンには自分は倒せない。
――目の前に一枚のコインが浮かんでいた。
手を伸ばした瞬間だった。回るコイン。見つめなくても、目に入ってしまう。
「<
それを耳にした瞬間彼の大事なモノが壊れた。ずっとずっとそのために、生きてきたはずのものが、一瞬で崩れて。
もはや、目の前のことはどうでも良かった。
手を伸ばす方を変えようとする。そう、彼は
彼は何故自分がこんなことになっているか分からなかった。
何故……自分は今まで、【ブギーマン】を――
「<
強烈な爆発音。何かが突破された衝撃が、彼を襲う。
「(間に合った)」
安堵した感覚が彼の中に沸き立った。
"それ"は、してはならないはずのものだった。それを止められたことへの安堵感。
【ブギーマン】でなく、"彼"が一番してはならない。自身で守り続けたライン。
それが壊れようとしていた。しかし、それは止まった。止められた。彼は、心の底から安堵した。
自分の体が消えていく。もう、使命は終わってしまった。
だが、そこに無念はなかった。
やっと【ブギーマン】を終われる。
少年達が見える。彼と無数の傷を受けながら戦い、勝利した2人が見える。
「ありがとう」
やっと、暗い暗い夜を開けられる。
明るい中で、走り回る子供たちを、ようやく……見れる。
遠い日々の思い出が彼の脳裏に浮かび上がる。
「さようなら、【ブギーマン】」
都市伝説の時間は終わりを告げた。もう、怖がる子はいない。
朝日が、登った。
"彼"が――寝る時間だ。
三行まとめ
1.使いこなすの難しい職業
2.2人で出来たこと
3.物語のオシマイ、オシマイ