拳突き上げた先に 作:それを言うなら
修正10日毎に→5日毎に
やっぱり期間空きすぎだと言うことで修正
■【魔拳士】クラウン・スプリングス■
「ごめんなさい。待ったかしら?」
しばらくしてカレンさんが来てくれた。相変わらずスーツ姿で、長い金髪の髪をポニーテールで纏めている。それに深い青色のメガネをしていて仕事の出来る大人の女性を思わせるいつもの容姿だ。
「大丈夫です。注文どうぞ。少しぐらいならこちらで出します」
「ありがとう。今まで構築に悩んでた初心者さんの相談に乗ってたんだよね。いやぁ、質問も多くって困った困った」
そう言っている顔は困っておらず、むしろ充実した顔をしている。カレンさんはそういう人だ。何でも困ったことがアレば自分から動いて解決しようとしてしまう。
「それで? 相談事って言うとジョブのことかな?」
自分たちも幾度か相談に乗ってもらっているからか。何処まで進んだか推測されてしまったのだろう。そんな質問が来た。
「そうなんですよ。クラウンの上級職のジョブがちょっと変なのが来て」
「クラウン君は、数あるジョブの中でも浪漫な道をいっているものね。どれどれ?」
「これなんですけど」
先程<適職診断カタログ>で見つけたジョブを見てもらった。するとそれを見た自分たちと同じ様な難しい顔をしている。
「どれもやっぱり聞いたことないわね……。特にこの【魔人拳】って。もしかして人じゃなくなるジョブ?」
「人じゃなくなるジョブ?」
「時々あるのよ、そういうジョブが。ステータスの伸びが良いけど、デメリットが大きいっていうジョブなんだけど」
「コレもそういう部類ってこと?」
「多分。【
ロストジョブ――付いた者が何らかの理由でいなくなってしまったために、そのジョブが見当たらなくなってしまったジョブ。主に一つに付き一人しか慣れない上級職の上である最終到達点である超級職にありがちなモノ。
「【剛魔拳士】だと、ステータス条件を満たしてるから遺跡のジョブクリスタルを探すだけか」
「そのクリスタルも何処にあるか。何処でドロップするかは不明なんだけどね」
「どちらも、ロストジョブだろうから人から情報を聞けないのが、難しい所なのよね」
そのジョブに就くためには、ジョブクリスタルというモノが必要だ。簡単な職なら大体は各地にあるジョブクリスタルに触れれば終わるのだが、俺の上級職はそういう訳にはいかないらしい。
「この八方塞がりな感じ。まずいわね。停滞するとモチベーションに関わるし、わかったわ。違う人達にもそういうのがあったか聞いてみる」
「「お願いします」」
人脈がある人にこういうことを頼めるのは心強い。自分たちも知り合いに幾つか当たってみよう。
「いいのよ。クラウン君には珍しいジョブである【魔拳士】の情報も貰ってるしね。今回も上級職の取得条件見せてもらったから私は損なんてないわ。連絡入れたから最近の近況聞いて良い?」
そうして何人かにメールを送ってくれたカレンさんにそれぞれの近況を報告した。
暫く時間が経ち、知り合いからの連絡が帰って来たが、結局、2つの上級職情報はなかったようで、ケーキを食べ終わった俺達は締めの話に入っていた。
「でね。今、ちょっと調査してるの。手伝ってくれない?」
それがカレンさんが言い出した俺たちに対する【用事】だった。
「手伝う? ……事件ですか」
「そうそう、まだ認知されない程度のモノなんだけどね。なんか可笑しいのよ。<アクシデントサークル>って知ってるわよね。」
「知ってます」
「そう、それがね」
レジェンダリアには<アクシデントサークル>と呼ばれる所謂神隠しがある。これは街の外でよく起きる現象であるのだが。
「それが、街の中で? しかもこの街で?」
<アクシデントサークル>の原因は魔力の濃度であり、空気中の魔力が一定を超えると自然的に発生されると言われている。
そのため街にはそれを抑えるマジックアイテムがあり、普通なら発生しない。
「それがここ5日毎に、1回に1人ずつ連れ去っているのよ。誰も、気付かない内に」
「何が原因だっていうのは?」
「不明。ただ、魔力が原因じゃないわ。魔力を抑えるためのマジックアイテムが機能しているのもちゃんと確認した。そしてね。何より」
そう言ってカレンさんは【クエスト】を開いた。
「……」
【クエスト】。達成することで経験値やアイテムが貰えるモノであり、自然発生するクエストも数多い。その中でも偶発的に調査したり、ある人物に接触したのが条件で発生するクエストもある。
「私が、この事について調査したらね。コレが出てきたの」
【調査――アクシデントサークル】
「つまり、このアクシデントサークルは」
「不自然だと考えるのが妥当よ。でなければクエストは発生しない」
<アクシデントサークル>の根本的解決を追うものは何人もいた。だが、この様なクエストは発生したという話聞いたことがない。
「もう既に少数だけどティアンが巻き込まれている。もしかしたらマスターも対象かもしれない。何人かのマスターにも協力を依頼しているわ。貴方達二人だけじゃない」
レジェンダリアはレジェンダリア事態を好きだというマスターが多い。ファンタジー溢れる国はマスターに様々なインスピレーションを与え、遂に【変態の国】と呼ばれるまでに。だが、それをレジェンダリアは受け入れてくれている。皆、この国が大好きなのだ。
「受ける」
即答だ。迷う気もない。こんな事を頼まれて、受けないのはオカシイ。
「わかった。クラウンが受けるなら僕もパーティとして付き合うよ」
「ありがとう二人共。じゃあ情報を送るわ」
そうして、カレンさんは俺達に現時点で調べられている情報をデータとして送ってくれた。
「(おや、良いのですかマスター。それを受けて)」
心の中で中性的な声が響く。心がザワツク声だ。聞いているだけで神経を逆なでされる。
今まで黙っていた<エンブリオ>がいきなり喋り出す。こういう時だけ煩い奴だ。
「(良いんだよ。黙ってろ。卵が)」
手に宿る卵状態の<エンブリオ>を見る。
「(ふふっ、良い感情ですよマスター。ようやく私が目覚められそうだ)」
攻略対象クエスト難易度:七【調査――アクシデントサークル】
行く先は、謎。
目指すは――攫われた人たちの救出、そして事件の解決。
クエスト、スタート。
三行まとめ
1.キューティージャーナリスト、カレン・レディー登場!
2.上級職わからぬ
3.上級職なんてどうでもいい!!そんなことよりクエストだ!!