拳突き上げた先に   作:それを言うなら

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<エンブリオ>による辛辣なマスターへの応援


暗い闇の中

■???? ??????■

ここは黒い空間。黒はマスターにとって落ち着く色であったが、同時に嫌なことを思い出す色でもあった。

だから、マスターはここを黒で染めている。

「こんにちわ。相変わらずこちらを向きませんね」

そうして話し掛けるが、背を向けたまま全く答えを返さない。

「わかります。マスターはこの世界が好きで、嫌いなんだ」

「何で、ここにいる?」

ここは何処だと、聞かないマスターに好感を持ちながら、それに答える。

「あれは、マスターには倒せません」

勿論、マスターの望まぬ答えを。答えになってない答えを。

「まだ、何も終わっていない」

「強さじゃないのですよマスター。あれは貴方にとって天敵だ。対策されたわけではないですが、抵抗できないわけじゃないですが、最後には負けてしまいます」

負けると聞くと、マスターの雰囲気が険しくなった。マスターは何回も負けたことがある。大切な時に負けたことも……ある。

今、きっとマスターは抗おうとしている。葛藤している。だが、自分でもわかっているのだ。

勝てない(・・・・)】と。

心の何処かで刻まれてしまっている。【クラウン・スプリングスはブギーマンに勝てない(・・・・)】と。

「俺だけじゃないはずだ」

「助けは期待出来ません。わかっていますよね」

「俺が勝たなくても、誰かがきっと倒してくれるはずだ」

「ここで逃したら、あれはもっと人を殺しますよ?」

【悪辣訓戒 ブギーマン】は誰にも見つからない。何故なら良い子に【ブギーマン】は訪れないから。

「悪い子にしか見つからない。しかも子供の姿、年齢、二つをクリアしないと見れない。そんな所ですかね。私が推理するに」

あくまで推理だが、それで十分だ。マスターの心が動いているのが手を取るように分かる。

「なら、俺が倒せばいい」

それを聞き、帰ってくる答えに笑いが止まらなくなる。大好きですマスター。貴方はトビッキリの――

「馬鹿です!! マスターは法則を飛び越えようとしている。そんなことは逆立ちしてもダメなんです。だって、マスターはそんなこと望んでない(・・・・・)くせに!!」

法則を飛び越えようとしてるくせに、マスターは可能性を信じていない。この<Infinite Dendrogram>を信じていない。

崖を飛び越えようと望む少年。だが、実際に崖を飛び越えようと行動へ移さなければ、無意味も、不可能も分からない。

 

のに。

 

「貴方はこの世界を信じている。いや、言葉を信じている。 現実だとも思っている。現実だからこそ、過度な可能性を期待しない」

 

『ここには世界がある。ここには夢がある。私達はここで救われる』

 

言葉は呪いだ。

マスター。マスター。貴方は心が歪だ。グチャグチャだ。信じようとしてないものを信じようとしている。

誰にも助けられなかった”姉”を。助けられないままの”マスター(自身)”のままでいる。一番助けたものを、助けたかった自分の無念を引きずっている。

 

【それが、自分なんだと】

 

分かる。私にはマスターの心が伝わってくる。だから、

「現実を知りに行ってください。マスターには、何も助けられない」

そうしてマスターの背中を押す。その先は、崖になっている。

 

そう、現実に突き落とそう。<Infinite Dendrogram>に突き落とそう。

――マスターが、可能性を信じてくれるまで。

 

「頑張ってくださいマスター。私達の助けがあれば、きっと貴方は……きっと」

求めて欲しいのは、<私達(・・)>も一緒だ。救われたいのも、私達も一緒だ。

 

可能性は、信じなければ得られない。誰でもない。自分が、信じて、可能性を手繰り寄せるしか、ないのだ。




三行まとめ
1.ツンデレエンブリオ
2.頑ななマスター
3.可愛い子は谷へ突き落とされる
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