拳突き上げた先に   作:それを言うなら

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やっと戦いです!戦いの描写って難しいですね!


【魔拳士】

■<幼体化>【魔拳士】クラウン・スプリングス■

 

目を覚ました時見たのはトビッキリ嫌な顔だった。

「悪い子は君だね?」

【悪辣訓戒 ブギーマン】の言葉と気持ち悪い顔を見て、また恐怖が走る。しかし、前より抵抗が出来ている。動ける。

<エンブリオ>の起動を確認する。何分か立っているらしい。具体的に何分気絶したかは分からないが、しっかりとした強化が確認できた。

 

スキル<生まれる世界(ワールド・クリエイション)> LV:1

『戦闘中の経過時間、HP回復量、与えるダメージ量、受けたダメージ量、この4つの要素を貯めることにより、13段階のステータス強化、状態異常耐性強化を受けられる。

このスキルは、全形態で効果を発揮出来る』

 

小さな段階だと効果が余りなく、高い段階へ至るためには膨大な量が必要なスキルで、現在は1段階目に達してる。時間の経過量のみでそこまで達したと考えると、経過してまだ5分経ったぐらいか。

とにかくこのままでは不味いと、蹴りを入れ、ブギーマンを攻撃する。

ブギーマンは飛び退き、その蹴りを避け、ダメージを回避した。

「何だここ?」

一定の間合いを取り、辺りを確認すると、豚などを解体する解体所のような辛辣さを感じる光景が目に入った。

一番酷いのは、豚の代わりにここで解体するのが、【人間】だということだろう。辺りには人間の腕や足らしき物体が転がっている。

連絡用のマジックアイテムも、何故か機能していない。ここ事態がブギーマンによる特殊な空間なのだろう。

「イヒヒ、ヒヒッ、何で君は、悪い子何だい?」

ブギーマンはそう言って、不気味に笑っていた。先程から問われる度に気持ち悪い感触が肌を襲う。

<アイテムボックス>に収納されているアイテムを即座に装備できる<瞬間装備><瞬間装着>を使い、戦闘装備を整える。

装備したのは恐怖対策のアクセサリーと手甲。

服の色と同じ赤と緑の二色が流れるように入った手甲。だが、その左手だけが、異様に大きい。それは天地へ訪れた際に知り合った職人に作ってもらった完全オーダーメイド装備、名を『二式六十六型 魔天流動』。

【魔拳士】クラウン・スプリングス――俺のメイン武器。

幼体化に合わせて留め具を締め直すことで、普段通り扱えるのは実証済みだ。

「(さっきから、問いかけしかしない)」

恐らくだが、このブギーマンには幾つかの『プロセス』が存在する。

その『プロセス』の内容まではわからないが、ブギーマンの問いかけがある度に、何かしらの不快感を感じる所を見るに、この問いかけ事態がスキルに何かしら直結している。

「(攻撃態勢は整った。だけど、ブギーマンのスキルが、手札がわからない)」

 

なら、殴りかかるっ!!

 

巨大な方の左手で、ブギーマンの気持ち悪い顔を殴りかかる。

AGI(素早さ)があまり高くないのか、反応がない。ブギーマンの体が動かぬ前に、顔に一撃がクリーンヒットした。が、全くHPは減っていない。恐らくだが霊体系特有の、物理軽減が入っていたのだ。

「(実体じゃない。霊体系、幽霊のモンスターなのか。ブギーマンならあり得ると思ったけど。はっきりした姿だったから、分からなかった)」

五感、経験、直感。様々な要素を使い、出来るだけ情報のないブギーマンを精査し、集めようとする。

「イヒヒヒヒヒヒヒ!? イヒヒヒヒヒヒヒ!! 殴るっ!? 殴るなんて悪い子だ!!」

今までの言動。【悪い子】は何かしらのキーワードだろうか。

やはり長引かせると、不味い気がした。こういう直感は強敵との戦いでも何回かあった信用出来るもの。

【魔拳士】で、良かった。相性が良い。だったら、俺の戦いをするのみ!

「<魔法遅延>5秒!<マジック・ミサイル・パーティ>!!」

無属性の魔法の弾を連続発射する<マジック・ミサイル・パーティ>。それを<魔法遅延>により、一旦宙に置く。

「イヒッ! ヒヒッ! 君は何で悪い子なのか、自分でわかっているじゃないか?」

スキだらけなブギーマンの腹に、右手でボディブローを叩き込む。ただのブローではない。スキルを――

「<魔法格闘士(マジック・オブ・グラップラー)>!!」

このスキルは、拳の攻撃を魔法攻撃に置き換えるスキルだ。その際に威力も上がり、ブギーマンの体が宙を浮く。

「<解放(リリース)!!>」

宙を浮いたブギーマンに、更に<マジック・ミサイル・パーティ>の追撃を入れていく。ブギーマンのHPはみるみる内に減っていった。

こうした武器、魔法両方で攻めていくのが【魔拳士】の本領。相手に対して魔法属性でダメージを与えていき、魔法で追撃、牽制を行っていくのが俺の構築した【魔拳士】だ。

「やっぱり、相性が良い」

霊体系のモンスターとは何度か1対1戦ったが、その戦いで殆どが勝ち越している。

恐怖も、かなり効果が薄れており、このままなら無視しても問題ない程。

「(勝てる)」

油断はしていないが、このまま攻める。

ラッシュを浴びせ、HPを減らしていく度に勝利を確信していく。

元々この特殊空間スキル。そして、誰にも見つからない隠密スキル。先程から来る問いかけのスキル。この3つに能力を割いた敵だ。

戦闘能力はそれほど……高く――

 

「IHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIHIIHIHI!!!!!!!!!!!!!!」

 

ブギーマンが、咆哮を上げた。

それと同時に、HPがみるみる内に、回復――いや、上がっていく!?

「(上がる!? HPが? どういう仕組で!?)」

何かしらスキルによるものだろう。だが、今までと何か違う。

体が膨張している。どんどんと膨れ上がり、筋肉が付き、服もパンパンになっていく。

「(不味い。不味い不味い!! とにかく、止める!)」

すぐさま攻撃に移る。AGIの差は圧倒的だったはずだ。これなら――

「クラウン・スプリングス」

不意に後ろから、名前を呼ばれた。

 

「君は悪い子だ」

 

空気が割れる音がした。俺の体が吹き飛ばされ、地に伏せる。

何が起きたか分からない。一体何が――

「(あれが……ブギーマン?)」

今までと違う異様な姿に、心が凍る。さっきまでの恐怖とは違う。身の毛もよだつ様な逸脱感。

鞭を振るう手は俺ぐらいのサイズが有る。グチャグチャなネズミの顔が影を帯び、歩く一歩に地面が悲鳴をあげるような衝撃を鳴らす。

「悪い子は、食べちゃおうねぇ」

これが【悪辣訓戒 ブギーマン】

これが、ブギーマン戦闘状態なのだ。




1.問いかけるだけのブギーマン
2.そんなブギーマンを調子に乗って殴るクラウン
3.逆上するブギーマン
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