指揮官と仕事とHK416   作:が、画面の向こうの人形が僕を見てる!

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エイプリルフールなので。


指揮官と4月馬鹿とHK416

 今日は4月1日、通称《エイプリルフール》と呼ばれる日である。世間ではこの日に嘘を吐いても良いらしいが、この基地であってもそれは変わり無いようで、朝から指揮下の人形達が嘘を吐きに現れている。正直迷惑であると感じる節はあるが、変化の少なく殺伐とした昨今では貴重なイベントである為、仕方無しに付き合っている。仕事に関しては最近少なくなっているので前の様な無理はする必要が無いだろう。

 

 嘘を吐かれ続けて指揮官はふと思い付いた、幾ら仕事が少なくなってきているとは言え多いものは多いのだ、ならばまた増えない内にこの《嘘を吐いて良い日》を利用しこの基地から逃げ出せないかと。

 思い付いたら即行動だ、思い立ったが吉日とは良く言ったものである。この嘘に塗れた基地から逃げ出して自由に羽を広げて暮らすのだ!指揮官はこの意気込みを胸に着々と逃走の準備を始めるのであった。

 

 普段は始業前に逃走しようとしたり、副官の目を盗み逃走を図っていたが、これが駄目だったのだ。一番怪しまれずに逃げ出せるのはこの日だけである。しかし、懸念事項が一つ。今日の副官は《HK416》である。

 HK416という人形は兎に角勘が鋭いのである。前に逃走を図ったときはこの人形に潰されたのだ。その後の事は良く覚えてはいないが暫く口も聞けなくなったので余程惨いことをされたに決まっている。しかもこの前「怪しい事をするなよ」(意訳)と釘を刺されたばかりだ、逃げ出す事がバレたのなら最悪この世からおさらばだろう。

 だが今日は嘘を吐いて良いと言う免罪符がある!これで幾ら怪しまれようと『あぁ、今日はエイプリルフールだからだな』と適当に流してくれるに違いない!嘘を吐く日に本当の事を言うなんて思いもしないだろう。

 

 

 作戦決行は午後からだ……覚悟しろよ416…!

 

 

 

 

 

 

 

* side change : HK416 ......副官

 

 

 

 

 

 

 

 今日は嘘を吐いて良い日らしい、その為普段は恥ずかしくて口に出せないような事を口にしても後から嘘であると言えば許されるのである。そこで私はこれを利用して指揮官に告白することにした。

 

 暫く前に指揮官が仕事が多いからと逃げ出そうとした時、私は指揮官に告白紛いの事を言われた。私が何でもすると口にしたせいだが、結局はナニも起こらずただ添い寝をしただけである。しかも指揮官は余程疲れていたのかその事を綺麗サッパリ忘れていた上、頭の何処かで覚えているのか私と少し疎遠気味になっていたのだ。

 ならばあの時の指揮官の告白は無効である、今度は私から確りと《嘘の》告白してやる。エイプリルフールと言う日はどんな事でも口を滑らせてしまう不思議な日なのだ。しかしこの嘘は嘘ではない、だから私は《嘘を吐ける時間》が終わる午後に告白することにした。

 

 指揮官は少し世間に疎いから嘘を吐いて良いのが午後までとは知らないだろう、だから指揮官は私の告白を嘘と受け取るのだ、だがこれで良い。指揮官が後で真実を知った時、指揮官は私の、私だけの指揮官になるのだ。

 

 

 

 作戦決行は今日の午後、覚悟しておくと良いわ、指揮官。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何事もなく午後を迎え、作戦決行の時刻になった。いざ指揮官に告白するとなると胸の鼓動が高まるが、飽くまで冷静に指揮官に告白だ。

 

「指揮官、ちょっといいかしら?」

 

「奇遇だな、私も416に用があったのだ」

 

 指揮官が私に用?珍しいな一体なんだろうか、私は早く告白したいと言うのに。覚悟を決め話し掛けたと言うのに焦らされては緊張しすぎて訳のわからないことを口走りそうだ。

 

「私の話は後で良いわ、指揮官から話してくれるかしら」

 

「ああ、では私から話そう。」

 

 すると指揮官は長い間をおいて、ある言葉を吐いたのだ。私が嘘でも聞きたくないある言葉を。

 

 

 

 

「私は今日で指揮官をを辞める、これから此処を出て行くよ。長い間世話になったな、416」

 

 

 

 

 瞬間、思考が停止した。体が底冷え、思うように言葉が発っせなくなった。

 

 まるで悪い夢を見た様に目の前が暗くなり、背中から変な汗が噴き出した。

 

 周囲の気温が一気に低下した様に全身は震え、歯はカチカチと硬い音を発している

 

 口からは言葉とも取れないあやふやな音が「あ……あぁ、あ」と意味を持たず出ていった。

 

 

 停滞している思考をなんとか動かし平静を装いながらまだちゃんと働きそうにない頭を使い考える。

 

 恐らく、指揮官は嘘で言ったつもりなのだろう。それは自信満々な表情からして明らかだ。それに私はこの前も《似たような事》を聞いた筈だ、なのになぜこんなにも狼狽えているのだろうか。

 指揮官はこの態度からして午後は嘘を吐かないと知っている筈だ、なのになぜ戸惑う必要がある?自分の思考が安定しない。

 

 ふと、気付いた。

 私は《似たような事》は聞いてもここまでハッキリと、指揮官の口から《辞める》と聞いたことが無かったのだ。

 だからこんなに狼狽えているのだ。

 

 少しずつ頭が平常を取り戻してきた、体の震えは止まり、呼吸も元に戻り始めた。

 指揮官にこの発言の真意を問う事にする。

 

「し、指揮官。それは嘘でも言ってはダメよ、もちろん嘘なのはわかっているけれど」

 

「いや、私は本気だ。して、416。私に何か言いたい事があるのだろう?」

 

 指揮官は剰りにもあっさりと『本気だ』と口にした。それは私の思考を再び凍らせて、私は何を言おうとしていたのかサッパリと忘れてしまった。

 

「……いえ、何でもないわ指揮官。お元気で…」

 

「ああ!それではな」

 

  指揮官は一仕事終えたように軽い足取りでこの指令室から出で行ってしまった。

 

 私はその場から動けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃあああああああ!!!!!自由だあああああああああ!!!!!!」




新元号は「步枪」です、間違いありません。


※步枪はARの事






















もうちっとだけ続くんじゃ

明日(昼)投稿します。



04/03 03:46 追記
元号外れた上に投稿遅れましたね。
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