指揮官と仕事とHK416 作:が、画面の向こうの人形が僕を見てる!
いつも通りに起きて感じたのは、目の奥の痛みと、関節の痛み。それから頭がぼーっとしだして、どんどん体が火照ってきた。
まさかと思い体温計を手に取ると頭が重くなってきた。
体温を測らずともわかる、自分は今熱を出している。
それに気がつくとぱったりと糸が切れたように布団の上に倒れてしまった。
額に冷たさを感じ、重い瞼を開く。
まず見えたのは艶のある桜色の髪、それから白地に青で縁取られた欠けた六芒星、そして鮮血のように赤い瞳、朧気な視界の向こうに見えた彼女は不安そうな顔をしていたと思う。
頭のこれはなんだと手をやれば、そこには冷却シートが貼ってあった。
大丈夫?と彼女に訊かれ、口を開いて大丈夫だと伝えようとすれば、喉に痛みが走ってうまく発音できない。
それを見て彼女は更に不安そうな顔になってしまった。
それから彼女は自分を起き上がらせてから水を飲ませてくれた。
喉の痛みが少し引き、やっと少しだけ喋れるようになったので彼女に礼と大丈夫だということを伝える。伝え終わったら、それだけでも大分疲れたので布団に再び寝転がる。
大丈夫だということは彼女に伝わったようで、少し安心した表情になった。
心配させないでと言う彼女は儚げな表情をしていたと思う。
彼女が立ち上がり自分の居る布団から離れ台所へ向かって行く、少し寂しいが彼女は今から何か作るつもりらしい、楽しみだ。
彼女に時間を訊いてみると11:26よと言われた、始業の時間はとっくに過ぎていた。
今日の業務はどうなっているか訊いてみるが、今日くらいは休んでと言われてしまった。それでも気になって業務は滞りなく進んでいるか、自分が休んでしまって大丈夫か、等と訊いていると、今日は基地のほぼ全てを休みにしたわ。と返ってきた。
それはそれで不味いのではないかと思ったが、彼女が安心してと言うので、大丈夫なのだろう。
そうこうしているうちに彼女が台所から戻ってきた、その手には湯気の上る小さい土鍋が握られている。恐らくお粥だろう、具材を当ててやろうと鼻から息を吸い込んで、よくわからないと言うことだけがわかった。風邪っぴきは辛いのである。
彼女は土鍋を置こうとして、机がないことに気がついたらしい。結構天然なのだろうか。
一旦土鍋を台所へ置き、部屋の隅に畳んで置いてあるちゃぶ台を持って自分の目の前に設置した。その後やっと土鍋を持ってきて、漸く中身が見えた。
土鍋の中身はシンプルな卵粥だった、どうやらお粥で当たっていたようだ、内心ほくそ笑む。
いただきますと言って蓮華を取り卵粥を味わおうとすると、彼女は蓮華を自分の手から奪い取り、蓮華の上のお粥にフーッと細く息を吹きかけ冷ますと、あーんと自分に食べさせてくれた。
恥ずかしさや風邪のせいで味はちっとも感じなかったが、お粥はとても美味しかった。
一口目を食べ終わり、ありがとう美味しいよと口にすると彼女はスペシャリストの私が作れば当然の結果と耳を赤くして言っていた。
それから自分で食べていると、お粥がなくなりかけたところで彼女はまた食べさせてあげようかと顔をほんのり赤くしながら言い出した。
それがなんだか可愛くってよろしく頼むと笑いながら言うと、彼女は更に顔を赤くしながらやってくれた。
もう最後の一口なのだから冷ます必要はないのにフーッと息を吹きかけて、あーんと食べさせてくれた。
お粥を食べ終わった後は彼女は土鍋を洗いに行き、自分は眠くなったので近くにあったスポーツドリンクを少し飲んで寝ることにした。
おやすみと皿を洗っている彼女の後ろ姿に声をかければ、よく寝て早く元気になりなさいと返ってきた。
わかったよと一言だけ返して自分は眠りに着いた。
駄文は続くよどこまでも