指揮官と仕事とHK416 作:が、画面の向こうの人形が僕を見てる!
……………キィイイ――――――ンンンン――――――ンンンンン……………………。
私が薄々と眼を醒ました時、こうした甲高い耳を劈く音は、まだ金属を掻く様な余韻を、私の耳にハッキリと引き残していた。
それをじっと聞いているうちに……今は真夜中だな……と直覚した。そうしてどこか近くで携帯電話が起動しているんだな……と思い思い、又もウトウトしているうちに、その金属を掻く様な余韻は、いつとなく次々に消え薄れて行って、そこいら中がヒッソリ静まり返ってしまった。
私はフッと眼を開いた。
何故か目の前に《UMP9》が居た。
「ぬああああああああああああああぁぁぁああああぁぁああああああぁああああああああぁぁぁぁああ!!!!??!??!!!!??」
思わず絶叫した。
*
何故こいつが目の前に居るのかわからない、しかも寝る前には居なかった筈だ、正直色々と怖い。もしかしたらもしかするかも知れない。その場合は責任を取るしか無いのか…?
ナインと自分の衣類には目立った乱れはない、セーフか…?多分。
色々と怖いが取り敢えず起こす事にした。それにしても良く寝てるなこいつ。
布団から起き上がり、体を揺さぶりながら声を掛ける。
「おい、起きろ、起きてくれ」
「ぐぅ……」
駄目ですねこれは、完全に熟睡ですわ。
………かっ、勝手に布団に入って来たんやから悪戯()してもバレへんやろ…グヘヘへ…ヌフヘへへへ………。
先ずは何をしてやろうかとナインを舐め回すように観察する。若干処ではない位に変態チックである、正確にはド変態チックだが。
それにしてもこの人形、普段の性格が鳴りを潜めるていると中々に美人である。いつもは元気溌剌で美人と言うよりやんちゃ娘と言うイメージが先行してしまっていたが、どうやらそれは間違いだった様である。
2つに結ばれていた赤朽葉の髪は今は長々しく下ろされている。まるで瀬戸物の様に白い頬は健やかに眠っている為か上気していて厭に色っぽく、右目の傷も指でなそってしまいたくなる程美しく映えて見えた。普段とは違ってポリエステル生地の薄い寝巻きに包まれた姉とは違い豊満な肢体は、艶やかに私の自制心を揺さぶった。
……なんか悪戯するのが申し訳無くなってきたな、万が一姉の《UMP45》に見付かった場合は何をされるかわからんし…下手したら一生立ち上がれなくされそうだ……うーん、辞めようかな。
でもただで引き下がるのも何か癪に障るしな、寝顔でも撮っておくかな。
携帯電話を取り出してカメラを向ける、起こしてしまわない様にフラッシュは切って暗所モードで撮ることにする。勘が良いから気付くかもしれないが寝てるから心配ないだろう。
「んー………この辺かな?よっと」
「良く撮れてるじゃない」
「だろ?…………ぇ」
「どうしたのかしら、指揮官?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた………ヤバいな、どうにかやり過ごさなければ。
「い、居たのか45。どっから入ってきた、鍵は掛かってただろ?」
「ああ?あれの事、ナインが壊して入ったのか掛かってなかったわよ」
「えぇ…」
どうやって入ってきたかの謎は解けたな。
「まあいいじゃない、あの子だって最近『指揮官が遊んでくれない~』ってぶー垂れてたのよ。少し位許してあげてね」
「ほう」
多分やり過ごせそうやな。
「ならばこの写真で私の部屋の鍵を破壊した事は許すことにしよう」
「それでいいわ」
カーテンの隙間から入る月明かりに照らされた45は、静かに微笑んでいた。
内心指揮官は凄く安堵していた、45から逃げ切れそうだからだ。このまま誤魔化し続ければ私がナインに悪戯しようとしたことはバレないだろう。
「45は何故ここに?」
すると45は此方を見てニッコリと笑った、何故か私は肉食獣に睨まれた様に恐怖で動けなくなった。
「ナインが指揮官に変な事されてないか心配で心配で、だから見に来たのよ、指揮官」
「ほ、ほう。まあ大丈夫だろう、私には416が居るからな」
「じゃあさっきは何しようとしてたのかしら?」
笑顔の圧が増した気がする、息が詰まって死にそうである。
「あー、写真を撮ってただろ?」
「ふふ、その前よ。私にはナインに良からぬ事をしようとしてる様に見えたのだけど、もしかして浮気?」
「見てたのかよ」
「見てたのよ」
下手したら45経由で416にも立ち上がれなくされそう。土下座するしかない気がする、どうしようか。
私は━━━━━━━
「すみませんでした、悪戯しようとしてました」
━━━━━━━全力で土下座した。
「正直で良いわよ、今回は見逃してあげるわ」
「アザス!アザス!」
助かる為にはプライドは捨てなければならないのだ。
今回の書き出しの元ネタがわかった人はかなりの本好き(偏見)
でも有名な本だからわかる人多そうやなぁ
今回も適当ですみません!許して下さい!何でもしますから!