異世界に転生したら、食べるのと料理するのが好きな魔法使いになってたって話 作:小鳥遊やよい
(ん、まぶし)
ゆずは目を覚ました。
そして今、自分がされていることをしっかりと理解し、声をあげた。
「オンギャアアアアアァァァァ!!!!!!」
(さわんなクソがあああああぁぁぁぁ!!!!!!)
「はぁい、元気な女の子ですよー」
「......よかった、元気で...産まれてきてくれてありがとう...」
感動的な場面の中、ゆずはひとり、思いをぶちまけていた。
「オンギャアアアアアァァァァッ!!!!!!オンギャアッ!!!!!!」
(マジで転生しやがった!許さねーぞあのコスプレ野郎ッ!!!!!!)
「なんて名前にするんだい?」
この男の人は...お父さんにあたる人だろう。
「────ユズ。いい名前でしょう?」
窓の外を眺めながらお母さんにあたる人が喋った。
「ああ、いい名前だ。ほらユズ、お父さんだぞー」
(うまくやっていけるんだろうか─────)
ゆずはそれだけが心配でしかなかった。
◆◇◆◇
あれから五年。
「お母様!お料理のお手伝いするわ!」
「あら、ユズ。じゃあお願いしようかな」
最近のユズの趣味は、お母さんの料理のお手伝い。
異世界ならではの食材は、ユズの好奇心をくすぐった。
お母さんは魔女で、お父さんは優秀な鍛治職人。
ユズは二人を見て、どんどん技術を学んだ。
4歳になる前には、ちょっとした魔法も使えた。
他の魔女の子より、成長が著しく速いらしい。
◆◇◆◇
「ごちそーさまっ!お母様、遊びに行ってくるね!」
「暗くなる前に帰ってくるのよ」
ユズが住んでいる街、ベルガモットは農業や商業が発展していて、
ぶらぶら歩くのに飽きない。
「ユズちゃん!ココポの実、いるかい?」
八百屋のライおじさんがそう言った。
「ライおじさま!ありがとう!」
「ユズちゃんは小さいのにしっかりしててお利口さんだな!
よし、もう一個持ってけ!」
「わあっ!いいんですか?」
「いいよいいよ!オレはユズちゃんの笑顔見れたらそれでいいんだ!」
「ありがとうございます!ではこれで!」
ユズはココポの実の皮を剥きながら歩き始めた。
ココポは庭でも簡単に育てられる小さな木。
それになる実は、白い皮を剥けばもちもちでオレンジ色の
小さな果肉が顔を出す。生でも食べられて小腹が空いたときに便利だ。
「ピチピチッピチチッ」
ココポの実の甘い香りに誘われて、野生のピョチがとんできた。
ピョチは人懐っこいので、手を差し出せばそこにとまってくれる。
剥いたばかりのココポの実をやると、食べてくれた。
「お友達、なる?」
ピョチはピピッと鳴いてくれた。いいよの合図だ。
ゆずは覚えたての呪文を唱えた。
「しぜんのばんにんよ、われにちからを」
「今日からキミはバジルってなまえね!!」
バジルは嬉しそうにさえずった。