異世界に転生したら、食べるのと料理するのが好きな魔法使いになってたって話 作:小鳥遊やよい
「ただいまー!見てみて、このピョチ!かわいいでしょ?」
ユズは帰ってくるなりお母さんに自慢した。
「かわいいわね、お友達になってくれたの?」
「うん!バジルっていうの!」
「そっか。ごはんはどうする?」
「私、おなかすいた!バジルと一緒におやつ作りたい!」
「お母さん、見てるからキッチン使っていいわよ」
「やった!お母様、ありがとう!」
ユズは冷蔵庫や棚の中身とよく相談して、作るおやつを決めた。
「ココポとキャラリとラミのパイ!どうバジル、
おいしそうでしょ?」
バジルは羽をバタバタさせて、ピピピッと鳴いた。
すごく嬉しそう。
まずは、冷蔵庫にいっぱい入っていたココポの皮を剥いていく。
バジルはココポの皮にくちばしを刺して穴を開けやすい
ようにしてくれた。
ココポの実は焼くと、とろとろのクリーム状になるし、
甘味が増す。それがユズは大好きだ。
「バジル!おしごとだよ!」
ユズはバジルを呼んだ。
キャラリを砕いてもらうためだ。
キャラリは人間界でいうナッツのようなもの。
キャラメルのような味がするのでキャラリという名前らしい。
袋いっぱいにキャラリを詰め込んで封をする。
それをバジルの前に置くと、コツコツコツとくちばしで
砕いてくれた。
その間にラミの用意をする。
庭の家庭菜園に行き、ラミの木の前に立つ。
手の届く枝の先には実が房になっている。
綺麗な紫色。収穫しても良さそうだ。
ぶどうみたいだけど、実は梨のような食感。
酸味があるので、甘いココポとキャラリに合うはず。
そう考えながら、ユズはキッチンに戻る。
キッチンにはお母さんがいた。前には型にはめたパイ生地がある。
「この前作ったパイ生地よ。時間魔法で生地の時間は
止めてあるから、作りたてホヤホヤの状態だからね」
「お母様!ありがとう!」
ラミは房から一つ一つ実をとって水で洗った。
パイ生地にココポとキャラリとラミを入れ、
細長く切ってあるパイ生地を網の目状にのせていく。
お母さんはオーブンの用意までしてくれたようだ。
温まったオーブンにパイを入れ、焼いていく。
焼いている間はお母さんとおしゃべりした。
「そういえば、ユズにプレゼントがあるの」
「なになに?!」
「身に付けると、モンスターと会話ができるブレスレットよ」
そのブレスレットは見た目は普通のブレスレットだが、
感じ取れるオーラは普通ではない。本当に効果がありそうだ。
「いいの?!」
「いいわよ。ユズにモンスターの友達が出来たらあげよう
と思って作ったの」
「手作り?!お母様すごい!」
早速つけてみた。
《ユズ!》
「バジル?!バジルがしゃべった!」
《ぼくと友達になってくれてありがとう!》
「こちらこそ!ずーっといっしょにいようね!」
その時ちょうどタイマーがなった。
パイが焼けたのだ。
急いでキッチンに行き、パイの焼き加減を見た。
《カンペキだね》
パイには見事な焼き色がついていて、とてもとてもおいしそうだった。
切り分けると、ココポがいい感じにとろけていて甘い香りがした。
《「「いただきます!」」》
「...!!すっごいおいしい!」
「ココポとキャラリとラミってよく合うのねぇ、
とっても美味しいわ。さすがユズね」
《おいしいね、ユズ》
パイ作りは大成功だ。