俺は走っていた。
逃げる様にただひたすら走っていた。
後ろには魔女の姿をした女が1人、俺を追う。
彼女の狙いは俺が手に持つこれであろう。
これは
何故一端の騎士である俺が知ってるのか?それは、記憶にある。
俺の記憶の中には蒼き狗のごとき槍使いや赤い弓兵、鉛色の巨人などがある。
その中で、この鞘についての知識があるから知っているのだ。
そこで思いついたのだ。騎士王アーサーがこの記憶通りにならないようにすればいいと。
この時代で殺されるならばこの鞘を騎士王アーサーに届け、不老不死として生きてもらい、これから先を見届けて貰ったらいいだろう。
この世界が記憶にある世界であることはアーサーを見て分かっているので、残酷なことかもしれないが聖杯という道具に縋るくらいなら生きて全てを見届けて貰った方がいい。
そして今、カムランの丘で殺し合っている父子?母子?まぁ、あの親子の子が思っているものを教えてあげようかな?
そう思っていた。
後ろから追って来る彼女の名はモルガン・ル・フェイ。確かにアーサーの異母姉だったはず。彼女の魔術が俺を殺しにかかるが、もう片方の手に持つ
カムランの丘に辿り着く頃、木の根につまづいてしまい、モルガンの魔術を心臓に受け、抉り取られた。
「ふ、アタイからその鞘を奪うからだよ。恨むんなら取り返すよう指示したアーサーを恨みな。」
そう言いながら俺の手から鞘を手に取る。俺は足掻きで、剣の権能を発動させた。
モルガンは俺が剣の鋒を向けているのを見て腹を抱えて笑いだした。
「はははははっ!!そんなので何ができるってんだい?心臓抉り取られたってのに動けるのは驚愕ものだが、そこまで。あぁあ、あんたのせいで余計な時間を取ったじゃない。綺麗に消してあ────」
「
何か言っていたが聞く余裕などない。一か八かで権能を使い、アーサーの持つ星剣約束された勝利の剣の7〜8倍の威力の碧い極光が出て、今まで走っていた森が更地となり、倒れていたため、勢いよく吹き飛んだ。
モルガンが消し炭となり、残っていた鞘をギリギリで掴み取った。
地面を見たら落下予測地点には丁度モードレッド卿がアーサーに
俺が落ちた頃には、アーサー王が丘で泣き叫んでいるところだ。
ズシャッ!!!!!!!!
勢いよく地面に叩きつけられたが死するまでもう少しだけ耐えてくれ。
「ッ!?!?!?!?」
アーサーも泣き叫んでいたら目の前に死体が落ちてきたことにビックリして尻もちをついた様だ。
「騎士王……アーサー………貴方の…鞘を……取り戻しました……私はもう…………持ちません……なので一言……よろしい…………でしょうか…………?」
俺はもう動かない身体を無理に動かして手に持つ鞘を差し出す。
アーサーは慌てて駆け寄ってきた。
「何故この鞘がッ!?!?……………………何故この鞘を私に…………そのようなことをしなければ貴方は生きていた筈……どうして………」
アーサーは涙を流しながら鞘ごと俺の手を取る
「……何故…………か…………以前、私は…………モードレッド卿と酒を飲み…………言葉を交わした…………その時、モードレッド卿はなんと申したと思います?……………モードレッド卿は…………貴方の渇き切った心を潤わせたかったと、孤独を癒したかったと…………申してました…………だから私は…………この鞘を持つ貴方が……
アーサーが鞘を受け取ったら手を地面に垂らす。血がドクドクと流れ出る中、アーサーが見届けてくれる中で一言。
「…………貴方は…………アルトリアという1人の少女として………生きたら………いいのです……………………あぁ、
「ッ!?何故私の幼名を知ッ………………ねぇ!!ねぇったら!!ねぇ──」
この最後の一言は禁句だったのだろう。そんなこと露知らずにアーサーが声をかける中、俺は眼を閉じた。
???sideout
アルトリアside
私は王に相応しくなかった。
そう心を攻めていた。
そこに、ブリテン国の騎士の1人が私の目の前に落ちてきた。
思わず尻もちを付いたが、それどころではなくなった。モルガンに奪われたはずの鞘を手にしていた。
聞くと、取り戻してきたという。その対価に命を失っているが。
その騎士が語る事を聞くことしか出来なかった。
「…………貴方は…………アルトリアという1人の少女として………生きたら………いいのです……………………あぁ、
最期、私に少女として生きていけと言って、気になることを申してから眼を閉じた。幼名が知られていることが気になり叫ぶが応答してくれない。
「ッ!?何故私の幼名を知ッ………………ねぇ!!ねぇったら!!ねぇ!!!!…………………………ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい──────────」
「こら、そんなに絞めたらいけないだろ?」
死んでしまった。それが私の心を抉り、自責の念に囚われていた。そこに、マーリンが幻影体で現れ、軽く私を叱責する。
「…………………………マー……リン?」
「あぁ、僕だよ。何故此処にいるのかって?それは、この人が気になるからだよ。僕の千里眼を持ってしても何もわからなかった。だから監視してたんだ。そして、死んだ。でも、君のせいではない。それでもそのまま泣き叫ぶのかい?」
「彼が…………言ってました。第2の生では幸せを噛み締めたかったと。鞘を取り戻さなかったら幸せを掴み取る事は出来たはず。マーリン、貴方は…………………………………………………………………が出来るでしょうか?」
私は、ある提案をマーリンにした。それが私は二度と自由がなく、私に生を託した彼を冒涜することだろうとしても。
「あぁ、可能だ。でも、君は託されたのだろう?それを棒に奮ってもいいのかい?」
「はい、構いません。王として最期の務めです。」
「……………………そうかい。なら、いくよ!!!!!!!!」
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