王なる少女と見る世界   作:星の空

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第6話 化け…………お姉さんと旅

ハジメが奈落に落ち、暴走気味の香織をメルド団長が気絶させてから直ぐに撤退をした。

階段を登った先に魔法陣があり、それに乗って転移したら、あのグランなんたら鉱石のトラップがあった場所まで戻っており、クラスメイト達が助かったからと座り込む者が出たが、メルド団長の大迷宮外に出るまで耐えろと発破をかけられて渋々進む。

無事に脱出したらメルド団長は新たなトラップと1人死亡の旨を管理員に説明。

その後、ホルアドの宿で1泊し、直ぐに王宮に帰還した。

あれから5日程経ったのだが、1部を除いて皆沈痛な面持ちである。何より、ハジメが落ちた事について誰も語ろうとしない。それもそうさ。自分の攻撃が当たったのではないか?と思い込んでいるのだ。犯人を知る俺や、実際に目にした白崎以外は知らない。まぁ、白崎が起きていたら今頃檜山は生きてない。

アルトリアは鈴のケアをしているためここにはおらず、瓸は檜山の監視をしている。

俺はと言うと、メルド団長のもとに向かっていた。

団長の執務室に着き、ノックをする。

『ん?入っていいぞ?』

許可を得たので入る。

「…………嶺亜か。何か相談事か?」

「あぁ。少し時間はいいか?」

俺はメルド団長を連れて、いつも鍛錬をしている森に来る。

「どうした?こんな所に呼んでまで誰にも聞かれたくない事でもあるのか?」

「…………………………展開」

俺はいつもの様に四方に氷柱を生やし、結界を貼る。この結界は誰にも認識されない空間で、エヒトですら気づいてない。

「団長、俺とアルトリア、瓸は此処を離れます。」

「…………何故そのようなことを言う?今、お前達に離れられたら困る。何となく離れようとするわけは分かる。坊主のことだろ?だが、お前のクラスメイト達はどうする?お前達がいなくなったら皆が悲しむぞ?」

「そんなもの分かってる。」

「だったら────」

「だが、この世界の真実を知った以上は此処にいることに反吐が出る。それに、クラスメイトらの1部は見限ることにした。このまま全滅するよりはその1部を見捨ててでも残りを元の世界に戻す。」

「ぬぅ…………見限ったのは誰だ?」

「白崎、八重樫、谷口、永山、野村、遠藤、辻、吉野、相川、仁村、玉井、菅原、宮崎、園部、南雲、畑山先生以外だ。天之河は自分のエゴで皆を戦争に巻き込んだ。坂上は論外。檜山は南雲を奈落に突き落とす。清水は堕ちる。中村は倫理観がない。その他は保身に走り過ぎだからだ。」

「………………坊主を落としたのが大介だと何故分かった?あと恵里に倫理観がないというのは?それに、この世界の真実とはなんだ?」

「檜山の件は前日に抑えようとしたが出来ず、南雲は嫉妬で落とされた。中村は天職の死霊術師を使って魔物の死体を使役したり、アンタの部下をこっそりと殺って数を増やしてる。………………真実を知ったら教会の人間に殺されるが構わんか?」

「…………構わん。気がかりなことが多々ある。それが知れるのならいい。お前達を巻き込み、死と隣り合わせにしたのだ。だったら俺にも何かしらを背負う義務がある。お前達の生命然り、な。」

「…………………………この世界は神の玩具だ(・・・・・)。創世神エヒトと魔神アルヴ?は繋がっている。いや、アルヴは確かエヒトの眷属だったか?数百年前にそいつらの血を引いた子らが偶然聞いたそうだ。人間族と魔人族の戦争は遊びに過ぎんとな。それを聞いた神の子らは叛逆し、解放者としてエヒトに挑んだ。だが、戦う前に負けた。神敵として追われる羽目になった。解放者達はエヒトに洗脳された守ろうとした者達に追われ数を減らし、残り7人となった。」

この話を聞いていくに連れて顔を青くしていく団長。

「…………その7人は…………どうなった。」

「7人の名はオスカー・オルクス(・・・・)、ミレディ・ライセン(・・・・)、ナイズ・グリューエン(・・・・・・)、メイル・メルジーネ(・・・・・)、リューティリス・ハルツィナ(・・・・・)、ヴァンドゥル・シュネー(・・・・)、最後にラウス・バーン(・・・)だ。」

「ッ!!!!!?オルクスに………………バーンだと!?それに……彼らの苗字は………………」

「あぁ。シャルムとラウスの関係は知らんがな。彼ら7人は最後、後世に賭けた。神々から人々を解放して貰うために。だが、それだけでは神に勝てん。だから試練を与えた。七大迷宮(・・・・)が彼らの与えた試練だ。俺がこの真実を知ったのはこの世界に来て直ぐにバーンの迷宮を見つけてな。御手洗と称して入り、知った。七大迷宮にはそれぞれ攻略したら褒賞として神代の魔術が手に入る。ついでに攻略順も言おう。最初はグリューエン大火山で空間魔術、次にメルジーネ海底遺跡で再生魔術、その次がシュネー雪原で変成魔術、その次にライセン大峡谷で重力魔術、その次はオルクス大迷宮で生成魔術、最後にバーンの迷宮で魂魄魔術だ。これらはバーンの手記に残されていたもの。各迷宮内の内容は知らないがな。」

「……………エヒト神が裏で操っていたから戦争が数百年に渡って未だに終えないのか。ははっ、絶好のチャンスで撤退させられ、逆転されたのは遊びが終わらないようにするためか……………最後に……エヒト神は何故お前達を召喚した?まさか、刺激が欲しかったとかじゃないだろうな?」

団長はこの世界の真実を知り、本能的に恐れた。そして、疑問も晴れ、最後の疑問を俺にぶつけてきた。俺は渋々答えることにした。

「………………依代選びだ。エヒトは俺ら召喚された誰かを乗っ取り、この世界を破却する気だ。召喚直後に物色されたから何となく分かった。話がだいぶそれたが、まとめて言えば気色悪いから離れる事にした。」

「………………………………分かった。それで、いつ出ていく気だ?」

「白崎にある事を教えたらだな。っと、あんたにもこれを渡しておく。」

「ん?なんだこれは?」

「これはある弓兵が愛用した2本1対の双剣干将と莫耶だ。この双剣の特徴は夫婦剣とも呼ばれる所縁のように1本が遠くにあれどもう1本の方に引き付けられるという権能がある。それをこのサイズにしてアクセサリーにしたものだ。アンタには莫耶の方を渡しておく。このアクセサリーには特徴があり、例えば莫耶の所持者が死んだら莫耶は干将の所持者のもとに行くよう設定されている。」

「ふむふむ、これで嶺亜の生死が常に分かると。」

「必要最低限でも、生きてることは分かってた方がいいだろ。あ、通信機能も付いているから何かあったら教えるくらいはするさ。」

「……………………ほんとうに行くんだな?」

「あぁ、帰る方法を見つけるためでもある。ッ…………白崎が目を覚ましたようだ。メルド団長、今の真実は誰にも話さないように。此処を出ていく前に魂魄魔術でまだ中村の手に堕ちてない騎士の魂を保護しておく。っと、今即席で造ったが一応これも渡しておく。生者と死者を見分ける眼鏡だ。伊達眼鏡みたいなもんだから執務中にでも掛けておけ。」

話が済んだので伴って白崎のもとに向かう。

白崎の部屋前に来たら

「す、すまん!」

「じゃ、邪魔したな!」

天之河と坂上が慌てて部屋から出てきてそそくさと去っていき、

「さっさと戻ってきなさい!この大馬鹿者ども!」

と、八重樫が部屋を飛び出して2人を追いかけていく。俺とメルド団長はキョトンとしながら白崎の部屋の戸をノックした。

「…………?はい」

白崎は普通に戸を開けてくれた。

「目が覚めた様だな。」

「どこも異常はないか?後で医師に見てもらった方がいいだろう。……………………白崎、落ち着いているようだが…その……坊主のことは………」

「…………それなら大丈夫です。南雲くんが死んだとは限りません。確かにあの奈落の底に落ちたなら99%死んだと思うでしょうが、まだ、1%もあるんです。私はその1%に賭けて南雲くんを追います。」

「…………そうか」

「なぁ白崎、ホアルドで俺が渡したものはまだ持ってるか?」

「?まだ持ってるよ?この白い方だけど………黒は南雲くんに渡したし…………………どうしたの?」

「…………聞いて喜べ、南雲は80%の確率で生きている。」

「えっ!?ほんと!?南雲くんは今何処!?」

「ちょっ待て!!落ち着け白崎!!順に説明するから!」

ハジメの生存を示唆すると白崎は興奮して迫ってきたので抑えて落ち着かせる。

「あっ、ごめんなさい。」

「それじゃあ俺は皆に香織が目を覚ました事を教えてくる。」

メルド団長はそう言い残して白崎の部屋から立ち去った。俺は白崎に説明するために中に入れてもらい、椅子に座る。

「まず、俺があんたに渡したストラップは2本1対で1つだ。そして、磁石のような力もある。ただ、その磁石のような力は特殊条件発動するようにした。例えば白の持ち主が死んだとする。そしたら白は黒の方に引き付けられ、黒の持ち主に渡る。つまり、今ここに黒がないということはハジメがまだ生きている証だ。ただ、どこにいるかまでは分からないがな。」

「………………ねぇ、燚氷くんは南雲くんを落とした人が分かる?」

「………………あぁ。あんたも目にしてた筈だ。あの時、1人だけ火球を連続で放っていたのをな。」

「………………やっぱり、檜山くんなんだね。フフッ、許さないんだから」

ハジメを奈落の底へと落としたのが檜山だと教えたら、急にブラック化した白崎に若干頬を引き攣らせた。

「………………白崎、俺とアルトリア、瓸は此処を離れることにした。」

「フフフフって、どうして?」

「1部を除いて見限ったからだ。天之河は自分のエゴに皆を巻き込むし、檜山は現実逃避し続け、中村は騎士の人らを殺して自分の部下にしていく。その他は保身に走り過ぎだからだ。」

「えっ!?恵里ちゃんが!?どうして!?」

「恐らくあんたや八重樫を排除して天之河を好きにしたいんだろう。天之河の傍にはいつも白崎か八重樫がいて尚且つ周りの女子共の牽制によって近づけず悶々とした。鈴の親友ポジで近づいていた様だがな。中村は整い次第クーデターを引き起こすだろうし、俺らは巻き込まれる前に出ていくつもりだ。」

「出て行った後はどうするの?」

「元の世界への帰還方法が粗方分かったから後は手に入れるだけだ。そんときに生き残った奴は連れてくつもりだ。その前に蹴りを付けるか。」

「???」

 

✲✲✲

 

白崎が目を覚ましたため、連れて食堂に向かう。食堂には未だに沈痛な面持ちでいるクラスメイト達がおり、白崎は軽く現状を察した様だ。

1人、此方を向いて戻し、驚愕した顔で此方を見る。

「し、白崎さん!?!?」

その声に周りも一斉に此方を見る。皆が皆此方に駆け寄って来たので、

「待った。白崎が話したいことがあるそうだから全員を此処に集めてくれ。」

「………………分かった。」

比較的冷静な永山が動いたおかげで対立することなくクラスメイトや畑山先生、騎士達が食堂に集った。

1度周りを見て一息して白崎は声を出した。

「まず、迷惑を掛けてごめんなさい。」

気にするな、という野次がとぶ。それを聴きながらさらに続ける。

「そして、私は南雲くんを落としたのが誰かを知ってる。」

その一言で黙り込んだ。それもそうだろう。皆はハジメの自業自得で(・・・・・)火球にぶつかって落ちていった。死人に口なしにすることで誰も語ろうとしなかった。

「燚氷くんもこの事を知ってたけど私が目を覚ますまで黙ってたの。事実確認がまだだったからって。」

全員が俺に注目するが俺は俄然せず、手足を組んで目を瞑る。沈黙は肯定である。

「それに、皆はなんで南雲くんが死んだって決めつけてるのかな?私はまだ生きてるって確信(・・)してる。確かにあの高さを落ちたら99%死んだと思うだろうけど………まだ(・・)1%もある。それなら死んだって決めつけれないよ。」

白崎のこの一言に、ハジメに救われた園部や遠目に心配していた永山や遠藤、野村。守ると誓い、果たせなかった騎士達は身を奮わせた。

「そんな訳ねぇ!!!!彼奴は…………南雲は死んだ!!!!皆も見てたろ!!!!!!」

だが、それを否定した者がいた。無論、檜山である。

「どうして否定できるのかねぇ?南雲は落ちただけで生きてる可能性がまだある。そう言ってるのに死んだと決め付けれるのか…………教えてくれるかな?」

瓸が落ちただけで死なない。言外にそう言って、その意味を悟った檜山は黙り込む。

それを見た白崎は今にも殺したいのを必死に抑えているのが誰でも分かる声音で続ける。

「話を戻すけど…………聞きたかったんだ。なんで…南雲くんを殺そうとしたのかって。ねぇ、嘘偽りなく答えてくれるかな?檜山くん?正直に言って私は貴方みたいな人が大っ嫌いだったってことは前にも言ってたからね。その事も踏まえてね。」

檜山くん?と言われたところで全員が檜山を凝視する。

「………………ねぇよ。」

「聞こえんぞ?少し声を大きくしろ。」

永山が聞こえないと注意する。畑山先生は檜山1人を責めない!と言いたそうにしてたけど、アルトリアが白崎の気持ちを汲み取ってくださいと小声で言い、抑えて貰っている。

「あのキモオタな南雲が白崎さんに相応しくねぇんだよ!!!!!!!!キモオタが白崎さんに適うなら南雲より俺の方が相応しいだろうが!!!!!!!!」

全員が目を点にした。何言ってんだこいつ?である。皆がその事でフリーズしていたら声がかけられた。

「あら〜ん、人の恋路に相応しいとか相応しくないというのは関係ないわよ〜ん♥坊ちゃん?」

その声に反応して、食堂の出入口に振り向くと………………いた。

……………………………………………………化け物が。

正確には、身長二メートル強、全身に筋肉という天然の鎧を纏い、劇画かと思うほど濃ゆい顔、禿頭の天辺にはチョコンと一房の長い髪が生えており三つ編みに結われて先端をピンクのリボンで纏めている。動く度に全身の筋肉がピクピクと動きギシミシと音を立て、両手を頬の隣で組み、くねくねと動いている。服装は……いや、言うべきではないだろう。少なくとも、ゴン太の腕と足、そして腹筋が丸見えの服装とだけ言っておこう。

「恋とはややこしいのよ〜?だって、好きな人と一緒にいたい、認められたい、そう言った思いが強く周りのことは気にしなくなるんだからぁ〜♥白崎さんって娘が前にいる僧侶姿の娘なら、最初は一目惚れだけど想い続けるうちに本当に心から愛したい、幸せになりたい、大切にしたいって思いが分かるわ〜ん♥そのくせ、檜山くんは独占欲が強いわねぇ。でも、それは本人ではなく容姿から来てるわね。人は見た目でなく心から愛さないとその恋は崩れ落ちるんだからぁ〜♥」

言い当てられた両者それぞれの反応をする。白崎は両手で顔を覆い顔を真っ赤にしてるのを隠そうとしており、檜山は顔を青ざめていた。

「あっ、いきなり割って入ってごめんねぇ〜♪私はクリスタベル(・・・・・・)。ブルックの街で服屋を営んでるしがない店長よぉ〜。今日はリリアーナ姫のお召し物のために来たのぉ〜。帰りがけに此処に神妙な顔した子達がいたから気になっちゃってねぇ〜。それで、事情を教えて貰えるかしらぁ〜?」

陽気な話し方で自己紹介をするクリスタベル。しかし、その目は歴戦の猛者のそれであった。

瓸が顔を引き攣らせながら説明をした。

「あらあらぁ〜、それはいけないわねぇ〜。そうだわぁ!」

事情を知ったクリスタベルは陽気さが減り、若干怒ってるのでは?と感じさせる声で心配し、何か思いついた様だ。

「騎士団長様はいらっしゃるかしらぁ〜?」

「あ、あぁ。俺が騎士団長のメルドだ。」

「騎士団長様ぁ、あの子をしばらく借りていいかしらぁ?あと、恋路で少し危ない子(・・・・・・)もねぇ。」

檜山を借りると言われ、檜山がビクつき、少し危ない子と言われ、クリスタベルにガン見された中村が思わず後ずさった。

「俺の独断では出来んが…………上には掛け合って見よう。」

そそくさと去ろうとしたメルド団長。他の騎士達が団長を見て逃げる気かゴラァ!と目力を団長に注ぐ。

「あ、上にはこういっといたら頷いてくれるわぁ〜。元金ランク冒険者(・・・・・・・・)戦乙女(ヴァルキリー)のクリスタベルってねぇ〜♥」

「あ、あぁ。少し揉めるかもしれんから時間を食うだろうからしばらく待っててくれ。」

『♯¿©ღ◣®#*☆$!!!!!!!!!!!!!!!!』

あ、団長がクリスタベルに待つように言ったら男子の1部が発狂した。女子共はクリスタベルが女の気持ちを知り、服なども扱う恋愛のスペシャリストだと分かったからか、そう言った話をするためにクリスタベルのもとに集まっていた。

………………檜山と中村はこれからどうなるのかが心配で青ざめていたが。

ちなみに天之河と坂上は白崎が話したいと言っていたから黙っていたが、それが、白崎の恋簿だった事で複雑そうだ。ついでに天之河もクリスタベルに連れてかれたらいいのに。

こっそりとクリスタベルに告げ口したら、

「あの子が勇者ならおいそれと外に出せないんじゃないのかしらぁ?あの子が人の闇を知らずに唯助けるというエゴを掲げて皆を戦争参加に引っ張ったのは分かったわぁ〜♪人の闇を知って貰わなくちゃねぇ〜。」

その時、天之河は言い逃れようのない怖気が全身を走ったとか。

しばらくして団長が戻ってきた。

「大丈夫だそうです。世間を知るのもいいだろうと。」

「あらそう、なら、檜山くんとそこの眼鏡の娘、出来たら爽やかな子も一緒に来て欲しいんだけどぉ…………私の予想からして貴方が勇者でしょ〜?一緒に来れないのは残念。勇者くんはたまぁにブルックに来て欲しいわぁ〜♥私が教えることもあるだろうしねぇ〜♥」

クリスタベルは何処まで鋭いのだろうか?慧眼だ。

「大介と恵里は準備してこい!彼女?は元とは言え金ランク冒険者だ。経験は豊富だと思うぞ!!」

「「ヒィッ!!は、はい!!!!」」

2人が化け物を見るような目でクリスタベルを見れば、クリスタベルは目で「だぁ~れが、伝説級の魔物すら裸足で逃げ出す、見ただけで正気度がゼロを通り越してマイナスに突入するような化物だゴラァァアア!!」と叫んでいるのが分かったのか、大急ぎで準備をしに食堂から出て行った。

思わず合掌した者が結構いた。

「それじゃあ私は行くわぁ〜♪王宮の門前で待ってるわよ〜ん♥香織ちゃんの恋が叶うのを願ってるからねぇ〜♥」

クリスタベルも食堂から出て行き、男子の大半が座り込んだ。畑山先生がクリスタベルを尊敬の眼差しで送って行ったのは忘れまい。

「おっほん。この件で採用された案があるのだが………………聞くか?」

『???』

 

団長から聞かされたのは俺にとっては嬉しいものだった。

「あぁ、上で採用されたものなんだが、旅をしてみるか?なんせ今まで迷宮でしか鍛えてない。それだと実戦経験は出来るが皆の蟠りは無くならんだろう。そこで、旅に出て実戦は無論、他の経験を積むのもいいだろうとなった。上は上で皆が復帰する事を望んでいたそうだがな。ただ、何組かチームになってもらうぞ?あと、3ヶ月おきに1度戻ってもらうし、付き添いの者も付ける。あぁ、残りたい者は残っていいそうだが、せめて身体を動かしてくれとのことだ。」

「メルド団長!それでは魔人族が───────」

「なぁに、お前達が復帰出来る可能性が少しでもあるなら俺たちは幾らでも頑張ろう!あぁ、光輝には悪いがお前は旅にでろよ?1度外の世界を見てもらった方が考えることを思わせるだろうしな!」

そこから、チーム分けが始まり、決まった。

Aチーム:天之河・坂上・八重樫・白崎・付き添いがホセ

Bチーム:永山・野村・遠藤・辻・吉野・付き添いがニート

Cチーム:近藤・中野・斎藤・縈・付き添いがハルファス

Dチーム:相川・仁村・玉井・清水・付き添いが強い要望で畑山先生

Eチーム:菅原・宮崎・園部・七瀬・付き添いが強い要望で畑山先生

Fチーム:燚氷・燚氷・燈燐・谷口・付き添いがアラン

ということになった。Gチームからは知らん。

出発は準備と覚悟が出来てからだ。

皆は思い思いに話しあっており、完全な出発は王都のギルドで登録してから出発をする。

俺グリューエン大火山に挑むために、アンカジ公国を目指すと予め言っていたので明日が楽しみである。

あ、団長の要望で夫婦剣を頼まれ、造って干将ストラップ(ブレスレット)を配った。板に出席番号順に名と白莫耶ストラップ(ブレスレット)をかけたので死んだか死んでないかがいつも分かる。

通信機能についてはチームリーダーに伝えてあるので3ヶ月経ったら団長が連絡するようにしている。

あぁ、明日が楽しみである。

 


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