出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
拙い点が多々あるとは思いますが、お楽しみいただければ幸いです。
第0話:プロローグ
俺の名は
…なんでこんな事を脳内で確認しているのかって? どうやら俺は転生者という奴らしいからだ。
うん、自分でも馬鹿な事を言っているという自覚はある。だが、そう考えなければ突然思い出された記憶の説明がつかないのだ。
前世(あえてこう表現する)の俺は、外資系のそれなりに大きな会社に勤めるサラリーマンだったようだ。
そして26歳の夏。残業を終えて帰宅する途中、飲酒運転で信号無視の車に轢き逃げされ、その生涯を終えた。
まぁ、これだけなら2度目の人生をイージーモードで過ごせるね! で済む。前世の俺は少なくとも学業面では優秀だったようだし、高校辺りまでは楽にやっていける。
だが、問題なのは…どうやらこの世界は『僕のヒーローアカデミア』通称『ヒロアカ』の世界らしい。と言うことだ。
確定できないのは、俺が原作に関してあまり知識がない事が原因だ。原作がジャ○プで連載され始めたのは、俺が社会人になってから。日々の仕事に追われて漫画をじっくり読む暇など中々取れなかったからな。
だから、うろ覚えの知識での判断になるが、父親が『誕生日に“個性”が発現するなんて、2重の意味でめでたい!』などと言っているし、99%間違いないだろう。
たしか、ヒロアカの世界では、世界総人口の8割が何らかの“個性”を持っていて、“個性”を持たない“無個性”は少数派。
表向きは個性持ちと無個性の人間は共存しているが…実際は、様々な面で冷遇されている。だったか。
うん、個性持ちで良かったと心の底から思う。無個性だというだけで、あらゆる努力が否定されるなんて、ディストピアにも程がある。
そんな事を考えているとドアチャイムが鳴り、母親が来客を出迎え…居間に入ってきた来客の姿を見た時、俺は思わず息を呑んだ。
「ごめんねライト。遅くなっちゃって。お誕生日おめでとう。ほら、出久もライトお兄ちゃんにおめでとうって言おうね」
「ラ、ライトにーちゃん、お、おめでとー!」
…どうやら俺はヒロアカの主人公、緑谷出久の母親、緑谷引子の相当年の離れた弟として転生したようだ。と、いう事は…俺は出久の叔父さんか!?
………吸阪雷鳥の記憶によると、出久は俺の3ヶ月年下。となると、あと1年半もしないうちに“無個性”の烙印を押され、周囲から冷遇される上に、あの…ば、爆、爆豪だったか? あいつに自殺を唆される程のいじめを受ける事になる。
オールマイトから“個性”『ワン・フォー・オール』を継承するとはいえ、それまでの人生は悲惨の一言だ。
そして、目の前にいる美人の姉も心労で、あんなに太って…。
あぁ、そうか。俺がこの世界に転生したのは、そういう事か。
出久…お前の運命は、俺が変える。変えてみせる!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。