出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第86話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
常闇side
「障子! 障子! しっかりしろ! 障子!」
「う、うぅ…」
それが功を奏したのか、障子は微かに意識を取り戻した。だが、この出血…決して楽観は出来ない。
「闇に紛れての不意打ち…
一瞬でも隙を作り、
「ッ! 今はそんな事を考えている場合ではない…」
そうだ、後悔なら後で幾らでも出来る。今、俺がやるべき事は…障子を安全な場所まで運ぶ事だ!
「うぉぉぉぉぉっ!」
「
俺と障子の身長差は約30cm。体重差も相当なものがある…そして、何よりも少しでも気を緩めれば、
持てる力の全てを出し尽くしてでも、障子は守ってみせる!
「肉、ねぇ…断面見せて」
だが、俺の決意を嘲笑うかのように、姿を現した
「
轟の振るう氷の手甲鉤が、その全てを防ぎきる。
「常闇! 障子!」
更に耳郎、葉隠、そして意識を失ったB組の鱗を背負った心操が、俺と障子の傍に駆けつける。来てくれたのか…。
「俺を庇って、障子がやられた。辛うじて意識はあるが、出血が酷い」
「この傷…かなり深いよ。早く治療しないと!」
「鱗君の方も、早く何とかしないと!」
障子の傷を見た耳郎、そして葉隠の声が響き―
「それなら、俺がこいつを食い止める。皆は急いで宿泊施設に行ってくれ」
轟が決断した。轟1人を残すのには抵抗があるが…
「早く行け! この中で“個性”が使えて、奴と戦えるのは…
轟…すまん! どうか、無事でいてくれ!!
マンダレイside
「てめェらのような、利己的なヒーロー擬きは粛清対象だ!」
ナイフを振り上げ、一直線に向かって来るスピナー。私はタイミングを見計らい―
[スピナー。
スピナーだけにテレパシーを送る。経験上、
「え!?」
狼狽えて、一瞬動きを止める!
「何照れてんの。
その隙に私は一気に間合いを詰め、ガラ空きになっている左の脇腹に一撃!
「でぇっ!?」
苦悶の声を上げながらも、私から距離を取るスピナー。どうやら、わずかに芯を外されたみたいね。
ミーハーとはいえ、ステインの信奉者は伊達じゃないって事か。
「なんて…っ、不潔な手を! 尻軽めが!!」
「あんたに尻軽なんて言われても、何とも思わないわ」
怒り心頭な様子のスピナーを再度挑発しようとしたその時―
「ッ!?」
私の体が浮き上がり、大男の方へと引き寄せられた。これがあいつの“個性”?
「おいで、飼い猫ちゃん」
大男は自分の得物を構え、私を叩き落そうとするけど―
「させない!!」
「きゃっ!」
間一髪、ピクシーボブの操る土の魔獣3体が、大男へ攻撃を仕掛けた事で“個性”が解除され、私は命拾い。
「いやぁん。土遊びに興味はないのにぃ!」
土の魔獣は、大男に容易く撃破されるけど―
「引石健磁、
「あらやだ。私って有名じ…んっ!」
「何をしに来た。犯罪者」
間髪入れずに虎が攻撃を仕掛け、膠着状態へと持ち込む。いや、3対2で膠着状態までにしか
虎と互角の殴り合いが出来ている時点で、マグネが相当な手練れという事は確定だし、スピナーも平均以上の実力は持ってる。
せめて、こっちがフルメンバーなら戦いようもあるけど―
「虎! ピクシーボブ! やっぱりおかしいよ…! まだ、ラグドールの応答がない。いつもなら、すぐに連絡よこすのに…!」
考えたくないけど、ラグドールの身に何かが…。
「まァ…プロだもんな」
自らの放った青い炎をギリギリで回避し、宿泊施設の2階に逃れていた俺を見ながら、どこか感心したような声を出す
すぐさま右手を向け、青い炎を放とうとするが―
「出ねえよ」
残念だが、お前の“個性”は抹消済みだ。間髪入れず、マフラーを巻き付けて動きを封じ―
「うぉっ…」
落下の勢いを加える事で威力を増した膝蹴りを顔面に叩き込んでから、一気に拘束。
「目的・人数・配置を言え」
尋問を開始した。
「何で?」
返ってきたのは在り来たりなつまらない返答。俺は一切の躊躇いなく
「ッ!!」
「こうなるからだよ。次は右だ。合理的にいこう。
「焦ってんのかよ? イレイザーヘッド」
つまらない煽りの返礼として、右肘を圧し折る。その直後、立ち上る炎と共に聞こえてくる爆発音。
「あの爆発は何だ。何を仕掛けた?」
今度は両足を潰す。声色にそんな意味を込めながら、俺は
「流石に、雄英の教師を務めるだけの事はあるよ。なぁ、ヒーロー」
「そんなに生徒が大事か?」
「守りきれるといいな……また、会おうぜ」
そんな疑問に答えを出す間もなく、完全に崩れて消える
「これしかないか」
覚悟を決めた俺は、施設の事務所へ飛び込み、そこにあった装置を起動させる。それは、宿泊施設からの指示を周辺に伝える為の放送設備。
奴の言い草は完全に生徒がターゲット…なら、止むを得ないだろう。生存率の話だ!
自衛の術を! あとで処分受けんのは―
「イレイザー!」
放送を開始しようとしたタイミングで事務所に飛び込んできたブラド。まったく、勘の良い奴だ。
「ブラド…」
「わかっている。だが、お前だけに責任は負わせん。俺だって、雄英の教師だ!」
「…すまん」
ブラドにそう言って、俺は放送設備を起動させ、マイクを手に取る。あとで処分受けんのは
「A組B組総員! プロヒーローイレイザーヘッド、ブラドキング両名の名に於いて、戦闘を許可する!!」
こんな訳もわからんままやられるなよ。卵ども!!
ナックルコングside
1年A組の特別指導を終えた俺達7人は、
「まさか、こんな事になるとは…」
仲居さんの声で部屋の外へ出てみれば、宿泊施設の辺りで山火事が発生し、爆発も確認出来た。
宿泊施設にいる面々を考えれば、これが
「総員! 予備の
俺は皆に指示を下し、急いで準備を整える。5分とかからず、出発の準備は整ったが…。
「おいおいおい…マジかよ」
忌々し気に呟くダブルトリガーだが、誰もそれを咎めない。当然だ。
仲居さん曰く、この辺りを拠点にしているワイルドワイルドプッシーキャッツの尽力で、7年ほど前から
そんなのどかな温泉街には、とても似つかわしくないチンピラどもがどこからか現れたのだから…。
「ヒャッハー! やっちまえ!!」
奇声を上げ、手当たり次第に店舗や民家を襲い始めるチンピラども。俺達はその対応に追われ、とても宿泊施設へは迎えそうにない。
「まさか、これも
「恐らくはな!」
ブロッサムの声にそう答えながら、俺は考えを巡らせる。戦力の逐次投入は愚策だが…止むを得ないか!
「レッドワスプ! お前だけでも空を飛んで宿泊施設に迎え! 向こうには、1人でも救援が必要な筈だ!」
「わかった! それと、1人なら連れて行けるが、どうする?」
「それなら私が! 山の中なら、私の“個性”も十全に発揮できます!」
レッドワスプの声に即名乗りを上げるブロッサム。たしかに、レッドワスプともう1人誰かが向かうなら、ブロッサムが最良の選択だ。
「わかった。ブロッサム行ってくれ!」
俺の指示を聞き終えると同時にブロッサムを抱えて、空に浮き上がるレッドワスプ。
「飛ばすぞ!」
「はい!」
そのまま最高速度で宿泊施設へと飛び去った。あのスピードなら15分かからずに到着する筈だ。どうか、それまで持ち堪えてくれよ!
飯田side
戦闘を許可するという相澤先生からの放送を聞きながら、僕達は宿泊施設までの道のりを全力で駆け抜け―
「先生!」
「お前達で全員か?」
「はい! ここにいない10人は既に肝試しへ出発しており…残念ながら…」
「それから出久は、別行動です。洸汰君を探しに行きました」
「…場所の検討は?」
「大まかな位置は…それに近くまで行けば、俺の
相澤先生の問いかけにそう答え、不敵に笑う吸阪君。まさか―
「……わかった。そっちは
「了解です」
「吸阪君、まさか1人で緑谷君の元へ行くつもりなのか? いくら何でも危険だ。俺も同行する!」
「俺も行くぜ!」
1人で行くという吸阪君に対し、僕や切島君は同行を申し出るが―
「それは許可出来ん。吸阪の単独行動を許すのは、こいつが仮免持ちだからだ。仮免を持っていない者を、再び施設の外に出すわけにはいかん」
相澤先生により却下されてしまう。
「…わかりました」
「…ウス」
「ブラド、ここを頼む。俺は外の生徒達を保護に向かう」
「わかった。気をつけろよ」
ブラドキング先生と短く言葉を交わし、飛び出していく相澤先生と後に続く吸阪君。
何も出来ないのなら、せめて、せめて無事を祈らせてください!
洸汰side
マンダレイからのテレパシーを受けて、逃げようとしたけど…
「見晴らしの良いとこを探して来てみれば…資料になかった顔だ」
「こんな所にいるって事は、ワイルドワイルドプッシーキャッツ辺りと関係あるんじゃないっすか? 親戚とか…
2人の大男が、いきなり現れた。真っ黒い布を被って、顔も見えないけど…2人ともヤバイ奴だってのは、わかる…。
「なァ…ところでセンスの良い帽子だな、子ども」
「俺のこのダセェマスクと交換してくれよ…納期がどうとかって、こんな玩具つけられて、泣きたくなるぜ」
そして、大男の片方がそんな事を言いながら近づいてきた。
「うぁ…」
転びそうになりながら、必死に走って逃げようとするけど―
「景気づけに一発やらせるよ」
大男は凄いスピードで回り込んで来た。被っていた布が捲れて、腕と顔が見える。あの顔―
-『ウォーターホース』…素晴らしいヒーローでした。しかし、2人の輝かしい人生は、1人の心無い犯罪者によって絶たれてしまいました-
-犯人は現在も逃走を続けており、警察とヒーローが行方を追っております-
「おまえ…!!」
-“個性”は単純な増強型で、非常に危険です-
-この顔を見かけたら、すぐに110番及びヒーローに通報を…-
-尚、現在左眼にウォーターホースに受けた
「パパ…! ママッ…!」
1日も忘れる事がなかった。パパとママを殺した
「ッ!?」
次の瞬間、誰かが俺を抱えてその場を飛びのいた。こいつ…
「んん? お前は…
「緑谷出久! オールマイトの弟子の1人っすよ!」
なんで、なんでこいつが…
「大丈夫だよ。洸汰君…必ず
最後までお読みいただき、ありがとうございました。