出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第95話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
第95話:決戦に向けて
絶無side
「戻ったね。絶無」
黒霧が展開した
「ッ!」
俺は反射的に、その場に平伏。声の主である先生に対しー
「先生、申し訳ありません! せっかく力を授けて頂いたのに…デクとぼ…オールマイトの弟子2人を仕留め損ないました…」
全力で謝罪した。黒霧の迎えがあと1分遅ければ仕留めきれた筈…正直、そんな思いもあるが……先生が俺を呼んでいるとなれば、何を差し置いても駆けつけなくてはならない。先生が俺を呼ぶまでに仕留めきれなかった俺のミスだ。
「たしかに……オールマイトの弟子を仕留めきれなかったのは、
「ッ!」
先生の静かな声に、心臓を鷲掴みにされているような感覚に陥る。全身がガタガタと震え、冷や汗が噴き出していく。だが、先生はそんな俺に対して軽く笑みを漏らし―
「だが、初陣でプロヒーロー2人を倒し、ヒーロー候補である雄英生13人に重傷を負わせた。これは失点を補って余りある程の成果だ。流石だよ絶無。それでこそ、
「そして…君は戦いの中で、僕が与えた“個性”を次の段階へと進化させた。これもまた素晴らしい。まさに君は1億人に1人の逸材だよ」
俺の戦いぶりを褒めてくれた。
「は、はい! ありがとうございます!」
床に額を擦り付けたまま聞く、先生からのお褒めの言葉。それは俺の
「今回の活躍の褒美…という訳ではないが……絶無、君に新たな“個性”を授けよう」
新たな“個性”も与えられる事になった。先生は俺に期待してくださっている。その期待に応える為にも…次こそ、デクと“没個性”野郎を必ず殺してやる!
雷鳥side
さて、病院の面会時間も終わり、俺達は帰宅の途に就いた訳だが…
「ん?」
クラクションを鳴らしながら、俺達に近づいて来る黒塗りのSUV。それに乗っていたのは
「Hi! 皆」
「メリッサさん!」
そう、メリッサさんだ。そしてSUVを運転しているのは、
聞けば、2人は1週間前来日。雄英編入後にメリッサさんが暮らす住居の契約等を済ませ、夏休みの間は親子水入らずの時間を過ごす予定だったそうだが…。
「
シールド博士の言葉に、俺と出久は頭を下げ、SUVへと乗り込む。
「それじゃあ皆。今度会うのは、全部に片が付いてから…だな」
「マスコミには、十分気を付けてね」
「吸阪ちゃん、緑谷ちゃん。轟ちゃんと一緒に…帰ってきてね」
「皆で無事を祈ってるから!」
「1-A全員の思い全てを、君達に託す! 武運を!」
梅雨ちゃんと麗日、そして皆を代表した飯田の言葉を受け取り、出久がドアを閉めようとしたその時―
「ま、待って!」
耳郎の焦ったような声が響き渡った。
出久side
「ま、待って!」
耳郎さんの焦ったような声が響いた瞬間、僕は閉めようとスライドさせたドアを慌ててストップさせる。
「耳郎さん…どうしたの?」
何故か顔を真っ赤にした耳郎さんに声をかけると、耳郎さんは深呼吸を数回繰り返し―
「耳郎ちゃん、頑張って」
梅雨ちゃんに後押しされながら、僕の顔をジッと見つめてきた。
「み、緑谷…」
「…はい」
何かは解らないけど、
「全部に方が付いたら…聞いて欲しい事があるんだ。だから、時間……作ってくれるかな?」
「…わかりました。問題が片付いたら、こっちから耳郎さんに連絡しますね」
「う、うん。お願い……ごめんね。変な事で時間取らせて…じゃ、じゃあ、頑張って」
何故か真っ赤な顔をした耳郎さんからのエールにサムズアップで答え、僕はSUVのドアを閉める。
そのまま、SUVは走り出したんだけど…
「天然ジゴロ…」
「いやはや、将来が楽しみだね」
雷鳥兄ちゃんとシールド博士からは、そんな言葉と共に生暖かい視線を送られるし、メリッサさんは苦笑いしている。何か、変な事を言ったんだろうか…?
雷鳥side
シールド博士の運転するSUVに揺られる事1時間。俺達が到着したのは―
「桜田門か…」
日本最大にして、世界的にも有数の規模を誇る警察組織。警視庁の本部庁舎だ。
既に連絡がついているのだろう。SUVは警備に止められる事もなく、敷地内へと入り―
「やぁ、よく来てくれたね」
「待っておったぞ」
待ち構えていた塚内さんとグラントリノに迎えられた。
「塚内さん、グラントリノ、暫くです」
「今回は、よろしくお願いします」
「うむ、出来るなら茶でも飲みながら話をしたいところだが、そうも言っとられん」
「2時間後には作戦会議が始まる。2人には悪いけど、それまでに準備を整えてほしい」
挨拶もそこそこに俺達は、保須市での一件から警視庁内に新設された部署『
「2人とも! 早速だけど、
メリッサさんの一声で、秘密裏に雄英高校から運び出されていた
出久side
「これが出久君の新装備。開けてみて」
「これって、フルガントレット!」
Iアイランドでの戦いで限界を超え、壊れてしまった筈のフルガントレット。それと同じ物が2つ、そしてよく似た形状の物が2つ、合計4つのアイテムが収められていた。
「あの時渡したフルガントレットそのままじゃないわよ。新素材の採用や細かな改良を加えた…名付けてフルガントレットver.2。重量やバランスはそのままに、強度を37%上昇させる事に成功したわ。計算上、マイトおじさま並のパワーで拳を放っても、5回は耐えられる筈よ」
「そしてもう1つは、フルガントレットの脛当て版『フルグリープ』。強度はフルガントレットver.2と同等に仕上げてあるわ」
フルガントレットver.2にフルグリープか。凄い、これなら『フルカウル』を出力100%で使用しても、かなりの時間戦える!
「ありがとうございます! メリッサさん!」
「壊れても私が直すから、安心して使ってね」
「はい!」
雷鳥side
「そして、これが…雷鳥君の新装備よ」
出久に続いて差し出されたのは、大型のアタッシュケース。早速開けてみると―
「これは…」
納められていたのは、中折式の
「アメリカの強豪、レッドバイカーが使っているアイテム、アクセルブレードを私なりにアレンジしてみたわ」
「レッドバイカー! アメリカ西海岸を中心に活動しているアクセルヒーロー! “個性”は、自身をフルカウルタイプのバイクに変形させる『バイク』で、その最高速度は時速380km!」
「過去にアメリカ軍の特殊部隊に在籍した事もある近接格闘術の達人で、その決め台詞は
……うん、出久。詳細な説明をありがとう。
興奮気味の出久に笑みを浮かべながら、メリッサさんの説明は続いていく。
更に刀身には、通電する事で硬度を高める事が出来る特殊金属を採用。刀剣としての攻撃力を高めている……並の
「名づけるなら……
「そうですね…」
メリッサさんにネーミングを任された俺は、暫し考える。俺のヒーローネームはライトニングヒーロー“ライコウ”。
これは『雷光』のように素早く現場へ到着し、『雷のように吼える』事で敵ヴィランには恐怖を、市民には安心を与える『雷の皇』という意味を込めたものだ。
雷の皇…よし、これでいこう。
「決めました。こいつの名前は
「κεραυνός! ギリシャ神話の主神ゼウスが振るう武具の名前ね!」
「えぇ、雷の皇を名乗る俺には、ピッタリの武器でしょう?」
「凄く良い名前だわ! パパもそう思うでしょう?」
「あぁ、オールマイトの後継者が持つアイテムに相応しい名前だと思うよ。さて、実は私からも2人に渡したい物があるんだ」
そう言って俺達にトランクを差し出すシールド博士。博士から俺達に渡したい物か…何かは解らないが、ゾクゾクするな。
2時間は瞬く間に流れ―
「錚々たる顔ぶれが集まってくれた。さぁ、作戦会議を始めよう」
オールマイトを筆頭に、エンデヴァー、ベストジーニスト、エッジショット…名だたるヒーロー達が集まった会議室に塚内さんの声が響き、作戦会議が始まった。
轟side
「………」
鉄哲と拳藤の命と引き換えに、
「起きてやがった! 寝ていた方が運ぶ時、楽なんだよ! 自力で歩きな!」
そんな事を考えていると、1人の
「澄んだ
そこで俺を待っていたのは、初対面の筈なのに、俺の事を知っている素振りを見せる男を含む数人の
「
USJを襲った
「スカウト…だと?」
何を馬鹿な。と切り捨てるのは簡単だが…下手に刺激するのは拙い、だろうな。
吸阪や緑谷なら、こんな時どうするか…俺はそれを考えながら、
最後までお読みいただき、ありがとうございました。