出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第97話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
オールマイトやグラントリノ、エンデヴァーが
俺と出久も、ベストジーニストをリーダーとする第2チームの一員として、脳無生産拠点の制圧に臨んでいた。
「作戦、開始」
ベストジーニストの声と共に、Mt.レディが“個性”『巨大化』を発動。たちまち20mを超える巨人となり―
「でぇぇぇいっ!!」
勇ましくも凛とした声と共に放った一撃で建物を半壊させ、突入口を作り出した。
「総員、突入!」
間髪入れず、ベストジーニストとギャンフオルカを先頭に、ヒーロー達が内部へ突入。俺と出久も後に続く。その直後―
「こんな…無造作に……全部が脳無?」
俺達が目にしたのは、貿易会社の倉庫という隠れ蓑の中に造られていた近代的な生産施設。そして、アイドリング状態で保管され、今にも動き出しそうな多数の脳無。
「
左腰に下げた鞘からケラウノスを抜きながら、近くのギャングオルカに問うと―
「恐らくは、な…」
拳を固く握りしめながら、静かに答えてくれるギャングオルカ。次の瞬間、周囲のコンテナが次々と開き、中に収納されていた脳無が次々と飛び出してきた!
「総員! 各自の判断で戦闘開始!」
たちまち始まる敵味方入り乱れての大乱戦。くそっ!
オールマイトside
「おいたが過ぎたな。ここで終わりだ! 死柄木弔!!」
シンリンカムイによって拘束された死柄木弔、そして
同時に、
「オ、オールマイト…これが、ステインの求めた…ヒーロー……」
声を絞り出すのがやっとの者もいるが…死柄木弔は静かにこちらを睨みつけている。油断は禁物だな。
「終わり…だと? ふざけるな、まだ始まったばかりだ。正義だの、平和だの…上っ面だけは綺麗なもんで蓋されたこの
「その邪魔を、するな!」
次の瞬間、死柄木弔を拘束していた木の枝が、徐々に細かい塵へ変わっていく。これは…『崩壊』の“個性”か!?
「どういう事だ? 奴の“個性”は、五指で触れなければ発動しない筈!」
「情報が古いな! “個性”を強化するのは、
叫びと共に、死柄木弔は木の枝の拘束を脱し、素早くバーカウンターの内側へと動き出す。
「やらせるか!」
「忍法! 千枚通し!」
もちろん我々も黙って見ている訳ではない。死柄木弔へ一番近い位置にいたグラントリノとエッジショットが、真っ先に動き出すが―
「シィィィィィッ!」
死柄木弔を庇うように出現した
「……間一髪、間に合ったようだな」
「ハハッ、良いタイミングだぜ。先輩!」
死柄木弔とそんなやり取りを交わしながら、姿を現す1人の
「オールマイト! そして有象無象の偽者どもよ! 聞け! 我が名はステイン!
新調した
まさか、ここでヒーロー殺しが参戦するとは…流石に予想外だ。
「おぉ…ステイン御自ら救援に来てくださるとは…」
「ステ様! 弔君、ステ様が来てくれましたよ!」
「気持ちは解らなくもないが、今は緊急事態だって事を忘れないでくれよ」
死柄木弔の手で、次々と拘束から解放されていく
「ふぅ、自由になれたわ」
遂に全員が自由を取り戻し、我々と睨みあう。
「皆様、申し訳ありません。私の…手落ちです」
「シンリンカムイ、お前のせいじゃない。あの拘束は完璧だった」
「あぁ、死柄木弔の“個性”が強化されていた事や、ステインという増援を想定出来なかった…コイツは戦略面での失策だ」
悔しげな声を漏らすシンリンカムイを、素早くフォローするエッジショットとグラントリノ。そう、戦略の面で
「安心したまえ諸君! そんな物は、力ずくでひっくり返せば良いだけだ!」
「そういう事だ。小僧ども、大人しくしといた方が、身の為だぞ」
周囲を鼓舞する為に発した私の声を、グラントリノは肯定し―
「
現在までに判明した
「少ない情報と時間の中、おまわりさんが夜なべして素性を突き止めたそうだ。わかるかね?」
「俺達は、お前達をここから逃がすつもりは微塵も無いし、仮にこの場を切り抜けたとしても、もう逃げ場ァねえってことよ…」
「黒霧だったな。先程は思わぬ邪魔が入ったが、あんな幸運が二度続くと思うなよ。お前が動いた瞬間、私が命を懸けてでも止めてみせる!」
「……………」
淡々としながらも威厳を感じさせるグラントリノ、そして冷静でありながらも熱を感じさせるエッジショットの言葉に、沈黙する死柄木弔。
「ステイン! 貴方が通って来たワープゲートは使えないのですか?」
「生憎と、あれはドクターが用意した1度限りの片道切符だ。来る事は出来ても、帰る事は出来ない」
「大人しく投降しな。それから、死柄木…聞きてえんだが……お前さんの
「……誰が話すか………」
グラントリノの問いに、一言そう答え…再び沈黙する死柄木弔。再度問いかけようとするグラントリノを手で制し、私が問う。
「質問に答えるんだ。
「お前らと話す事なんかねぇ!」
呪詛に塗れた死柄木弔の声が響いた直後。その周囲に
「-^p;@&#~!」
「=~*|{*%#!」
2体の脳無が姿を現した!
「脳無!? 何もない所から…! あの黒い液体はなんだ!」
「エッジショット! 黒霧は―」
「一歩たりとも動いていない! “個性”を発動する兆候すら…」
「くそっ、どんどん出てくるぞ!!」
店内のあちこちから湧き出した黒い液体をゲートにして、次々と現れる脳無。私を含むヒーローや警察官達がその対応に追われ、ホンの一瞬だけ死柄木弔達への注意が疎かになったその時!
「ごぼっ!?」
「轟少年!! No!!」
轟少年の口から湧き出る黒い液体。それはたちまち轟少年を包み込み―
「体が…飲まれっ……」
轟少年を跡形もなく消し去った。
「Noooo!!」
これは
雷鳥side
「これで、全部…ですかね?」
ケラウノスを一旦鞘に納め、乱れた呼吸を整えながら周囲を見渡す。戦闘によって破壊された生産施設に転がるのは、行動不能となった大量の脳無。全部で…50体はいるだろう。
「目に見える範囲内は全て制圧したと思うが…どこかに隠れているかもしれない。気を抜かずに索敵を」
「すぐに
そんな中、1人で十数体の脳無を拘束しながら、冷静に指示を下すベストジーニスト。流石はナンバー
「ライコウ! グリュンフリート!」
周囲を探索しながらも、ギャングオルカが声をかけてきたのはその時だ。
「学生であれだけ動けるのは大したものだ。流石にオールマイトの愛弟子だけの事はある」
「はい! 恐縮です!」
「まだまだ未熟ですが、頑張ります!」
「うむ! 現状に胡坐をかかず、上を目指す気概は嫌いではないぞ!」
ギャングオルカは、そう言って俺と出久の背中を力一杯叩くと、周囲の探索を再開した。やがて―
「ラグドールよ! 返事をするのだ!」
虎が
「チームメイトか! 息はあるようだ。良かったな!」
「しかし…様子が……何をされたのだ…ラグドール!!」
「すまない虎。前々から良い“個性”だと……丁度良いから…貰う事にしたんだ」
「ッ!?」
突然響き渡る冷たい声に、猛烈な悪寒が背中を走る。遂に…来たか。
「止まれ!」
「両手を上げ、その場から動くな!」
ヒーロー達は瞬時に戦闘態勢へ入り、ベストジーニストとギャングオルカが、声の主に制止を命じる。
同時に、警官隊も次々と
「
「誰か、ライトを!」
すぐさまライトが用意され、声の主を照らし出す。その直後―
「こんな身体になってから、ストックも随分と減ってしまってね…」
声の主が半歩だけ前に出た。間髪入れず、ベストジーニストが“個性”『ファイバーマスター』を発動し、その動きを封じる。
「ちょ、ジーニストさん。もし民間人だったら―」
「状況を考えろ。その一瞬の迷いが現場を左右する」
Mt.レディの声を一蹴し、更に拘束を強めていくベストジーニスト。俺は密かにライトニングフルカウルを発動。
「
ベストジーニストとギャングオルカの前に出ると同時に、ケラウノスを構え―
「出力全開! ライトニングウォール!」
ケラウノスを
「ぬぅぅぅぅぅっ!」
電磁バリアによって軌道を逸らされた衝撃波が、周囲で荒れ狂い、倉庫を木っ端微塵に破壊していく。俺は全身に力を込め、電磁バリアを展開し続けるが…このままじゃ、力負けする!
「ワン・フォー・オール、フルカウル! 100%!」
出久が飛び出したのはその時だ。『ワン・フォー・オール』の出力を100%開放し―
「はぁぁぁぁっ!」
右の中段回し蹴りを繰り出して、衝撃波を放つ。衝撃波と衝撃波が真正面からぶつかり合い、互いを相殺。なんとか、助かった…。
「皆さん、無事ですか?」
「あぁ…ありがとう、ライコウ、グリュンフリート。君達2人のおかげで、なんとか全員を退避させる事が出来た」
俺の問いに、乱れた息を整えながら答えるベストジーニスト。あの状況の中、ベストジーニストはその“個性”で、警官隊とこの後の戦闘に耐えられないと自身が判断したヒーローやサイドキック達の衣服を操り、可能な限り遠くに退避させたのだ。
この場に残っているのは、俺と
「素晴らしい。全員纏めて吹き飛ばすつもりだったが、11人も残るとは…やるじゃないか、ベストジーニスト、そしてオールマイトの弟子達」
濛々と立ち込める砂煙の向こうから聞こえてくる拍手と称賛の声。
「体を動かすのは久しぶりだ…
その声と共に突風が発生し、砂煙が一気に晴れていく。そこに立っていたのは黒のスーツを着こなし、髑髏を模した金属製のマスクを装着した1人の
「礼儀として、名乗らせてもらおう。私は、オール・フォー・ワン。陳腐な言い方をするならば…」
「悪の帝王だよ」
奴が…オール・フォー・ワン!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。