出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
第98話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです


第98話:帝王の力

オールマイトside

 

「ぼえ!!?」

「ッ!?」

 

 轟少年が黒い液体に飲み込まれ、どこかへ転送された直後、渡我被身子(とがひみこ)の口からも黒い液体が溢れ出した。

 見れば、(ヴィラン)連合の面々の口からも黒い液体が溢れ出している。

 

「マズイ! 全員持っていかれるぞ!」

「おんのれ! 私も連れて行け!!」

 

 その声と共に飛び出したグラントリノに続き、私も死柄木弔へ掴みかかるが―

 

「そいつは無理だな…オールマイト」

 

 一歩、いや半歩間に合わず、死柄木弔達は転送されてしまった。

 

「Shit! あと少しのところで!」

「いや、仮に奴を掴めていても無駄だっただろう。儂も干渉出来なかった」

「この消え方…黒霧の『空間に道を開く』ワープじゃなく、『対象のみを転送する』類の“個性”と見た! そうであるならば…」

「そうか!」

 

 エッジショットの言わんとする事に気が付いた直後、私に群がってくる複数の脳無。

 

OKLAHOMA(オクラホマ)…」 

 

 私は咄嗟に体を独楽の様に回転させ―

 

SMASH(スマッシュ)!!」

 

 脳無を弾き飛ばした!! 壁や天井を突き破って吹き飛んでいく脳無に続き、私も外へと飛び出すと―

 

「ジーニストらと連絡がつかない。恐らくあっちが失敗した!」

「グダグダじゃないか! まったく!」

 

 そこではエンデヴァーが中心となって、大量の脳無を食い止めている最中だった。

 

「エンデヴァー!」

 

 着地と同時に、近くにいた脳無2体を殴り飛ばし、エンデヴァーに声をかける。

 

「大丈夫かい?」

「フン! 何処をどう見れば、そんな事を聞く気になる!? ベストジーニスト(あいつ)の元へ向かうつもりなら、さっさと行け!」

「あぁ…だが、轟少年も……」

「焦凍もあっちにいるなら猶更だ! あの子に万一の事が起きる前に、早く行け!」

「…わかった。ここは任せるよ!」

 

 エンデヴァーの声に後押しされ、私はベストジーニスト達が向かった脳無生産拠点へ全速力で飛び出す。皆、無事でいてくれよ!

 

 

エンデヴァーside

 

 弾丸のようなスピードで飛び出したオールマイトを横目に見ながら、脳無を打ち倒していると―

 

「ボス!」

 

 必殺のラリアットで脳無を吹っ飛ばしたナックルコングが、声をかけてきた。

 

「なんだ?」

「いえ、余計な事かもしれませんが…ボスも脳無生産拠点(むこう)へ行かれた方が良いのでは…と」

「そうです! 息子さんの許へ行ってあげてください!」

「ここは私達で何とかしますから!」

 

 ナックルコングの声に賛同するブロッサムとビート。周囲を見れば、ダブルトリガーやレッドワスプ達も、無言で賛同の意思を示す。まったく…お節介な奴らだ。

 

「お前達の気持ちは、ありがたく受け取っておく。だが、俺は今この場を離れるつもりはない!」

 

 向かって来た脳無を、炎を纏った右拳で殴り飛ばし、ハッキリと宣言する。

 

「焦凍の事を心配していない訳ではないぞ。だが、ここで俺が持ち場を離れる事は、ヒーローである俺を信じ、目標としてくれるあの子の思いを裏切る事になる!」

「赫灼熱拳! ジェットバーン!!」

焦凍(あの子)の許へ行くのは、こいつら全てを片付けてからだ!」

 

 発射した炎の塊で、脳無を3体まとめて火達磨にしながら、俺は突撃する。

 

「まったく、うちのボスは不器用極まりないな!」 

「だが、それが魅力だったりするのよね!」

「同感でござる!」

「ボスの為にも、さっさと片付けようぜ!」

 

 ナックルコング達も更に戦意を高めているようだ。待っていろ、焦凍。すぐに行くからな!

 

 

雷鳥side

 

「悪の帝王だよ」

 

 自らを悪の帝王(・・・・)などと称する。普通なら鼻で笑ってやるところだが、今回ばかりはそうもいかない。何しろ、本物(・・)だからな。

 

「奴が、注意事項として挙げられていた…」

「えぇ、(ヴィラン)連合のブレーンにして…オールマイトの宿敵です」

 

 ベストジーニストの問いかけに、俺はそう答えながら、ケラウノスに装填していた大容量バッテリーを素早く新しい物に入れ換える。そこへ―

 

「11対1。数的ハンデとしては、やや物足りないが…ナンバー(フォー)とナンバー10(テン)がいる。2分、いや3分は持ち堪えてくれる(・・・・・・・・)だろう」

 

 余裕綽々と言った態度で、俺達を挑発してくるオール・フォー・ワン。

 

「総員…戦闘開始! 以後は各自の判断で動け! ヒーローの…矜持を見せてやれ!」

 

 それに答えるようなベストジーニストの声を合図に、俺達11人は動き出した! 

 

 

出久side

 

「全弾持ってけ!!」

 

 オール・フォー・ワンへの一斉攻撃。そのスタートを切ったのは、『シンフォニック』の一員である『砲兵(アーティラリー)ヒーロー・バラージ』の弾幕だ。

 彼女の“個性”『武器庫(アーモリー)』で創り出した合計18発の小型ミサイルが、次々とオール・フォー・ワンへ迫る。

 だけど、オール・フォー・ワンはその場を動く事もなく―

 

「『指鉄砲(フィンガーガン)(プラス)『パルスレーザー』」

 

 右手で銃の形を作ると、レーザーをマシンガンのように連射。ミサイル全てを撃墜していく。次々と起こる爆発で、双方とも視界が塞がれるけど―

 

「思い切った戦術だ。悪くない」

 

 僕と『武術ヒーロー・レゾナンス』は、その爆発を突っ切って、オール・フォー・ワンへと突撃。

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

「インパクトナックル!」

 

 タイミングを合わせ、互いの拳を振るう。

 

「『水晶生成』(プラス)『ホバー』」

 

 巨大な破砕音と共に、何かが木っ端微塵に砕け散る。でも、それはオール・フォー・ワンじゃない。僕達の進路を塞ぐ様に出現した水晶の壁だ。

 その間に、オール・フォー・ワンは地面から十数cm浮き上がり、滑るような動きで距離を取るけど―

 

「ッ…これは」

「逃げられると思うな。(ヴィラン)

 

 これ以上無いタイミングで、ベストジーニストがその動きを封じてくれた!

 

「今だ! 一気に仕留めろ!!」

 

 間髪入れず、ギャングオルカ、雷鳥兄ちゃん、Mt.レディ、カデンツァ、『剣戟ヒーロー・ウイング』、『双子(ツインズ)ヒーロー・サンライト&ムーンライト』が一斉に―

 

「『重力操作』増幅率700%(プラス)『液状化』」

 

 突撃を仕掛けた瞬間、襲い掛かる強烈な重力。僕達は縫い留められた様にその場から動けなくなり、液状化して底無し沼と化した地面へ少しずつ沈んでいく。 

 

「安心したまえ。地下10mほどまで沈んだら、“個性”を解除してあげよう。運が良ければ、地上へ出てこられるかもしれないよ。窒息死しなければ…だけどね」

 

 胸の辺りまで沈んだ僕達を見ながら、心底楽しそうに呟くオール・フォー・ワン。こうなったら!

 

「ワン・フォー・オール、フルカウル! 100%!」

 

 僕は『ワン・フォー・オール』の出力を100%開放して、重力の枷を力任せに振り解くと―

 

「ダブル44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 両腕を使って地面に衝撃波を放つ事で、液状化した地面(底無し沼)から一気に脱出。空中に飛び上がる!

 

「ほぅ、これは少々予想外だ」

50CALIBER(フィフティーキャリバー)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 更に地上のオール・フォー・ワンへ狙いを定め、空中を最強必殺技で思いっきりぶん殴れば、 砲弾並みの強烈な衝撃波が、一直線にオール・フォー・ワンへと飛んでいく。

 あれが命中すれば、いくらオール・フォー・ワンでも!

 

「『ベクトル操作』」

 

 だけど、オール・フォー・ワンの保有する“個性”は、僕の予想を上回っていた。衝撃波の着弾直前、オール・フォー・ワンはその進行方向を操作、垂直方向へ受け流したのだ。

 

「今のは、少しばかり肝を冷やしたよ。いや、流石はオールマイトの愛弟子だ。見事と賛辞を贈らせてもらうよ」

 

 慇懃無礼(・・・・)その物。そう表現出来るような態度で、僕に拍手するオール・フォー・ワン。

 それと同時に“個性”が解除されたのだろう。雷鳥兄ちゃん達が次々と地面から抜け出てきた。

 

「やはり、体が鈍っているのは否めないね。オールマイトならまだしも、君達程度(・・・・)をまだ仕留められないとは…」

「まぁ、勘は戻りつつある。もう少し…かな」

 

 僕と雷鳥兄ちゃんを含む11人のヒーローを前に、まったく余裕を崩さないオール・フォー・ワン。それどころか―

 

「だが、ひとつハッキリしたよ…緑谷出久。後継者(・・・)は、君だね?」

「ッ!?」

 

 気の弱い人間だったら、ショック死しかねない程の威圧感を僕だけ(・・・)に向けながら、そう問うてきた。

 

「ならば…君だけは、念入りに(・・・・)潰しておかないといけないね。(あの子)の為にも」

「そう簡単に…潰されたりは、しない!」

 

 背筋が凍りつくようなオール・フォー・ワンの言葉にそう返した直後ー

 

「ゲボッ…一体、何…だ…」

 

 突然、黒い液体が湧き出し、そこから轟君が姿を現した。

 

 

轟side

 

 黒くて臭い液体に飲み込まれた次の瞬間、俺は室内から別の場所へ転送されていた。ここは…どこだ?

 状況を把握しようと、視線を動かそうとした次の瞬間!

 

「突然すまなかったね。轟焦凍君」

「ッ!?」

 

 突然聞こえてきた背筋が凍るような声。俺は咄嗟に最大出力の氷結を放ち、数m先に立っている声の主から距離を取る。

 

「轟君!」

「こっちだ!」

 

 近くにいた吸阪達と合流するが…ベストジーニストやギャングオルカも一緒…そういう事か。

 

「オールマイトや親父と?」

「あぁ、俺達は別動隊。現在黒幕と遭遇中ってところだ」

「なるほどな」

 

 吸阪と短く言葉を交わし、状況を把握する。ちなみに、その黒幕は俺の氷結を容易く粉砕し、体に霜一つ付いちゃいない。

 

「げほっ…」

 

 そうしている内に黒い液体が次々と湧き出し、(ヴィラン)連合のメンバーが次々と現れていく。

 

「来たね。弔」

「助かったぜ。先生…だが、作戦は失敗だ」

「弔。今回君が立案した一連の作戦。それは、ほぼ完璧と言って良いものだった。修正点を強いて言うなら…雄英高校と警察の執念を過小評価してしまった事だね」

「あぁ、まさかあの状況から逆転されるとは、思ってもみなかった…いい教訓になったよ」

「間違いを恐れてはいけない。時として、失敗は成功よりも大きな糧となる。挑戦を続けたまえ弔…全ては、君が新たな王となる為だ」

 

 俺達を前にして、暢気にそんな会話を交わす黒幕と死柄木弔。だが、ステインや爆豪達が俺達を睨みつけ、迂闊には動けそうにない。

 睨み合いが30秒ほど続いた時―

 

「…来たか」

 

 黒幕の呟きと共に、何かが物凄い勢いで飛来し、そのまま黒幕と四つに組んだ。あれは!

 

「全て返してもらうぞ! オール・フォー・ワン!!」

「また、僕を殺すか? オールマイト」

 

 オールマイトが…来た!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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