出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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第99話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです


第99話:決戦! 正義の象徴(オールマイト)vs悪の帝王(オール・フォー・ワン)ーその1ー

オールマイトside

 

「ぬぉぉぉぉぉっ!」

 

 現場へ到着した私は、オール・フォー・ワンと手四つの状態で力比べとなるが、それもホンの数秒。

 

「随分遅かったじゃないか」

「ッ!」

 

 背中を走る悪寒に従って奴から3mほど距離を取った直後、巨大な破裂音と共に全方位へ吹き荒れる強烈な衝撃波。

 

「フンッ!」

 

 私はその場で防御を固め、衝撃波を耐え凌ぐ。すぐに衝撃波は治まったが―

 

「バーからここまで5km余り…僕が脳無を送り込んで(・・・・・)優に2分は経過しての到着……脳無達と遊んでいたのか、それとも」

「衰えたのかな? オールマイト」

 

 そこへ聞こえてきたのは、挑発的なオール・フォー・ワンの声。

 

「貴様こそ、何だ? その工業地帯のようなマスクは!? 大分無理してるんじゃあないか!?」

 

 負けじと私も言い返し、構えを取ると―

 

「6年前と同じ過ちは犯さん。オール・フォー・ワン」

「貴様を今度こそ、刑務所にブチ込む! 貴様の操る(ヴィラン)連合もろとも!!」

 

 オール・フォー・ワンとの間合いを詰める為、全速力で走りだした。次の瞬間!

 

「それは…なかなか大変だな。お互いに(・・・・)

 

 オール・フォー・ワンの左腕が肥大化。放たれた何か(・・)が、私を吹っ飛ばした。

 

 

AFOside

 

「『空気を押し出す』(プラス)『筋骨発条(バネ)化』(プラス)『瞬発力』増幅率400%(プラス)『膂力増強』増幅率300%」

「この組み合わせは楽しいな…増強系をもう少し足すか…」

 

 ビルを3つ程貫通しながら吹っ飛んでいったオールマイトに視線を送りながら、今使った“個性”の組み合わせを分析していると―

 

「オールマイトォ!!」

 

 濛々と立ち込める砂煙の向こうから、オールマイトの弟子の1人…緑谷出久の悲痛な声が聞こえてきた。

 

「安心したまえ、あの程度じゃ死なないよ。だからこそ(・・・・・)

君を先に殺そう(・・・・・・・)

 

 静かにそう呟き、左腕をゆっくりと緑谷出久の声がする方へ向ける。

 

「オールマイトと同じ攻撃(・・・・)でね」

 

 そして“個性”を発動しようとしたその時―

 

「させるかよっ!!」 

 

 砂煙を突き破りながら、何かが飛び出してきた。もう1人の弟子、吸阪雷鳥だ。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

 僕目掛け、気合と共に振るわれる剣。その白銀に輝く刀身は稲妻を纏っていて…これは、半端に受けては少々危険だね。

 

「『巨腕』(プラス)円形盾(ラウンドシールド)(プラス)『炭素操作』」

 

 すぐさま別の“個性”を複数発動し、攻撃を受け止める。少々耳障りな金属音が響き、相応の衝撃が伝わってくる。

 

「ちぃっ!」

 

 舌打ちと共に距離を取る吸阪雷鳥。そちらに意識を裂きながら左腕に目をやると―

 

「これは…なかなか」

 

 『巨腕』で大型化し、『炭素操作』で表面にロンズデーライト*1をコーティングした円形盾(ラウンドシールド)に深々と切れ込みが入っていた。

 横着をして半端な“個性”の組み合わせを使っていたら、左腕を斬り落とされていただろう。

 

「その刀身…通電によって相転移する特殊金属製といったところだね。出所はIアイランド…デヴィッド・シールド博士かな?」

「…手前に答える義理は無いね」

 

 私の問いに対し、そう吐き捨てる吸阪雷鳥だが…これだけのアイテムを作れる存在は、それほど多くはない。十中八九当たりだろう。

 

「先生!」

 

 そこへ、弔達が駆け寄ってきた。絶無とステインは、私を庇う様に前へ立ち、戦闘態勢に入る。

 

「先生…あんたの体(・・・・・)は……」

「弔、私の事は大丈夫だ。君は君の成すべき事だけを考えたまえ」

 

 私の体を案ずる弔にそう言い聞かせていると―

 

「ッ!」

 

 数百m先に出来た瓦礫の山が轟音と共に崩れ、何かが飛び出し…3秒とかからず私の間近に着地した。戻って来たね、平和の象徴(オールマイト)

 

 

出久side

 

 戦闘を再開し、拳をぶつけあうオールマイトとオール・フォー・ワン。何とか援護に向かいたいけど―

 

「これ以上は…無理だ」

 

 2人の攻防の余波で衝撃波が吹き荒れ、とてもじゃないけど近づけない!

 

「だけど、何か方法が…」

 

 何とか突入出来ないか、考える僕を―

 

「グリュンフリート。親玉はオールマイトに任せて、俺達はその他大勢(・・・・・)を叩くんだ!」

「そういう事! 出久、ここは切り換えろ!」

 

 ベストジーニストと雷鳥兄ちゃんの一言が押し止める。

 

「…そうだね」

 

 危なく考え違いをするところだった…僕は僕の出来る事をやらないと!

 

「雑談は終わったか? 偽善者ども。先生の邪魔はさせない。お前らを地獄に送る事が、俺達が先生に出来る最高の援護だ」

「奇遇だな。お前達を全員ぶっ倒して確保するのが、俺達がオールマイトに出来る最高の援護だよ」

 

 死柄木弔の言葉に、雷鳥兄ちゃんがそう返し―

 

「総員…突撃!」

 

 ベストジーニストの指示で、僕達は一斉に飛び出した!

 

 

ベストジーニストside

 

「ベストジーニスト…ヒーローでありながら、ファッション(・・・・・)などに現を抜かし、有象無象のサイドキック(取り巻き)を引き連れる貴様も、贋物だ」

 

 2m近い長さの大太刀。その切っ先を向けながら、私へ憎悪に満ちた言葉をぶつけてくるステイン。その構えに隙は一切見当たらない。(ヴィラン)ながら、見事なものだ。だが―

 

「言いたい事はそれだけか? (ヴィラン)。ならば、その歪んだ精神、私が矯正しよう」

 

 ヒーローたる者、(ヴィラン)に負ける訳にはいかない。私も構えを取り、ステインと睨みあう。

 

「…いくぞ!」

 

 先に動いたのはステインだ。大太刀を上段に構えたまま、私との間合いを一気に詰めると―

 

「シィィィィィッ!」

 

 振り下ろしから間髪入れずの斬り上げへと繋げる2連撃を繰り出してきた。

 

「ッ!」

 

 ギリギリの所で回避出来たが、想像以上の膂力と技量…。ヒーロー殺しの異名は伊達ではないか。

 

「よくぞかわした…だが、次は…斬る!」

「やれるものなら、やってみるが良い。私の命、そう安くはないぞ」

 

 奴の言葉にそう返した直後、再び振るわれる大太刀。私は隠していた切り札(・・・)を使い、その一撃を受け止めた。

 

「棒…だと!? いつの間に!」

「特注の炭素繊維*2を数千本束ね、固めた物だ。貴様の(なまくら)で、斬れると思うな」

「ちぃっ!」

 

 互いに距離を取り、私は棒を、ステインは大太刀をそれぞれ構え直す。暫くは睨みあいになりそうだ…。

 

 

雷鳥side

 

「纏めて吹っ飛ばしてやる!」

 

 俺達と死柄木達の対決。最初に仕掛けたのは、先程同様バラージの弾幕だ。

 

「ミサイル・パーティー! Fire!!」

 

 声と共に発射された合計18発の小型ミサイルが、次々と死柄木達へ迫るが―

 

「甘ぇな!」

 

 そのミサイルは全て、絶無が4本の副腕から放つ拡散レーザーで撃墜されてしまう。

 

「“没個性”野郎! それにデク! 俺をこの前の俺だと思うなよ!」

 

 副腕から放つレーザーで俺達を牽制しながら、勝ち誇る絶無。なるほど、レーザーの収束・拡散を切り替える事が出来るようになったか。

 林間合宿の時よりも“個性”が強化されているのは、間違いないようだな。

 

「良いぞ、絶無。このまま奴らを地獄に落とせ」

「お任せください!」

 

 だが、死柄木達の道具として利用されているのに、反発どころか疑問すら感じないとはな…哀れを通り越して滑稽だ。さて、どんな風に煽ってやろうか…。

 

「フン! (ヴィラン)に操られる人形如きが、俺達を地獄に落とすだと? 寝言は寝て言うんだな! このダボハゼの糞が!」

 

 あ、ギャングオルカが先に挑発したか。しかし、ダボハゼの糞とは…見事な例えだ。さて、奴の反応は―

 

「…ふざけた事言いやがって…丸焼きにしてやるよ! 魚野郎!」

 

 予想通りのものだった。ギャングオルカの言葉で瞬時に沸騰した絶無は、顔を歪め、目を血走らせながら、口から火球を3連射する。

 

「馬鹿が! 俺は魚じゃなく鯱だ! 超音波アタック!」

 

 だが、冷静さを欠いた攻撃が通用する程、トップヒーローは甘くない。乱射された火球の内、1発はギャングオルカの放った超音波で掻き消され―

 

「切り捨て御免! なのデス!」

「…切り砕きます」

 

 残る2発も、1発はサンライトの振るう薙刀で真っ二つにされ、もう1発もムーンライトの操る刃が仕込まれたヨーヨー*3によって切り砕かれる。

 

「奥義…蒼刃一閃!」

La danza della spada(剣の舞)!!」

「バズーカ・パーティ! Fire!!」

 

 更に絶無の両翼、そして正面に陣取ったカデンツァ、ウイング、バラージによる多重攻撃が襲いかかる!

 

「ぬぉぉぉっ!」

 

 カデンツァの操作で宙を舞う8本の短剣と、居合の要領でウイングが放った蒼い光の刃に全身を切り刻まれ、バラージの2挺拳銃ならぬ2挺バズーカによる砲撃で、宙に舞う絶無。

 

「インパクトナックル!」

 

 更にレゾナンスの一撃が、駄目押しとして叩き込まれた。隕石のような勢いで地面に叩きつけられる絶無。普通なら、これでKO。全身打撲の複雑骨折で病院送りだが…。

 

「ハハハッ! この程度で俺が倒せるかよっ!!」

 

 残念ながら絶無(やつ)は普通じゃない。すぐに跳ね起き、傷を再生させていく。しかし、あの回復速度は、USJで戦った脳無と同じ…

 

「超再生か…」

「そうだ! 『再生』の“個性”は進化し、『超再生』になった! 生半可な方法で、俺を倒す事は不可能だと理解しな!!」

 

 自らの“個性”を自慢するかのように叫ぶ絶無。たしかに『超再生』を持った相手を倒す(・・)のは、少々骨が折れる。だが―

 

「おまえを倒す必要はない(・・・・・・・)

「あぁ?」

 

 不意に聞こえた声に絶無が反応した瞬間。巨大な氷が奴を包み込んだ。

 

お前の動きを封じる(・・・・・・・・・)。それだけで、奴らの戦力はガタ落ちだ」

 

 全力で氷結を維持しながら、淡々と呟く(アブソリュート)。咄嗟の判断でやってくれたか。ファインプレーだ!

 

「糞がぁっ!」

 

 全身を氷漬けにされてもなお悪態を吐き、爆破や火炎放射、レーザーで氷を破壊しようとする絶無。

 

「させねぇよ!」

 

 だが、(アブソリュート)はその“個性”を全開にして、氷を瞬時に修復していく。

 

「こいつは意地でも抑え込む! 後の奴らを…頼む!」

「アブソリュート…お前の決意、しかと受け取った!」

 

 (アブソリュート)の叫びに応えるように、ギャングオルカ、『シンフォニック』の6人、そして俺と出久(グリュンフリート) が、死柄木達へ走り出す。

 一方の死柄木達も―

 

「チッ…絶無1人じゃ、荷が勝ち過ぎたか」

 

 忌々しげに呟きながら、動き出す。その時!

 

「がっ…」

「ぐほっ…」

「げぼっ…」

 

 弾丸のようなスピードで飛来した何か(・・)が、トゥワイス、スピナー、マグネに次々と一撃を叩き込み、その意識を刈り取った。

 何か(・・)の正体。それは―

 

「グラントリノ!!」

「遅いですよ!」

「お前が速すぎんだ!」

 

 オール・フォー・ワンと対峙するオールマイトと短く言葉を交わし、俺達の傍に降り立つグラントリノ。

 

「天秤はヒーロー側(こちら)に傾いたようだな?」

「これが最後の警告だ。投降しな、死柄木」

「………」

 

 ギャングオルカ、そしてグラントリノの言葉に黙り込む死柄木。

 荼毘、スピナー、トゥワイス、マグネが気絶し、絶無は氷漬け。ステインもベストジーニストに足止めされて身動き出来ず…。

 残る戦力は自身を除けば、マスタードと渡我被身子の2人。

 戦況は明らかに(ヴィラン)側に不利。一山幾らの小悪党なら、投降するんだが―

 

「舐めるなよ…偽善者ども」

 

 残念ながら、死柄木は小悪党ではなかった。実力行使…しかないか。

 

 

AFOside

 

「舐めるなよ…偽善者ども」

 

 オールマイトと対峙している最中、聞こえてきた弔の声。いけないよ、弔…君が動く時は今じゃない。ここで動くのは…私だ。

 

「『煙幕』(プラス)槍衾(やりぶすま)』」

 

 煙幕でオールマイトの視界を塞ぎ、間髪入れずに地面から槍状に尖らせた石を次々と生やす。まぁ、オールマイトに対しては、牽制以外の効果は期待出来ない。

 

「だが、ホンの僅かでも時間は稼げる」

 

 その数秒にも満たない時間を使って、僕は弔の傍へと移動。一斉に飛びかかってきたヒーロー達を―

 

「『斥力操作』(プラス)『引力操作』(プラス)『マルチロック』」

 

 斥力によって遠ざけながら、同時に弔の仲間達やステイン、絶無を引力で引き寄せる。

 

「先生…」

「弔。君に最後の課題(・・・・・)を与えるよ…私を越える悪の帝王(・・・・)になりたまえ」

「先生、それって…」 

 

 私の与えた最後の課題に、弔の顔色が変わる。まったく、勘の良い子だ。

 

「君は大いに成長した。もう私抜きでも歩んでいける。さぁ、ヒーロー達が戻ってくる前に、行きたまえ」

「先生…駄目だ! 逃げるなら、先生も一緒に!」

死柄木弔(・・・・)!」

「ッ!」

「君は…私を無駄に散らせたいのかな(・・・・・・・・・・・)?」

「そ、それは………」

 

 私の言葉に黙り込む弔。頭の良いこの子の事だ。今の状況は理解出来ている。だから、導き出す結論は―

 

「……わかり、ました……黒霧、ゲートを開け」

「…はい!」

 

 それでこそ、私の後継者だよ、弔。

 

「ステイン、これからも弔の事をよろしく頼む」

「……この命尽きるまで、(ヴィラン)連合の剣として戦う事を誓おう」

「絶無。君はまだまだ強くなれる。弔の下で励みたまえ」

「は、はい!」

 

 ステイン、絶無と言葉を交わし、ゲートを潜る姿を見送る。そして―

 

「……さよなら、先生」

「さらばだ、弔。最後まで戦い続けろ」

 

 弔と別れの言葉を交わし…ゲートは消滅した。周りを見れば、ヒーロー達が集結しつつある。

 

「少しばかり遅かったね。ヒーロー達。ここにいるのはもう私だけ(・・・)だ」

「そして…生き残るのも私だけだ」

 

 さぁ、最終幕の開始といこう。

*1
別名、六方晶ダイヤモンド。その硬度は、一般的なダイヤモンドの58%増しと言われている

*2
1本当たりの太さ7μm

*3
イメージとしては、超電磁ヨーヨー




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