出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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2週間以上お待たせして、申し訳ありません。
第101話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第101話:決戦! 正義の象徴(オールマイト)vs悪の帝王(オール・フォー・ワン)ーその3ー

根津side

 

『悪夢のような光景! 突如として神野区が、半壊滅状態となってしまいました!』

『現在オールマイト氏が元凶と思われる(ヴィラン)と交戦中です!』

 

 記者会見を乗り切り、イレイザーヘッド(相澤先生)ブラドキング(菅先生)と、今後の対応について協議しているところに齎された…まさに想定外(・・・)の情報。

 

『信じられません! (ヴィラン)はたった1人! 街を壊し! 平和の象徴と互角以上に渡り合っています!』

「よもや、これほどとは……」

 

 テレビの画面に映る惨状に、思わずそんな声が漏れる。

 オールマイトの宿敵、オール・フォー・ワン。その強大な力、理解したつもりでいたけれど…過小評価だったようだね。そんな中―

 

『それにしても! オールマイト氏以外のヒーローは、一体何をやっているのでしょうか!? ベストジーニスト、ギャングオルカ、Mt.レディ、そしてシンフォニックの6人!』

『錚々たるヒーロー達が、たった1人の(ヴィラン)に倒されているこの現状! これこそ! ヒーローの質が低下した事を、如実に表しているのではないでしょうか!』

 

 現場上空を飛ぶ報道のヘリコプター。それに乗り込んだリポーターの悪意に満ちた(・・・・・・)実況が聞こえてくる。

 

「………まったく、これだからマスコミは…」

 

 額に青筋を浮かべ、そう吐き捨てるイレイザーヘッド(相澤先生)と、苦虫を嚙み潰したよう表情を浮かべるブラドキング(菅先生)を宥めようとしたその時―

 

『只今中継において不適切な発言がありました事を、視聴者の皆様及び、プロヒーローの方々にお詫びいたします』

 

 突然、中継が打ち切られ、スタジオの女性アナウンサーが謝罪の言葉と共に、深々と頭を下げた。そして―

 

「先程、雄英高校で行われた記者会見において、一部のジャーナリストが(ヴィラン)と協力関係にあったという事が明らかとなりましたが、この事実を当番組一同、重く受け止めております」

「視聴者の皆様が、より健全で正しい判断ができる材料を提供するとの観点から、公明正大な報道により一層邁進致します事を、ここにお誓いします」

 

 そう宣言し、再び中継が再開された。

 今の宣言。本心からなのか、それとも追及を逃れる為のポーズなのか、それはわからないが…少なくとも今は、不愉快な実況に悩まされないで済みそうだね。

 急遽交代したリポーターの若干不慣れな実況に、思わずそんな事を考える。

 

 まさか、それから2分もしないうちに、あんな事になるとは…予想も出来なかったけどね。

 

 

オールマイトside

 

「残念だったね、オールマイト。弟子が2人とも死んでしまったよ」

 

 心底楽しそうなオール・フォー・ワンの声が響く中、私は戦いの最中でありながら、全身の力が抜けていくのを感じていた………。

 

「くぅっ…」

 

 必死に歯を喰いしばり、足に力を込める。そうしなければ、膝から崩れ落ちてしまうのを…止められない。

 

「長年の宿敵として、心中お察しするよ。かつては自らの師を捨て駒(・・・)にする事で、そして今回は弟子の犠牲で命を拾った。いやはや、悲劇以外の何物でもない」

 

 芝居がかった口調でお師匠の、そして緑谷少年(グリュンフリート)吸阪少年(ライコウ)の犠牲を嘲笑うオール・フォー・ワン。

 

「黙れ! 貴様が…お師匠や少年達の死を、死を嗤うな!」

「おっと失礼。だが…笑わずにはいられない。何しろ、緑谷出久の取った行動は、無駄(・・)の一言だからね。むしろ…」

「脈々と受け継がれてきたワン・フォー・オールの系譜を途切れさせてしまった分、罪深いとすら言える」

「き、さまぁ…」

 

 自らの命と引き換えにして、私を救ってくれた緑谷少年(グリュンフリート)の行いを、罪と断じるオール・フォー・ワン。私は怒りのまま―

 

「その言葉を、取り消せぇ!」

 

 奴へと殴りかかる!

 

「駄目じゃないか、オールマイト。年長者(・・・)のアドバイスを蔑ろにしちゃ…『水晶生成』(プラス)『ホバー』」

 

 だが、怒りで冷静さを欠いた一撃は、易々と回避され―

 

「『槍衾(やりぶすま)(プラス)『炭素操作』金剛石(ダイヤモンド)生成(プラス)散弾銃(ショットガン)』」

 

 逆に足元から次々と生えてくる槍状に尖らせた石と、金剛石(ダイヤモンド)の散弾で、動きを封じられてしまう。

 

「長きに亘る因縁もそろそろ終わりにしよう。『空気を押し出す』(プラス)『筋骨発条(バネ)化』(プラス)『瞬発力』増幅率500%(プラス)『膂力増強』増幅率500%」

 

 そこへ間髪入れず撃ち込まれる、強烈無比な衝撃波。迎撃は…間に合わない!

 

「くっ!」

 

 私は咄嗟に防御を固めるが…。

 

「ぐぉぉぉぉぉっ!!」

 

 衝撃波は、防御の上からでも容赦なく私の体力を削り取っていく。そして―

 

「私に師匠を、愛弟子を奪われたオールマイト。私は君から全てを奪う。次は怪我をおして通し続けたその矜持」

「惨めな姿を世間に晒せ。平和の象徴(・・・・・)

 

 攻撃を耐え抜くのと引き換えに、私はマッスルフォームの維持も覚束無いほど体力を消耗していた。

 

 

飯田side

 

『えっと…何が、え…? 皆さん、見えますでしょうか?』

『オールマイトが…しぼんでしまっています……』

 

 テレビから聞こえてくるリポーターの呆然とした声。それは僕達家族全員の思いでもあった。

 

「う、嘘だ…」

 

 ベストジーニストを始めとするヒーロー達、吸阪君、緑谷君…次々とあの(ヴィラン)に倒され、そしてオールマイトまでも…余りに無慈悲で、残酷な現実に…僕は目を―

 

「目を逸らすな! 天哉!」

 

 逸らしかけたところを兄さんに一喝された。思わず兄さんに視線を送り、僕は息を呑む。

 

「ヒーローを目指すのなら、どんな辛くても目を逸らしちゃ駄目だ…」

 

 車椅子に座る兄さんは、もう動かない両足を何度も殴りながら、歯を喰いしばり、画面を見つめていた。

 

「…すまない、兄さん」

 

 一言兄さんに詫びると、僕は視線をテレビへ戻す。そう、今の僕に出来るのは、この戦いの結末を見届ける事だけだ…。

 

 

オールマイトside

 

「頬はこけ! 目は窪み! 貧相なトップヒーローだ! 恥じるなよ、それがトゥルーフォーム(本当の君)なんだろう?」

 

 オール・フォー・ワンの憐れむような声が、周囲に響き渡る。私の隠し通してきた秘密を暴き、さぞ良い気分だろう…だが―

 

「あぁ、これが本当の私さ…」

 

 もう、後の事(・・・)は考えない…。

 

「私は弟子を死なせ、お師匠を含む先人達の思いを、後世に繋げる事が出来なかった。だからこそ!」

「オール・フォー・ワン! 平和の象徴として…」

 

 例え、刺し違える事になろうとも(・・・・・・・・・・・・)

 

「ここで、お前を倒す!!」

 

 宣言と共に、私は再びマッスルフォームとなる。消耗した体力の分は、ワン・フォー・オール(残り火)の消費を増やす事で補う。これなら、あと暫くは戦える!

 

「大した覚悟だ。だが、精神論でひっくり返せるほど、戦況は甘くない。その搾りカスのような残り火で、私を倒せるなど…万に一つも思わない方が良い」

「万に一つの可能性を掴み取るのが…ヒーローなんだよ!」

 

 その叫びと共に、私はオール・フォー・ワンとの間合いを詰めようとした…次の瞬間!

 

「ッ!?」

 

 私の突撃を止めるように、猛烈な火炎がオール・フォー・ワンへと放たれた。今の炎は!

 

「なんだ貴様…」

「そのちっぽけな背中は何だ! オールマイトォ!!」

 

 エン、デヴァー…。

 

 

エンデヴァーside

 

「全て中位(ミドルクラス)とはいえ…あの脳無達をもう制圧したか。流石はナンバー(ツー)。見事なものだ」

 

 今放てる最大出力の火炎を事もなく防ぎながら、心にも無い称賛を口にする(ヴィラン)に意識を割きつつ、俺はオールマイトに駆け寄ると―

 

「貴様!」

 

 炎を纏わない…素手で(・・・)オールマイトを殴りつける!

 

「ぐぅっ…」

 

 不意を突いた一撃を受け、たたらを踏んでへたり込むオールマイト。俺は奴を睨みつけると―

 

「俺が超えようとした男の背中は、そんなちっぽけでは……断じて無い! 俺を道化にする気かっ!!」

 

 激情を言葉に変え、思いっきり叩きつけた。

 

「ッ!?」

 

 俺の叫びを聞き、虚を突かれた様な顔をするオールマイト。そうだ…相打ち覚悟の特攻(・・・・・・・・)など考える奴が、越えられない壁であってたまるものか!

 

「お涙頂戴の猿芝居など必要ない。引っ込んでいてくれないか?」

 

 そんな俺の思いを嘲笑うように、攻撃態勢に入る(ヴィラン)。だが、奴の攻撃が放たれるよりも早く―

 

「抜かせ、破壊者。俺達は救けに来たんだ(・・・・・・・)

 

 駆け付けたエッジショットが、息をもつかせぬ連続攻撃で(ヴィラン)はその場に足止めする。その隙に―

 

「逃げ遅れた人々は、我々が!」

「我々には、これくらいしか出来ぬ…それでも、オールマイト(あなた)が背負うものを少しでも!」

 

 シンリンカムイが、虎が、この作戦に参加し、まだ動けるヒーローやサイドキック達、そして警官達が逃げ遅れた人々を次々と救助していく。そして俺も―

 

「親父!」

「焦…アブソリュート。奴を討つ。最大火力で撃ちまくれ!」

「あぁ、出し惜しみは無しだ!」

「赫灼熱拳! ジェットバーン!!」

不死鳥の眼光(フェニックスグレア)!!」

 

 焦凍(アブソリュート)と共に、(ヴィラン)を攻撃だ!

 

 

グラントリノside

 

 エンデヴァー、エッジショット、そしてアブソリュートが、オール・フォー・ワンに猛攻を仕掛ける中、負傷した儂は、瓦礫に背を預けたまま座り込み…今は亡き盟友の言葉を思い出していた。

 

 -八木俊典! 面白い奴だよ。イカれてる-

 -曰く…犯罪が減らないのは、国民に心の拠り所がないからだと-

 -この国には今、“柱”がないんだって。だから、自分がその“柱”になるんだって-

 

「そうだ…俊典。お前は“柱”…」

 

 儂の呟きとほぼ同時に、立ち上がるオールマイト。エンデヴァーの不器用過ぎる叱咤で、自分を取り戻したようだ。まだ楽観は出来んが、一安心と―

 

「煩わしい」

 

 その瞬間、自らを起点に巨大な竜巻を起こすオール・フォー・ワン。

 

「ぬぉぉぉぉぉっ!」

 

 竜巻に巻き込まれたエンデヴァー、エッジショット、そしてアブソリュートは瞬く間に吹き飛ばされ、儂を含む多くのヒーロー達も、その余波で戦う力を奪われていく。

 

「やれやれ、力の差がまだ理解出来ないとは…大昔の人間が『馬鹿は死ななきゃ治らない』と言っていたらしいが…ヒーローという存在は、馬鹿しかいないようだ」

「馬鹿だからこそ、人を助けるのさ…オール・フォー・ワン!」

 

 残るはオールマイトただ1人…もう儂らには、勝負の結末を見届けるしかない。そう思った…その時だ!

 

「トールハンマー! ブレイカー!!」

 

 叫びと共に放たれた電撃が、オール・フォー・ワンに襲いかかった!

 

「ぐぅっ…」

 

 完全に想定外の攻撃だったのだろう。辛うじて防御こそ間に合ったものの、ダメージ0とはいかなかったオール・フォー・ワンは、攻撃の主を確認し―

 

「馬鹿な…」

 

 思わずそう呟いていた。

 

「君は―」

死んだ筈だ(・・・・・)。とでも言いたいのか? お生憎様、この通り生きてるよ!」

 

 よくぞ…よくぞ生きとった! ライコウ!

 

 

雷鳥side

 

死んだ筈だ(・・・・・)。とでも言いたいのか? お生憎様、この通り生きてるよ!」

 

 ホンの僅かに動揺した様子のオール・フォー・ワンに、そう啖呵を切りながら、俺はオールマイトへと駆け寄り―

 

吸阪少年(ライコウ)…よく、無事で…」

「シールド博士から渡された…コレ(・・)のおかげです」

 

 心底安堵した様子のオールマイトに、懐に忍ばせていた掌サイズの機械を見せた。過負荷によって破損し、機能を停止したこの機械に、俺は命を救われた。

 

 -コレは、私が開発した携帯型バリヤーマシン(・・・・・・・・・・)の試作機だ-

 -一定値以上の衝撃に対し、自動的にバリヤーを展開する仕組みになっている-

 -エネルギー容量や伝達系にまだ問題があって…バリヤーの展開可能時間等に、少々難があるが…それでも、戦車砲程度の攻撃なら3回、オールマイト級の攻撃でも、1回は防ぐ事が出来る筈だ-

 -今度の戦い、何が起きるかわからない。気休めかもしれないが…持って行ってくれ-

 

「そうか、デイヴが…」

「まぁ、流石に無傷とまではいきませんでしたがね…アバラの何本かにヒビ入ってるし、あちこち打撲だらけだ…でも、まだ戦えます。俺も、アイツ(・・・)も!」

 

 その言葉にオールマイトが驚愕の表情を見せた次の瞬間、瓦礫を吹っ飛ばして出久が飛び出してきた。だが、その体は宙に浮いていて(・・・・・・・)…。

 

「あれは…『浮遊』の、“個性”…お師匠の(・・・・)……“個性(・・)”だ」

 

 オールマイトの呟きに、俺は、『ワン・フォー・オール』の中に眠る歴代継承者。その“個性”が、目覚め始めた事を察する。

 前世の記憶(原作)より、はるかに早い…こいつは……嬉しい誤算(・・・・・)だ。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回以降、出久君に歴代ワン・フォー・オール継承者の“個性”を発現させようと考えています。原作ではまだ『浮遊』と『黒鞭』の2つしか明らかになっていない為、この2つのどちらか、若しくは両方を発現させる。あるいは完全オリジナルの“個性”を1つもしくは複数発現させる。以上の5択でアンケートに回答してください。

  • 7代目継承者・志村菜奈の『浮遊』が発現
  • 5代目継承者・万縄大悟郎の『黒鞭』が発現
  • 『浮遊』と『黒鞭』の同時発現
  • 完全オリジナル“個性”が1つ発現
  • 完全オリジナル“個性”が複数発現
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