出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第102話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
出久side
「威力は受けて確かめたまえ」
オール・フォー・ワンの持つ数多の“個性”によって動きを封じられ、全身血塗れにされたオールマイトへ迫る強烈な衝撃波。
「ワン・フォー・オール、フルカウル! 100%!」
僕は半ば反射的に『ワン・フォー・オール』の出力を100%開放。麻痺と重力の枷を振り切って飛び出し―
「オールマイトォォォッ!」
オールマイトを突き飛ばす事で、衝撃波から救い…代償として、自分が衝撃波をまともに受けてしまった。
僕はトラックに撥ねられた子猫のように宙を舞い、無防備な状態で地面に叩きつけられ―
「ッ!?」
次の瞬間、何も無い真っ暗な空間に立っていた。いや、立っていると表現は適切じゃないのかも知れない。
僕の下半身は黒い…ガスみたいな物になっていて、その場から一歩も動く事が出来ない。
「…腰から上は…動く。視覚、聴覚、嗅覚はある。触覚は……上半身はあるけど、下半身は…」
現状を把握する為、自分の状態を大急ぎで確かめていると―
「冷静だね。パニックを起こしたって不思議じゃないのに」
「自分を律する事が出来ている。本当の意味で頭が良いのさ! 」
そんな声と共に、闇の中から綺麗で精悍な顔つきの女性と、スキンヘッドにゴーグル、黒い革ジャンというラフな格好の男性。
「はじめまして、だね。緑谷出久…
痩身の男性が姿を現した。3人の背後では、ピンボケした写真のような姿の男性が2人、辛うじてシルエットが把握出来る人物が2人。そして―
「………」
ぼんやりとした光で形作られたオールマイトが、無言で僕を見つめていた。そうか…この人達は…。
「歴代の、ワン・フォー・オール継承者……」
「大正解!」
「物分かりが良くて助かるのさ! 説明の手間も省ける!」
「使える時間はそう多くないからね。緑谷出久、僕達は簡単に言えば、歴代継承者の魂…その
「ワン・フォー・オールは聖火の如く引き継がれる“個性”! 次代の継承者へ譲渡する際に“
「今の君では、まだ私達3人しか
3人の言葉に、僕は大きな感銘を受けた。この人達…未だ覚醒していない4人を含む7人は、力尽きるまで悪と戦い続けただけじゃない。
命が尽き、肉体が滅びても尚、ワン・フォー・オールの中で、次代の継承者を見守り続けていたんだ。
偉大な先輩達が見守ってくれているんだ。恥ずかしい戦いは見せられない。
「はい! 頑張ります!!」
「良い返事さ! そんな坊主に良い事を教えてやる。お前にはこれから、6つの“個性”が発現するさ!」
「ッ!?」
スキンヘッドの男性が発した言葉に、僕は心底驚いた。これから、6つも“個性”が発現する!?
「…いや、歴代継承者の皆さんの魂が代々継承されていたのなら、その“個性”も受け継がれるというのは、ありえない話じゃない…だとすると―」
「ホントに物分かりが良いのさ! 頭の回転も速い!」
「えっ!?」
男性の声で、思考に夢中になっていた事に気づく。あぁ、またやってしまった。
半ば習性と化している悪癖を何とか改善しなければ…そう思った直後、皆さんの姿が、体の末端部分から少しずつ消え始めた。
「あぁ? そろそろ時間切れになるみてぇだな…よし、伝えたい事を大急ぎで伝えるさ!」
「俺達の因子は“力”の核に混ざって、ワン・フォー・オールの中にずうっと在った」
「例えるなら小さな核。揺らめく炎、或いは波打つ水面の中にある小さな点。培われてきた力に覆われる力の原始」
「そいつが今になって大きく…膨れ、胎動を始めたさ」
「力の譲渡を繰り返し、極限まで磨き上げられた筈のワン・フォー・オールそのものが、更に成長している…新たな段階に進もうとしているのかもしれない。まぁ、この事はまだ、記憶に留めておいてくれれば良い。重要ではあるけどね」
「重要なのはここから! 坊主に発現する“個性”は、ワン・フォー・オールに蓄積された力が上乗せされた事で、俺達が使っていた頃より大幅に強化されてるって事さ!」
ここまで伝えてくれたところで、皆さんの姿が消える速度が一気に増した。
「いかん、消えるさ…まぁ、俺達は魂の欠片。すごくフワッとしたもんよ。だから直接力を貸す事は出来ないが、それでも
「肝心なのは、心を制する事! 心を制して、私達を使いこなせ!」
「頑張ってくれ、緑谷出久。ワン・フォー・オールを完遂させるのは……君だ!」
そう言い残して、痩身の男性とスキンヘッドの男性は姿を消し、その背後にいた4人も消えていった。
そして辛うじてシルエットを保っていた女性も…
「無事にこの戦いを乗り越えたら…俊典と空彦に、伝言を頼めるかな?」
僕にオールマイトとグラントリノへの伝言を託し、消えていった。
「頑張ります!」
歴代継承者の皆さんに深々と頭を下げたところで―
「ッ!?」
僕は意識を取り戻した。慌てて自分の体を確認するが、あれほど強烈な衝撃波を受けたにも関わらず、ダメージは想像よりもずっと小さかった。
「そうか…これの…」
懐に手をやり、忍ばせていた携帯型バリヤーマシンを確認すると、僕の負傷を肩代わりするように破損し、その機能を停止していた。
「シールド博士…感謝します!」
そう呟いた直後、脳裏に2つの“個性”に関する情報が一気に浮かび上がる。これが…歴代継承者の“個性”!
「『黒鞭』と『浮遊』…わかる。“個性”の性質も使い方も!」
僕は『浮遊』を発動し、空へと舞い上がると、オールマイトと雷鳥兄ちゃんの元へ移動する。
歴代継承者の皆さん…見ていてください。皆さんが繋げてきた“力”。その戦いぶりを!
オールマイトside
「お師匠…貴女の“個性”が、
お師匠の“個性”である『浮遊』を発動し、私の元へと駆け付ける
「これは…悪い冗談かな? 殺した筈のオールマイトの弟子2人が生きていた…これは
「だが、その“個性”は何かな? 何故、
オール・フォー・ワンが、初めて激情を露にした。奴にとってはそれだけ、理解し難い現象なのだろう。だが―
「その理由を…お前が知る必要なんて、これっぽっちも無い!」
「どうしても知りたかったら、刑務所の中で考えるんだな!」
「オールマイト、いきましょう! 決着を付けに! それが歴代継承者の願いです!」
「弟子として、最後までお供します!」
「うむ! 力を貸してくれ! ライコウ! グリュンフリート!」
そして、私達3人は一斉に飛び出す。オール・フォー・ワンと決着を付ける為に!
雷鳥side
「ライトニングフルカウル! &ターボユニット!」
走りながらライトニングフルカウルとターボユニットを同時発動させた俺は、向上した脳の処理速度をフルに活かして、最短かつ最適なルートを割り出し疾走。
「マグネ・マグナム! マルチシュート!」
オール・フォー・ワンの死角になる位置からマグネ・マグナムを撃ちまくる!
「『巨腕』
まぁ、敵も然る者。死角からの攻撃にも対応し、見事に防御してみせたが…残念。
「
「ぐぅっ!」
防御されたベアリング弾を利用して張った電撃の網に囚われ、動きを封じられるオール・フォー・ワン。恐らく、拘束は数秒程度しか出来ないだろう。
「はぁぁぁぁぁっ!」
だが、数秒でも隙を作れれば十分! その間に『浮遊』で空を舞う
「行けぇ!」
両腕を振るえば、黒い鞭のような物がオール・フォー・ワンへ向けて放たれた。あれは…5代目継承者の“個性”『黒鞭』か!
『浮遊』だけでなく、『黒鞭』まで発現していたとは…嬉しい誤算にも程があるな。
「これはっ…」
そして、その誤算はオール・フォー・ワンにとってもだ。
「でやぁぁぁっ!」
カウンターの要領で放たれた中段回し蹴りが、土手っ腹に炸裂! 隕石のような勢いで地上へと落下していく。
そのまま地面に叩きつけられるかと思われたが―
「この…程、度っ!」
地表まであと数mというところで、体勢を立て直し、空中で急停止するオール・フォー・ワン。
その全身は、黒いオーラのような…恐らくバリアの類に覆われていた。あの状態で咄嗟に発動するとは流石だよ。だが!
「
体勢を立て直す為に生じた一瞬の隙を突き、オールマイトが本命の攻撃を叩き込んだ!
強烈なクロスチョップによって体を包むバリアを突破され、派手に吹っ飛ばされるオール・フォー・ワン。
弾丸のような勢いで半ば廃墟と化した雑居ビルに突っ込み、倒壊するビルの瓦礫の下敷きとなっていく。
「2人とも、気を抜くんじゃないぞ…奴があの位で倒せたとは、到底思えん」
「えぇ、このくらいで倒せたなら、苦労はしませんよ」
「最大レベルで警戒します!」
そんな会話を交わしながら、瓦礫の山を見つめていると―
「ライコウ、そしてグリュンフリート…私は君達2人に詫びなければならない」
ゾッとするほど冷たい声が響き、それと同時に瓦礫の山が一気に吹き飛んでいく。そして姿を現したオール・フォー・ワンは―
「私は君達を評価しながら、それでも所詮は学生だと高を括っていた。その結果がこれだ。痛い目を見たよ」
「正直に言おう! 君達とオールマイトを同時に相手取るのは、今の私では些か骨が折れる。だから…」
「もはや、
「『加工』
数多くの“個性”を同時発動。瓦礫を別の物質に作り替えながら、それを材料に巨大な何かを作り上げ、一体化した。
「この組み合わせは、出来る事なら
俺達の前に立つのは、50mを優に超える
「それでも、敗北よりははるかにマシだ! 3人のヒーローよ。死体も残らない最期を迎えるだろうが…許してくれたまえよ?」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、激闘決着。