出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
お楽しみ頂ければ、幸いです。
オールマイトside
「皆、お疲れさん! 爆豪少年以外は大きな怪我もなし! しかし、真摯に取り組んだ!」
1回目の戦闘訓練も無事に終了し、私は生徒達に締めの挨拶をしながら最終戦の講評を思い出していた。
生徒達の講評を総合的に纏めた結果、今回のMVPは自身の“個性”を的確に使って見事な索敵を行い、その後は出番が無かったとはいえ、核兵器の防衛という役割を的確に実行した耳郎少女となった。
2位は耳郎少女と同じく“個性”を的確に使って見事な索敵を行った障子少年。耳郎少女との差は、轟少年がビルを凍結させた時点で油断をしてしまい、索敵を緩めてしまった為、結果的に真っ先に脱落してしまった事だ。
…もっとも、緑谷少年があんな方法で凍結を回避する事を予測できたか? という点には疑問符が付くのだが…まぁ、実戦では何があるかわからない。という教訓にしてもらいたい。
そして、緑谷少年と轟少年は残念ながら講評という点では揃って最下位となってしまった。
前半は文句なしだったが、後半は完全に互いの勝負に没頭してしまったからだ。この点に関しては私も同意見である。だが…
「講評を抜きにして考えたらさ。なんて言うか、2人の戦いはすっげぇ熱かったぜ! なんかこう…魂が震えるっていうかさ!」
この切島少年の言葉は、その場にいた全員の一致した意見だろう。的確かつ冷静な講評を行っていた八百万少女ですら、頷いていたのだから。
「初めての訓練にしちゃ、皆上出来だったぜ!」
そんな事を考えながら、締めの挨拶を進めていく。
授業開始すぐの説明ではカンペを使ってしまったが、今回は大丈夫!
「相澤先生の後でこんな真っ当な授業…何か拍子抜けというか…」
「HAHAHA! 真っ当な授業もまた私達の自由さ!」
蛙吹少女の呟きにそう返すと、周囲からどこか乾いた笑いが漏れ聞こえてくる。
これは相澤君の合理的虚偽が相当トラウマになっているみたいだね。まぁ、それもまた“
「それじゃあ、私は爆豪少年に講評を聞かせねば! 着替えて教室に…お戻り!」
そう言い残し、全速力でその場を後にする。
爆豪少年に講評を聞かせるまで、この姿を維持しなければ! あと、爆豪少年の肥大した自尊心に関しては、相澤君にも相談しておかないと…。
まったく! 授業やってると制限時間ギリギリだぜ。SHIT!!
雷鳥side
ヒーロー基礎学を終え、無事に放課後を迎えた俺達は教室に残り、戦闘訓練の反省会を行った。
参加したのは全員で18人。欠席者の1人目、轟は今日中にどうしても済ませておかなければならない用事が出来たそうで、最後まで済まなさそうにしながら帰っていった。
出久と戦うまで、酷く冷たい…恨みつらみを抱えたような目をしていたが…今はどこか吹っ切れたような、柔らかい目をしていた。
出久と拳を交わした事で、凍てついた心に再び炎を灯す事が出来たのだろう。
そして、もう1人の欠席者、爆豪だが…俺と出久を除くクラスメート達の引き留めも無視して、さっさと帰ってしまった。
………まぁ、1度ぶちのめしたくらいで性根が叩き直せるなら、苦労はしないか。暴言を吐かなかっただけマシ…と考えておこう。
「………よし、帰るか出久」
「うん!」
反省会も終わり、家路に着く俺達。飯田、麗日、梅雨ちゃんも加わり、5人での下校だ。
さて、途中でスーパーに寄って、弁当の材料買い込まないとな。それから…あ、トイレットペーパーと洗剤が特売だったから買っておこう。
爆豪side
医務室から戻ると、デクとあの“没個性”野郎が中心になって、反省会なんてやってやがった。俺にも参加を促してきたが、速攻で無視して家に帰った。
クソが…群れなきゃ何も出来ない“没個性”ども…俺はお前らなんかとは違うんだ。
オールマイトだって言ってくれたんだ。『自尊心ってのは大事なものなんだ。君は間違いなくプロになれる能力を持っている』ってな!
今日俺はあの“没個性”野郎に負けた。だが、そんだけだ! こっから俺はのし上ってやる! 一番になってやる! そして、あいつら全員、地面に這いつくばらせて、俺が最強だって認めさせてやる!
俺に土下座して謝るデクと“没個性”野郎の姿を想像して、俺は笑いが止まらなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
医務室に運ばれ、クラスメート達の戦闘訓練。特に出久と轟の戦いを直に見ていない事。そして、オールマイトの言葉を曲解した事で…おや? 爆豪の様子が…
日常風景(&1-A委員長決め)を挟み、次々回からUSJ編に入りますので、よろしくお願いいたします。