出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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第12話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです


第12話:学級委員長選出!

雷鳥side

 

「昨日の戦闘訓練、お疲れ」

 

 時間通りに始まったHR(ホームルーム)。シンと静まり返った教室に相澤先生の声が響く。

 

「Vと成績見させてもらった訳だが…爆豪」 

「ッ!」

「お前…何やってんだ?」

 

 その瞬間、相澤先生の纏っていた雰囲気が一変した。それを感じ取り、背筋に冷たいものが走ったのは俺だけではあるまい。

 

「お前のやらかした事は、十分除籍に匹敵する愚行だ。即刻ここから出ていけ…」

「と、言いたい所だが、オールマイト先生から、今回の件は訓練中止のタイミングを逸した自分のミスだ。という意見もあった事を鑑み、厳重注意に留めておく。だが、次はないぞ。お前の評価は0ではなく(マイナス)だという事を忘れるな」

 

 相澤先生の冷たい声に黙って頷く爆豪。これで少しは大人しくなると良いんだが…

 

「さて…」

 

 爆豪に特大の釘を刺すと同時にいつもの様子に戻った相澤先生は、ゆっくりと俺達全員を見回すと-

 

HR(ホームルーム)の本題だ…急で悪いが、今日は君達に……」

 

 その瞬間、教室の空気が僅かにざわついた。もしや、臨時のテストか?

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

 学校っぽいのきたー! そんな声が周囲から一斉に飛び出し、次々と手が上がっていく。

 これが普通科辺りだったら担任の小間使いみたいな扱いなんだろうが、ここはヒーロー科。集団を導くというトップヒーローに必要な素地を鍛えられる役だからな。立候補が殺到するのも当然だ。見れば出久もこっそり手を上げている。

 マニフェストを口にする者もいるが、峰田…女子全員膝上30cmって、お前いつかセクハラで捕まるぞ。

 ………まぁ、正直な話をすれば、集団を率いるなんて俺は遠慮したいところだ。ここは高みの見物と…

 

「静粛にしたまえ!!」

 

 飯田の声が響いたのはその時だ。

 

「『多』を牽引する責任重大な仕事だぞ…! 『やりたい者』がやれるモノではないだろう!!」

「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…! 民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!」

 

 …うん、至極真っ当な意見だ。でもさぁ…。

 

「そびえ立ってんじゃねーか!! 何故発案した!!」

 

 あ、俺より先に瀬呂がツッコミを入れたか。

 

「同じクラスになって日も浅いのに、信頼もクソもないわ。飯田ちゃん」

「そんなん皆自分にいれらぁ!」

「だからこそ、ここで複数票を獲得した者こそが、真に相応しい人間という事にならないか!?」

 

 梅雨ちゃんや切島とのやり取り。そして相澤先生の『時間内に決まれば何でもいい』という発言から、無記名での投票が行われたのだが…。

 

 緑谷出久4票

 飯田天哉2票

 八百万百2票

 吸阪雷鳥2票

 (以下略)

  

 なん、だと…

 出久が4票、飯田と八百万が2票。これは判る。俺が2票って…何かの間違いだろ? 

 

「ぼ、僕が4票!?」

「なんで、デクなんかに…」

 

 4票獲得した出久も驚きの声を上げ、爆豪も開いた口が塞がらない状態だ。

 

「よし…緑谷が委員長。副委員長は…飯田、吸阪、八百万、ジャンケンでもして決めろ」

 

 だが、票が同点である以上、誰か1人を選ばなくてはならない。相澤先生の指示に従い、俺達3人はじゃんけんを行い、無事八百万が副委員長となるのだった。

 

 

 午前中の授業も無事に終わり、俺達は昼食の為に大食堂に移動していた。重箱を持って移動する俺の姿にすれ違う同級生達が必ずと言って良いほど二度見してきたが…もう慣れた。

 ちなみに、大食堂で弁当を食って良いかどうかは、前以てランチラッシュ先生に確認を取り、OKを貰っている。

 

「口に合うと良いんだがな」

 

 そう言いながら風呂敷を解き、重箱を開くと弁当を頼んでいた切島達が声をあげる。 

 

「すっごーい! 吸阪!」

「ぶっちゃけ予想以上だぜ!」

「豪華や!」

「美味そう!」

「料理上手という緑谷ちゃんの評価は適切だったわね」

「ホントに食べて良いの!?」

「あぁ、遠慮せずにどんどん食べてくれ」

 

 全員に紙皿と割り箸を渡して、準備完了。

 

「では、いただきます」

「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」

 

 食前の挨拶を済ませると同時に銘々箸を伸ばし、好きなおかずとおにぎりを紙皿に取っていく。引子姉さんや出久には好評だったが、さて皆の反応はどうかな?

 

「なんじゃこりゃぁ!」

「滅茶苦茶うめぇ!」

「はふぅ、おにぎり美味しい」

「ケロケロ、この照り焼きの味つけ。好みだわ」

「こんなに美味しいなんて、吸阪にお願いして良かったよ!」

「同感!」

 

 …どうやら、気に入ってくれたようだ。

 

 

「あぁ、美味かった…」

 

 そう言いながら膨れた腹をさする切島。他の皆も満足気な表情を浮かべている。作った弁当は完食されており、作った甲斐があるというものだ。そう思っていると―

 

「横から見ていても皆、凄まじい食べっぷりだった…吸阪君の料理はそれほど…美味いのかい?」 

 

 大盛カレーを完食し、食後のオレンジジュースを飲んでいた飯田が声をかけてきた。

 

「美味かったぜ! ランチラッシュ先生の作る料理とは何つーか…違う感じの美味さだ!」

「そうね。ランチラッシュ先生とはベクトルが違う…でも美味しい料理だったわ」

 

 切島と梅雨ちゃんの賛辞に思わず顔が赤くなるのを感じる。ここは話題を変えるとするか。

 

「そ、そういえば出久、学級委員長に選ばれた気分はどうだ?」

「ら、雷鳥兄ちゃん! その話題振らないでよ! あぁ、せっかく忘れてたのに…務まるか不安だよ」

「緑谷、大丈夫だって! 4票獲得って事は自分以外に3人投票してくれたって事だろ? そんだけ信用されてるって事だよ!」

「………僕、飯田君に投票したんだ」

「出久、そうだったのか…実は俺も飯田に投票した」

「ケロ? 飯田ちゃんの得票数は2票…という事は、飯田ちゃんは別の人に投票したの?」

「あぁ、俺は…吸阪君に投票した」

「2票の内の1票はお前だったんかい! って事は、もう1票は……」

「私よ。ケロケロ」

 

 やっぱり梅雨ちゃんだったか。となると…

 

「あくまでもこれは勘だが…出久に入った4票のうち2票は、お前達じゃないか? 麗日、切島」

「うん、そうだよ。吸阪君と迷ったけどね」

「俺は昨日の戦闘訓練を見てさ。緑谷なら信用できるって思ってな」

「たしかに、緑谷君の胆力や判断力は『多』を牽引するに値する。俺も吸阪君と最後まで迷ったよ」

「でも、飯田君も委員長やりたかったんじゃないの? メガネだし!」

「う、麗日さん。メガネかけている人間全員が委員長やりたいわけじゃないと思うよ…」 

「た、たしかに委員長をやりたいと思った事を否定はしない。だが、『やりたい』と相応しいか否かは別の話。『僕』は『僕』の正しいと思う判断をしたまでだ」

 

 …ん? 『僕』だと…もしかして飯田って…

 

「ちょっと思ったけど、飯田君って『坊ちゃん』!?」

 

 麗日…単刀直入すぎ! 飯田、冷や汗かいてるぞ!

 

「………そう言われるのが嫌で、一人称を変えていたんだが……」

「あぁ、そうだ。俺の家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」

 

 良い事を知った! と言わんばかりに出久の目が輝きだしているな。飯田、根掘り葉掘り聞かれる事を覚悟しておけ…。

 

「ターボヒーロー『インゲニウム』は知ってるかい!?」

「もちろんだよ!! 東京の事務所に65人の相棒(サイドキック)を雇っている大人気ヒーローじゃないか!! まさか…!」

「それが僕の兄さ!」

 

 飯田、自重しているつもりなんだろうが…誇らしさが滲み出ているぞ。やはり、身内がヒーローというのは、誇らしいものなんだな。

 

「規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー! 俺はそんな兄に憧れ、ヒーローを志した」

「だが、人を導く立場は、まだ俺には早いのだと思う。よって、多くの支持を獲得した緑谷君が、委員長に就任するのが正しい! と俺は思う」

「なんか…初めて笑ったかもね。飯田君」

「え、そ、そうだったか!? 笑うぞ、俺は!」

 

 なるほど。出久にとってのオールマイトが、飯田にはインゲニウムと言う事か。

 弟にこれだけ慕われるとは、インゲニウムはヒーローとしてだけじゃなく、兄としても立派な人なんだろう。

 そんな事を考えていると突然、大音量のサイレンが大食堂、いや校舎全体に鳴り響いた。

 

 『セキリュティ3が突破されました』

 『生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

「セキリュティ3って何ですか?」

「校舎内に誰か侵入してきたって事だよ! 3年間でこんなこと初めてだ! 君達も早く非難しろ!」

 

 近くのテーブルにいた3年生が状況を教えてくれるが、既に避難しようとする学生で入り口は完全に塞がっている。

 

「侵入って、何が侵入したんだ!?」

「わからん、だが入り口には下手に近づかないほうがいい。あの混雑具合じゃ、いつ将棋倒しになってもおかしくないぞ」

「じゃあ、どこから避難を?」

「最悪、窓を破って…だな」

 

 そんな会話を交わしながら窓に視線を走らせると、そこには―

 

「何だよあれ、マスゴミどもじゃないか!」

 

 オールマイト目当てに校門前で屯していたマスゴミどもが、敷地内に侵入していた。相澤先生やプレゼント・マイク先生が対応しているが、あの数を2人で対応するのは相当骨が折れるだろう。

 

「このままじゃマスゴミのせいで、怪我人が出るぞ。なんとかして、周りにこの事を知らせないと! 侵入したのがマスコミだと解れば、皆落ち着きを取り戻すはずだ!」

「でも、どうやって? ちょっと大声出した位じゃ、これだけの人数は止められないわよ」

「何か思いっきり目立つ事をして、注意を惹きつける。それしかない」

「目立つ事…そうだ! 麗日君! "個性”で俺を浮かせるんだ!」

 

 何かを思いついたのか、飯田が麗日に自分を浮かすよう求めた。そして、浮き上がった飯田は―

 

「ぬぉぉぉぉぉっ!!」

 

 自らの”個性"『エンジン』を使って、一気に加速。大食堂入り口まで移動すると!

 

「大丈ー夫っ!!」

「ただのマスコミです! 何もパニックになる事はありません! 大丈ー夫っ!!」

「ここは雄英! 最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう!!」

 

 声を振り絞り、見事にパニックを鎮めてみせた。うん、見事だ!

 その後、警察が到着し、マスゴミは撤退していった。そして、授業後のHR(ホームルーム)で…。

 

「えっと、他の委員を決める前に、1つ提案があるんです。学級委員長ですが…僕は飯田君こそが相応しいと思います」

「大食堂であれだけのパニックを鎮められた。僕に投票してくれた人には、悪いと思います。でも、僕は飯田君が委員長を務めるのが()()()と思うから…どうか、わかってください」

 

 出久は自らの胸の内を堂々と伝えると共に頭を下げ―

 

「委員長の指名とあらば仕方あるまい! この飯田天哉! 全身全霊を持って、クラス委員長を務めさせていただきます!!」

 

 飯田が1-Aのクラス委員長に就任したのだった。 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回よりUSJ編に突入します。

オマケ

学級委員長選出無記名投票結果

 青山優雅  1票(投票者:自分)
 芦戸三奈  1票(投票者:自分)
 蛙吹梅雨  0票
 飯田天哉  2票(投票者:出久、雷鳥))※クラス委員長
 麗日お茶子 0票
 尾白猿夫  1票(投票者:自分)
 切島鋭児郎 0票 
 口田甲司  1票(投票者:自分)
 砂藤力道  1票(投票者:自分) 
 障子目蔵  1票(投票者:自分)
 耳郎響香  0票
 吸阪雷鳥  2票(投票者:蛙吹、飯田)
 瀬呂範太  1票(投票者:自分)
 常闇踏陰  1票(投票者:自分)
 轟焦凍   0票
 葉隠透   0票
 爆豪勝己  1票(投票者:自分)
 緑谷出久  4票(投票者:麗日、切島、耳郎、轟)※クラス委員長[辞退] 
 峰田実   1票(投票者:自分)
 八百万百  2票(投票者:自分、葉隠))※クラス副委員長
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