出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

18 / 120
第14話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。

また、掲載に伴いキャラクター設定集にも追加を行っております。


第14話:対決! (ヴィラン)連合!ーその1ー

雷鳥side

 

(ヴィラン)!?」

「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

 

 突然の(ヴィラン)集団の乱入に切島や砂藤が驚きの声を上げる中、俺は右腕の籠手に内蔵された通信機で外部への連絡を試みたのだが…。

 

「やっぱり駄目か」

 

 案の定と言うべきなのだろう。聞こえてくるのはノイズばかりで、送信も受信も出来なくなっている。

 

「相澤先生! 試してみましたが、外部への通信は不可能になってます! 侵入者用のセンサーが作動していない事から見ても、電波妨害とセンサーの無力化が出来る“個性”か技術の持ち主がいる事は間違いないです!」

「行動が早いな…だが、状況は解った」

 

 (ヴィラン)集団を睨みながら、俺の報告に頷く相澤先生。いつでも飛び出せる体勢だが、1人であの数を相手にするのは流石に無茶ってもんだ。

 

「相澤先生、まさかとは思いますけど…あの数を1人で相手にするつもりですか?」

「………」

「プロヒーロー『イレイザーヘッド』の実力を疑う訳じゃないですが…いくらなんでも無謀ですよ。貴方風に言わせるなら非合理的だ」

「たしかにな…校舎と離れた隔離空間。そこに少人数(クラス)が入る時間割…そして、通信妨害にセンサーの無力化。奴らはバカだがアホじゃねぇ…これは何らかの目的があって、用意周到に画策された奇襲だ」

「正面きって戦うのが駄目なら、せめて援護だけでも!」

 

 俺の言葉に続き、轟と出久が声を上げる。だが、相澤先生は-

 

「お前らヒヨコに心配されるほど、柔な鍛え方はしちゃいない。俺の心配より、自分の身を守る事を考えろ」

「13号、避難開始! USJから脱出と同時に学校に連絡試せ!」

 

 それだけ言い残し、1人歩き出した。

 

「先生! いくら“個性”を消すっていっても! イレイザーヘッドの戦闘スタイルは、敵の“個性”を消しての捕縛。あの数相手の正面戦闘は…」

「緑谷、覚えておけ。一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号! 任せたぞ」

 

 直後、相澤先生は(ヴィラン)集団へと飛び込んでいった。

 

 

イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかったか!? ありゃ誰だ!?」

「知らねぇ!! が、1人で正面突っ込んでくるとは大まぬけ!!」

 

 有象無象の(ヴィラン)達が何も知らずに俺を待ち構える。余裕綽々の態度で“個性”を発動しようとするが-

 

「あれ? 出ねぇ…」

 

 既にお前らの“個性”は抹消済みだ。間髪入れず、マフラーを一番近くにいた2人に巻き付けて動きを封じ-

 

「まず2人」

 

 そのまま引っ張れば、2人は顔面同士がぶつかる形で激突。地面に崩れ落ちた。

 

「馬鹿野郎! あいつは見ただけで“個性”を消すっつうイレイザーヘッドだ!!」

 

 俺の事を知っている(ヴィラン)がいたようだな。だが、やる事に変わりはない。

 

「消すぅ~!? へっへっへっ、俺らみてぇな異形型のも消してくれるのかぁ?」

 

 岩のような肌と4本の腕を持つ巨漢。見るからに力自慢といった風貌だが、自分の“個性”を過信し過ぎだ。

 

「いや、無理だ。発動系や変形系に限る」

 

 だから、容易く懐に潜り込まれる。無防備な顔面に拳を叩き込み、打ち倒すと同時にマフラーを足に巻き付け-

 

「だが、お前らみたいな奴の旨みは統計的に、近接戦闘で発揮される事が多い」

 

 別の(ヴィラン)が背後から殴りかかってきたのを避けると同時に、マフラーを操作。そうすれば-

 

「だから、その辺の()()はしてる」

 

 倒した(ヴィラン)そのものが凶器となって体勢の崩れた(ヴィラン)に襲いかかる。これで4人。

 ほんの10秒足らずの間に4人を倒した事で、奴らも状況が理解出来たのだろう。迂闊に動かず、こちらを遠巻きに取り囲むだけに留めてきた。よし、このまま時間を稼げれば…。

 

「肉弾戦も強く…その上、ゴーグルで目線を隠されていては、『誰を消しているのか』わからない。集団戦においては、そのせいで連携に遅れを取るな…成程…」

「嫌だなプロヒーロー。()()()()じゃ歯が立たない…」

 

 全身に『手』をくっつけた怪人…奴がこの集団の長だろう。となると、奴を潰せば…。そう考えた次の瞬間、黒い(もや)が生徒達のすぐ近くに移動していた。

 迂闊! 一瞬の瞬きの間に一番厄介そうな奴を!

 

 

雷鳥side

 

「させませんよ」

 

 イレイザーヘッド(相澤先生)の戦いに(ヴィラン)集団が浮足立った隙を突き、USJから脱出しようとしたその時、黒い(もや)が俺達の前に立ち塞がった。

 

「初めまして、我々は(ヴィラン)連合。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて戴いたのは…平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

「本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃる筈…ですが、何か変更あったのでしょうか? まぁ、それとは関係なく…」

「私の役目はこれ」

 

 黒い(もや)が動く! 当然、黙ってされるがままの俺達じゃない。13号先生を筆頭に俺、出久、轟が迎撃の為に構えるが-

 

「おらおらおらぁっ!」

「吹っ飛んで死ねやぁ!」

 

 俺達に先んじて、爆豪と切島が黒い(もや)に攻撃をしかけた。

 切島の硬化した腕による斬撃と爆豪の爆破により、黒い(もや)の一部が切り裂かれ、一部が吹き飛ぶ。

 

「その前に俺達にやられる事は考えてなかったか!?」

 

 勇ましく啖呵を切る切島。だが、その攻撃は悪手だ!

 

「危ない危ない……そう…生徒といえど優秀な金の卵」

 

 切り裂き、吹き飛ばしたのはあくまでの黒い(もや)の一部。その奥に見える本体は無傷な上に-

 

「駄目だ! どきなさい2人とも!」

 

 13号先生や俺達の射線に被ったせいで、攻撃が出来ない!

 

「散らして…嬲り殺す!」

 

 次の瞬間、黒い(もや)が大きく広がり、俺達全員を包んでいく。

 

「ちぃっ!」

 

 咄嗟に、右腕の籠手に内蔵されたワイヤー付きアンカーを射出。真っ先に黒い(もや)に飲み込まれていた2人の内、どちらかを引き寄せるが…それが誰なのかを確認する間も無いまま、俺も黒い(もや)に飲み込まれた。

 

 

出久side

 

「っ!?」

 

 黒い(もや)に飲み込まれた次の瞬間、僕は空中に投げ出されていた。ここは…USJの水難ゾーン!?

 あの黒い(もや)は、ワープの類の“個性”なのか? オールマイトを殺すとか言っていたし、情報が少なすぎる!

 そんな最悪の状況に歯噛みする間もなく、着水。急いで浮上を試みるが-

 

「来た来た!!」

 

 待ち構えていたのは半魚人のような風貌の(ヴィラン)。周りを見れば、水中活動を得意としてそうな(ヴィラン)が軽く10人はいる。

 拙い…1人や2人ならどうって事ないけど、水中でこれだけの数を相手にするのは、骨が折れるぞ。

 

「お前、陸の上ならかなり強いみたいだな! だが、水の中なら俺が上! 恨みはねぇけどサイナラ!!」

 

 大きな口を開き、鋸のように並んだ無数の牙を見せながら向かって来る(ヴィラン)。仕方がない…水中戦をやるしかない!

 

「えいっ!」

「ぐへぁ!」

 

 だけど、次の瞬間思いもやらない援軍が来てくれた。蛙吹さんだ! 傍らに抱えているのは峰田君! 

 

「緑谷ちゃん!」

 

 蛙吹さんは、舌を長く伸ばして僕を絡め取ると、バランスを立て直そうとしている(ヴィラン)を足場にして一気に加速!

 

「サイナラ」

 

 水上に飛び出すと、浮かんでいた大型のプレジャーボートに降ろしてくれた。

 

「つぁっ!!」

 

 峰田君は何故か投げ捨てられていたけど…多分、セクハラ紛いな事をやったんだろう…ブレないなぁ。

 

「ありがとう、蛙吹さん」

「梅雨ちゃんと呼んで。しかし、大変な事になったわね」

「うん、雷鳥兄ちゃんや轟君も言っていた通り、奴らは周到に準備を重ねてきてる。オールマイトを殺すっていうのもあながちハッタリとも思えない」 

「ちょ、ちょっと待てよ! オールマイトを殺すなんてそんな事出来っこねぇよ! オールマイトが来たら、あんな奴らケッチョンケッチョンだぜ!」

「峰田ちゃん…出来る出来ないは別にして、殺す算段が…少なくとも可能性くらいはあるから、連中こんな無茶してるんじゃないの?」

「そこまで出来る連中に、私達嬲り殺すって言われたのよ? オールマイトが来るまで持ちこたえられるのかしら? オールマイトが来たとして…無事に済むのかしら」

「みみみ緑谷ぁ!!」

 

 冷静な蛙吹さんの言葉に、ガタガタと震えだす峰田君。うん、峰田君1人でここに送り込まれなくてよかった。確実に嬲り殺されていただろう。

 

「峰田君、とりあえず落ち着こう。今僕達がやらなくちゃいけない事は、この状況を突破する事だよ。少なくとも陸地に上がる事が出来れば、助かる確率は上がる…少なくともここにいるよりはね」

「そうね…緑谷ちゃんも陸地の方が戦いやすいでしょうし…峰田ちゃん。ここは3人協力していきましょう」

「わ、わかった!」 

 

 峰田君からも同意を得た所で、僕達はそれぞれの“個性”を確認する。と言っても、僕の“個性”はバスで話したし、蛙吹さんの“個性”は直に見ている。だから後は峰田君の“個性”なんだけど…。

 

「凄いよ。峰田君の“個性”!」

 

 『もぎもぎ』という名の“個性”の詳細を聞いて、僕は驚いた。これを使えば、限りなく安全にここから脱出できる!

 

「…よし、脱出の算段がついたよ」

「本当か! 緑谷ぁ!」

「緑谷ちゃん、水を差すつもりはないけど…向こうはこちらの“個性”を把握しているから、妨害されたりしないかしら?」

「うん、その点に関してだけは心配いらないと思う。だって、この水難ゾーンに蛙すっ…つ、梅雨…ちゃんが移動させられているから…」

「………自分のペースでいいのよ」

「あっ…そう、なの…」

「どういう意味なんだよ!?」

「だからつまり、生徒(ぼくら)の“個性”はわかってないんじゃないか? って事だよ」

「たしかに…蛙の私を知っていたら、水難ゾーンじゃなく、あっちの火災ゾーンに放り込むわね」

「僕らの“個性”がわからないからこそ、バラバラにして、数を頼りに攻め落とすって作戦にしたと思うんだ。数も経験も劣るけど、生徒(ぼくら)の“個性”が相手にとって未知である事。そこに付け入る隙がある!」

 

 そして僕は2人に作戦を説明した。作戦成功の鍵は…ずばり峰田君だ。

 

「お、お、オイ…オイラが作戦の鍵…無理、無理だ…この前まで中学生だったんだぜ! そんなオイラが作戦の鍵だなんて…」

 

 あ、ガチガチになってる。これじゃ、まともに動く事も出来ないかも…。

 

「…峰田ちゃん」

 

 その時、蛙吹さんが峰田君をそっと抱きしめ、安心させるように背中を摩り始めた。

 

「大丈夫。私たち3人が全力を尽くせば絶対に上手くいくわ。だから、峰田ちゃんも頑張って頂戴」

「う、うぅ…や、やって、やってやらぁ!!」

 

 蛙吹さん凄い! 峰田君のやる気をここまで引き出すなんて! これで準備は整った!

 

「2人とも…いくよ!!」

 

 次の瞬間、僕は『フルカウル』を発動して一気にジャンプ。プレジャーボートを囲むように浮かんでいる(ヴィラン)達に向けて-

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 空中(・・)を思いっきりぶん殴った! 強烈な衝撃波が水面に炸裂し、湖底が露出するほどに周囲の水を一時的に吹き飛ばす!

 

「梅雨ちゃん! 峰田君!」

 

 そこへ峰田君を抱えた蛙吹さんがジャンプ!

 

「おいらだって! おいらだってぇ!!」

 

 更に峰田君が頭からの出血も厭わずに『もぎもぎ』を投げ続ける!

 

「水面に強い衝撃を与えたら、水は一時的に広がって、また中心に収束する為に渦となる!」

「ぐっ、渦に、ひ、引きずりこまれる…!」

「それにこの丸いのなんだよ! くっついて、取れねぇ!」

 

 『もぎもぎ』を取ろうともがく(ヴィラン)達。だけどそうするうちに新しい『もぎもぎ』がくっついて、(ヴィラン)同士もくっついて、最終的には-

 

「一網打尽!」

「とりあえず、()()()()突破って感じね。凄いわ2人とも」

 

 こうして、僕らは何とか水難ゾーンでの危機を脱する事が出来た。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。