出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
短いですがお楽しみ頂ければ、幸いです。
誕生日から3日後。俺は医師の診断を受け、“個性”が発現した事が正式に確認された。
俺に発現した“個性”は相当強力なものだったらしく、担当した医師も興奮していたが…3歳児が三角関数や素因数分解をスラスラ解いたり、英文を容易く和訳する姿を異常と思わないのは、どうなのだろうか?
「“個性”の発現が、脳に何らかの刺激を与え、活性化させたものと思われます」
なんて、お世辞にもよく出来ているとは言えない仮説を提唱し、勝手に納得する医師の姿に、内心呆れていたのは言うまでもない。
帰宅した俺は、これからやらなければならない事に思いを巡らす。出久が“無個性”だと診断され、絶望するまでタイムリミットは1年と3ヶ月程度。
それまでに、俺は自分の“個性”をある程度制御出来るようにならなければならない。時間の余裕はそれほどないと考えるべきだろう。
「お父さん、お願いがあるんだけど」
俺は
50過ぎて俺を授かった事もあり、正直俺にはかなり甘い。使える物は何でも使わせてもらおう。
結論を言えば俺の目論見は見事に成功。父は知人の伝手を使い、既に使われなくなった採石場を格安で使えるように交渉してくれたのだ。これで“個性”の鍛錬を大手を振って行える。
翌日、俺は“個性”の鍛錬の為、その採石場に足を運んだ。
…ここまでの移動は父親の運転する車。更に母親に持たされた水筒と弁当付きという少々冴えない形だが、まぁ、それは置いておく。
「ライト、訓練を終えようと思ったら、お父さんに連絡するんだぞ。迎えに来るからな」
「うん、わかったよ。お父さん」
「連絡がなくても、2時には迎えに来るからな」
そう言い残し、採石場を後にする父の車を見送り、俺はリュックサックの中に入れていた目覚まし時計を取り出し、アラームを12時にセットする。
「いくら強力な“個性”持ちだからって、1人で鍛錬する事をよく許してくれたな…ま、前世の常識、この世界の非常識って奴なのかねぇ」
そんな事を呟きながら、目覚まし時計やリュックサック、水筒を近くの岩陰に置く。
「昼まで2時間弱。まずは“個性”で何がやれるか確認してみるか」
準備体操で体をほぐし、構えを取りながら自分の“個性”について考える。
電気と磁気を自在に操る。それが俺の“個性”だ。
「電気を操るとなると…ベタな形はこれか?」
右手の人差し指を近くの岩に向け、力を込めれば指先から放たれる青白い閃光。
「………ホントに出たよ…」
放電の影響で僅かに痺れる指先を見ながら、思わず呟く。“個性”持ちなのだから、出来て当然なのだが、それでも驚いたものは驚いた。
「じゃ、じゃあ…次!」
驚きと興奮で叫びそうになるのを必死に堪え、今度は右掌をかざして力を込める。すると―
「うぉっ!?」
掌全体にビッシリと砂鉄がくっついた。あわてて“個性”を解除すると全部で数百gはある砂鉄が一斉に地面に落ちていく。
「こいつはすごいな…」
電気と磁気を操る。自分の“個性”を改めて実感し、思わず俺の顔が笑みで歪む。
それから2時間、アラームが鳴るまで俺は“個性”で何が出来るのかを知る事に没頭するのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。