出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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短編を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第17.5話:対決(たたかい)終わって

雷鳥side

 

「16…17…18…19…20…うん、全員無事だね」

 

 信楽焼(死柄木弔)と黒霧を除く(ヴィラン)連合の構成員をUSJに駆け付けた警官隊が連行していく中、俺達は警官隊の責任者であるトレンチコートの刑事さんの前に集められ、それぞれの無事を喜んでいた。

 

「尾白君…今度は燃えてたんだってね。1人で…強かったんだね」

「皆1人だと思っていたよ俺…ヒット&アウェイで凌いでいたよ…葉隠さんはどこいたんだ?」

「土砂のとこ! 轟君、氷と炎で敵をまとめてやっつけちゃってさ。超強くてびっくりしちゃった!」

「葉隠、あそこにいたのか…悪い、気づかなかった。もしかしたら、凍らせたり、燃やしたりしていたかも知れねぇ…」

「大丈夫大丈夫! 私、この通りなんともないし! 気にしてないよ!」

 

 葉隠の発言に顔色を青くしながら謝罪する轟。こいつも戦闘訓練の前に比べると随分丸くなったもんだ。

 それにしても、葉隠…この通りなんともないと言われても、お前さん透明だからわからないよ。

 

「そうか、やはり皆の所もチンピラ同然だったか」

「ガキだと舐められてんだ」

 

 切島は常闇や口田と情報交換中か、どうやらUSJの各所に配置されていたのはチンピラだけで、本当の意味での脅威はあの“脳無”と信楽焼(死柄木弔)、黒霧くらいだったという事か。

 それから青山、構ってほしいのか、秘密を気取りたいのかハッキリしろ。

 

「それで刑事さん。相澤先生と13号先生は…」

 

 等と考えていると、梅雨ちゃんが刑事さんに相澤先生と13号先生の様子を尋ねていた。

 2人はかなりの重傷で、リカバリーガールの治癒だけでは処置しきれない為、救急車で病院へ搬送されていたのだ。

 

「今、部下に確認させよう。三茶(さんさ)

 

 刑事さんは、嫌な顔一つせず、部下である猫顔の警察官に病院への連絡を命じてくれた…果たして容体は…。

 

「えー、まずイレイザーヘッドの方ですが、両上腕骨骨幹部及び両前腕骨幹部の粉砕骨折、左側第2、第3、第4肋骨の完全骨折に、右側第7、第8肋骨の不完全骨折、右大腿骨骨幹部の不完全骨折。全身打撲、擦過傷多数。幸い、脳や内臓への損傷は見受けられず、命に別状はない。との事です」

「そして13号の方は、背中から上腕にかけての裂傷は酷いですが、こちらも命に別状はなし。との事です」

 

 …とりあえず、命に関わるような怪我でなかったようで一安心だな。となると、残る問題は…。

 

「セキュリティの大幅強化が必要だね」

「ワープなんて“個性”、ただでさえものすごく希少なのに、よりにもよって(ヴィラン)側にいるなんてね…」

 

 今回の件を教訓にしての今後の対策…だな。

 校長先生とミッドナイト先生の話に聞き耳を立てながら、警官隊に大人しく連行される“脳無”を見ていると―

 

「吸阪君、緑谷君、それから轟君。すまないが、君達も会議に参加してほしい。今回の首謀者である死柄木弔、そして“脳無”について、話を聞きたいからね」

 

 校長先生からそう声をかけられた。了解、俺達に話せる事なら何でもお話いたしましょう。

 

 

死柄木side

 

「ってえ…」

 

 黒霧のワープゲートから芋虫のように這いずり出て、アジトの床に体を横たえると全身の痛みが加速度的に増していく。

 

「両肩と両膝砕かれた…アバラも折れてる。完敗だ…」

「“脳無”もやられた。手下どもは瞬殺。ガキどもは予想以上に強かった…平和の象徴は姿すら見せなかった…話が違うぞ。先生…」

 

 激痛に顔を顰めながら、パソコンのモニターに視線を送る。すると―

 

『違わないよ』

 

 モニターが勝手に作動し、先生の声が聞こえてきた。

 

『ただ、見通しが甘かったね』

『うむ…なめすぎたな。(ヴィラン)連合なんちうチープな団体名で良かったわい…ところで、ワシと先生の共作“脳無”は? 回収していないのかい?』

「申し訳ありません。死柄木弔を連れて撤退するのが精一杯で…脳無を回収するだけの余裕はありませんでした」

『せっかくオールマイト並のパワーにしたのに…』

『まぁ、仕方ないか…残念』

 

 先生とドクター、黒霧の話を聞いていると“脳無”を倒した3人のガキどもが頭に浮かんできた。あいつらさえ、あいつらさえいなければ…。

 

「“脳無”を倒した3人のガキ。あいつらは特に厄介だ…」

『………へぇ、どんな子ども達なんだい?』

「…オールマイトみたいなパワーとスピードを持った奴、氷と炎を操る奴、そして、電気を操って…何より頭が切れる奴…あいつらさえいなければ、“脳無”でオールマイトを殺せたかもしれない…ガキどもがっ…ガキ…」

『悔やんでも仕方ない! 今回だって、決して無駄ではなかった筈だ。精鋭を集めよう! じっくり時間をかけて!』

『我々は自由に動けない! だから君のような“シンボル”が必要なんだ。死柄木弔!! 次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!!』

 

 先生の激励に俺は頷きを返す。次こそ、あの3人のガキを、オールマイトを殺してやる!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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